地域住民が多数出演する、市民ミュージカル「『丹鶴(にづる)』~御燈祭(おとうまつり)の日の気づき~」が8日、新宮市の丹鶴(たんかく)ホールであった。市とその周辺から約420人が来場。引っ込み思案な少女「丹鶴(にづる)」が新宮にまつわる、さまざまな歴史や伝承を知り、勇気と自信を得る物語を楽しんだ。
同ホールの主催、一般社団法人熊野新宮ミュージアムの制作協力。脚本も同ミュージアムによるオリジナルで、オーディションを経て昨年の10月から稽古を重ねていた。直接の登場人物に加え、地元の和太鼓やコーラスの団体も劇中で参加した。
「丹鶴(にづる)」の名は丹鶴姫(たんかくひめ)にちなんだとの設定だった。中学生の丹鶴(にづる)が友人からダンスチームに誘われるが、内気なため渋っていたところ、ヤタガラスに遭遇。その導きで丹鶴姫と出会ったほか、神倉山や浮島の森、万歳峠(ばんぜとうげ)などを巡るストーリーとなっていた。
各所では背景として、スクリーンに実際の場所の写真が投映された。ヤタガラスが丹鶴に、各所にまつわる歴史や伝承を紹介。神倉山では天狗(てんぐ)が、浮島の森ではおいのや大蛇が登場してヤタガラスの語りを補完した。万歳峠では一遍上人のエピソードも盛り込まれた。少女らで編成する合唱隊の合唱が各シーンの情景を伝えた。御燈祭りの上(あ)がり子も現れた。
丹鶴は「新宮を知り、新しい自分を見つけられた気がする。新宮を大切にしたい気持ちが湧いてきた」と語り、積極性を持ってダンスチームに合流、表情の曇りが消え笑顔を見せた。コーラスが終幕に花を添え、来場者の拍手喝采が響いた。
市内から訪れた60代女性は「みんな頑張っていて素晴らしかった。歴史の勉強にもなるし、新宮の子はみんな見た方がいいと思った。メンバーを変えつつ毎年やっても楽しそうと思った」と話した。
(2026年2月10日付紙面より)