熊野速玉大社で戦没者慰霊祭 (戦後75年 )
「堪え難きを堪え 忍び難きを忍び 以(もっ)て万世の為に太平を開かんと欲す」―。1945(昭和20)年8月15日、昭和天皇の玉音放送で日本国民にポツダム宣言受諾による終戦が告げられた。終戦記念日の15日、全国各地で戦没者慰霊祭が営まれた。新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)においても新型コロナウイルスの影響で規模を縮小しつつも境内の忠魂碑前で慰霊祭を斎行。市遺族会や神職ら8人が参列し、英霊に対し追悼の誠をささげるとともに平和への誓いを新たにした。
総務省によると、同市においては他の都市より遅かったものの、製材工場が密集していた海岸地帯を中心に終戦直前に集中的に砲弾などを受けた。また、44(昭和19)年ごろから勤労動員が始まり、多くの学生らが和歌山市や大阪府、兵庫県などへ動員された。
44年12月3日、三輪崎上空に米軍機が初めて侵入、焼夷(しょうい)弾を投下した。翌45年1月19日には大浜基地付近、広角方面が被爆し十余人が死傷。23日には焼夷弾により佐野、高田の森林六百余町歩(約600㌶)が焼失した。また、同年4月7日には午前と午後の2回にわたり空襲があり、大浜で十余人の死傷者、三輪崎国民学校で23人の負傷者が出ている。
以降も熊野地、野田、阿須賀などが焼夷弾や爆弾などの攻撃を受け、7月24日午前には西阿須賀町から丹鶴町にかけて250㌔爆弾数個が投下。当時、現在の新宮郵便局付近にあった県立新宮高等女学校では校舎全壊、死者50人、負傷者200人の被害を受けた。なお、市では59(昭和34)年11月10日に「世界連邦平和宣言都市」を採択。市民一致で世界の平和を誓っている。
市遺族会は慰霊のために沖縄県の紀乃国之塔などを訪問する予定だったが、新型コロナの影響で断念したという。上野宮司は、和歌山県神社庁では来年の2月に沖縄での慰霊祭を予定していると述べ「慰霊は戦争で亡くなった人への感謝を表す意味もある。日本を立派な国にしていくことが今を生きるわれわれの責任。その思いを胸に、一日一日を大事に生きていきたい」と思いを語った。
(2020年8月18日付紙面より)
第14回紀宝町花火大会
紀宝町の鵜殿港でお盆の15日、「第14回紀宝町花火大会」があった。例年、約700発の花火が帰省客らを楽しませているが、今年は新型コロナウイルス感染症対策として花火を中止し、初精霊供養と灯籠を焼く銀滝花火のみを執り行った。
町村合併前の「初盆供養・追善花火大会」を新町でも引き継ぎ、2006年から町の花火大会として実行委員会(実行委員長・西田健町長)が主催。毎年、メッセージ花火や追善早打ちなど趣向を凝らした花火が夜空を染め夏の風物詩に定着している。
今年はせきエチケット、マスクを外す際は他の人と距離を取るなど新型コロナと熱中症対策を講じて遺族のみが参列した。
はじめに西田町長が「猛暑に加えて新型コロナウイルス感染症が拡大して厳しい夏を迎えている。今年は花火を中止し、申し訳なく思う。精霊の皆さま方は今日の繁栄と幸せにご努力された。ふるさと紀宝町、ご遺族の安寧を見守りいただきたい」とあいさつした。
東正寺(とうしょうじ)の片野晴友住職らによる読経に続いて西田町長、遺族代表の上地暁斗さんが焼香。33柱の初盆家庭が供えた灯籠に手を合わせ故人の冥福を祈った。最後は銀滝花火が灯籠を焼いた。
□ □
紀宝町商工会青年部(玉置一貴部長)は「〝絆〟感謝運動」として、花火大会の運営に協力。約20人が午前6時から会場設営に汗を流し、灯籠設置や片付けなど終了後まで作業に携わった。
この運動は地域貢献を目的に、全国の商工会青年部が毎年6月にボランティア活動を実施しており、紀宝町の青年部は「ほたる灯ろう展」に協力してきた。
今年は、灯ろう展が中止になったため、毎年協力している花火大会の手伝いを感謝運動と位置付けた。玉置部長は「日頃の感謝の気持ちを込めて、ふるさと紀宝町への恩返しとして作業した。来年は新型コロナが終息して花火の打ち上げも行ってほしい」と話していた。
(2020年8月18日付紙面より)
勝浦・天満地区で盆行事 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の天満・勝浦地区で16日、初精霊送りがあった。天満地区では那智川河口の天満の浜から、勝浦区では勝浦漁港から初精霊船が出航した。
新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み、両地区共に安全を重視し、地区回覧板や訪問などで事前に地区住民に向け感染拡大対策への協力を求めた。
天満の浜では天満区(山本年昭区長)の合同初精霊送りがあり16柱を送った。参列は1世帯3人までで、参列者は2㍍の距離を保ち行事を見守った。
円心寺の住職が読経し、天満念仏講の人たちが御詠歌をささげた。天満交友会のメンバーが水中に入り、精霊船「極楽丸」を沖に出した。浜には送り火がたかれ、花火も打ち上がった。
勝浦地区では1955(昭和30)年に当時の青年会が、海を汚さない配慮から合同の行事を始めた。現在は勝浦初精霊送り実行委員会(大嶽勝司委員長)が中心となり、勝浦6区の区長や運営委員が協力。海翁禅寺、正念寺、法泉寺の住職が出仕し、地域挙げての盆行事となっている。
今年の初精霊は42柱だった。参列は世帯主と家族のみで、他府県在住者や子どもの参列を自粛した。
大嶽委員長が司会を務め、参列者一同で合唱した後、極楽船が港を出た。夕暮れの勝浦漁港に住職の読経が流れ、灯籠を乗せて進む船に遺族が静かに手を合わせた。
(2020年8月18日付紙面より)
公立小中学校、高校で始業式 (新宮市 )
新宮市の公立小中学校、県立高校で17日、始業式や学期交代式が開かれた。1~2週間の夏休みが明け、校舎に「おはようございます」と児童・生徒の元気なあいさつが響いた。
三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)では放送集会で式を実施。嶋田校長は「放送なので皆さんの顔を見ることはできませんが、日焼けした元気な顔がそろっていることでしょう。休みが終わってしんどいなと感じる人も、だんだんと学校のリズムで生活できるよう、心と体の調子を整えて」と話した。
児童会代表の高芝新君(6年)は「川でクロールの練習をして、上手に泳げるようになってうれしかった」、倉地奏汰君(6年)は「川でテナガエビを捕り、祖母に天ぷらにしてもらった」と思い出を紹介。2学期で頑張ってほしいこととして▽友達を大切にする▽友達と力を合わせる▽最後まで諦めない―の三つを呼び掛けた。
通学路では「さわやか朝の声かけ運動」があり、教職員や市教委、子ども見守り隊、地域住民らが登校する児童・生徒に笑顔であいさつをしていた。
(2020年8月18日付紙面より)
那智勝浦町体育協会
第40回マクドナルド・トーナメント