紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」が、ウミガメの命を地域ぐるみで守り続けるため、新たな挑戦に乗り出す。16日(土️)からクラウドファンディングの開始を予定しており、保護活動の継続と持続可能な運営体制の構築を目指すプロジェクト「SAVETURTLE PROJECT」を始動する。地域のかんきつ資源を活用し、収益をウミガメ保護へ還元する新たな仕組みづくりを掲げる取り組みで、支援を呼びかけている。
日本で唯一、ウミガメの水族館「ふれあいパーク」を併設する道の駅として知られる。七里御浜に上陸するウミガメの保護や海還(放流)、大学など専門機関との共同研究、来園者が直接触れ合える体験型学習を通じ、長年にわたりウミガメの保護・飼育・研究の拠点として役割を果たしてきた。
一方で年間2000万円以上の費用が必要で、より良い飼育環境を整えながら活動を継続するには、年間3000~4000万円規模の予算確保が課題となっている。ウミガメを守り続けるためには、寄付や来園収入に頼るだけでなく、地域の力を生かした持続可能な仕組みが必要だと考えた。
着目したのは、地域特産のかんきつだ。道の駅には地元農家が育てたミカンや甘夏などが並ぶ一方で、見た目に傷がある、人手不足で収穫しきれない、高齢化で選別が難しいといった理由から、商品価値が付かず廃棄される果実も少なくない。食べられるにもかかわらず出荷できない「もったいない宝」が地域には眠っている。
そこで生まれたのが、廃棄されるかんきつを活用した「SAVE TURTLE ICE」。規格外かんきつをアイス商品として生まれ変わらせ、その売り上げを全てウミガメ保護に充てる。農家の収入確保とフードロス削減、そしてウミガメ保護を同時に実現する循環型の取り組みとなる。
実現には、果実の鮮度を閉じ込める瞬間冷凍設備やアイスクリームブレンダーの導入が不可欠で、今回のクラウドファンディングで集まった資金は、その設備費の一部と保護活動費に充てられる。
返礼品には限定グッズやウミガメとの特別体験、地元かんきつや加工品、飼育員の舞台裏を楽しめる限定オープンチャット参加権など、多彩な内容を用意する予定だ。
駅長の岸崎康次さんは「地域のかんきつが農家の支えとなり、その恵みがウミガメの命を守る。100年先もこの海でウミガメが泳ぐ未来を地域とともにつくりたい」と話す。人口減少や農家の高齢化が進む中、地域資源を生かして未来をつなぐ挑戦が、いま動き出そうとしている。
クラウドファンディングの取り組みは「紀宝町ウミガメ公園」で検索を。
(2026年5月14日付紙面より)
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