那智勝浦吹奏楽団(勝吹、大江伸二団長)が24日、那智勝浦町の体育文化会館で「第30回記念定期演奏会」を開催。419人の観客を迎え、地域の人たちや故郷に「ありがとう」の気持ちを込めて団員33人が歌や演奏をはじめ、さまざまなパフォーマンスを繰り広げた。
きのくに文化月間連携事業、和歌山県文化振興事業補助事業。社会福祉法人美熊野福祉会、熊野新聞社など4団体が後援。
勝吹は那智中学校吹奏楽部顧問だった故・平野良和さんの教え子でつくった「良和奏友会」を母体に結成。昨年創設30周年を迎えた。
今年のテーマは「多様性あふれる地域をめざして」。美熊野福祉会の障害者支援施設や、那智勝浦町の住宅型有料老人ホーム「Lino」の利用者を招待した。
ファンファーレから始まり、「ナイルの守り」「ボギー大佐」など勝吹おなじみの曲から、大河ドラマのテーマと「剣の舞」のテンポある演奏で会場を盛り上げた。100年ぶりに発見された新種「クマノザクラ」にちなんで「さくらのうた」、熊野古道が題材の「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)~熊野古道の幻想~」といった地元に絡めた曲で前半を締めくくった。
後半は手話を使って「翼をください」を来場者と歌い、寸劇仕立ての「AIが選んだ昭和アニメテーマソング・ベスト5」などで、会場が一体になって楽しんだ。
感謝の気持ちをを伝える「ありがとう」のパネルを持った団員が登場し、最後は「また会う日まで」の演奏で再会を誓った。
大江団長は「勝吹のお客さんは欲しいところで拍手をくれたり、笑ってくれたりと本当に特別な存在。今後も高望みせず、できる無理はして、みんなで楽しんでいきたい」と語った。
北野美知子さん(82)は「素晴らしかった。毎年楽しみで、力をもらえる。元気に過ごして、来年も絶対聞きにくる」と笑顔を見せていた。
(2025年11月27日付紙面より)