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間伐や玉切り作業を見学=10月27日、那智勝浦町の那智高原公園近く
那智の滝源流域の保全学ぼう
松本林業が児童に林業体験
那智勝浦町

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土砂災害
宇久井小
色川小
災害
 那智勝浦町の世界遺産・那智の滝の源流域に山林を所有する松本林業株式会社東牟婁事業所(新宅一真所長)が10月27日、町立宇久井小学校の児童に林業体験を実施した。5年生29人が那智高原近くの山林内でヒノキの伐倒や皮むき、木製コースター作りを体験し、森林の役割や保全の重要性について学んだ。

 松本林業は2022年、町と那智の滝源流域保全に関する協定を締結。保全事業として、支障木の伐採と横配置による土壌流失防止、谷の清掃、那智原始林の在来種の植樹、熊野古道の保全管理などに取り組んでいる。こうした活動を町の子どもたちに知ってもらおうと教室を企画し、来年度の本格始動に向け、今年は宇久井小色川小中学校の児童・生徒を招いて実施している。

 児童は実際に山に入り、迫力ある間伐作業を体験。実際にノコギリを手に、木を切り倒した。午後からは、丸太をそりに乗せて運ぶ木馬引きなどにも取り組み、1日かけて森林を満喫。森に生育するキノコや昆虫たちに関心を寄せる姿もあった。

 松本林業職員は、森林が二酸化炭素の吸収や生物のすみかとなるなど、多様な役割を果たしているとし「山は雨水をきれいにするだけではなく、水を蓄える『水源涵養(かんよう)機能』も持っている。しかし、人工林は手入れをしないとその機能が発揮されず、土砂災害などの危険性が増してしまう」と林業の重要性を解説。「小さなものから大きなものまで、全ての生物が森林の恩恵を受けている。自然を未来に残していかなければ」と呼びかけた。

 橋爪蒼太さん(10)は「山を登るのは、滑って大変だったけれど、間伐は迫力があって楽しかった」。西咲梛江さん(11)は「今はチェーンソーがあるけれど、昔の人は伐採に時間がかかって大変。非日常を味わえたし、自然は人間や動物の命を支える大切なものだと学んだ」と語る。

 新宅所長は「子どもたちも楽しく学んでくれたと思う。来年以降、町内の小中学校に輪を広げていきたい。12月には、国内外の観光客向けに、紀州の林業を学ぶ体験ツアーも開始する予定」と話していた。

(2025年11月1日付紙面より)


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今年の実を搾汁機へ通し入れる従業員=10月31日、古座川町平井
地域 今年の実の搾汁始める
70~80㌧の収量見込む
古座川ゆず平井の里
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農業協同組合
農事組合
 古座川町平井にある農事組合法人古座川ゆず平井の里(倉岡由美代表理事、組合員85人)が10月31日、ユズの搾汁を始めた。今年は同法人全体で70~80㌧の収量を見込み、11月末を目安にして荷受けするという。

 1965年ごろから植栽されるようになった町産ユズ。後に平井地内で結実良好なユズを選抜し、その苗木(古座川2号)が広まり町を代表する農作物の一つとなっている。

 今年は約50戸が出荷する見込みで、同法人は色づきが1週間ほど遅れているが実の大きさは例年以上、実を揺する強風に見舞われていないので傷や傷みは少ないと予想している。三分着色以上の実を荷受けするとし、この日は約3㌧の実を洗浄して乾かし搾汁機へ通し入れて搾った。

 収量全体の約5%は冬至向けの生果として紀ノ川農業協同組合へ出荷し、残りを搾るなどし32種類の加工品の材料とする。倉岡代表理事(57)は「組合員の高齢化が進んでいるが、その多くが諦めず生産を続けている。生きがいとして育てたユズをめでながら味わっていただければ」と思いを語った。

(2025年11月1日付紙面より)

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揮毫色紙の仕上げを行う九鬼家隆宮司=10月31日、熊野本宮大社
地域 迎春準備が大詰め迎える
えと「丙午」色紙を制作
熊野本宮大社
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熊野本宮大社
春の例大祭
例大祭
大祭
 熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で迎春準備として、来年のえと「丙午(ひのえうま)」の色紙の制作作業が大詰めを迎えている。10月31日は九鬼宮司が馬の黒目を描き、平穏や繁栄を祈る「平安富貴(へいあんふうき)」の文字を揮毫(きごう)して仕上げた。色紙は揮毫(手描き)1500枚、印刷2000枚、ミニ2000枚を用意する。

 揮毫色紙は、歩を進めようとする赤いたてがみの馬や、同大社の春の大祭にちなんだサクラの花などが描かれている。社頭で新年初祈とう(5000円から)を申し込んだ参拝者に、先着順で授与する。制作は9月上旬から始めており、2、3日中に完成の予定という。

 印刷色紙は、青いたてがみの馬や大斎原(おおゆのはら)の大鳥居などが描かれ、「道開き」の文字が添えられている。ミニ色紙は、図柄は揮毫色紙と同じで、文字が「開運」となる。ともに12月1日(月)から授与所で、2000円と1000円で販売する。

 印刷色紙・ミニ色紙は送料別途で郵送も受け付ける。問い合わせは同大社(電話0735・42・0009)まで。3種類全ての色紙において裏面に切り込み加工を施し、自立させて飾ることも可能となっている。

 九鬼宮司は、揮毫色紙の赤いたてがみの馬は「熱い気持ちで諦めず、目標に至るまで着実に歩む年に」との思いで図案化。印刷色紙の青いたてがみの馬は「世界が平和平穏で空も青く、爽やかな一年に」との思いを込めた。「平安富貴」の平安も平和への願いを表した。

 「熊野はよみがえり、再生の場所。来年に向かい神仏の加護をもらい、平穏と弥栄(いやさか)を。素晴らしい一年を目指し、着実に歩む年であってほしい」などと語った。

(2025年11月1日付紙面より)



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