能登半島地震に学ぶ古座川町防災講演会が26日、高池にある町中央公民館で開かれ約70人が聴講して町民一人一人や地域、町ができる防災を考える一助とするなどした。
この講演会は、町の総務課と健康福祉課が共催。2024年能登半島地震発生時に自主防災組織のリーダーとして尽力した能登町立高倉公民館長の田中隆さんを講師に招き、当時直面した課題と対処の考え方、それら経験を通して大切に感じる事柄を聞くとして当日の来場を呼びかけた。
当日は町を代表して大屋一成町長があいさつをして開会。田中さんは発災直後から約2週間、主導した自主避難先の姫交流センターと周辺地域の状況や次々に出てきた課題と対処を時系列で語りつづった。直面した課題は水の確保、燃料(発電機用のガソリンやストーブ用の灯油)調達、食料確保、不審者(空き巣)対策、支援物資配布、苦難につけ込む詐欺行為やデマへの警戒の呼びかけ、処方薬の不足(DMATの地区入りは11日後)など。田中さんは元消防職員で水の確保に得手があったが、長年の少年野球指導も功を奏して大勢の教え子が協力してくれたことが水の課題を乗り越える力として特に大きかったと強調した。
幸いだったのは自主防災組織が機能したこと、津波の被害がなく倒壊建物もほとんどなく施設が利用できたこと、さまざまな職種の住民が協力してくれたことなど。困ったのは役場からの情報(停電や断水の復旧の見通し)が入らず不安が拭えなかったことなど。自主防災組織の意識の高さと漁師町独特の強いつながりで困難を地域にある資源で何とかしようという連携がうまく機能し、課題解消とまでいかずとも緩和できるならという発想で行動を起こすこともできた。その経験から大切に感じるのは、独断的な判断ではなく複数の意見を出して話し合うこと。その過程が結果として一致した行動につながったと振り返るなどした。
終盤では当時の避難所運営を支援した町職員の一人、町健康福祉課の淡佐口麻衣さんがあらかじめ聴講希望者から集めた質問事項をいくつか抜粋して投げかけ、田中さんの考え方を古座川町へ当てはめるなどした。
(2025年10月29日付紙面より)
もっと見る
折たたむ
別窓で見る