命の尊さや重さを伝える「生命のメッセージ展」が16日、和歌山県立新翔高校(宮井貴浩校長、227人)であった。全学年が参加、交通死亡事故の犠牲者の等身大パネル見学や遺族の講演を通し、命の大切さを見つめ直した。
同展は、交通死亡事故などの犠牲者の等身大パネルに生前の写真や遺品の靴、家族のメッセージなどを添えて展示するもの。啓発などを目的として全国各地で、警察庁や自治体、団体後援の下で開催されている。
新翔高での開催は3年ぶりとなる。講演は紀南交通事故被害者の会の中岡貴恵代表と、新宮警察署警務課の野上達也さんが行った。
中岡代表は、7年前に母を亡くしたことを説明。「母を誘いハンドルを握り、実家まであと2、3分の場所だった。誘わなかったらと後悔が残った。病院に運んだが息を引き取った。心臓が止まったことが信じられなかった」と当時の心境を語った。
突然の出来事に苦悩したことを強調。「繰り返してほしくない。みんな誰かの大切な命。自分一人のものではないことを忘れないでほしい。失った命は取り戻せないが、同じ悲しみを繰り返さないようにすることはできる」と力を込めた。
「皆さんも将来は車を運転すると思うが、運転を誤ると皆さんが命を奪う。責任の重い乗り物と心に置いて。ルールを守り人を思いやることが、誰かを救うことにつながる。自分の命も周りの命も大切に」と呼びかけた。
野上さんは、被害者支援について講演した。交流サイト(SNS)での誹謗中傷や、仲間内での金銭トラブル、いじめなどを例に挙げ「早めに相談を。一人で抱え込まないのが、自分を守る一番の方法。家族や先生、警察でもいいので相談を」と伝えた。
2年生の楠本悠真さんは「他人の命もすごく大切だと思ったし、自分の命も大切にしたいと思った」と話した。
(2025年12月18日付紙面より)