新年最初の薬師の縁日に当たる8日、薬師如来をまつる各寺院で初薬師の法要が営まれた。紀宝町では鵜殿の醫王山(いおうざん)東正寺や、平尾井の平尾井薬師堂でも
祭典が執り行われた。
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■東正寺
紀宝町鵜殿の醫王山東正寺(片野晴友住職)では、本尊の薬師瑠璃光如来を開帳し、初薬師大般若会(だいはんにゃえ)を営んだ。寺の役員らが訪れ、家内安全、心願成就、疫病退散、新型コロナウイルス感染症の早期終息などを祈願した。
普同三拝、心経読誦(どくじゅ)に続き、600巻の大般若経典を左右に波打たせながら一気に読む転読が行われ、参拝者らが順に焼香した。
片野住職による法話では「続けることは根気がいるが、やるべきことを真面目に行えば、人は輝いてくる。まねを続ければ、やがてそれが本物になる」と話し、「普通の生活を送れることに感謝し、一日一日を大切にしてほしい。今日やるべきことはやって、明日目覚めなくても悔いが残らないよう努めて」と語りかけていた。
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■平尾井薬師堂
平尾井薬師堂では毎年1月8日に営まれている「冬の
大祭」が執り行われた。円通寺の山田耕治住職が読経し、一年の平穏、五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全などを祈願した。
今年は新型コロナウイルス対策として、密にならないよう参列者を制限した。また、「薬師の庭」と呼ばれる境内で行っている餅ほりも中止とし、餅俵のみを供えた。
参拝者は石段を登った先にあるお堂で鐘を突き、薬師堂に手を合わせた。参列した老人クラブ「平和クラブ」の林杜谷会長)は「新型コロナウイルスの終息と今年一年の平穏を願いました」と話していた。
白河法皇が
熊野三山に御幸した際、逢野細谷(相野谷)の地に薬師堂の建立を勅願し許されたのが熊野三仏平尾井薬師だという。
薬師堂上の巨岩には、仏足跡と呼ばれる足跡の形が彫られ、高貴な方の参詣の証しとして刻まれたものといわれている。
(2021年1月10日付紙面より)