エレベーター事故対応講習会 (那智勝浦町消防本部 )
那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)は19日、同町天満の町福祉健康センターでエレベーター事故への対応に係る講習会を開いた。消防職員21人が参加し、三菱電機ビルテクノサービス株式会社関西支社和歌山支店勝浦営業所の山下弘之所長と同支店の野口陽平さんの指導の下、エレベーターの仕組みや錠外しの方法などを確認した。
これまで同署管内でのエレベーター事故の発生はないものの、緊急事態時により迅速な救助を目指すため2006(平成18)年以来の実施となった。講習会は2グループに分かれて行われ、▽エレベーター内の非常灯の状態▽急停止の衝撃と閉じ込められたときの心理状態を体感する▽停電時の動作▽情報センターとのやり取り―に取り組んだ。
山下所長は機械室で職員にエレベーターの構造について解説。停止時は正常な状態ではないとし「突然作動し巻き込みや挟まれるなどの事故を起こしてしまう可能性があるため、救出する際には必ず電源を落としてから作業してください」と述べた。錠外しでは、野口さんが手順やエレベーターの位置確認、注意点などを説明した後、職員は専用の鍵を使い一人ずつ順番に実践していった。
山下所長は「職員や救出される人たちの二次災害を防ぐことが最も重要。南海トラフ地震などがいつ発生するか分からないため、講習会での知識や経験を生かしていただければ」。
嶋田和央・消防指令は「資料的なものでは学んでいるのですが、実践を交えて行う機会が少ないので貴重な時間となりました。救助の際には閉じ込められた人たちに呼び掛けをし、安心感を与えることが大切。改めて速やかで確実な任務に努めていきます」と話していた。
(2020年8月21日付紙面より)
新宮市議会総務建設委員会
新宮市議会の総務建設委員会(福田讓委員長、7人)が19日、市役所であった。熊野川行政局、消防本部、水道事業所など関係各部署が実施中の事業や入札結果、取り組みなどを報告し、委員たちが質問や意見を述べた。
消防本部からは報告に先立ち、先日県内他市町の消防署員から新型コロナウイルス感染者が出たことを受け、越水薫消防長が「市民の方々には大変心配をかけており、本部にも多くの問い合わせをいただいている。今回は他市町だが重く受け止めている」と述べ、職員に対し改めて通知や訓示を通して気の引き締めを徹底。引き続き万全を期したいとした。また、職員の感染予防対策として、家族以外との会食や不要不急の管外への外出の自粛などを呼び掛けているなどと報告した。
委員からは「公務員などは優先的に検査を受けられるような手立てが必要では」「コロナを持ち込ませないための取り組みがなされていない。まん延させないための方策が検査」などの声が上がった。他の委員からは「検査の目的は早期発見。感染防止につながるものではない。国の専門家に従うほかないのでは」と意見。当局は「元を抑えるのは必要だが市独自で体制を組むのは難しい」と理解を求めた。
委員から「市で陽性患者が出た場合、公式発表の前にしっかりした情報を教えてもらうことはできないのか」との質問があり、田岡実千年市長は「職員が罹患(りかん)した場合には正確な情報を速やかに公式に発表したい」と述べた。
水道事業所からは「暑さが続き雨も少ないが、熊野川の水量に関しては安定的に供給できる水位をキープしている」などと報告があった。
企画政策部や総務、選挙管理委員会からの報告もあり、委員からは住友化学が今秋に発売を予定している抗ウイルス物質の散布装置についての研究を求める声や、県外からの作業員を抱える工事現場におけるコロナ対策、プレミアム付商品券の販売時期などを問う声があった。
都市建設課、農林水産課からは7月の梅雨前線豪雨に伴う市道東敷屋線、市道小井谷線、林道谷口皆瀬川線における被災状況について説明があった。
(2020年8月21日付紙面より)
飛雪の滝百姓塾が収穫 (紀宝町 )
「にほんの里100選」に数えられる紀宝町浅里で20日、町のブランド米「飛雪米」の稲刈りが始まり、農事組合法人飛雪の滝百姓塾(木下起査央・代表理事)の会員が飛雪米の「結びの神」を収穫した。
百姓塾は2005(平成17)年に任意団体として設立。11(平成23)年9月の紀伊半島大水害で甚大な被害を受けたが、翌年には農地の復旧に努め、15(平成27)年に法人化した。
設立当初は耕作面積37㌃だったが、年々、耕作放棄地を耕し、今では120㌃の水田を管理。昨年は約3・3㌧を収穫した。また、国や県の補助金を活用して環境美化や獣害対策にも取り組んでいる。
結びの神は県農業研究所が12年かけて開発した品種。同地区では結びの神とコシヒカリを栽培し、「飛雪米」としてブランド化した。熊野川と山々に囲まれ、豊かな水と土地で育った飛雪米は、ふっくらした食感が特徴だという。
この日は結びの神2・4㌧を収穫し、来週にコシヒカリの稲刈りを行う予定。今年は昨年を上回る約3・4㌧の収穫を見込んでいる。
木下代表理事は「新米は9月から道の駅『紀宝町ウミガメ公園』で販売する予定です。ぜひ、食べてください」と話していた。
(2020年8月21日付紙面より)
町立小中2学期始まる (串本町・古座川町 )
串本町、古座川町の町立小中学校が20日、一斉に2学期の始業を迎えた。新型コロナウイルスの影響で例年より11日ほど早い再スタート。両町とも24日(月)から学校給食を再開し、時間割に沿った授業を進める。
同ウイルス感染拡大に伴う臨時休校で失われた授業時数を取り戻すため、両町とも夏季休業(夏休み)期間は8月6日から19日までの14日間(例年の約3分の1)に短縮。幸いにして両町とも昨今進められてきた普通教室の空調整備事業が時期近しくして間に合い、児童生徒は真夏の暑さを緩めた環境下で授業に励めるようになっている。
串本町立西向小学校(山本隆介校長、児童46人)は真夏の日差しを避けるため、窓などを開放した体育館内で始業式を営んだ。山本校長は大きな事故なくそろって2学期を迎えられたことを喜び、引き続き新型コロナウイルスや熱中症の予防を心掛けることを呼び掛け。早寝早起き朝ご飯やあいさつ、勉強や友達に優しくすることなどこんな時こそ当たり前のことを当たり前にして、みんなで支え合うことを願いながら今日から頑張ることを呼び掛けた。
串本町教育委員会によると町立小中学校は21日(金)も午前中までとし、24日から授業を本再開となる。古座川町教育委員会によると始業式以降の動きは町立小中学校個々で判断をしているが、学校給食は串本町学校給食センターから配食を受ける古座中と足並みをそろえて24日から再開するという。県立串本古座高校は一足早く17日に2学期の始業を迎えている。
(2020年8月21日付紙面より)
国の天然記念物に指定されている新宮市の新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落(浮島の森)東側の池で、水面が真っ赤に染まる現象が起きている。同所管理人は「この暑さと関係があるのか分からないが赤く染まるのは初めて」と驚きを隠せない。
現象が見られるようになったのは10日ほど前から。日によって範囲や色の濃度が異なる。また、午前8時台ですでに赤く染まっているが、夕暮れ時にはいつも通りの水面に戻るという。18日には広範囲にわたって赤く染まっており、うわさを聞いた人が熱心にカメラを構える様子も見られた。
熊野学研究委員会の瀧野秀二さんは「単細胞の藻類ではないか」と見解を示す。光合成をし酸素を含んだ植物プランクトンが水面に浮いてきているのではと推測しながらも、同所で赤い藻は見たことがないと述べ「顕微鏡で見てみないと分からない」。
連日の猛暑で池の水温はぬるめのお湯程度まで上昇している。気候変動や水温の上昇、池の水位の低下などとの関連性について瀧野さんは「水位が下がったことによって池の温度が上昇するなど無関係ではないと思う。もしかしたら今までは気付かれない範囲でプランクトンが発生していたのかもしれない」と述べ、有毒性や生態系に及ぼす影響については「大丈夫だと思いたいが、場合によっては心配事が増える可能性もある」と話していた。
同所では高度成長期に周辺の市街化に伴い沼沢の乾燥化や水質悪化が顕著となり、オオミズゴケなどの貴重な植物が減少しスギの新しい種子が発芽できないなどの状況に陥った。
市では森の保存と再生を図るために1988(昭和63)年、有識者らによる調査委員会を組織しさまざまな保存対策事業を実施。また、国や県の水質改善事業などにより、危機的だったいくつかの植物の状況が改善されて今に至る。
浮島の森の見学は年中無休で、開場は午前9時から午後5時(12~2月は午後4時)まで。
(2020年8月20日付紙面より)
建設工事関係者連絡会議 (新宮・東牟婁地方 )
建設工事における災害の一層の減少を図ろうと、厚生労働省和歌山労働局新宮労働基準監督署(中前英人署長)は18日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で建設工事関係者連絡会議を開催した。新宮・東牟婁地区の公共工事発注機関、建設関係団体、災害防止行政機関の25人が出席した。
会議は、三者がより緊密な連携を図ることで災害防止対策の取り組みを推進することを目的に毎年開かれている。
新宮・東牟婁管内では昨年87件(前年比15件減)の労働災害が発生した。中前署長は「管内では減少傾向にあるが、一方で建設業においては2件増加の14件となっている。土木工事では8件と、前年4件から倍増している」などと説明。
▽労働災害の防止▽熱中症対策▽建設業の働き方改革の取り組み推進―に対する協力を呼び掛け「本会議は工事関係者が多数参加する年に1度の会議。情報や意見交換を活発に行い、有意義なものに」とあいさつした。
乾孝行監督・安衛課長が管内の建設工事における労働災害発生状況を説明したほか、災害事例を原因・対策も交えて紹介。現場における安全管理として▽通路、足場安全対策▽建設機械の安全対策▽安全施工サイクルの推進▽気象状況の変化に伴う措置など―が重要とし「日頃から気象状況を含め体調管理の徹底を」と呼び掛けた。
また、2023年までに死亡災害を15%以上、死傷災害を10%以上減少させることを目標とした「第13次労働災害防止計画」や「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」「働き方改革関連法」「安全な建設工事のための適切な安全衛生経費の確保」などに対する取り組みを求めた。
紀南河川国道事務所串本国道維持出張所、東牟婁振興局農林水産振興部林務課、新宮市、那智勝浦町、古座川町、串本町、北山村が公共工事の現状や労働災害防止に係る取り組みなどを紹介した。
(2020年8月20日付紙面より)
地域包括ケア会議委員に委嘱状 (紀宝町 )
地域包括ケアシステムの実現を目指す「紀宝町地域包括ケア会議」の本年度第1回会合が18日、同町役場であり、西田健町長が委員16人に委嘱状を手渡した。
委員は町の高齢者担当職員、医師、介護支援専門員、介護サービス事業者、薬剤師、社会福祉協議会、民生委員・児童委員、老人クラブ連合会女性委員会の代表者などで、任期は2年間。医師で「くまのなる在宅診療所」の濱口政也院長を委員長に選出した。
委嘱後、西田町長は「大変重要な役割を担っていただくことになりますが、高齢者を取り巻くさまざまな現状や課題などについて真摯に協議していただき、高齢者福祉施策の向上に向け、その一翼を担っていただければ」とあいさつ。委員が自己紹介し、会議の方向性や今後の活動などについて説明を受けた。
地域包括ケアシステムは、高齢者が支援・介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしく可能な限り生活を続けることができる体制を構築するもの。
同会議では自助・互助の果たす役割を意識した取り組みを進めるため、本年度から在宅医療・介護連携推進事業、認知症総合支援事業を合わせた「医療と介護の連携・認知症の部会」と、生活支援体制整備事業、介護予防・日常生活支援総合事業の「生活支援体制整備・介護予防の部会」を組織し、各部会で協議するという。
(2020年8月20日付紙面より)
降らぬ雨で渇水の不安も (串本町・古座川町 )
例年になく暑い日が続く串本町、古座川町域。16日に最高気温38・9度(気象庁観測)を記録した古座川町西川地区は、翌17日に38・1度、18日に37・4度と落ち着く傾向にあるものの酷暑が続いている。
同町によると、今回の暑さで熱中症が増えている実感はないそう。西川の一住民は「まだ暑さに慣れていない梅雨明けのころにふらっとした時があったが、今は体も慣れてなんとかなっている」とここ最近の状況を語る。
日中の集落に人影はほとんど見られず、屋内で過ごしている状況。他方、先月20日ごろ以降からまとまった雨が降っておらず、渇水への不安も出始めている。同町では18日現在、管轄する簡易水道系から渇水の連絡はないが状況は注視しているという。
七川ダム湖に流れ込む各河川の水量は細く、水際では普段水面下にある部分の露出も目立つ状況。同ダム管理事務所によると、最低水位95㍍に対し貯水位は98・19㍍(19日午前10時現在)に下がり、ダム本体は放流せず発電用の毎秒4・2立方㍍(ほぼ最低量)のみ流下しているという。1時間で1㌢ずつ水位が下がる傾向が続いていて、さらに続くと2週間弱で最低水位に達する状況。「このままでは発電ができなくなる」と懸念し、雨による水位の回復を切望している。
同町消防本部によると、今年の熱中症とみられる救急搬送件数は19日現在で16件。内訳は5月に1件、7月に4件、8月に11件と推移している。7月は梅雨の合間、8月は上旬に出動が集中していて、最近の酷暑相応に出動が増えている実感はないという。
管内は少ない年で18件、多い年で28件という実績を重ねていて、16件は突出した数ではなく今年の実績もその間に落ち着くと見ている。同町の広報誌を通してあらかじめ熱中症対策を呼び掛けていて、引き続き予防を心掛けてほしいとしている。
(2020年8月20日付紙面より)