那智勝浦町築地で26日、築地地区津波避難タワーの竣工(しゅんこう)式があった。堀順一郎町長、加藤康高町議会議長、佐藤武治県議、東牟婁振興局の今井善人局長(和歌山県知事代理)がテープカットした。
同町では2015年に地震津波対策検討協議会を設立。地域特性に合う津波避難困難地域の対策を検討してきた。築地地区では、景観への影響から避難施設を建設する方針が決定。24年6月に整備工事を着工、約1年6カ月を経て、竣工を迎えた。
建物は鉄筋コンクリート4階建て、2階の地盤高が8・4㍍、3階11・7㍍、4階14・85㍍。南海トラフ巨大地震の津波想定は4・4㍍が基準水位で、想定から4㍍の余裕高がある高さとなる。
収容人数は約400人で、飲食店従事者や観光客も加味して設定した。外観は丸みのある木材を思わせる色合いで、景観との調和にも配慮。昇降設備は車椅子も安全に避難できるようスロープも設置し、長時間の避難対応では2階に備蓄倉庫、男女別の簡易トイレ設置も可能。太陽光発電による蓄電池式の避難誘導灯で停電時も安全に避難できる。
竣工式で堀町長は「いざという時は2階以上であれば、巨大地震の津波よりも上に行けるので、地域の安心安全も高まった。世界各地から観光に来てもらっているが、欧州など、津波のほとんどない地域の方に観光とともに防災も学べる、そんなタワーになると期待している」と式辞を述べた。
道路沿いにあった足湯も施設内に移設し、タワーの柱を囲む円形浴槽とした。施設は常時開放し、平常時からも利用できるスペースフリーな施設となっている。
(2025年12月27日付紙面より)