株式会社ベストパートナー(門和宏代表取締役)の主催によるがん対策セミナーとして、東京大学医学部附属病院放射線課の中川恵一特任教授による「運命を変える。知っておきたい、がんのすべて」の講演が20日、新宮市大橋通の新宮信用金庫本店であった。地域の経営者約60人が参加。予防や検診、リスクと考え方などを学んだ。
中川特任教授は、日本人のがん観について「ほとんどは自然災害と同じ捉え方をしているが、全く違う。がんは制御可能な病気。知ることでコントロールできる」と力を込めた。「がん家系」は迷信と断じ「遺伝が原因のがんは全体の5%で、ほとんどない」と話した。
がんの最大要因は遺伝子の経年劣化による自然発生と明かした。「免疫細胞が出来たてのがん細胞を殺すが、免疫の働きも年齢とともに衰える。がんは二重の意味で一種の老化。遺伝子の経年劣化に加えて、免疫力が低下したことによるもの」と述べた。
がんの治療法として、手術と放射線、抗がん剤があることを紹介。日本では手術が一般的だが、費用や時間、身体的負担などの面で、放射線治療が有効であることを伝えた。あるがん患者の放射線治療の映像を見せつつ「服も着替えず適当に横になって、6分30秒で治療が終わり。これを5回やるだけで手術と同じ効果。知らないとたどり着けない」と語った。
備えとして「がんを防ぐ生活習慣と検診での早期発見」が重要と強調。▽たばこは吸わない、受動喫煙でもだめ▽酒は控えめ▽細菌・ウイルス感染にも注意―が必要とした。
市町村が案内するがん検診を「最も有効」と説明。「健康増進法が定める胃、肺、大腸、乳房、子宮の検診を低額で受けられる。これらは国民の努力義務」と論じた。
昨今の定年延長で、高齢従業員のがんリスクが増大していることから「会社でも対策が急務に」と警鐘を鳴らした。生活習慣が悪化しがちな経営者に対しても「がんに備えるべき」と注意喚起した。
(2026年6月25日付紙面より)