那智勝浦町水産振興会(片谷匡会長)は今月から、海藻を食べて藻場造成の妨げとなっている「食害魚」の駆除に対して補助金を交付する「磯焼け対策食害魚駆除事業」を実施している。宇久井、那智、勝浦の3
漁業協同組合が対象で、5魚種①ブダイ(イガミ)②アイゴ(アイノバリ・バリ)③ニザダイ(サンノジ)④タカノハダイ⑤イスズミ(イズスミ)―の駆除に対して、1㌔当たり500円を報償費として支払う。町の見込みでは、3事業所合わせて約2・2㌧の駆除を見込んでいるという。
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■藻場育成の現状と課題
熊野地方沿岸では、磯枯れにより海藻の衰退や消失が進み、海藻を餌とするアワビやトコブシ、サザエ、海藻を隠れ場とするイセエビなどの水揚げが減少、漁業へ打撃を与えているこの問題に対して町が行っている藻場造成事業では、宇久井漁協同組合(向井誠士代表理事組合長)の協力を受け、築磯(人工的な岩礁造成)や和歌山県水産試験場が開発した高水温適性株のカジメ類による核藻場造成に取り組んでいる。
藻場の育成に一定の効果が見られる一方、食害魚の被害が大きな課題となっている。そこで、今回の「磯焼け対策食害魚駆除事業」を通じて、漁業者の食害魚駆除に対して支援することで、藻場造成の促進や漁業者の藻場造成への理解と意識向上を図るだけでなく、食害魚を食材としての活用方法の検討を行うことを目指している。
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■おいしく調理・販売
今年3月にオープンした、弁当・総菜の無人販売所「しまだ」(同町宇久井)では、今月から町から提供された食害魚を調理・販売をスタートさせた。
各事業所が駆除した食害魚の大半は、町が買い取って処分する。町が一部鮮度の良いものは魚食の普及などに有効活用できないかと考えていたところ、宇久井漁協から「しまだ」を紹介され、今回の取り組みが始まった。
提供された食害魚は、煮付けや干物、カルパッチョ、フライ、ホイル焼きなどでおいしく調理し、店の棚に並ぶ。
島田秀樹店主によると、海藻を食べる魚たちなので、内臓に臭いがつきやすく、下処理を工夫しているという。「この地域ではブダイはポピュラー。田辺ではアイゴは干物で人気だし、イスズミは串本で人気。〝外道〟と呼ばれることもある魚たちだが、地域によってはおいしく食べられている。今後は町と協力してメニュー開発にも取り組んでいく」と話している。
13日、ブダイの煮付け、ニザダイの刺し身、タカノハダイの塩焼きを試食した鳥羽真司副町長は「臭みを全く感じない。ぜひ多くの人に食べてもらいたい」と太鼓判。役場農林水産課は「今後は漁協の紹介を経て、町内外の飲食店や学校給食での活用も検討していきたい。〝食べて藻場を守る〟という意識を広げていければ」と話している。
(2026年10月17日付紙面より)