給食に「熊野なまず」登場 (新宮市 )
新宮市で、市の第三セクターである新宮港埠頭株式会社(小池㬎二(けんじ)社長)が同市木ノ川の養殖場で完全養殖を手掛ける「熊野なまず」の給食提供が始まった。市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長)では20日、「熊野なまずのフライ」が献立に登場。園児らは「お魚大好き」「サクサクしてる」などと感想を口にしながら、熊野なまずの味を堪能した。
「熊野なまず」は同社が不純物のない地下水を使用し、産卵から稚魚の育成、成魚に至るまでを完全養殖している。国内で販路を広げる傍ら、アメリカ、EUのHACCP(ハサップ)を取得するなど、海外への輸出も視野に入れた取り組みを展開している。
昨年から市内小中学校の教員や保護者、管理栄養士らへの試食を繰り返し学校給食への採用につながった。今週から熊野川小・中学校、高田小・中学校で提供が始まっており、来週には佐野保育所の献立に登場する。旧市内の小・中学校では来年1月からの提供を予定している。
同社食品部の池内正巳・営業課長は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で、製品の海外輸出や、国内のホテルや飲食業者との取引が厳しい状況であるとしながらも、県内特産物の給食への積極的活用を促す(公財)和歌山県学校給食会への登録を済ませ、県内各校にサンプルを送るなどして給食への採用を広く呼び掛ける活動を実施。
「調理しやすい」「骨がなくて食べやすい」「おいしい」など、各校や栄養士、給食センターの職員らからの評判は上々。最近では県内の介護施設にも納入を行い、施設利用者からも好評を得たという。
丹鶴幼稚園では、「熊野なまず、おいしいですか」の質問に対し、園児らが「おいしいです」と元気に返答。下岡園長は「以前に試食をしたところ臭みがなくてびっくりした。食べやすく、子どもたちも喜んでいると思います」と話していた。
(2020年11月22日付紙面より)
新宮市庁舎
東洋・海邊特定建設工事共同企業体は21日、新宮市庁舎地下に設置されている免震オイルダンパーの交換工事を開始した。
免震オイルダンパーは油の粘性を利用して建物の揺れを軽減する装置。2018(平成30)年、KYB株式会社およびカヤバシステムマシナリー株式会社が製造した免震・制振オイルダンパーに、検査データの改ざんが行われていたことが判明。問題の表面化に伴い、市庁舎に同社製品が使用されていることが分かった。庁舎地下1階に4基が設置されている。
以降、市は施工業者である東洋・海邊特定建設工事共同企業体を交え、KYB側と協議を進めており、KYBの負担で全て交換することが決定していた。同社製品を使用した建築物は全国で1000近くに及ぶという。
工事工程は▽免震オイルダンパーの搬入▽交換(4本すべて)▽旧免震オイルダンパーの搬出▽資材搬出・片付け。この日は全長2・7㍍、重さ505㌔の免震オイルダンパー4基が庁舎地下に搬入された。
工事期間は23日(月・祝)まで(予定)で、搬出に伴い市役所駐車場の一部が利用できない場合がある。
(2020年11月22日付紙面より)
児童が高齢者疑似体験 (太地町社協 )
太地町社会福祉協議会(岡本研会長)が福祉教育推進校に指定している太地町立太地小学校(宮本礼子校長)で18日、今年度3回目の福祉学習があった。4年生児童5人は同町社協や地域包括支援センターの職員の指導の下、高齢者の疑似体験に取り組んだ。
福祉学習は児童がさまざまな人の立場や人生を体験することで、課題を自身で考えて福祉への学びを深めることが目的だという。
1回目は全盲の体験や点字学習を、2回目は聴覚障害や手話を学んだ。
岡本会長は「高齢者の方々の疑似体験を通してどんなことやどんなときが不便なのかを感じて考えてほしい。そしてその内容を聞かせてください」とあいさつ。
同センターの谷口徹さんが福祉やその考えについて講話を行い、「けがが治らず歩けなくなってしまった場合に、『歩かなくても仕事ができる』『学校に通える』方法を考えることが大切になる。今日、疑似体験をする皆さんがお手伝いできることもあります」と述べた。
続いて、児童は2人一組となり、片側の腕や足に重りや腰が曲がった状態をつくる装具を、視界が悪くなるゴーグルやイヤーマフなどを装着。もう一人の児童が起き上がりや歩行などの介助を実践した。
そのほか、利き手の指にテープを装着し、指が使いづらい状態で箸を使用したり、自転車が後方から近づいた際の感覚などを学んだ。最後は車いす体験に取り組んだ。
宮本校長は「福祉学習は良い機会になっています。体験を通して声掛けや介助の重要性を学んでいただき、優しい思いやりの心を身に付けてほしい。そしてその思いやりを行動に移す子どもになっていただけたら」と語った。
(2020年11月22日付紙面より)
文化審議会が指定を答申 (串本町 )
国の文化審議会(佐藤信(まこと)会長)が20日、串本町にある県指定史跡「樫野埼灯台及びエルトゥールル号遭難事件遺跡」を国の史跡として指定することを文部科学大臣に答申した。今後の官報告示をもって指定が発効する流れとなり、田嶋勝正町長は「同事件から130周年という大きな節目に国の史跡として指定されることをうれしく思う」と喜んでいる。
同町内では熊野参詣道大辺路に続き2例目となる指定。「樫野埼灯台及びエルトゥールル号遭難事件遺跡」は▽遭難者墓地▽遭難者上陸地▽船甲羅▽樫野埼灯台旧官舎▽樫野埼灯台―を構成文化財とし、指定地面積は遭難海域も含むため約8万6238平方㍍となっている。
史跡としての起点は1959(昭和34)年の「トルコ軍艦遭難者墓地」(=トルコ軍艦遭難慰霊碑一帯)の県史跡指定にあり、後に構成文化財としてエ号が座礁した岩礁・船甲羅(周辺海域を含む)と遭難者上陸地と樫野埼灯台旧官舎が加わり史跡名は「エルトゥールル号事件関連遺跡群」、さらに樫野埼灯台が加わり「樫野埼灯台及びエルトゥールル号遭難事件遺跡」と変遷。同審議会文化財分科会が現在の枠組みで審議をして国の史跡に指定することを決め、この日の答申に至った。
国指定史跡としての位置付けは「近代における大規模かつ国際的な海難とその後の防災意識や日本とトルコとの国際交流・慰霊の歴史を明らかにする貴重な遺跡」となっている。
田嶋町長は今回の指定の背景には樫野埼灯台旧官舎の整備や語り部による史実の顕彰、大島小児童をはじめとする住民による清掃活動など、さまざまな関わりを通して史跡を大切にしていることへの評価も含まれると捉え、各当事者に感謝。
同事件は国際的な海難事故に対する全国的な支援活動として語り継ぐべきものだと認識を掲げ、今後について「関係団体と連携して史跡の維持管理に努め、ロケット打ち上げに伴う来訪者の増加も見込まれる状況なのでいっそう親しみやすい環境整備も意識しながらPRをしていきたい」と話した。
(2020年11月22日付紙面より)
太地町役場議場で17日、町立太地中学校(山田貴也校長)の3年生による恒例の中学生議会(模擬議会)が開かれた。生徒は各自の目線で町の課題などをまとめ、本会議さながらの鋭い一般質問を行った。
同校によると、今回は議員や議長は立候補によって決定。新型コロナウイルス感染拡大の影響から準備期間も短かったという。
議長は磯崎咲良さん、副議長は山下なぎささんの2人が務めた。浪花晟秀(せいしゅう)君、關杏珠(あんず)さん、岩口怜生(れお)君、脊古宗昌(ときまさ)君、森本愛美さん、奥村汐莉さん、東純平君、脊古颯羅(さら)さん、小濱晟暉(てるき)君の9人が議員として一般質問に臨んだ。
三軒一高町長は暮らしやすい町づくりを目指し、現在16年目に突入した長期計画を説明。長きにわたりクジラと関わっていることに触れ、「令和のわれわれは学術的にクジラを利用し、クジラの学術研究都市をつくる。皆さんが将来、誇れる理想の町をつくるために頑張っていきたい」とあいさつした。
模擬議会では議長と副議長が交代しながら円滑な議会運営に努めた。議員役の生徒からは「新設される太地駅に売店を設置しては」「避難場所への誘導看板の設置状況」などの質問が挙がった。
対して当局は「現時点で、売店の設置スペースはない。将来的には駅前広場の整備を行い、無料駐車場の設置やコンビニの誘致を考えている」「地図の付いた看板で提示するのは一つの方法だと思う。検討していきたい」と答弁した。
議長を務めた磯崎さんは「緊張した。今日を通して実際の議会がどのように進められているか知ることができた。町政に興味が湧きました」。
議員役の浪花君は「町長さんとお話ができ、良い経験になった。町がより良くなるために皆さんが努力されていることを学べた」と語った。
この日は同じく中学生議会(未来議会)を実施する橋本市の教育委員会が視察に訪れた。
(2020年11月20日付紙面より)
はまゆう・こども園でラグビー体験 (新宮市 )
新宮市の保育所型認定こども園「はまゆう・こども園」(遅越拓郎園長)で18日、本年度最初のラグビー体験があった。新宮ラグビーフットボールクラブ(鈴木雄一代表)の林英明さんらメンバー3人が来園し、4、5歳児24人にルールや魅力などを伝え、ゲームなどをして楽しいひとときを過ごした。
同クラブは県立新宮高校ラグビー部OB会が中心となって活動。体験を通じてボールに触れ、ラグビーの魅力などを知ってもらおうと昨年度から実施している。
体験を前に、林さんは実演を交えながら「ラグビーでは後にいる人にパスを出す」「前方にボールを落とさない」など、競技やルールを説明。子どもたちはかけっこで体をほぐすと、2グループに分かれてメンバーからパスを受けたボールを抱えてゴールまで運ぶ「トライ」やボールを守るために片手で相手を突き放す「ハンドオフ」に挑戦した。
後半にはラグビーのルールを取り入れた鬼ごっこもあり、決められた枠内を駆け回り「めっちゃ楽しい」などの声が上がり、盛り上がりを見せた。
林さんは「昨年のラグビーワールドカップのことを知っている子どもたちも多く、少しずつ浸透していると感じた。新型コロナウイルスの感染状況次第ですが、今後もラグビーおよびスポーツを好きになってもらえるよう、継続して活動していければ」と話していた。
(2020年11月20日付紙面より)
明神小6年生遠隔授業で (古座川町 )
古座川町立明神小学校(速水和美校長)の6年生3人が16日、和歌山大学による遠隔授業に参加した。
同校は本年度、和歌山大学教職大学院が実施する小規模校教育実習の受け入れに協力し9日から20日まで院生2人を迎えている。その縁で大学とつながる授業ができないかと要望したところ、和大も応えて実現の挑戦が始まった。
串本古座高校地域協議会が和大と連携して取り組む「和大オンラインくろしお塾」の企画者・豊田充崇教授が橋渡し役となり、児童が今学んでいる事柄に合わせて内容を計画。適任者の此松昌彦教授ら教授陣と6年生をウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」でつないで授業ができる環境を整えた。
授業のテーマは「理科・大地のつくりと変化」。此松教授は『地学博士』として6年生と接し、オンライン上の橋渡し役は元教諭の貴志年秀特任教授が担当した。
お互いに自己紹介をして、児童が地学関係で最近勉強したことや地層を作る実験で気付いたことを報告。3人は町内の6年生合同で地質見学に臨んだ時に観察したフェニックス褶曲や橋杭岩、タービダイト(和深海岸)、さらし首層について写真を交えながら紹介し、「タービダイトはどうやってできたのか」「さらし首層に露出する岩はどうして丸いのか」などを此松教授と一緒に考えて疑問を解消するなどした。
直接授業には関わらなかったが和大側は此松教授のゼミ生も同席。豊田教授によると、児童がどのように関心や疑問を抱くかを考える糸口を探ったという。互いに利のあるこの授業には明神小で実習に臨む院生2人も立ち会い、豊田教授と共に進行を支えた。
コロナ禍により現在オンライン講義が主流になっている和大。そのピークとなる時間帯での実施は通信が安定せず内容の全てを実施できなかったが、児童の理解を深める成果はあったと豊田教授は分析。「県南部は和大から遠い分接する機会が少ないが、この方法なら貢献ができる」と実感を語り、通信の安定化など克服すべき課題も見据えて手法の確立に意欲を見せていた。
(2020年11月20日付紙面より)
来年のえと「丑」の色紙 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で来年のえと「辛丑(かのとうし)」の色紙作りがピークを迎えた。男成宮司が直筆で1枚ずつ、色紙に「不屈」の文字を書き添えている。今週中に1300枚を完成させる予定。
色紙には勇ましい黒い牛と初日を配した那智の滝が描かれており、8月に原画が完成した。
同社によると、穏やかなイメージのある牛だが、てこでも動かないような忍耐強さは不屈の精神に通じると解説。新型コロナウイルス感染拡大の現在においても困難にめげずに頑張っていこうという願いが込められているという。
この日は毎月18日に営まれる権現講祭の後に作業に取り掛かった。男成宮司が文字を書き入れた色紙に巫女(みこ)が社印を押して仕上げた。
男成宮司は「今年は厳しい年だったが、治療や体制も当初よりは進んできたと思う。来年はコロナを乗り越え克服して、今まで通りの世の中になるように切に願っています」と語った。
発送および社頭での授与は12月上旬から。1枚2000円。送料は2枚以下600円、3枚以上は1200円。申し込みは、はがき、またはFAXで受け付けている。〒649―5301 那智勝浦町那智山1、熊野那智大社(FAX0735・55・0643)。
(2020年11月20日付紙面より)