新宮市の世界遺産「高野坂」の豊かな自然や、人々の営みを今に伝える遺構などを未来に継承する「南紀の自然を愛する会」(岩﨑新太郎会長)は11日、上田勝之市長を訪問。高野坂(三輪崎側)の眺望・景観の改善を要望した。
2023年に発足した同会は、高野坂を彩るアジサイの植栽や管理、景観保持などを行うとともに、熊野地域に今も残る「熊野シシ垣」の存在を広めることを主な活動の柱としている。
王子ヶ浜の南端に位置する高野坂は「紀伊山地の霊場と参詣道」(世界文化遺産)に登録されている熊野古道の一部。広角~三輪崎に続く1・5㌔の峠で、美しい王子ヶ浜海岸が一望できる他、石畳が残り、念仏供養の石碑や石の地蔵・山伏を支配した聖護院宮の休憩所跡などがあり、自然と歴史が体感できる。
三輪崎側の登り口は、JR三輪崎駅から徒歩約5分の場所にある。15分ほど峠を登っていくと、広角方面に向かっていくルートと、孔島・鈴島や熊野灘を一望できる「鯨山見跡(くじらやまみあと)」に進むルートに分かれる。鯨山見跡からは雄大な海が広がるものの、樹木が生い茂っており視界を半分ほど遮っている状況にある。
高野坂は熊野古道の一部として国内外から多くの来訪者が訪れる貴重な文化的資産であるが、草木が生い茂っていて本来の価値を十分に発揮できないとし、同会は樹木整理などでの景観改善を要望。岩﨑会長は「素晴らしい眺望があるのにもったいない」と語った。
要望を受け、市としては▽高野坂は世界遺産登録されているため、手を加えるのであれば環境省など関係機関への働きかけが必要▽高野坂の多くの部分は民有地であるため、土地の所有者の理解を得なければならない▽切った材木などが線路に落ちる心配も考えられるため、JRへの相談も必要―といった課題があるとし、要望に対して前向きに検討はするが、すぐの回答は難しいと応じた。
(2026年3月13日付紙面より)