一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT、松下哲也理事長)と太地町観光協会(三軒一高会長=太地町長)が19日、「観光連携協定」を締結した=写真。今後、観光資源・魅力・知見を補完し合い、双方にプラスとなる新しい流れ「観光創発連携」のビジョンを打ち出し、相乗効果の実現を目指す。
両町は豊かな観光資源を持ちながら、これまで連携実績が乏しく、観光客の周遊性が低い状況にあった。今回の協定により、民間主導で連携をスタートさせ、行政の枠組みを超えた柔軟な観光施策により、新たな観光モデルの構築を図っていく。
協定は双方の信頼関係に基づき、観光振興と地域の魅力発信が目的。▽観光プロモーション活動の共同実施▽イベント、キャンペーンの共同企画・開催▽観光情報、統計データなどの共有▽人材交流や研修の実施▽観光防災や緊急時の連携対応▽双方の観光資源を活用した広域観光ルート造成―などについて協力する。
「創発」とは、複数要素の組み合わせで、単独では得られなかった新しい価値、成果が生まれるという意味。那智勝浦町の生マグロ、太地町のクジラなど、両町の豊富な観光資源を組み合わせることで訪問価値を高め、滞在時間の延長や消費額の増加につなげる。
人口減少や労働力不足といった課題に対して、デジタルパンフレットへの移行、案内所でのQRコード利用、各種イベントの合同実施などを通じた効率化と効果向上で対応する。
これらの取り組みは2026年度の前後半に分けて行う予定。来年2月6日(金)からタイのバンコクで開催される、アジア最大級の日本関連イベント「ジャパンエキスポタイランド2026」の旅行・観光関連ブースに合同出展することが決まっている。27年以降は周辺市町村との広域観光圏構想も視野に入れているという。
締結式は新宮市の東牟婁振興局で実施し、松下理事長、三軒会長が協定書に署名。堀順一郎那智勝浦町長、今井善人東牟婁振興局長らも出席した。
堀町長は「観光振興を目指し、それぞれの素材を生かして集客に努める形になった。観光客は町ではなく、そこにある素材を目指して来るので、素材があるほど集客につながっていくと思う」、三軒会長は「本協定が結ばれたことを太地町として大変うれしく、心強く感じ、地域観光に明るい光が見えた思いをしている。地域にとって実り多きことになるよう、懸命の努力をしないといけない」と語った。
松下理事長は、この日が「日本初飛行の日」の記念日であることに触れ「一緒に手を組んで離陸をする日となった。どんな空に飛び、何をやっていくのか。皆さまのご支援を」と協力を求めた。
(2025年12月21日付紙面より)