和歌山県警察と三重県警察、ソフトバンク(SB)株式会社が協働した詐欺被害防止イベントが11、12の両日、新宮市橋本のイオン新宮店であった。当地方では初の試みとなる。SBが生成人工知能(AI)を活用した詐欺被害の疑似体験を提供したほか、警察が国際電話の不取り扱いを紹介した。多くの買い物客が立ち寄り、詐欺被害防止の知識や手だてを学んだ。
和歌山県警は携帯電話3社との共同宣言を2023年に採択している。これに基づき3月に和歌山市のイオンモール和歌山で、SBとの2者で同様のイベントを実施、盛況を博した。次は紀南地方でと計画し、新宮署が三重県警の紀宝署にも声をかけ、両署と両県警の生活安全企画課、SBが参加することになった。2県の警察とSBの協働イベントは全国初となる。
SBは「交流サイト(SNS)型投資・ロマンス詐欺」被害の疑似体験ができるスマートフォンを用意。SNSのやりとりで誘導されるようになっており、返答は用意された2択から選べるほか、文字入力もできる。断っても生成AIが言葉巧みに引きとどめる。最終的には被害に遭い「安易に信用してお金を振り込んではいけません」などの注意喚起が表示される。参加者はやりとりを通して、詐欺の手口や誘導の巧みさを体験していた。
警察は、外国からの詐欺の電話を防止するため、固定電話やひかり電話での発信・着信を休止できる「国際電話不取扱受付センター」を広報した。申し込みの書類作成支援も行っており、参加者がその場で申し込む姿が見られた。
市内から訪れた60代女性は「普段は変なメールなどは中を見ないけど、今日の疑似体験で、もし見たらこうなってしまうのだなと分かった。誘導は上手だった。気を付けたい」と話した。
和歌山県では24年中、SNS型投資詐欺が81件発生し、被害額は約6億7000万円に及んでいる。同じくロマンス詐欺は41件発生、約3億2000万円の被害が生じている。
(2025年7月13日付紙面より)