那智勝浦町は27日、慶應義塾大学SFC研究所(仰木裕嗣所長)、アドソル日進株式会社(篠﨑俊明代表取締役社長)と産官学連携協定を締結した。
最先端技術を活用した藻場の再生と「ブルーカーボン」に関する研究を通じた地域活性化、持続可能なまちづくりの推進が目的。同町役場で協定を締結し、プロジェクト始動セレモニーを開催、今後の展望などを発表した。
ブルーカーボンとは、沿岸・海洋生態系の取り込んだ二酸化炭素(CO2)が光合成で酸素と分解された後に、海底などに蓄積される炭素のことで、新たなCO2吸収源として注目されている。
主要な吸収源としては、海草などの藻場や塩性湿地・干潟などがあるが、那智勝浦町周辺の沿岸は近年の黒潮大蛇行の影響に伴う海水温上昇や磯焼けの進行で藻場が減少し、水産資源や漁業への影響が懸念されている。
これらの対策として、町では2020年に県内初の「ゼロカーボンシティ宣言」を公表し、藻場の再生と次世代への継承が目的の「藻場造成マスタープラン」を推進してきた。
今回の協定により、マスタープランに大学の研究知見、IT企業の技術を融合し、人工知能や宇宙衛星データ、地理情報システムなどから得た広範囲の海域データをデータ化、それらを基に藻場再生の研究や効果の検証を進めることが可能となった。
将来的には藻場が吸収・貯留するCO2の量を数値化し、排出権(クレジット)として売買できる「ブルーカーボンのクレジット化」も視野に入れている。
セレモニーには堀順一郎町長、篠﨑社長、慶應大SFC研究所から厳網林名誉教授が出席。堀町長は「産官学の協定は本当に心強い限り。慶應大学、日進のさまざまな技術や今までの知見を生かし、ゼロカーボンのまちづくりを進めたい」と述べた。
厳名誉教授は「今まで都市部で培ってきた技術を活用して貢献したい。地元の皆さまにはぜひ、ご協力をお願いします」、篠﨑社長は「美しい那智勝浦の自然環境を維持していく試みに参加できてうれしく思う。新しい町づくりに貢献すべく、しっかり取り組んでいきたい」と語り、計画への意欲を示した。
(2026年10月28日付紙面より)