移転工事のため休館していた、新宮市立佐藤春夫記念館(楠本秀一館長)のリニューアルオープンが10月7日(水)の午後1時に迫っている。12日(月・祝)まで無料開放を予定するほか、新宮市初公開の春夫肖像画や、別資料館が所蔵する春夫の貴重映像などの特別展示を予定している。
春夫館はもともと、春夫が1927(昭和2)年に東京都に建てた邸宅。春夫の死後、故郷である新宮市の熊野速玉大社境内に移築し、89(平成元)年に記念館として開館。しかし老朽化が進み、また同時代の旧西村家住宅や旧チャップマン邸の近くで歴史情緒を演出し相互の来館促進につなげようと、24年7月から今年の2月まで伊佐田町への移転工事を行っていた。
外観、内観ともに「歴史的な趣や雰囲気の重要視」を軸とした。法改正や建築材料の変化などがあり制約も多かったという。
遺族の意向も大切にし、木造の居住部分の間取りは極力変えず計画した。収蔵庫や展示室は鉄筋コンクリート造で増築して約1・5倍とした。
屋外の外構アーチは、より東京時代に近い幅広とした。1階はバリアフリーとし、みんなのトイレも増設した。廊下のタイルはより東京時代に近い、六角デザインに変更。応接間には、写真資料で確認されていたキャビネットを遺族から寄贈を受けて設置した。東京時代にあった茶室は扉のみを展示した。
2階では、ホールにモニターを置き、解説動画を視聴可能とした。八角塔(書斎)には、写真で存在が確認されていた壁の埋め込み棚を再現した。展示室は速玉時代と同じく、年譜や実物資料などを展示する予定としている。
楠本館長は「近くにぼっつり山やお城山があり、春夫の小説であるわんぱく時代の舞台に帰ってきたように感じている。市民に愛され、研究者の期待に応えられる施設を目指したい」と話した。
駐車場は5区画。総事業費は土地取得費を含み、約3・7億円。同館の敷地面積は1033・58平方㍍、建築面積は214・31平方㍍、延床面積は296・38平方㍍。
なお新宮市は同館と旧西村家住宅、市立歴史民俗資料館の3施設に入れてお得な共通券を準備中で、無料期間が終った10月14日(水)からの販売を目指している。
(2026年9月19日付紙面より)