那智勝浦観光機構(NACKT)は25日、那智勝浦町体育文化会館で町民説明会を開催した。41人の町民が参加し、観光機構の概要や観光地域づくり法人(DMO)の詳細、活動内容などの説明を受けた。
昭和30年に設置された町観光協会が今年7月31日に解散となり、今年4月に組織された同機構が観光振興と町づくりのかじ取りを担う形となった。
これまで同機構は▽公式会員制交流サイト(SNS)で町の魅力を発信▽オンラインで町の魅力を発信し、新型コロナウイルス終息後には町に足を運んでもらうきっかけづくりを行うオンラインツアー開催▽町が行う新型コロナ関連緊急経済対策事業の一環である「町民限定プレミアム宿泊・お食事券」の販売▽バス1台につき10人以上を同町に誘客した旅行会社に助成金を交付する事業―などを実施している。
同機構理事長の堀順一郎那智勝浦町長は「町にとって観光は主力産業。今後は時代に合わせたマーケティングや観光戦略を行い、地域の活性化につなげていきたい」とあいさつ。
大阪観光大学観光学部の小野田金司教授が「日本の観光政策の方向性としてDMOについて」をテーマに講演。続いて、堀町長が串本町田原に建設中のロケット基地「スペースポート紀伊」の進捗状況を報告した。旧浦神小学校を見学場とする計画などを説明し、「町にとって追い風となる事業」と話した。
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村井弘和事務局長は同機構の組織について、交通、宿泊、観光資源・体験、物販・特産品、飲食、文化財・歴史、施設・環境整備などの7部会があることを説明し、メンバーでマーケティング担当の堀千寿子さん(専属)、プロモーション担当の西村和薫さん(専属)、観光資源の磨き上げ責任者、齊藤滋さん(業務委託)の3人を紹介した。
村井事務局長は「基本方針、戦略を立てた上で運営を行い、従来のイベントなども分析し見直しを進めていきたい」と伝え、「『観光で稼げる町』にすることによって雇用を生み出す」「町の定住人口・交流人口を増やす」「長期滞在型観光地づくりを目指す」を基本方針に掲げていると話した。
参加者からは「地元にあるものを活用してほしい。古いものを大事にしてほしい」「地元のスタッフの育成や住民を巻き込んだ形で事業を進めていくべきでは」などの質問が上がった。
説明会は25日午後7時と、翌26日午後の計3回実施される。
(2020年8月26日付紙面より)
今年も地域の協力を得て (神内小 )
紀宝町立神内小学校(道中朋孝校長)の4~6年生30人が25日、学校近くの田んぼで稲刈り作業に取り組んだ。
地域をより深く学ぶとともに、食料問題や利水の問題など農業について考えることを目的に9年前から実施。「神内生き活き協議会」(矢熊敏男会長)が協力した。田植えは例年5月に体験するが、今年は新型コロナウイルスの影響で休校だったため会員が5月5日に行った。
この日は同協議会の猿口芳志さんが稲の刈り方をアドバイスし、川原田(かわらだ)規泰区長が「農業体験を通してお米を作っている人へ感謝の気持ちを養ってほしい」と呼び掛けた。
児童たちは鎌を持って田んぼに入り、黄金色に育った稲を鎌で丁寧に刈り取り、会員の手を借りながら昨年を上回る約300㌔を収穫した。
田尾心之輔君(5年)は「暑くて刈るのが大変だった」と話し、児童たちは大粒の汗を流して作業した後、水分補給をして体験を終えた。
毎年、収穫した新米は「米作り感謝の会」で同協議会の会員、見守りサポーターにおにぎりを振る舞っているが、今年はこれから検討するという。
(2020年8月26日付紙面より)
那智山でオンラインツアー (那智勝浦町 )
南紀熊野ジオパークガイドの会(上野一夫会長)は22日、オンラインツアー「世界遺産+ジオで二度おいしい那智山」を開催。県内外から11人が参加し、ユネスコ世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部で、同パークのジオサイトにも登録されている那智勝浦町那智山の「大門坂」と「那智の滝」を訪ねた。
新型コロナウイルス感染症の影響で遠くまで旅行できない昨今、参加型の旅番組を通じて旅行気分を味わってもらおうと企画した。
ツアーはビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使用。ジオパークガイドの橋口雅美さん、平野皓大さん、山本妙子さん、平松美樹さんの4人が、現地中継やカメラ、スタジオMC、機材調整などを担当した。
中継ではガイドが現地を歩きながら、大門坂で見られる生痕化石や、熊野酸性火成岩類の流紋岩と熊野層群の境界にある那智の滝の成り立ち、滝信仰や県指定無形民俗文化財である那智の火祭りについても解説した。参加者が映像に飽きないよう、スタジオでは「熊野那智参詣曼荼羅(まんだら)」の絵解きも行われた。
現地中継を担当した橋口さんは「無事に1回目を終えられてほっとしています。第1回は電波環境が安定した那智山を選んだが、参加者からはフェニックス褶曲(しゅうきょく)や海側からの橋杭岩が見たいなどの意見があった。オンライン特有の難しさもあるが、要望に応えつつ、今後の観光業の可能性を広げたい」と話していた。
9月5日(土)午後1時30分~2時50分にも同じ内容のツアーがあり、2日(水)午後5時まで申し込みを受け付けている。参加費は2200円で、定員はA席(音声対話あり)10人、B席(チャットのみ)40人。申し込みはウェブサイト(https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01p7z61157czc.html)で受け付ける。問い合わせは同会事務局(南紀熊野ジオパークセンター・電話0735・67・7730)まで。
(2020年8月26日付紙面より)
コンビニ店員に感謝状 (新宮警察署 )
新宮警察署(小畑博昭署長)は24日、特殊詐欺被害の未然防止に貢献したとして、ファミリーマート勝浦下里店店員の太田有美さんに感謝状を贈った。
太田さんは7月30日、同店に来店した高齢男性客が6万5千円分の電子マネーを購入しようとしていたことに不審を抱き、男性客に使用目的などを確認。だまされている可能性が高いと感じ、同店オーナーに相談した後、男性客に警察に通報するよう促した。
男性客は帰宅後間もなく同署に電話相談。応対した警察官が確認したところ、「パソコンのウイルス駆除を名目としたガイド料金の不正請求による詐欺」によりだまされ、電子マネーを購入し、その番号を被疑者に知らせようとしていたことが発覚。太田さんの機転を利かせた行動が、特殊詐欺被害の未然防止につながった。
太田さんは、店舗では普段から特殊詐欺防止に関する指導があったと説明。「こういったことは初めて。(特殊詐欺について)話は聞いていたが身近に感じることは今までなかった」と驚きの表情を浮かべながらも「これからも困っているお年寄りを見掛けたら積極的に声を掛けて被害の未然防止に努めていきたい」。
小畑署長は「お客さんに声掛けするのが難しい時代において勇気を持って声を掛けていただいた。高齢者の貴重なお金を守っていただいたことをありがたく思います」と感謝。
管内においての今年の特殊詐欺被害件数はゼロだが電話相談はあるとし「人情味のある地域だからだまされてしまう人も今後いないとも限らない。特殊詐欺被害に関してさらなる周知を図っていきたい」と話していた。
県内の本年度の特殊詐欺認知件数は20件で被害額は6606万9720円(6月末現在)。同署では身に覚えのない不審なはがきや封書、メールなどが届いた場合、家族や警察に相談するよう呼び掛けている。
(2020年8月26日付紙面より)
奉仕業者に感謝状も (新宮市の王子神社 )
新宮市の王子神社(西俊行宮司)で17日、夏の例祭が営まれた。村上圭総代会代表をはじめ関係者約20人が参列。秋を前に五穀豊穣(ほうじょう)や収穫の無事などを祈願した。式典前には奉告祭も執り行われ、同社社務所や境内周辺の石垣などを奉仕修復した3業者に感謝状が贈られた。
同社は、神武天皇の2人の兄である稲飯命(いないいのみこと)、三毛入野命(みけいりのみこと)を祭神とする。
神社のある下熊野地地区は、かつて農業が盛んな地域で当時から村の神社と親しまれ、毎年1月1日に元旦祭、2月17日に例大祭、そして8月17日に夏の例祭が営まれている。
西宮司の祝詞奏上の後、村上代表を先頭に参列者が玉串をささげて、五穀豊穣、豊年満作などを祈願。引き続き、隣接する正一位玉廣稲荷大明神、二葉稲荷大明神の社でも同様の神事が営まれた。
村上代表は、今年の夏の例祭は新型コロナウイルス感染防止のためマスク着用のうえ、できるだけ間隔を空けて椅子を並べて斎行するに至ったと経緯を話し「秋の穫り入れを前にして五穀豊穣、豊年満作、地域の皆さまの安全・安泰、そしてコロナ禍が一日でも早く終息するようしっかりと祈念いたしました」と話していた。
感謝状を受けたのは、ご神木根元のコンクリートや境内周囲の石垣の修復工事を奉仕した尾畑建設㈱(山下克代表取締役)、大正12年建立の石造り鳥居の傾斜や基礎の修復工事を行った㈲シンユー(太田芳信代表取締役)、おととしの台風で破損した社務所の屋根瓦の葺き替えや内壁・外壁の修理、入り口の木製柱などを修復した㈲汐﨑瓦製造所(汐﨑博昭代表取締役)の3業者。西宮司が感謝状と記念品を贈呈した。
(2020年8月19日付紙面より)
串本町役場新庁舎の建設
来年3月末に建物部分を仕上げる方向で建設が進んでいる串本町役場新庁舎―。着工から10カ月余りが過ぎ、いよいよ外観が見て取れる段階に達している。
新庁舎は同町サンゴ台にあるくしもと町立病院奥の造成地内に用地(約1万3339平方㍍)を得て建設中。耐震性を確保するため岩盤に達するまで杭を打ち込み、その上に鉄筋コンクリート造の地下部を載せさらにプレキャストプレストレストコンクリート造の地上部(2階建て、延べ床面積5442平方㍍)を載せる構造(種別はPCaPC造一部RC造)で完成を目指している。
駐車場など付帯する外構整備も含めた総事業費は約33億円。うち9割を緊急防災・減災事業債と合併特例事業債(30年償還、交付税措置により同町の実質負担額は約10億円となる見込み)、残りを国庫補助金や庁舎建設準備基金、ふるさと応援寄付金や一般財源で充当する。
プレキャストは工場製造という意味で、プレストレストコンクリートは加重耐性を高めたコンクリートの一種。鉄骨風の構造体にプレキャストプレストレストコンクリートの構造材を組み合わせる工法となるため現在、骨組みのような外観をのぞかせている。
役場総務課によると、新型コロナウイルスの影響を若干感じるものの現状で来年3月末の建物完成という方向性に変わりはないという。完成以降は庁内のネットワーク環境や段階的な備品移動が必要で、その段取りは現在検討中。町民の日常的な利用に極力負担をかけないよう円滑に移転を進めたいとしている。
(2020年8月19日付紙面より)
受け入れは最短で令和5年秋予定 (紀南環境衛生施設事務組合定例会議 )
紀南環境衛生施設事務組合(管理者・田岡実千年新宮市長)は17日、新宮市福祉センターで定例会議(議長・松本光生新宮市議会議員)を開催した。事務局から出納検査の結果などについて報告があったほか、歳入歳出決算の認定について審議、承認した。
同組合は和歌山県新宮市、田辺市、太地町、北山村、三重県紀宝町、御浜町の2市3町1村で構成し、南清園と火葬場(清浄苑)を運営する。組合議員は各市町村議会議員から選出の15人(新宮5、その他各2)で組織している。
今年3月に那智勝浦町からの組合加入の申し出があったことを受け、4月30日に開かれた同組合議会全員協議会において協議がなされた。
同町の火葬場は1983(昭和58)年に竣工(しゅんこう)。36年を経過したことを受け令和元年度に15年延命する工事(工事費約4000万円、令和4年度まで)を計画したが、延命化後の新築建設費が約5億円かかる見込みだった。
そういった状況を鑑み、同町は住民サービスの向上や負担軽減を図ることを目的に、効率的かつ効果的な運用を行っている組合に加入の申し出をすることを決定した。
同町加入により、稼働率が36%(平成30年度実績)から48%となることなどから、清浄苑では火葬炉を1炉増設し、動物炉1炉も改築が必要となる。同町の火葬を受け入れる(管内扱いとする)のは増改築終了後で、最短で令和5年秋頃になる予定。火葬炉建築事業費はコンサル委託業務一式、火葬炉工事費、施設整備費など合わせて2億7600万円を見込んでいる。
現在は和歌山、三重の両県、総務大臣と規約変更の事前協議を済ませており、同町および各市町村議会で規約変更の議決がされた後、議決を受け各市町村長連名で総務大臣などに規約変更許可申請を提出する予定。
全員協議会において管理者の田岡市長は「さまざまな事務の広域化や連携を深める上で今般、那智勝浦町の加入は組合構成市町村にとっては大きなプラスとなり歓迎すべきこと」を理解を求めていた。
(2020年8月19日付紙面より)
神倉小にミストシャワー (新宮市 )
新宮市内の公立小中学校と県立高校で17日、夏休みが明け、授業が再開された。新型コロナウイルス感染拡大による夏季休業短縮の影響もあり、酷暑の中で教育活動を行わなければならない今夏、各校には感染症対策と熱中症対策の両立が求められている。
そんな中、神倉小学校(藪中秀樹校長、児童436人)では夏休み中に設置したミストシャワーのお披露目があった。子どもたちに楽しみながら熱中症対策をしてもらうことが目的だ。
設置したのは校舎1階の職員室横のウッドデッキで、午前中は日陰となるため、体育の授業中の休憩などに使用する予定。
休み時間中にウッドデッキに遊びに来た児童たちは、「涼しい」「シャワーだ」と大喜び。ミストに手を伸ばし、髪や手をぬらして涼んでいた。
同校によれば、8月中はグラウンドや体育館での体育を控えるよう検討している。その他、授業中に水分補給の時間を設け、暑い日には休み時間中に外遊びをしないよう呼び掛けるなどの工夫をしているという。
(2020年8月19日付紙面より)
日米姉妹都市間ベルリングプロジェクト (戦後75年 )
太平洋戦争終結から75年―。人類史上初の原子爆弾が広島と長崎に投下された6日と9日、全米国際姉妹都市協会(SCI)は「日米姉妹都市間ベルリングプロジェクト」を実施した。9日、新宮市佐野の南珠寺では市姉妹都市のカリフォルニア州サンタクルーズ市(サ市)と中継をつなぎ、参加した市姉妹都市親善協会員や市職員、同寺役員や約30人が平和への願いを込めてベルを鳴らした。
同プロジェクトは、SCIが戦争終結75年の節目を迎えるに際し、平和への思いを一つに日米姉妹都市間で同じ時間にベルを鳴らすというもの。
戦後に広まった姉妹都市の友好関係を重要視する中、新型コロナウイルスの世界的な流行の影響で日米間交流活動が制限されている現状を鑑み発案。悲惨な戦争を繰り返さないよう、平和を願って心を合わせ、相互尊重や理解、協力を通じて平和を推進していくという象徴的な意義が込められている。日米間には現在、455の姉妹都市が存在している。
新宮市の参加は、プロジェクトの実施に当たり真っ先に参加を表明したサ市の呼び掛けによるもの。この日、サ市のドナ・メイヤーズ副市長は中継で「日米間の長きにわたる平和な関係の証しとして、1975年よりの友好都市である新宮との素晴らしい異文化交流を享受してきた関係が今、ここにある」。2020年8月5~11日の週を「サ市と新宮市の平和の週」とするといったジャスティン・カンミンズ市長の宣言文を代読した。
宣言を受け、速水盛康教育長は「素晴らしいメッセージを受け心が打たれた。サ市の皆さんと平和の祈りを共にし、心を響かせながらベルの音(ね)で触れ合える機会をうれしく思う」と述べ、「両市の友好がさらに発展し、絆を深めていけることを祈ります」と伝えた。
午前11時2分。参加者らは長崎への原爆投下時刻を知らせるサイレンに合わせて黙とう。続いて、投下から爆弾がさく裂するまでの時間に準じ、47秒間ベルを鳴らし続けた。また、「子どもたちの代まで日本の平和が続くように」と願いを込め、同寺の伊藤秀幸住職が娘の怜美ちゃん(11カ月)を腕に抱きベルに合わせて鐘をついた。
同寺役員らは中継先のサ市に対し「戦争の犠牲者の冥福をお祈りするとともに原爆の後遺症と戦っている方々のことを考えた。世界の平和が長く続きますようお祈りします」。
同親善協会の岩澤卓副会長は「実際にまたお会いできる日を楽しみしています」と伝えた。
(2020年8月12日付紙面より)
南葵音楽文庫アカデミー (新宮市 )
和歌山県教育委員会と新宮市教育委員会は8日、市役所別館で「南葵(なんき)音楽文庫アカデミー」を開いた。慶應義塾大学名誉教授の美山良夫さんと日本近代音楽史研究家の林淑姫(りん・しゅくき)さんが講師を務め、36人が聴講した。
同文庫は、徳川頼倫(よりみち)侯爵が設立した私設の図書館である南葵文庫の音楽部門に端を発しており、その息子である徳川頼貞が継承するとともに、音楽および音楽学の専門図書館に向け拡充。1977年以降、読売日本交響楽団が所蔵している。和歌山県との委託契約により2017年に紀州徳川家ゆかりの地である同県で一般公開のはこびとなった。
同アカデミーは、文庫が所蔵する資料およびコレクションの基礎を築いた頼貞を中心に、定期講座やミニレクチャーなどを通じて内容や魅力を紹介する目的で実施している。この日は「出前講座」として開催された。
美山さんは「南葵音楽文庫に宿る『魂』」を題目に講話した。紀州徳川家の系譜をたどり、江戸幕府8代将軍・吉宗は、次男である田安徳川家の宗武に文化的側面を任せ、学問・文芸・芸術に親しむことができる環境を整備。田安徳川家は代々、雅楽や能楽の資料を収集し、それらは国立国文学研究資料館に残されている。
紀州徳川家10代の治宝(はるとみ)も芸術への造詣が深く、治宝の雅楽の楽器コレクションは現在、国立歴史民俗博物館に保管されている。
美山さんは、第9代新宮藩主・水野忠央(ただなか)が刊行した「丹鶴叢書」についても触れ「同文庫が特別なのではなく、紀州徳川家やその家臣、また旧藩士らが協力して築き上げた和歌山県の文化山脈の一峰をなすもの」とまとめた。
林さんは「佐藤春夫と音楽」を題目に講話。春夫と音楽との関係性などについて考察した。
春夫の詩に付曲された音楽作品は、校歌や市歌など団体歌をはじめ約350曲が確認されている。春夫は唱歌体験について、「音楽的才能の絶無なわたくしは小学校で唱歌の場合にも、曲のおもしろさを感じるよりも歌はれる歌詞の方に興味を持ち、子供にはわかりにくいはずの歌詞の意味も、漠然とながらほぼ理解しておもしろがっていた」(「詩文半世紀」1963年)などと記している。
一方で作詞家の西條八十(1892~1970年)は「佐藤春夫は、小説家としても有名であるが、『殉情詩集』により、やや古風であるが純粋で気品高い抒情詩を示した。流麗とはいえない一種詰屈(きっくつ)した雅語体の詩風のなかに、何ともいえぬ洗練された音楽をひびかせる作家である」(「詩のつくり方」1947年)と述べている。
林さんは、早坂文雄が春夫の詩に曲を付けた「うぐひす」、芥川也寸志が曲を付けた「水彩風景」などを紹介し「春夫は東京オリンピックに向けて『オリンピック東京大賛歌』を作詞したが、開会を待たずして死去したため、開会式で歌を聞くことはかなわなかった」と話した。
(2020年8月12日付紙面より)
串本町議会議員補欠選挙
串本町議会議員補欠選挙が9日に執行され、別枠の通り当選者が決まった。同選挙へは定数3に対し4人が立候補。当日有権者数は1万3837人(男6436、女7401)、投票者数は6237人、投票率は45・07%で、投票率は平成29年4月執行の同議員一般選挙に比べ27・44㌽下回る結果となった。
トップ当選を目指して取り組んできた吉村聡一郎さん(51)=無所属・新人=とその陣営は、開票結果を受け当選と目標達成の両面で歓喜した。
祝いに駆け付けた田嶋勝正町長、佐藤武治県議会議員、結城力町議会議長から期待の言葉を受けた吉村さんは「この当選は支援者皆さまのおかげ。感謝という言葉しか浮かばない」と胸中を打ち明け、「今の田嶋町政を支え、さらに高みへ上げていきたい。ひいては私の夢を現実にするため、命を懸けて一生懸命まちのために働きたい」と宣言。事務員として支えためいの藤崎凜さんから花束を受け、乾杯や万歳で喜びを分かち合った。
1年ほど前から同町議会の本会議を傍聴するなどしてきた吉村さんが思い描く夢は、「死ぬ時まで誇りを持ち笑顔でいられる串本の実現」。今後に向け「今の町政に対して僕自身は不安には思っていないので、当局の決定をさらに一歩、あるいは半歩でも上のものにできるよう求めていきたい」と意気込んだ。
今回の当選者は前任者の残任期間を受けるため、任期は同町選挙管理委員会が当選証書を付与した翌10日から来年4月30日(金)までの約8カ月半となる。
(2020年8月12日付紙面より)
那智勝浦町消防職員が感染
和歌山県は8~10日の3日間で新たに9人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。9日に陽性が確認された20代男性のうち1人は那智勝浦町消防署職員で、新宮保健所管内では初めて。県内全ての保健所管内で感染者が確認された。県内の累計感染者数は計182人。
県と同町によると、20代の町消防署職員は7日(8日県発表)に感染が発覚した田辺消防署上富田分署勤務の20代男性の濃厚接触者。4日に和歌山市内において当該職員を含む6人で会食などをし、岩出保健所管内の飲食した友人宅に3人で宿泊。5日の夕方に岩出保健所管内において5人(前日の6人のうち)で飲食し、その後帰宅した。
当該職員の他に岩出保健所管内在住の20代消防隊員、20代女性3人の6人全員の感染が確認されている。全員、無症状を含め症状は安定している。
県によると、感染が確認された那智勝浦町消防署職員の濃厚接触者は家族3人、友人4人で現在検査中。
また、10日には、7月22日にクラスター(感染者集団)が発生した和歌山市の訪問介護施設の入浴介護サービスを利用し、30日に陽性が判明した80代男性が死亡。男性には基礎疾患があったという。県内の死者は4人となった。
(2020年8月12日付紙面より)
県高校軟式野球大会
各団体が遊泳客に啓発 (那智勝浦町 )
新宮警察署(小畑博昭署長)や那智勝浦町などさまざまな機関で構成される新宮警察署管内マリンレジャー事業安全対策協議会(会長=佐古成生・那智勝浦町観光企画課長)は3日、同町浜ノ宮の那智海水浴場(ブルービーチ那智)で水難事故防止啓発活動を実施した。参加した同署員や那智勝浦観光機構の職員らは遊泳客や観光客らに啓発物資を手渡し、水の事故への注意や協力を呼び掛けた。
啓発は例年、新宮市や太地町でも行われるが、今年は両市町とも新型コロナウイルスの影響で海開きしていないためブルービーチ那智のみとなった。
同署によると、管内の前年度水難事故件数は死者1人、負傷者1人の計4件だった。
佐古会長は「コロナ禍の中だが、海や川のレジャーを楽しむ方や、密を避けてのキャンプの需要は場所によって増えていると聞く。しかし、例年痛ましい水の事故が発生している。今日のような地道な啓発活動が事故の未然防止につながると思うので、よろしくお願いします」とあいさつした。
参加者は猛暑の中、遊泳客らに丁寧に声掛けを行い、「なくそう水の事故」と書かれたウエットティッシュや人工呼吸用のマウスシートを配布した。
啓発後、同署の森田哲平地域課長は「本格的なマリンシーズンを迎えた。全国的にも水の事故が発生し、亡くなられている方もいる。事故防止対策を徹底していただき、救命措置の重要性を理解していただき、この素晴らしい熊野の海を事故なく楽しんでいただけたら」と話した。
(2020年8月5日付紙面より)
4日連続過去最多を更新 (三重県 )
三重県内で3日、新たに20人の新型コロナウイルス感染が確認された。4日連続で過去最多を更新し、このうち9人が三重大学の学生で、県はクラスター(感染者集団)が発生したとみている。県内での感染確認は144例目となった。
都市部を中心に感染が急速に再拡大し、県内でも7月31日以降、連日2桁を超える新規感染者の発生が続くなど、予断を許さない状況にあることから、鈴木英敬知事は県独自の「緊急警戒宣言」を出した。
期間はお盆が終わる今月16日(日)までで、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき、感染対策が不十分な店舗がある県外地域への不要不急の往来を自粛することや、感染者が急増している地域に勤務している人に対し、勤務後の繁華街への訪問を自粛することを要請した。
検査体制として、県保健環境研究所にリアルタイムPCR機器1台を増設した。これまで通常1日2回80件実施してきた検査能力を120件に増強した。緊急時などは3回実施することで1日当たり最大180件の検査が可能となった。また、抗原検査(定量)機器を新たに導入する予定だという。
感染拡大期対応として、すでに209床の受け入れ体制を整備。今後のさらなる患者増加に備え、まん延期対応として358床での受け入れに向け、関係医療機関などに協力依頼を開始した。軽症者向け宿泊療養施設についても約100室の運用開始に向けて準備を進めている。
鈴木知事は「皆さまご自身、大切な家族や友人、同僚の『命と健康』を守るためにはウイルスを『持ち込まない』『広げない』ことが大切です。県民、事業者の皆さま、県外にお住まいの皆さまにおかれましては、本宣言の趣旨をご理解のうえ、感染防止対策徹底のご協力をお願いいたします」とコメントを出した。
(2020年8月5日付紙面より)
文化セで「平和の歴史展」 (串本町 )
串本町文化センター2階ホワイエで3日、パネル展「太平洋戦争終戦75年 串本町平和の歴史展」が始まった。期間は16日(日)まで。開場時間は午前9時~午後5時で、今回はソーシャルディスタンスを意識しながら随時鑑賞してほしいとしている。
この展示は、第五福竜丸建造の地平和の歴史展実行委員会(西野政和委員長)が終戦75年目の節目に戦争の愚かさと平和の尊さを語り継ぐきっかけとして実施する。当初はスタッフ常駐による解説や講演会なども含めた特別展「終戦75年平和展」を開く計画だったが、新型コロナウイルスの影響でパネル展示のみ行うことにした。
パネル数は30枚で、他に趣旨解説などの資料も展示。期間中に被爆75周年の節目も迎えることから特に核兵器による被ばくを組写真で伝え、併せて核兵器禁止条約批准の今を伝える内容となっている。
西野委員長は「現在の串本町ができて以降、第五福竜丸(第七事代丸)の建造(1947年)とその被ばく(54年)、そして終戦(45年)を振り返るため、それぞれ5年ごとの節目に合わせて実行委員会を立ち上げて紹介に努めてきた。今年は終戦から75周年。時間の経過とともに皆さんが戦争の悲惨さと平和の大切さを忘れないよう、これからも周年行事を続けていきたい」と話した。
今回見合わせた講演会などは、同ウイルスの状況を見つつ秋ごろに再度特別展を計画して行う方向で検討しているという。
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同実行委員会は14日(金)、串本町串本の植松区内にある施設跡「海軍地下無線送信所跡」の特別公開も実施する。
実施時間は午前10時と11時、午後1時、2時、3時の5回で、いずれも植松防災センター集合、当日受け付け、参加無料。密な状況を避けるため、各回10人程度とする点で協力してほしいとしている。
問い合わせは同実行委員会事務局(電話0735・62・0006、同町文化センター・同町教育委員会教育課社会教育グループ内)まで。
(2020年8月5日付紙面より)
新宮市観光フォトコンテスト
新宮市観光フォトコンテストの審査会が4日、市役所別館であった。8人の審査員が105人から寄せられた力作218点を厳正に審査した。最優秀賞などの入賞者は今月下旬に発表。入選作品は市観光カレンダーやパンフレットなど、市のPRに使用する。
市観光カレンダー製作実行委員会が主催する事業で9回目。今回はテーマを「伝えたい、知ってほしい、新宮の魅力」とし、一般の部のほかに初めて中学生・高校生の部を設けた。一般の部には54人から165作品が、中・高校生の部には51人から53作品の応募があった。
田岡実千年市長、実行委員長の山本大輔・市観光協会事務局長、児嶋毅さん(審査委員長)、杉本光朗さん、垣本正道さん、堀幸義さん、西和美さん、市秘書課の廣井芳美・広報広聴係長が審査員を務め、植物や風景、祭り、熊野速玉大社や神倉神社など、市内の四季折々の情景を収めた力作の数々を審査。気に入った作品にシールを付けていった。
山本実行委員長は「コロナ禍で今年は作品が少ないのではと危惧していたが前回以上の応募があった。応募してくださった皆さまに心より感謝したい」。
田岡市長は「作品を使用した観光カレンダーは毎年好評。ふるさとを離れて暮らす方々にも気に入ってもらえていると聞いている。今年も皆さんの協力のもと、素晴らしい作品を選ぶことができたら」とあいさつした。
(2020年8月5日付紙面より)
第3回和歌山陸協記録会
植地さん、永野さんが優勝 (グラウンドゴルフ大会 )
元Vリーグユニチカ選手 (近大新宮高 )
第40回学童軟式野球大会 (マクドナルド・トーナメント )