新スペースを地域住民が清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」敷地内で、旧太田中学校の講堂を改装した新たな交流スペース整備が進んでいる。3月下旬の使用開始に向けて大詰めとなった20日には、同校の卒業生を含む地域住民ら約40人が集い、清掃活動に汗を流した。
廃校になった校舎を地域の拠点として改修整備し、2016年にオープンした「太田の郷」。地域農産物のブランド化による生産・販売促進や、地域資源を生かした誘客などに取り組んできた。
講堂の改装は「わがらで創る郷の未来『太田の郷を地域資源をもっと有効に活用できるファクトリーと農産業支援拠点へ』」と題し、総務省の過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業の交付金を受けて実施した。
講堂内には、みそやしょうゆなどの発酵食商品を加工するフロアや、水洗トイレ、夏季の農業体験者向けのシャワールームなどを整備。農作物の付加価値向上や就農者支援、地域外の人々との交流拠点とすることで、ひいては農業の後継者育成や移住促進につなげる狙いもある。
水道、電気、ガス関連の工事以外は、大工仕事のスキルを持つ地元住民が尽力し、屋根や床の補修、ペンキ塗りなどをしてきた。古い木造校舎の雰囲気を残そうと、室内はあえて木のままにし、面影を残した改修は卒業生にも好評。擁壁周辺のコンクリート打ちを担当した東佐平さん(79)は「自分は第13期の卒業生。講堂では剣道や卓球、卒業式もした」と昔を懐かしむ。「スペースも広いので、いろんな教室や踊りの練習ができるのでは」と今後に期待を寄せた。
NPO「太田の郷」の石田一事務局長は「いま一度地域の皆で立ち上がり、この拠点に集って、地域を盛り上げる仕組みをつくっていきたい」と力を込める。今後は農繁期を過ぎた5月ごろに完成セレモニーを開催する予定だという。
(2024年2月22日付紙面より)
新翔高で防災スクール (新宮市 )
新宮市佐野の県立新翔高校(宮井貴浩校長)で16日、防災スクールがあった。自衛隊和歌山地方協力本部新宮地域事務所の山本健さんら8人が来校し、1年生98人らがロープワークや避難所などで役立つ技術のライフハック、救急法を教わった。
防災スクールは毎年、1年生を対象に実施。生徒たちの防災意識を高め、地域防災の担い手として社会貢献できる青少年の育成を目的に行われている。この日は佐野区の役員ら7人も参加した。
生徒らは3グループに分かれて各講習に臨んだ。ロープワークでは本結び、もやい結び、一重結びに挑戦。自衛隊員の説明に耳を傾け、悪戦苦闘しながらも、それぞれの結び方を習得した。ライフハックでは新聞紙を使用した簡易食器作りと、水だけで作れる非常食調理に励み、試食も行った。
救急法の講習時には応急の止血法や、毛布と角材で組んだ担架の作製を学んだ。
佐野区の坂本眞一郎さんは「日頃、区内でも防災について意見を交わすなどしていますが、有意義な時間を過ごせました。改めて知識を確認できた」。
生徒の德村奏磨さんは「難しいところもあったけど、勉強になった。いつ起きるか分からない災害。もしもの時には自分の命を守ると同時に、学んだことを生かして人を助けられるようになれれば」と話していた。
(2024年2月22日付紙面より)
東牟婁地域でウェブ会議
「東牟婁地域等における大規模氾濫減災協議」が19日、インターネットのウェブ上であった。東牟婁地域で河川がある市町村や、国・県の関係機関などが参加。流域治水に関する取り組み内容の報告を受け、共有した。
各機関の担当者より、減災の取り組み方針や▽古座川▽太田川▽那智川▽佐野川▽周参見川―の流域治水についての説明があった。
全体的な課題として「水害リスクの空白域が存在」「主要河川以外のハザードマップの作成、避難場所、避難経路の見直しが必要」「避難場所・避難経路の見直しに伴う避難誘導の案内看板・誘導灯などの検討が必要」などが告げられた。
古座川、太田川、那智川、佐野川では▽河川改修▽砂防えん堤整備▽森林整備・治山事業―などの実施報告があった。防災教育や災害情報の伝達、河川監視カメラの設置、避難情報の判断などの言及もあった。他地域での流域治水の優良事例の紹介も行われた。
(2024年2月22日付紙面より)
武者修行プログラムで (那智勝浦町 )
那智勝浦町のコミュニティ消防センターで19日、株式会社旅武者が提供する「地方創生イノベーション武者修行プログラム™」の最終発表会があった。全国から集まった大学生14人がホテル&カフェバー「WhyKumano」オーナーの後呂孝哉さんらにビジネスプランを発表し、二つが採用となった。
ビジネスのリアルを経験する短期集中・実践型プログラム。町内で実施するのは7回目で、テーマは「新しい旅のコンセプト『アルベルゴ・ディフーゾ』~海外観光客向けにゲストハウスの新規サービスを開発~」。
学生たちは2週間かけて観光客らへのインタビューや商品開発、販売・効果測定を展開。最終発表では4チームが▽勝浦マグロジャーキー▽ナッチーバー・おつまみなっちー▽『Bie―Kumano』物販事業プラン▽WhyKibori―を提案した。
採用となったチーム愛燃の「ナッチーバー・おつまみなっちー」は、朝食にぴったりで、おつまみアレンジもできるシリアルバー。「那智黒あめ」を参考に黒糖を使い、アクティブに動く熊野古道歩きの観光客の手軽な栄養・カロリー補給アイテムになる。植物由来の食材を使うことで、ビーガン(完全菜食主義者)の食需要にも応える。
チーム愛燃の大橋さくらさん(19)、浅尾寛太さん(22)、黒沢龍己さん(19)、嶋田心さん(19)は、11日の中間発表時点では具体的な案を出せずに0点評価と苦戦。「偶然持っていたナッツに那智黒あめを絡めてみたことがきっかけ。宿泊中のお客さんに提供すると好評で、改良が楽しかった」と振り返った。
チーム感覚派の「勝浦マグロジャーキー」は、捨てられがちなマグロのあらを活用したジャーキー。味と保存方法などの改善すべき点があるものの、今後も開発をやりきることを条件に採用した。
後呂さんは「正直、ビジネス経験のない学生に飲食提案は無理だろうと思っていたが、ここまでちゃんとしたプランを持ってくるのは予想外。若い人たちの底知れぬ力を感じた」と語り、2案について「実際にお客さんに提供するのが楽しみ」と話していた。
(2024年2月22日付紙面より)
和田禎佑杯サッカーU―9
てとて杯U―12サッカー大会
太地町は1月31日、初の音楽療法&手話イベントを町公民館で開催した。2022年に町で制定された「手話言語条例」(※)に基づき、町民の手話への理解と普及を促進しようと企画。町民約80人が参加し、手話を話せることの喜びを分かち合った。
イベントは、太地町立太地小学校の4年生15人による手話歌「愛の花」「大きな古時計」で開幕した。同町在住のろう者・畑見建三さん(75)に歌を伝えようと練習してきたという。
「手話や聞こえない人のことを知ろう!」と題した講演では、東牟婁・新宮聴覚障害者協会の辻山尚美さん(58)が手話通訳を交えて会場に語りかけた。「私たちが手話を話すことは当たり前に感じられるかもしれないが、かつて手話は言語として認められていなかった。『口話法』といって、聞こえない人も声を出し、相手の口の動きを読み取って会話するよう指導されていた。手話は私たちにとっての命。ようやく自由に手話で会話できるようになった」と話した。
畑見さんが「今では決して許されないことだが、手話を使っているのを教師に見つかり、手をたたかれたり、廊下に立たされたりしたことがある」と苦しいろう学校での経験を明かすと、会場に驚きが広がった。
美熊野福祉会の音楽隊による音楽療法では「春がきた」「春の小川」「ふるさと」などの楽曲を、会場が一体となって手話と声で歌った。
参加した70代女性は「手話を話してたたかれていた時代があったなんて知らず、自分がいかに無知だったか気付いた。手話言語条例のことは耳にしていたが、改めて手話を話せることを喜ぶ気持ちが伝わり、涙が出た」と話していた。
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※手話言語条例=手話とは、手話を必要とする人が知的で豊かな日常生活を営むために受け継いできた独自の言語体系を有する文化であるとの認識の下、手話による意思疎通を行う権利を尊重し、手話を必要とする人とそうでない人が互いに尊重し合いながら共生することを基本理念とする。
(2024年2月2日付紙面より)
須江崎沖合で漁中に捕獲 (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館(森美枝館長)で本州初記録となるドクウツボが展示飼育されている。熱帯~亜熱帯に生息するウツボで、分布北限記録ともなることから今年1月上旬には論文発表も実施。飼育担当の大西遼さん(26)は「仕入れて展示されることが多いウツボだが、記録個体はここ(=同館)だけ」と希少さをアピールし、来館時の鑑賞を呼びかけている。
ドクウツボはウツボ類の中では大型の種で、最大2㍍ほどの大きさになることから迫力重視で仕入れて展示飼育する施設も多いそう。生息域はサンゴ礁がある浅い海域で、国内では小笠原諸島、薩摩半島、大隅諸島、琉球列島の沖合で生息が記録されているが、本州の沖合では同館の個体が初記録になるという。
その体長は約90㌢で、成魚だが性別は不明。昨年11月26日、大島在住の福島勝司さんが須江崎の沖合(水深約30㍍)でウツボ籠漁をしている折に捕獲した。長い経験の中で見かけたことがなく、直感で「毒のあるウツボでは」と感じて同館へ連絡。対応した大西さんもドクウツボではと感じながら引き取り、ウツボ類を展示飼育している館内Aゾーンの掃除をするエビ水槽へ搬入した。
南方の魚種に詳しい鹿児島大学大学院の院生・是枝伶旺さんに同定を求め、ドクウツボだと確認。大西さんと是枝さんの連名で分布北限記録、本州初記録として今年1月上旬に論文誌「Nature of Kagoshima」において発表したという。
体の表面に独特の暗色斑模様を帯びえら穴が黒いなどの特徴で、串本の海にいる他のウツボと区別できる。毒は生物濃縮型のシガテラ毒で、食用すると中毒を起こす場合がある。経験のある漁師は取るべきウツボが分かっているので、誤って市場流通する状況はまずあり得ないという。
同水槽内では岩陰に潜んでいることが多いが、8種類十数匹いるウツボ類の1匹として良好になじんでいる。2014年にダイビング中の目撃情報が存在しているが、他に情報がないため同館の個体が流れ着いたのか串本の海で繁殖したのかは現状では判断できないとしている。
(2024年2月2日付紙面より)
共育ミニ集会に16人 (那智勝浦町 )
那智勝浦町教育委員会は1月30日、町福祉健康センターで共育ミニ集会の第2回講座を開催した。和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センターの教育研究アドバイザー・今西武さんを講師に、16人が改めて過去の災害を振り返り、防災を考える機会とした。
町教委は本年度より「『命』や『生き方』を考える教育の推進」を重点目標に追加。▽命▽防災▽交流サイト(SNS)―の三つについて、子ども・大人双方で考える時間・空間として集会を企画した。
今西さんは「人間は『心』が動かないと行動しない。だからこそ、行動心理学を基に、心が動き、実際に行動するための防災プログラムをつくってきた」と講話。報道写真を基に東日本大震災(2011年3月11日)の被災地や遺族らの姿を克明に捉えた「3・11メッセージ」を上映した。
「1月1日の能登半島地震が発生するまで、正直『また防災か…』と思っていた人もいるのでは。ご自身の足元を振り返りながら、自分のため、愛する人のために防災を」と呼びかけた。
同年に発生した紀伊半島大水害からも13年が経過する中、災害の記憶をどう子どもたちに伝えていくべきか葛藤する町内教育現場の映像も上映。町教委の草下博昭課長は「能登半島地震の被災地の状況を見るたび、町内小中学校で行われている防災の取り組みと重なる。今後も各校で頑張っていくので、見守ってほしい」と伝えた。
参加した海野実加さん(31)は「東日本大震災で親を亡くした子どもの姿にショックを受けた。1歳の子どもがいるので、何としてでも災害から生き延びなければと感じた」と話していた。
(2024年2月2日付紙面より)
表示灯株式会社が奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)の境内に1月26日、デジタル案内板が奉納された。日本語・英語で大社の由緒やお参りの作法などを伝え、観光客の利便性向上につなげるものだ。
表示灯株式会社から大社へ申し出があり、地域の27社から広告協賛を得て設置。案内板は宝物殿横にあり、境内の雰囲気に合うよう朱塗りになっている。清祓(きよめはら)い式の後に使用が開始された。
タッチパネル式モニターでは▽神道とは?▽境内案内▽ご祈祷(きとう)▽参拝方法▽授与品▽催事情報▽御由緒―の7項目を見ることができ、一部を除いて英語にも対応している。側面には日本の長さの単位である寸と尺の目盛りがあり、七五三などで参拝した人々の記念撮影にも使える工夫が施されている。絵馬型の協賛企業広告や周辺地図もある。
同社開発本部長の浅野正臣さんは「小さい子どもや外国人でも分かるよう、お参りやちょうずの作法はアニメーションになっている」。男成宮司は「神道についての解説もあり、神社の教化にもつながるのでは。世界遺産登録20周年の年でタイミングも合い、外国人の方々にも利用していただきたい」と期待を寄せていた。
(2024年2月2日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
第22回新宮ニューイヤーサッカー
那智勝浦町総体スポ少バレーボール大会