新宮港テロ対策訓練が19日、新宮港であった。港湾保安の関係10機関から約70人が参加。合同で不審者逮捕などの訓練を行い連携を強化、水際対策を再確認した。
田辺海上保安部や新宮警察署などで組織する新宮港港湾保安委員会(河尻拓郎委員長=県東牟婁振興局新宮建設部長)の主催。組織機関が訓練の参加機関でもある。テロ事案に対する関係機関の対応を相互に確認し、的確に対応することを目的に、2006年から毎年実施している。
開始に当たり、河尻委員長があいさつ。中国の海洋進出の拡大や北朝鮮の弾道ミサイル発射などを例に「わが国を取り巻く状況は厳しいものになっている」と説明。「テロ対策訓練を実施することで、水際対策の重要性、必要性を再確認するとともに、組織のつながりを強化し、より安全安心な港にしたい。有意義な訓練となることを祈念する」と語った。
松井幸紀・新宮港港湾危機管理担当官(=田辺海上保安部長)もあいさつ。昨今の国際テロ情勢について「脅威は依然として継続しており、わが国でも突如テロが発生する可能性を否定できない」と強調。「港湾における水際危機管理はテロ対策の要であり、阻止のためには緊張感を持って対応はもちろん、関係機関の連携も重要。訓練で関係機関の連携が強化され、対応能力を高める機会となることを祈念する」と述べた。
訓練は▽岸壁への侵入や外国籍船舶の船員との接触を行う不審者▽逃走した不審者や拳銃所持船員▽入国審査における不審船員▽船舶検査で海上逃走した不審者―の発見や確保のほか、時限発火装置による火災に伴う負傷者の救助および消火を行った。不審者はナイフを振り回し、逃走船舶からは発砲が行われるなど、緊迫した状況を想定して実施。いずれも各機関で連携して対応した。
(2025年11月21日付紙面より)
もっと見る
折たたむ
別窓で見る