第13回新宮市伝統芸能大会
新宮市伝統芸能大会が25日、市文化複合施設「丹鶴ホール」で開かれ、11団体が日頃の成果を披露、会場から大きな拍手が湧いた。
13回目の今年は▽哲泉流日本吟詠協会紀州支部連合▽井谷豊優扇会▽熊野曼荼羅(まんだら)太鼓▽関西吟詩文化協会 華城会▽正派若柳流美栄の会▽西川流友華会▽西川流友千恵会▽藤紀和会▽哲泉流南紀清流▽若柳流若吉会▽坂東流柳蛙会―が日舞や詩舞、詩吟、力強い和太鼓演奏を繰り広げた。
市と市伝統芸能大会実行委員会(委員長=藤紀実美・藤紀和会家元)が主催。速水盛康教育長が「丹鶴ホールで伝統芸能を披露していただけることを楽しみにしている。温かいまなざしで堪能し、和やかにお過ごしください」とあいさつした。
西川流友千恵会の華麗な舞で幕を開けた。各団体が舞台に立ち、和服姿の出演者が優雅な立ち振る舞いで花を添えた。
有志による「正調新宮節」の踊りに続き、最後は熊野曼荼羅太鼓が「お祭り新宮節」「黒潮囃子(ばやし)」を演奏した。
ホール1階のホワイエでは、茶道表千家流音無会(築紫充代会長)による呈茶の振る舞いもあった。
(2024年2月27日付紙面より)
こども航空教室を開催 (新宮市 )
新宮市が主催し、市と包括連携協定を結んでいる明治安田生命保険相互会社が協賛する「親子で学ぶ! こども航空教室」が24日、新宮市役所別館であった。親子連れ14組33人が参加。飛行機が飛ぶ仕組みや客室乗務員の仕事を学んだ。
明治安田生命は日本航空株式会社(JAL)と提携しており、こども航空教室を全国で展開している。新宮市にも提案して実施が決まった。現役のJAL客室乗務員で組織する「JALふるさと応援隊」の森國真世さんが講師を務めた。
森國さんは、JALグループが持っている飛行機の数や種類、国際線で活躍するボーイング787について紹介。飛行機が飛ぶ仕組みについて「エンジンを回して進むと風を受け、翼の上と下の風の速さが変わる。圧力の差により浮かび上がろうとする力で押し上げる」と話した。
羽田や成田にある整備工場についても解説。「タイヤやブレーキやエンジンに不具合がないかを点検する。3~4年ごとにエンジンやシステムを整備、6~8年ごとにシートや内装を外して隅々まで調べる」などと語った。
客室乗務員の仕事も紹介。「パスポートや身分証明書、制服、iPad(アイパッド)などが仕事グッズ。iPadには仕事資料が全て入っている」と述べた。客室乗務員が必ず持っているものとして「秒針付きの腕時計。お客さまの脈を測らないといけない時に使う」と明かした。
参加者に、機内アナウンスに挑戦してもらう一幕もあった。「聞きやすい声で、ゆっくりと笑顔で」と呼びかけ。参加者は指導に従い、森國さんに続いてアナウンスした。
両親と共に訪れた松田莉桜(りお)さん(8)、栞奈(かんな)さん(7)は「楽しかった。飛行機にはまだ乗ったことがないので乗ってみたい」などと話した。
なお会場では、明治安田生命のスタッフによる血管年齢測定なども行われていた。
(2024年2月27日付紙面より)
西向小でキッズシェフ体験 (県調理師会 )
串本町立西向小学校(河田恵美校長)の5、6年生16人が22日、県調理師会のキッズシェフ体験に参加し現役の調理師と一緒に魚の三枚おろしやだし取りなどを経験した。
この体験は、子どもたちに調理の楽しさを伝えるため会員が学校へ赴く形で実施。今回は同会新宮支部の平見一雄支部長と所属する新宮調理師会の里中陽互さん、中畑光史さん、平見輝行さんの計4人がアジのつみれ汁など児童に味わってもらうメニューの食材を持参して訪問した。
5、6年生は魚の三枚おろしを実演で教わり、アジで挑戦。その切り身をたたきにし、ネギと卵黄を混ぜてつみれにした。昆布とかつお節の合わせだしを取り、砂糖やしょうゆ、塩といった調味料を加えて好みの味に調えつみれ汁を調理した。
和食の基本となる調理の体験と並行して、4人は防災食としてサバ缶を使った炊き込みご飯の作り方も紹介。5、6年生はこれら2品と味を調えただし汁で味わううどん、だしを取った後のかつお節で作ったつくだ煮をこの日の昼食とし、それらの味わいを確かめた。
児童の多くが三枚おろし初体験で、今回の経験で魚をおろす自信がついたそう。食後は複数人がだしの取り方も含めて「家でもしてみたいと思った」と感想を発表し、数々の紹介に感謝した。
5、6年生の経験を一調理師として後押しした平見支部長は「料理に興味を持ち、少しでもこういう仕事(=調理師)に就いてくれる人が増えればと思います。今回も息子がつくだ煮を準備してくれたが、食材を無駄にしないことも一緒に教えていけたら」とこの活動に込める思いを語った。
(2024年2月27日付紙面より)
43人が那智山の原生林へ (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山で23日、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)主催の「神秘ウオーク」が始まった。普段立ち入れない神域である那智山の原生林を体験できるとあって、初回には全国から43人が参加し、那智の滝(一の滝、二の滝、三の滝)を巡った。
比較的水量が少ない2~5月限定で、3滝を巡ることができる唯一の企画として人気を博している。今季は3月10日(日)までに5回行う計画。この日は雨天で水量増加が予想されることから、熊野・那智ガイドの会の9人がサポートした。
バス停「那智山」の近くを出発した一行は、表参道を上って熊野那智大社に正式参拝。同じく世界遺産の一部である那智山青岸渡寺や昨年150年ぶりに再建された行者堂へも足を運んだ。昼食を済ませた後に、神域へと足を踏み入れた。手付かずの自然が残る険しい坂を上り、沢を渡って二の滝、三の滝へと向かった。
愛知県名古屋市から友人4人で参加した女性は「山を歩くのが好きで、熊野には以前も来たことがあったけれど、神秘ウオークは初めて。雨を心配していたが、ガイドさんがいて心強い」と話していた。
(2024年2月27日付紙面より)
新スペースを地域住民が清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」敷地内で、旧太田中学校の講堂を改装した新たな交流スペース整備が進んでいる。3月下旬の使用開始に向けて大詰めとなった20日には、同校の卒業生を含む地域住民ら約40人が集い、清掃活動に汗を流した。
廃校になった校舎を地域の拠点として改修整備し、2016年にオープンした「太田の郷」。地域農産物のブランド化による生産・販売促進や、地域資源を生かした誘客などに取り組んできた。
講堂の改装は「わがらで創る郷の未来『太田の郷を地域資源をもっと有効に活用できるファクトリーと農産業支援拠点へ』」と題し、総務省の過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業の交付金を受けて実施した。
講堂内には、みそやしょうゆなどの発酵食商品を加工するフロアや、水洗トイレ、夏季の農業体験者向けのシャワールームなどを整備。農作物の付加価値向上や就農者支援、地域外の人々との交流拠点とすることで、ひいては農業の後継者育成や移住促進につなげる狙いもある。
水道、電気、ガス関連の工事以外は、大工仕事のスキルを持つ地元住民が尽力し、屋根や床の補修、ペンキ塗りなどをしてきた。古い木造校舎の雰囲気を残そうと、室内はあえて木のままにし、面影を残した改修は卒業生にも好評。擁壁周辺のコンクリート打ちを担当した東佐平さん(79)は「自分は第13期の卒業生。講堂では剣道や卓球、卒業式もした」と昔を懐かしむ。「スペースも広いので、いろんな教室や踊りの練習ができるのでは」と今後に期待を寄せた。
NPO「太田の郷」の石田一事務局長は「いま一度地域の皆で立ち上がり、この拠点に集って、地域を盛り上げる仕組みをつくっていきたい」と力を込める。今後は農繁期を過ぎた5月ごろに完成セレモニーを開催する予定だという。
(2024年2月22日付紙面より)
新翔高で防災スクール (新宮市 )
新宮市佐野の県立新翔高校(宮井貴浩校長)で16日、防災スクールがあった。自衛隊和歌山地方協力本部新宮地域事務所の山本健さんら8人が来校し、1年生98人らがロープワークや避難所などで役立つ技術のライフハック、救急法を教わった。
防災スクールは毎年、1年生を対象に実施。生徒たちの防災意識を高め、地域防災の担い手として社会貢献できる青少年の育成を目的に行われている。この日は佐野区の役員ら7人も参加した。
生徒らは3グループに分かれて各講習に臨んだ。ロープワークでは本結び、もやい結び、一重結びに挑戦。自衛隊員の説明に耳を傾け、悪戦苦闘しながらも、それぞれの結び方を習得した。ライフハックでは新聞紙を使用した簡易食器作りと、水だけで作れる非常食調理に励み、試食も行った。
救急法の講習時には応急の止血法や、毛布と角材で組んだ担架の作製を学んだ。
佐野区の坂本眞一郎さんは「日頃、区内でも防災について意見を交わすなどしていますが、有意義な時間を過ごせました。改めて知識を確認できた」。
生徒の德村奏磨さんは「難しいところもあったけど、勉強になった。いつ起きるか分からない災害。もしもの時には自分の命を守ると同時に、学んだことを生かして人を助けられるようになれれば」と話していた。
(2024年2月22日付紙面より)
東牟婁地域でウェブ会議
「東牟婁地域等における大規模氾濫減災協議」が19日、インターネットのウェブ上であった。東牟婁地域で河川がある市町村や、国・県の関係機関などが参加。流域治水に関する取り組み内容の報告を受け、共有した。
各機関の担当者より、減災の取り組み方針や▽古座川▽太田川▽那智川▽佐野川▽周参見川―の流域治水についての説明があった。
全体的な課題として「水害リスクの空白域が存在」「主要河川以外のハザードマップの作成、避難場所、避難経路の見直しが必要」「避難場所・避難経路の見直しに伴う避難誘導の案内看板・誘導灯などの検討が必要」などが告げられた。
古座川、太田川、那智川、佐野川では▽河川改修▽砂防えん堤整備▽森林整備・治山事業―などの実施報告があった。防災教育や災害情報の伝達、河川監視カメラの設置、避難情報の判断などの言及もあった。他地域での流域治水の優良事例の紹介も行われた。
(2024年2月22日付紙面より)
武者修行プログラムで (那智勝浦町 )
那智勝浦町のコミュニティ消防センターで19日、株式会社旅武者が提供する「地方創生イノベーション武者修行プログラム™」の最終発表会があった。全国から集まった大学生14人がホテル&カフェバー「WhyKumano」オーナーの後呂孝哉さんらにビジネスプランを発表し、二つが採用となった。
ビジネスのリアルを経験する短期集中・実践型プログラム。町内で実施するのは7回目で、テーマは「新しい旅のコンセプト『アルベルゴ・ディフーゾ』~海外観光客向けにゲストハウスの新規サービスを開発~」。
学生たちは2週間かけて観光客らへのインタビューや商品開発、販売・効果測定を展開。最終発表では4チームが▽勝浦マグロジャーキー▽ナッチーバー・おつまみなっちー▽『Bie―Kumano』物販事業プラン▽WhyKibori―を提案した。
採用となったチーム愛燃の「ナッチーバー・おつまみなっちー」は、朝食にぴったりで、おつまみアレンジもできるシリアルバー。「那智黒あめ」を参考に黒糖を使い、アクティブに動く熊野古道歩きの観光客の手軽な栄養・カロリー補給アイテムになる。植物由来の食材を使うことで、ビーガン(完全菜食主義者)の食需要にも応える。
チーム愛燃の大橋さくらさん(19)、浅尾寛太さん(22)、黒沢龍己さん(19)、嶋田心さん(19)は、11日の中間発表時点では具体的な案を出せずに0点評価と苦戦。「偶然持っていたナッツに那智黒あめを絡めてみたことがきっかけ。宿泊中のお客さんに提供すると好評で、改良が楽しかった」と振り返った。
チーム感覚派の「勝浦マグロジャーキー」は、捨てられがちなマグロのあらを活用したジャーキー。味と保存方法などの改善すべき点があるものの、今後も開発をやりきることを条件に採用した。
後呂さんは「正直、ビジネス経験のない学生に飲食提案は無理だろうと思っていたが、ここまでちゃんとしたプランを持ってくるのは予想外。若い人たちの底知れぬ力を感じた」と語り、2案について「実際にお客さんに提供するのが楽しみ」と話していた。
(2024年2月22日付紙面より)
和田禎佑杯サッカーU―9
てとて杯U―12サッカー大会
上がり子有志が波受ける (王子ヶ浜で「海中みそぎ」 )
新宮市の神倉神社で6日夜に営まれる「御燈祭(おとうまつ)り」に向け、上(あ)がり子有志5人が同日午前7時ごろ、市内の王子ヶ浜で古式にのっとった「海中みそぎ」に臨んだ。コロナ禍に伴う中断を経ての再開となる。上がり子らは水平線から昇る朝日に向かって一心に祈り、心身を清めた。
海中みそぎは同市下本町の自営業、水野晴夫さん(73)らが中心となって始めて30年以上になる。同日正午ごろにも行われている。
白ふんどしに着替えた上がり子たちは、砂利浜に設けられた祭壇を前に、神倉神社に向かって遥拝(ようはい)。準備運動を兼ねた神事「鳥船(とりふね)」の後、海に入り、神職の福井鉄(まかね)さん(64)の祝詞の下、水平線に向かって手を合わせた。
水野さんはみそぎを始めたきっかけを「かつて御燈祭りが、酒を飲み暴れるけんか祭りのイメージで語られていた。もっと大切にしようと、昔の人々が個人でやっていたみそぎを復活し、ただのけんか祭りではないことを知ってもらおうと始めた」と明かす。
4年ぶりに上がり子が参加できることに歓喜する。一方で「コロナ禍に伴う中断の間にみそぎに来られなくなった人もいる」と肩を落とす。
昨今のロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの衝突、能登半島地震など、不幸続きに心を痛めていると説明。「今日は世界の平和と平穏無事を祈願したい。自分のことは浮かんでこなかった」と心境を語った。
新宮市千穂の西浦昭好さん(56)は「みそぎには毎回参加している。今日は上がり子としては4年ぶりということもあり、すがすがしく気持ち良かった。風もなく、海水温も高い日だった。今日は自分の健康と、家族の健康を祈願したい。健康が第一」と述べた。
(2024年2月7日付紙面より)
防災行政無線で体制整備 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は、防災行政無線で津波に関する緊急情報(大津波警報、津波警報、津波注意報)を発出する際に、日本語に続けて、英語の音声放送を行うよう体制を整備した。新宮・東牟婁郡内では初の試み。
外国人観光客や宿泊客が多い同町では、かねて緊急情報を多言語化する必要性を認識していたが、全国瞬時警報システム(Jアラート)による音声放送は日本語のみ。緊急性の高い津波災害を対象に始めた。
町内放送を行う際には、Jアラートのサイレン・日本語放送直後に、町が手動で英語音声(録音)を流す。町役場に設置される防災対策本部や、2022年に高台移転した町消防・防災センターが放送の役目を担う。
堀順一郎町長は「現状は英語のみだが、TSUNAMI(ツナミ)は世界共通語のため、多くの外国人の方に認識していただけるのでは」と話す。
同町では観光庁監修の訪日外国人旅行者向け災害時情報提供アプリ「Safety tips」の普及にも取り組んでいる。緊急地震速報、津波警報、気象特別警報、避難勧告などをプッシュ型で通知でき、14カ国語に対応。町の観光案内所で外国人観光客にチラシを配布している他、観光事業者向けの防災研修でも周知。引き続き外国人観光客や町内在住の海外出身者の安全確保へ積極的に取り組んでいく姿勢を見せている。
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■英語の放送
【大津波警報・津波警報】
Tsunami Warning! Tsunami Warning!
Evacuate immediately to High place.
(津波警報!津波警報!直ちに高台に避難してください。)
【津波注意報】
Tsunami Advisory issued. Leave coastal regions.
(津波注意報が出されました。沿岸地域を離れてください。)
(2024年2月7日付紙面より)
串本けいさつ友の会フェス (串本町 )
串本町文化センターで3日、イベント「串本けいさつ友の会フェス」があり約400人(主催者発表)が演奏会や講演、寸劇や体験などを通して警察と共に地域の治安向上を図る機会を得た。
このイベントは、新宮警察署(井田昌樹署長)と串本地区警察官友の会(小森正剛会長)が主催。防犯や防災の意識を高め、ひいては地域の治安向上を図りつつ、住民と共に努める警察への理解を深める機会として計画し、来場者数把握のため事前予約制で来場を呼びかけた。
内容の主軸は大ホールでのステージ企画で、主催者を代表して小森会長が同友の会の活動趣旨を伝え「われわれ住民が警察活動に対する理解を深めれば、治安や地域の発展、福祉の向上に貢献できる」と思いを掲げて来場を歓迎し、県警察音楽隊と県立串本古座高校吹奏楽部が合同演奏で開演を飾った。
続く講演会では接遇講師として著名な平林都さんが「社会人としてのマナーとは」と題して登壇し、相手への気遣いの大切さを伝えた。寸劇では同校演劇部と同署署員が交流サイト(SNS)の危険な側面(ストーカー被害)、キャッシュカードのすり替え(預貯金詐欺)やパソコンのウイルス感染を装い電子マネーによる支払いを迫る(架空料金請求詐欺)など実際に発生している特殊詐欺事例を実演。部員の迫真の演技と署員のユーモアを交えた演技で緩急をつけながら、これら犯罪の被害に遭わないための発想を促した。
終盤では県警察音楽隊が単独演奏を響かせ、井田署長があいさつを述べて締めくくった。ステージと並行して1階ロビーでは警察活動越しに見た被災を伝える災害写真パネル展があり、ステージ開演前などで鑑賞を集めた。駐車場では白バイやパトカーの乗車体験や県の地震体験車「ごりょう君」による大きな揺れの体験といった機会の提供もあった。
(2024年2月7日付紙面より)
神事で供える特殊な餅 (御燈祭り )
新宮市の熊野速玉大社双鶴殿で6日午前、4年ぶりに一般参加の上(あ)がり子を迎え斎行される夜の御燈祭(おとうまつ)りで神倉神社神殿に供える特別な餅「かがり御供(ごく)」作りが行われた。祭りで介釈(かいしゃく)を務める神倉青年団員らが、祭りで使用するヒノキの介釈棒で回りながら餅をついた。
この日は団員をはじめ上野顯宮司、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長ら約15人が参加。ふかしたもち米を石臼の中に入れ、8升分をついた。出来上がった餅は細長く伸ばしてはさみで約3㌢の正方形に切り、3枚に合わせてわらひもで十文字に縛り、男結びにしていった。
神倉青年団の中山忠吏さんは「前日に降った雨の影響が心配でしたが、いい天気に恵まれて安心しています。御神火を頂く大松明(おおたいまつ)を持たせていただく立場として、しっかりと上がり子に火を届けていければ。みんながけがのないよう、祭りに奉仕していきたい」。
上野宮司は「昨日は清めの雨をしっかり頂き、春を思わせる天候で当日を迎えることができてすがすがしい気持ち。うれしさと同時に緊張の面持ちで斎行していきたい」と話していた。
(2024年2月7日付紙面より)
11日、午前11時スタート
地元説明会で住民が要望 (八郎山トンネル問題 )
施工不良で工事のやり直しが決まっている「八郎山トンネル」問題について、和歌山県東牟婁振興局新宮建設部工務課は1月30日夜、那智勝浦町の中里会館で地元説明会を開いた。地域住民の約30人が参加。無念をこらえ早期完成を求めた。
那智勝浦町と串本町を結ぶ「八郎山トンネル」は、2023年12月に開通を予定していたが、施工不良が発覚。代表工事業者である和歌山市の淺川組が、約2年をかけてやり直しの工事を行うことが決まっている。
説明会では、トンネルのコンクリート壁が規定の厚さを確保できておらず、空洞もあちこちにあること、中心が最大14・4㌢ずれていること、アーチ形の骨格部分「支保工」にずれが生じていることなどが語られた。「コンクリートをはがし、支保工もやり直す」などと伝えられた。県の検査不足も認めた。
参加した住民からは「(大型の工事の)車が(地域を頻繁に)通るのも我慢し、みんなが用地買収にも協力してくれて、やっと通れると思ったのに、(施工不良の)話を聞いて、みんながショックを受けた。また2年待たないとならないのか。一日でも早く完成させ、通れるようにしてほしい」との声が上がった。
他の住民からは「やっと(工事の)トラックが少なくなるとほっとしていたのに、また増えることに。工事の関係で台数が増えるときは、事前に教えてほしい」との要望があった。県は「淺川組に、地元に分かるようにと指導する」と応じた。
工事車両の通行速度についても「ダンプカーは(地域住民に配慮して)遅いスピードで走るが、コンクリートミキサーや他の工事車両は速い」と苦言を申し入れた。
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トンネル手前の盛り土部分について、当初は新宮市の相賀と高田をつなぐ、国道168号の2号トンネル(仮称)の掘削土を使う予定だったが、基準値を超える有害物質が確認され、使用できなくなっていた。
これについて県は、別の工事で発生した掘削土を、安全性を確認した上で使用するなど「状況を見て土を入れる」と伝えた。
(2024年2月1日付紙面より)
古座川町で子育て講座 (県教育委員会 )
古座川町高池にある中央公民館で1月29日に県教育委員会主催講座「こころが軽くなる子育て講座」があり、主催者を含め20人が受講して日頃の子育てやその支援の一助になる気付きを探り得るなどした。
この講座は、地域の人材を活用し地域ぐるみの子育て体制を整備する趣旨で年2回、県の北部と南部に会場を設けて開いている。参加対象は保護者やその支援者ら。この日は本年度2回目の実施で、県内の上級かんぶつマエストロ第1号でNHK・Eテレへ講師出演した経験もある乾物卸売業「株式会社野田商店」(海南市)の代表取締役社長・野田智也さんが演題「日本の伝統食『かんぶつ』を次世代へ~子どもたちへ一生のプレゼントを~」を掲げて登壇した。
序~中盤は講演で、野田さんは物流の発達により生鮮食品が主流化し調理に手間がかかることもあって消費が減少している乾物だが、ただ乾いているだけではなく先人の知恵が培った保存性の高さや「UMAMI」という共通語が生まれるほど世界からも注目されている自然のうま味の凝縮(だしの文化)など秀でた魅力が詰まっているとしてそのイメージをアップ。乾燥昆布に含まれるうま味成分「グルタミン酸」の量は母乳や羊水とほぼ同じだと紹介し、胎児期の感覚を思い出させるつもりで子どもたちの食事に取り入れてその良さを伝えてほしいとした。
固定的に捉えられがちな乾物の食べ方に幅を持たせるため、水以外で戻す方法や調理法のアレンジも紹介。終盤は乾物スイーツ店「3時のかんぶつ屋さん」オーナーの手腕でレシピ「あべかわ麩(ふ)」の作り方を実演紹介しながら、情報交換をするなどした。
(2024年2月1日付紙面より)
認知症サポーター講座 (太地中 )
太地町立太地中学校(山本佳人校長)で1月25日、認知症サポーター講座が開かれた。2年生16人が、認知症の人への接し方や自分にできるサポートについて考えた。
毎年2年生が受講している講座。町の福祉に関わる株式会社下里福祉つつじ園の看護師・川口利恵さん、太地町地域包括支援センターの社会福祉士・植本亮太さん、主任ケアマネジャー・𠮷川功さん、町役場住民福祉課の保健師・前田かなみさんの4人が来校した。
川口さんは最初に「『最期まで自分らしくありたい』というのは誰もが持つ願いだが、それを阻んでいるのが認知症。もし自分が将来認知症になっても、住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、一人でも多くの人に認知症の人やその家族の応援者である『認知症サポーター』になってほしい」と講話。
脳の障害がもたらす記憶障害や理解・判断力の低下、見当識障害、言語障害(失語)などに触れつつ「認知症で失敗が増えても、周りの理解があれば心穏やかに暮らせる。大事なのは安心できる人間関係」と語った。
寸劇を交えて認知症患者の人との接し方を考える時間もあり、自分事として言葉遣いや態度、話すスピード、取るべき行動について意見交換した。講座後には生徒にサポーターの証しであるオレンジリングが配られていた。
(2024年2月1日付紙面より)
緑丘中で地震火災避難訓練 (新宮市 )
新宮市立緑丘中学校(宮本雅史校長、生徒221人)で1月29日、地震火災避難訓練があった。市消防署の沖﨑勝己副署長と大江郁也消防副士長の立ち会いの下、生徒らは避難時における対処や経路などを確認した。
同校では、災害時に迅速な避難ができるよう年に3回実施している。この日は震度5強の地震が起こった後、2階の第2理科室から火災が発生したと想定。生徒は身の安全を確保すると、教職員の指示に従いながらグラウンドへと逃げた。
後半には消火器の取り扱い方法の説明もあり、各学年の代表生徒と教職員が「火事だ!」と声を上げながら訓練用消火器で練習に取り組んだ。
訓練を見守った沖﨑副署長は避難の時間、経路、ルールが大切と述べ「迅速に落ち着いて避難できたと思います。とにかく人命第一。『自分の身を自分で守る』ということを忘れないでください」と講評。
宮本校長は「災害はいつ、どこで、どのような形で起こるか分かりません。想定通りとなるとも限らないため、2次避難を踏まえ自分たちで考えることが重要。この訓練を別の場所でも生かせるよう、意識してもらいたい」と呼びかけていた。
(2024年2月1日付紙面より)