和歌山県立新宮高校(下村史郎校長)が、教師の授業力向上を目的に、毎月1回「先生の授業シェアDAY」を実施している。生徒の力を伸ばすためには、教師自身が授業力を高め続ける必要があるという考えから生まれた取り組みで、校内の改革の一環として注目されている。
きっかけは、8月に行われた小中学生と保護者向けの公開授業だった。教師同士も互いに授業を気軽に見学でき、その経験を受けて「授業見学の機会を継続的に設ければ学校全体の授業改善につながるのでは」と提案が出た。これを受け、10月から曜日を変えながら毎月開催することを決めた。
対象は全学年・全教科。あらかじめ公開日を設定することで教師は自由に回りやすく、生徒も自然体で授業に臨める。これまで同じ教科内での研究授業は行われてきたが、他教科の授業や生徒の様子を見る機会は少なく、新たな視点を得ることが難しかったという。
見学後は「ええでぇ!」と名付けたコメントシートに、良かった点を記入して授業した教師に渡す仕組み。互いの授業を認め合い、改善につなげるサイクルを意識した。
10月の初回後、教師からは「自分の授業以外の生徒の様子を見られて参考になることがたくさんあった」「他教科の先生の授業をいくつも見ることができ、その時の生徒の様子を知れた」「指導方法や生徒別、クラス別のアプローチを考えるきっかけになった」「生徒への声かけの仕方など、授業形態の改善につながる」「授業で内容を広げる意識や自分の授業の進め方の改善に生かしたい」といった声が寄せられた。
県内でも毎月の実施は珍しく、11月18日の2回目でも多くの教師が積極的に見学に回り、自身の授業に反映させようとしていた。
授業改善につながるヒントを得たり、自分の担当する生徒が他の教師の授業を受けている様子を知ったりでき、下村校長は「人に見てもらって指導を受けるのは初任者にあるが、年齢を重ねた時、他の人の授業を見たり、見てもらう機会が減ってくる。シェアDAYを設定することで自由に見学しやすくなり、違う教科の授業を見て自分の教科の参考になる。授業力向上につながる」と話す。
(2025年11月22日付紙面より)