下里神社で迎春準備 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の下里神社(山本貞夫宮司)は28日、初詣や歳旦祭に向けた迎春準備を実施した。神社役員や総代ら7人が鳥居のしめ縄の作成や張り替え、のぼりの設置などに取り組んだ。
この日は新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながら、総代らが駐車場や境内を清掃。同神社の鳥居用に3反のサラシで長さ2㍍、直径6㌢のしめ縄や護国神社用の一回り小さいしめ縄などを作成した。
境内の樹齢400年と推定されるクスノキ用のわら製のしめ縄の準備が整うと協力して鳥居や拝殿など10カ所で張り替えをし、門松や奉納旗も設置した。
同神社によると、コロナ対策として、7年ほど前から実施してきたぜんざいの振る舞いや恒例のお神酒も取りやめるという。さらに手水(ちょうず)舎には消毒液を置き、参拝の際はマスク着用を呼び掛けている。
山本宮司は「コロナの関係で歳旦祭への招待もできずに残念。皆さんが元気にならないとさみしい。来年は早期に終息し、例年通りの行事ができることを祈っている」と話した。
なお、初詣は1月1日(金・祝)午前0時に開門し、歳旦祭は同日午前9時から同神社本殿で山本宮司や総代らで神事を執り行う。
(2020年12月31日付紙面より)
水族館で正月展示始まる (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館のトピックス水槽で27日、正月期間限定展示が始まった。期間は来年1月11日(月・祝)まで。
この水槽は館内Aゾーンにあり、常設ではなく串本の海の旬の話題を伝える目的で適時飼育展示対象の生き物を入れ替えながら紹介する形で活用。ただし年に2期、クリスマスと正月は時期に合わせた展示を飼育スタッフが創意工夫をして行う形が慣例になっている。
今回の展示は中村公一さんと佐久間夢実さんが担当。水槽内を「海中神社」の鳥居やさい銭箱、門松や七福神の置物などで飾り付け、串本の海からハコフグの仲間・ウミスズメとシマウミスズメを迎え入れている。
ウミスズメの仲間は目の上に角のような突起があるのが特長で、英名では「Cow Fish」(牛魚)と呼ばれている。ここに来年のえと「丑(うし)」とのつながりを求めて選んだという。
28日現在、ウミスズメ1匹、シマウミスズメ4匹を飼育展示している。日々の状況を見て内容を変える場合があるので了承してほしいという。
来館者の反応は上々で、28日は来館者の大半が一足早い迎春ムードに興味を示し、手にしたカメラで撮影する姿も多々。佐久間さんは「ウミスズメは目の印象がとても強く愛嬌(あいきょう)のある魚。水槽も映えるよう華やかに飾っているし、参拝をするような様子も時折見せてくれるので、写真を撮りながらゆっくりと親しんでもらえれば」と多数鑑賞を期待した。
この水槽を見るときは入館料が必要となる。同センターは年末年始も無休で、開館時間は午前9時~午後4時30分(入館は午後4時まで)。感染症予防の一環で、正月三が日恒例の餅まきは中止としている。問い合わせは同センター(電話0735・62・1122)まで。
(2020年12月31日付紙面より)
さい銭箱設置など準備進む (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は29日、初詣の参拝者を迎えるに当たり、拝殿手前に幅約8㍍のさい銭箱を設置した=写真。同大社では他にも、要所要所に消毒液を配置するなどの新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、年末年始の参拝者を受け入れる準備を進めている。
新年の参拝者を迎えるに当たり、上野宮司は「信仰心でおいでになる人も多い。イラスト入りのポスターで注意事項を呼び掛けるなど、神社としてスムーズにお参りできるように誘導したい」と話しており、混雑時には普段閉門している東門を開門するなどの対策を講じる予定。東門を開門し参拝者の動線を確保するため、同大社ではこのほど、門付近の段差の整備なども実施した。
また、大みそかの混雑を避けるため、今年は初太鼓開門はなし。31日の午後11時30分ごろに開門し、随時参拝者を受け入れていく。
(2020年12月31日付紙面より)
中央児童館で大掃除 (新宮市 )
新宮市野田の中央児童館で28日、大掃除があった。5歳児から中学生までの20人が参加し、一年間にたまった館内のほこりを払い、窓拭きや本の整理に汗を流した。
新型コロナウイルス感染症の影響で利用人数や利用時間の制限を余儀なくされた中央児童館だが、3密防止や換気・消毒などの感染対策を取りつつ、本年度もクリスマス会や夏休みのチャレラン大会など、さまざまな行事を開催した。
同館職員は最初に、「いっぱい遊ばせてくれてありがとうの気持ちを込め、一年間でたまったほこりを掃除しましょう」とあいさつ。子どもたちは「幼児室」や「わんぱくルーム」「ゲーム室」「図書室」などを分担して掃除に励んだ。図書室では重たい畳を運び出し、本を全て取り出して棚を拭いた。雑巾を洗うと、バケツの水が真っ黒になっていた。
来年の開館は1月4日(月)から。引き続き年齢ごとに利用時間を制限しており、同館は理解を呼び掛けている。
(2020年12月31日付紙面より)
6日間の休業に入る
官公庁は28日、仕事納めだった。仕事納め式では各首長らが職員たちの一年の労をねぎらい、新年からのさらなる飛躍に期待の言葉を掛けた。ほとんどの官公庁は1月3日(日)まで6日間の休業となっている。
新宮市役所別館で行われた式には、久保智敬市議会議長、東原伸也副議長をはじめ職員約40人が出席。田岡実千年市長は「今年は新型コロナ対策に始まり、コロナ対策に終わった一年だった」と職員のコロナ対策への対応や市民の協力に対し感謝を述べた。
また、来年は今年以上に厳しい状況が予想されるとし「コロナの影響で冷え込んだ地域経済再生など、市としても真価が問われる一年となる。今まで以上に熱意を持って、市民の誰もが元気で心豊かに暮らせるまちの実現に向けてしっかりと取り組んでほしい」と訓示した。
尾﨑正幸総務部長が、市が講じた新型コロナ支援や姉妹都市・宮城県名取市の「名取市復興達成宣言」など、今年の出来事や主な事業などを振り返り紹介。
向井雅男副市長が「ゆっくり英気を養い、自分が感染していることに気付かないうちに誰かにうつしてしまうという危険性があることも認識しユニバーサルマスク(無症状の人も含めたマスクの着用)の徹底を」と呼び掛けた。
(2020年12月30日付紙面より)
消防本部と消防団が年末警戒 (新宮市 )
市民らが安心して新年を迎えることができるようにと、新宮市消防本部(越水薫消防長)と同市消防団(竹内由定団長)は28日から消防年末警戒に当たっている。
火を使用する機会の多い年末の火災予防啓発と警戒を行うことにより地域住民の防火意識の高揚を図ることを目的に、この時季に毎年実施している。市消防本部は市全域、消防団は各分団の担当地区の巡視や防火広報に取り組む。
同日夜にあった出陣式は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため参加団員の人数を制限して実施。市消防本部では旧市内七つの消防団から29人が出席した。
整列した団員らを前に、田岡実千年市長は日頃の活動に対し感謝を述べ「健康に留意し、市民の皆さまが安心して年末をお過ごしいただけるよう尽力を」と呼び掛けた。
久保智敬市議会議長は「新年に向かって火を使うことが多くなり油断できない状況になるが皆さま方のご尽力に期待する」。濱口太史・県議会副議長は「コロナ禍で自宅で過ごす人も多い。市民のためにも火の取り扱いに対する注意喚起を」。
小畑博昭・新宮警察署長は「年末年始に当たり警察でも特別警戒を行っている。今後も連携を密に、市民の安全を守っていければ」と協力を求めた。
式後、団員らは消防車両に乗り込み、市長らに見送られる中担当地域へ出発。30日までの3日間、午後8時から11時まで市内を巡視し、地域住民の防火意識の高揚を図る。
那智勝浦町消防団では29、30日の2日間にわたり年末特別警戒を実施する。新型コロナ感染拡大防止のため、町長巡回を中止し、各団3密を避けるため出動人員を減らして取り組む。
(2020年12月30日付紙面より)
くまの里山と交流図る (那智勝浦町 )
休耕地の再生や地域活性化などに取り組む「くまの里山」(西美恵子代表)が活動する那智勝浦町高津気地区にこのほど、上富田町の一瀬里山会が視察に訪れた。西代表が自身の団体の取り組みを紹介し、交流を図った。
「くまの里山」は2007(平成19)年に組織された「高津気竹灯りの会」が母体で数年前に「くまの里山」に改称。農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生やしし垣の保全、里山の保存のために活動している。
一瀬里山会は16(平成28)年度に結成され、17(平成29)年度から農業農村活性化支援モデル事業に参画。「地域資源を活用した”おどろきと感動”の地域つくり」と「実践活動を通じて遊休農地の有効活用と地域の活性化」に取り組んでいる。
主な活動として、休耕田にヒマワリや菜の花を植え、アサギマダラ飛翔のために遊休地を利用し、フジバカマを植栽。棚田米と市ノ瀬産の棚田ゴマを使ったゴマセンベイづくりなど多岐にわたる。
今回の視察は西牟婁振興局を通じて行われた。オーナー制をピーマンやナスの畑で検討する同会は、すでに制度を取り入れているくまの里山の取り組みを学びにきたという。
高津気地区の清源寺で作成した資料を基に西代表が活動内容を説明。その後、タマネギ畑も案内した。西代表は「一瀬里山会さんのほうが先進地であり、活動も幅広く勉強させていただいた。『ぜひこちらにも来てください』とお話もいただいている。これを機会に交流を続けていきたい」と語った。
(2020年12月30日付紙面より)
蓬莱の畑地製菓舗 (新宮市 )
蒸した餅米の湯気が工場内に立ちこめる―。新宮市蓬莱の畑地製菓舗(畑地泰明店主)は27日から、正月用の鏡餅作りを始めた。店員、アルバイトを増員し、朝からつきたての餅を丸めて店頭に並べている。
作業は31日(木)の午前中まで続き、7~16㌢の8種類の鏡餅を作る。鏡餅の他、ヨモギなどの棒餅やエビ入り、トチの実を使った餅など多様な種類を用意している。
畑地さんは「鏡餅は硬めにしないと形が崩れてしまう。今年は新型コロナの終息を一心に願い製作に当たっています」と正月用の餅作りに込めた思いを話した。
日本の伝統・鏡餅は丸く平たい形をした正月用の床飾りで、穀物神「年(歳)神」への供え物であり依(よ)り代(しろ)。その形は「三種の神器」の鏡、玉、剣を表しているといわれる。地方によって異なるが、一般的に1月11日が鏡開き。刃物を使わず木づちなどでたたいて割って食べる。
正月に餅を食べる習慣は平安時代、宮中で健康と長寿を祈願して行われた行事「歯固めの儀」に由来する。家に床の間が作られるようになった室町時代以降、現在のように供えられるようになった。
(2020年12月30日付紙面より)
新宮弓友会納射会
たまたまトルベリーノカップ
新年を前に煤払い (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で25日、恒例の「煤(すす)払い式」が営まれた。上野宮司や神職、同大社敬神婦人会の久保あや子代表ら総勢約30人が境内のほこりを落とし、迎春準備を進めた。
煤払い式は神事の一つ。麻ひものたすきを巻いた神職が、長さ約5㍍のささ竹で各殿の壁面や屋根にたまったほこりを払い、拭き掃除を行った。婦人会はバケツや雑巾を手に境内各所を水拭きした。
久保代表は「今年は新型コロナウイルスの影響で敬神婦人会の活動が思うようにできなかったが、最後に大掃除をしてすっきりした気持ちで新年を迎えられることができた」と一年を振り返り、新型コロナの一日も早い終息を願った。
上野宮司は「煤払い式は一年の区切り。掃除だけではなく、境内の傷んだ所などを点検する機会でもある。掃除、点検をもって気持ちよく参拝者をお迎えしたい」。
新年の参拝者を迎えるに当たり「お正月は信仰心でおいでになる人も多い。今年も株式会社川合組さんに臨時駐車場の整備奉仕を頂いた。イラスト入りのポスターで注意事項を呼び掛けるなど、神社としてはスムーズにお参りできるように誘導したい」と話していた。
同大社では初詣に向けて幅約8㍍のさい銭箱を準備。拝殿手前に設置し、要所要所に消毒液を設置するなどして新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じる構え。また、今年は大みそかの初太鼓開門はなし。31日(木)午後11時30分に開門し、随時参拝者を受け入れる。混雑時には東門を開門するなどしてスムーズな動線確保に努める予定。
(2020年12月26日付紙面より)
大学生がグローバル研修 (武者修行(R)プログラム )
大学生向けグローバル研修を展開する株式会社旅武者(遠藤まさみ代表取締役)=東京都=は24日、那智勝浦町内で「地方創生イノベーション武者修行(R)プログラム」を開始した。参加2週間前から厳重に体調チェックを行い、厚生労働省公式の新型コロナウイルス接触確認アプリを導入するなどした東京都や愛知、和歌山県内など各地から集まった大学生7人が参加。来年1月5日(火)までの期間、同町の体験型観光の代表である「紀の松島観光船」のプラン作りなどに取り組む。
今年9月に実施したプログラムでは町の目玉商品となる名産品や生マグロを利用した新商品などを開発。採用された商品は同町築地のにぎわい市場で販売されることとなった。
同社によると、学生やスタッフらはアルコール消毒やマスク着用はもちろん、日々の検温や酸素濃度検査、体調管理シートの記録など、新型コロナ感染拡大防止対策を講じているという。
今回は「紀の松島」乗船中の満足度向上や集客増を目指すプランなどを作成する。キックオフとなったこの日、学生は「途上国で教育支援のビジネスをやりたい」「人の成長や変化に関わりたい」など、自己紹介や参加の動機など発表。
同社人財紹介事業部の東条智子さんや経営企画室所属でファシリテーターの松田宇弘さん、同じくファシリテーターの髙野康さん、加藤大吾さんがプログラムの説明などを行った。
ビジネスマナーやリスクマネジメントを学んだ学生は、三つのチームに分かれて素材探しや町民とのコミュニケーションを取るために町内のフィールドワークを実施した。
地元の高校生など3人も合流し、参加者との交流を図った。同町在住で和歌山県立南紀高校2年の貝岐好香さんは「地元が大好き。町にとっても大切な紀の松島のプランを考えてもらえるのはうれしい」と語った。
その後、学生は紀の松島観光株式会社専務取締役の加藤康高さんや堀順一郎町長、那智勝浦観光機構(NACKT)の村井弘和事務局長、堀千寿子さんらと対面した。
加藤専務取締役は「当町においての体験型観光は紀の松島しかないが、マンネリ化もある。若い人たちの新しい視点で見つめていただきたい。勝浦を盛り上げる一つの形になれば」と語った。
なお、一行は27日(日)に中間プレゼンを行い、来年1月2日(土)、3日(日)の効果検証を経て、4日(月)の最終プレゼンに挑む。
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■武者修行(R)プログラムとは
株式会社旅武者のベトナム法人が運営する店舗で、全国から集まる大学生がチームを組み、新規ビジネス担当者として新商品・サービス開発やプロモーション企画を自らで考え、行動し形にして顧客に届けるリアルなビジネス体験学習プログラム。
今年から日本国内でも実施し、地域や地域住民と関わる関係人口の増加や、武者修行修了生を中心とした関係人口ネットワークの構築を目指しているという。
さまざまな困難に直面する中、自分自身の成長課題に向き合い、自己変革(変態)などをしていくことで、主体的に自らの置かれた状況と向き合い、人生を切り開く力「自走式エンジン(R)」を積むことを目的・ゴールとしている。
同社は大学生向けの研修以外にも企業の若手向けグローバル研修や戦力人事・組織開発コンサルティング、採用支援などを行っている。
(2020年12月26日付紙面より)
職員向け男女共同参画研修会 (紀宝町 )
紀宝町の職員を対象とした男女共同参画研修会が23日、同町役場であり、職員49人が性の多様性について理解を深めた。
町では、昨年12月の「広報きほう」で「性の多様性」を13㌻にわたり特集。全国広報コンクール広報紙部門(町村の部)で全国1位となる特選(総務大臣賞)に輝いた。
研修会は午前、午後の2部に分けて実施。県男女共同参画センター「フレンテみえ」の安川真由美さんと武藤祐太さんが講師を務めた。
安川さんは、性的マイノリティーのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)について「性的少数者とも言い、同性を好きになる人や、心と体の性別が一致していない人など多様な性を生きる人たちの総称。性の在り方は人の数だけあり、一人一人が違う」と説明した。
「『男は、女はこうあるべき』と言われてきたが、『らしさ』に合わないことで生きづらさを抱えている。根強い偏見がまだまだ残っているため、公表できない」とし「性的マイノリティーの当事者は確実に周囲にいます。誰もが性的指向があり、偏見をなくして社会全体で考えることが必要」と示した。
また、▽職員の差別意識解消▽多様な性に関して対応可能であることを明示する▽当事者がいる・いないにかかわらず取り組みを続ける―といった行政機関として考えることの一例を紹介した。
(2020年12月26日付紙面より)
校内塾「和大オンライン塾」 (串本古座高校地域協議会 )
串本古座高校地域協議会の校内塾「和大オンラインくろしお塾」が23日に閉講を迎え、受講する同校生徒は大学生講師2人との対面授業に臨み監修者・豊田充崇教授から大学生活に向けたアドバイスをもらうなどして学びを締めくくった。
大学を身近に感じる機会として前年度に「出張!和大くろしお塾」を実施した同協議会。本年度はコロナ禍に伴い急速に進む各学校への通信端末(タブレット)導入を追い風にし、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用して機会を増やした同塾を企画。手法に強い和歌山大学教育学部の豊田教授に監修を求め、学生の畑尾蓮さんと栗生菜名さんがオンライン授業を行う内容で生徒に受講を呼び掛けた。
結果、1、2年生8人が受講を希望し、10月28日に開講。初回は講師2人が来校して生徒と顔合わせをし、同システム経由で豊田教授がこの塾の趣旨を伝えた。以降は学生2人が基本週1回の頻度でオンライン授業を実施し、生徒は英語や数学の問題演習を受ける形で学習に励み、現役の大学生との情報交換にも取り組んだ。
当初は今月16日に閉講する予定だったが、諸事情で23日に変更。講師2人が豊田教授と共に来校し、前半は講師2人が対面式での授業、後半は豊田教授が進路指導を繰り広げた。
豊田教授は小、中、高校と違って大学は学ぶ道筋を自ら決めて専門性を目指す場で、将来を見据えて通わないと無駄に過ごすことになると説明。学部ごとに入試が行われることも踏まえ、高校生のうちから将来を考えておいてほしいと促した。
その上で和歌山大学の学生主体の学びの環境を伝えて生徒の進学のイメージを強化し、塾内で織り交ぜたオンラインと対面の授業の違いも振り返って同塾での経験を今後の学びに役立てることを期待するなどした。
活動を終えて聖谷優大君(1年)は「授業が勝手に進むと感じた時もあったけど、先生が分かるまでつきあってくれるので質問はしやすかった。オンライン授業でもしっかりと勉強する自信がついた」。
問山裕海さん(2年)は「先生がとてもフレンドリーで、リラックスして理解できた。大学生の自由さも分かり、その姿に憧れを感じて大学生になりたいという気持ちが高まった」と取り組んだ成果をコメント。
豊田教授は「対面ほどではないがオンラインでも授業はできるという実証が得られた」と監修の成果を振り返り、地理的距離を解消して大学との身近さを得る手法として引き続き活用することを今後に期待した。
(2020年12月26日付紙面より)
【第27回】お正月はおせちで食育
お正月は親もお仕事がお休みの方も多く、日頃教えない伝統食について子どもに教えてあげるチャンスです。
おせち料理の由来は、「御節供(おせちく)」というお祝いのお料理から来ています。「御節供」は季節の変わり目、いわゆる節句の時に、神様に感謝し、不老長寿や五穀豊穣(ほうじょう)を願うお料理でした。それが、江戸時代ごろからお正月のお料理として定着し、「おせち料理」となったといわれています。新年を迎えられることに感謝し、また一年健やかに過ごせるようにと願いを込める料理へと変わっていったのです。
おせち料理には、たくさんの願いが込められています。まずはそのことを伝えてほしいと思います。多くの人の願いがお料理と共に、古くからずっと受け継がれているということを。でもその意味を全て、しっかりと伝えるにはあまりにも数が多すぎるのです。多くのものの中からいくつかをピックアップして伝えるのはいかがでしょうか?
私のオススメ一つ目は、黒豆です。黒豆をおせちに入れる意味は、「まめに働く」「まめに暮らす」などといわれていますよね。私たちは普段、「あの人はまめやね~」というように、「こまめ」とか「細やか」みたいなイメージで使っていますよね。でも、「まめ」には苦労をいとわずに物事に励むとか勤勉にという意味があるんです。まめに、誠実に、一生懸命頑張れますようにという願いが込められているんだと教えてあげてください。
また、ゴボウの意味を教えてあげるのもすてきです。ゴボウは土の中に真っすぐ伸びて根を力強く張ることから「不老長寿」や「一家繁栄」を意味するといわれていますが、「真っすぐにぐんぐん育つ」というイメージを与えてあげてほしいのです。「ちゃんと根を張って真っすぐに伸びていきますように」という願いだと伝えてください。
三つ目はエビ。エビは腰が曲がっていることから、腰が曲がるまで健康で長生きできますようにという願いが込められています。普段の生活で忘れがちなことですが、私たちの願いは全て「健康」の上に成り立つものです。家族の健康が最も大切だということも一緒に伝えてあげてください。
もちろん、他のお料理にも「五穀豊穣」「一家繁栄」「将来の見通し」などいろんな願いが込められています。私が、この上記三つを推すのは「家族への優しさ」が詰まっているからです。食育をいろいろな側面から学んでいてつくづく思うのは、食べるものや、知識はそう重要ではないということです。親が子どものことを思っているんだよ、あなたの居場所はここなんだよと食を通して伝えることが大切なんです。そして、そのことをとってもストレートに伝える絶好のチャンスがおせち料理だと思います。ぜひ一年の始まりに、食育としておせちのお話をしてみてください。
(2020年12月26日付紙面より)