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2021年01月31日
1 悔いのない中学生活送って
 和大観光学部LIPとオンライン交流  (新宮市立高田中 )

 新宮市立高田中学校(大家淳志校長)の生徒5人と和歌山大学観光学部の学生12人は29日、ウェブ会議システム「Microsoft Teams」を用いてオンライン交流会を実施。生徒と学生らはお互いの地域や学校の紹介などを通じて学びを深め、交流を図る機会とした。

 同大学観光学部では、地域でのさまざまな活動を通して実践的な学びを行い、現地の人との交流を通して地域課題の解決に取り組むことを目的に「地域インターンシッププログラム(LIP)」を実施している。

 一方、同市高田区では、魅力ある観光資源が存在しているにもかかわらず、若年層を中心に十分な誘客ができていない状況を鑑み、市は昨年4月に学生主体での新鮮な観光モデルコース造成を目的に同大学に対しLIP提案書を提出。採択された。

 このたびのオンライン交流会は、新型コロナウイルスの影響で現地研修の開催が困難な中において、少しでも親睦を深めることを目的に実施。同大学観光学部卒業生である市商工観光課の坂本直斗さんと、串本町出身で同大学3年生の谷口真弘さんが進行役を務めた。

 同大学は、観光学部や大学生の生活、和歌山市の観光などについて紹介。観光学部には▽観光経営▽地域再生▽観光文化―の三つのコースがあることや卒業後の進路などについて説明し、1年生の学生は、新型コロナの影響で7回しか大学に通えていないこと、前期授業はほとんどオンラインだったことなどを伝えた。

 緊張気味だった高田中の生徒らも、学生らと会話を重ねるうちにリラックスした表情に。「桑の木の滝」をおすすめスポットとして挙げたほか、同校では生徒数と教員数がほとんど同じであることや将来の夢、趣味などについて笑顔で説明。生徒全員で進めた、手作りマスク着用を推進する「一斉マスクの日」の取り組みも紹介した。

 学生は生徒らに対し「進学や就職など、これからどんどん自分の世界は広がっていきます。今しかできないことに力を注いで、悔いのない中学生活を送ってください」と呼び掛けた。

(2021年1月31日付紙面より)

緊張気味に自己紹介をする生徒ら=29日、新宮市立高田中学校
オンラインを通じて学校や地域を紹介し合った
2021年01月31日
2 児童の発表動画を鑑賞
 いきいきサロン浦神  (那智勝浦町 )

 いきいきサロン浦神(並川廣代表)は28日、那智勝浦町浦神の西区民会館で今年1回目のサロンを新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を講じた上で実施した。スタッフを含む24人が参加し、町立下里小学校の3年(現4年)生児童の浦神地区に関する劇や発表をまとめたDVDなどを鑑賞した。

 同サロンは一人住まいなどの高齢者が引きこもらず、集まって催しを楽しみ交流を深める居場所づくりを目的に2016年にスタート。毎年11月には豊富な出演者を招いたステージ披露や、多くの催しでにぎわう「浦神西福祉まつり」を開催している。

 DVDは児童が社会科の課外授業で浦神について探索し、その成果をまとめたもの。劇では児童が同地区にある防空壕(ごう)跡の洞穴から1890年にタイムスリップしてしまい、現在と過去の同地区を行き来するストーリーだった。

 劇後は児童が▽浦神の地名の由来▽寺子屋について▽脊美(せみ)祭り▽真珠養殖▽近畿大学水産研究所浦神実験所の養殖▽浦神の名字▽山口・熊野▽葬式の形と昔の遊び―などの発表があった。最後は児童が旧浦神小学校の校歌を歌い、共に口ずさむ参加者の姿もあった。

 続いて、浦神東区の勇義社による獅子舞の動画では「神明讃」「玉獅子」「扇喰い」「とび天狗(てんぐ)」の迫力ある4演目を鑑賞。最後はぜんざいや漬物が出され、歓談を楽しんだ。

 並川代表は「浦神地区のことを勉強してくれた児童の発表は直接、区民に見てもらう予定だったが、コロナのためかなわなかった。成果をDVDで見ることができて良かった。参加者の皆さんには一生懸命な児童の発表で感動していただき、獅子舞で気分的にも明るくなってほしい」と語った。

(2021年1月31日付紙面より)

児童の発表や獅子舞の動画を楽しんだ=28日、那智勝浦町の浦神西区民会館
2021年01月31日
3 「わがらで創る笑顔のまち」
 第10次長期総合計画素案を答申  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町長期総合計画審議会(会長=森川起安・南紀くろしお商工会長)は29日、同町役場で第5回審議会を開き、第10次那智勝浦町長期総合計画素案を堀順一郎町長に答申した。堀町長は「事業を進め、より良いまちづくりに努めていきたい」と計画実施に向け決意を新たにした。

 同審議会は、堀町長の諮問を受け、2019年12月から議論を重ね、第10次那智勝浦町長期総合計画の素案(計画年度:令和3~7年度)の策定を行ってきた。

 素案では「着実にわがらで創る笑顔のまち 那智勝浦」を将来像に据え、「住んでよかった・住み続けたい・住んでみたいまちの実現」に向け「災害に強い」「快適で安心して暮らせる」「活気ある産業で雇用が生まれる」「福祉が充実している」「豊かな心と地域文化を大切にする」「みんなの知恵と力が結集された」まちづくりを進めていくとしている。

 森川会長は答申に当たり関係者や町民への感謝を示し、堀町長に対し計画の達成に向け▽町民、各種団体、民間事業者および行政などのまちづくりを担うさまざまな主体が一体となった協働のまちづくりの推進▽新型コロナウイルスの発生などによる時代の変化に対応しつつ、町民ニーズを的確に把握し計画を推進するとともに、あらゆる機会・手段を通じて計画の周知に努める▽中長期的な財政シミュレーションや各種施策の優先度、有効性を総合的に判断し健全で持続可能な財政運営を図る▽重点事業については、那智勝浦町まち・ひと・しごと創生総合戦略として定期的かつ継続的に実施状況を把握し、適切なPDCAサイクルの構築に努める―を要望した。

 堀町長は素案策定に当たり50件を超える町民からのパブリックコメントを受けたと紹介。「町民からは前向きな意見も頂いている。審議会の皆さんに1年以上かけて議論いただいた素晴らしい計画」と感謝を伝えた。

 素案は3月議会に上程され、議決を経て計画策定となる。

(2021年1月31日付紙面より)

森川起安会長(右)が堀順一郎町長に第10次那智勝浦町長期総合計画素案を答申した=29日、那智勝浦町役場
2021年01月31日
4 ロゴマークが完成  熊野エリア観光推進実行委員会  
2021年01月31日
5 スマホ申告や入場整理券活用を  来月16日から確定申告  (新宮税務署 )
2021年01月31日
6 種牛共進会で優秀賞三席  山口昌一さんのまさなお号  
2021年01月31日
7 さまざまな種目に挑戦  市野々小で縄跳び記録会  (那智勝浦町 )
2021年01月31日
8 84人が試験に臨む  近大新宮高が前期入学試験  
2021年01月31日
9 熊野消防管内で5件の火災  成川小では本年度最初の避難訓練  
2021年01月31日
10 ユーモアあふれる大根  横川やえさんの自宅菜園で収穫  (那智勝浦町 )
2021年01月31日
11 お悔やみ情報
  
2021年01月30日
12 地元産野菜や魚味わう
 「学校給食週間」に熊野なまず登場  (新宮市 )

 文部科学省が定める「全国学校給食週間」(1月24~30日)に伴い、新宮市立の各小中学校では、地元産の野菜や魚などを使用した献立で給食を通した地元産業や食材・文化への理解を深める取り組みが行われている。

 日本の給食の歴史は1889(明治22)年にさかのぼる。戦争の影響などによって中断されたが、戦後の食糧難による児童の栄養状態の悪化を背景に、学校給食の再開を求める声が高まった。

 そんな中、1946(昭和21)年に米国のアジア救援公認団体(LARA=ララ)から給食用物資の寄贈を受け、翌年1月から学校給食が再開。同年12月24日に東京都内の小学校でLARAからの給食用物資の贈呈式が行われ、以来この日が「学校給食感謝の日」に。

 50(昭和25)年度から、学校給食による教育効果を促進する観点から、冬休みと重ならない1月24日から30日までが学校給食週間と定められ、全国では学校給食の意義や役割について考える機会にとさまざまな活動が行われている。

 新宮市では、好ましい人間関係を育み、良いマナーで気持ちよく食事をし、協力し合うことの大切さを指導しており、給食という生きた食材を通して正しい食事の在り方を指導している。

 王子ヶ浜小学校(山本眞也校長)では週間中の28日、市の第三セクターである新宮港埠頭株式会社(小池㬎二(けんじ)社長)が同市木ノ川の養殖場で完全養殖を手掛ける「熊野なまず」のフライが献立に初登場。

 「熊野なまずは熊野の山から流れるきれいな水を使って、卵から大人になるまで新宮市の池で育てたなまずです」などと説明を受けた児童らは「おいしい」と感想を口にしながら地元産食材への関心を深めた。

 市内の学校では、熊野なまずの他にも地元産の小松菜や鯨(和歌山県提供)などを使用したメニューが登場している。

(2021年1月30日付紙面より)

「熊野なまず」の説明を受けつつ舌鼓を打つ児童ら=28日、新宮市立王子ヶ浜小学校
2021年01月30日
13 税を意識するきっかけ得る
 古座小6年、租税教室参加  (串本町 )

 串本町立古座小学校(貴志純子校長)の6年生13人が28日、租税教室に参加し税制度を意識するきっかけを得るなどした。

 この教室は、新宮・東牟婁租税教育推進協議会が新宮税務署管内の教育委員会や学校に呼び掛けて実施。税務署や市町村税務課の職員、税理士や納税協会職員といった税制度に関わっている人材を外部講師として派遣し、児童や生徒が税制度を考える機会を学校の希望に応える形で届けている。

 串本町は町立小中学校計13校が例年受講し積極的な姿勢で感謝を受けた経緯がある自治体だが、本年度に限ってはコロナ禍の情勢に伴い実施は学校によってまちまち。そのような状況の中、古座小は6年生を対象にして開くことを同協議会に希望し、同署の宮澤拓哉・国税調査官を迎えて参加するに至った。

 宮澤さんは児童に身近な消費税を振り返って税金への関心を引きつつ、映像教材(国税庁作品「マリンとヤマト 不思議な日曜日」)を上映。その内容の振り返り発表や、平均的な学校を一つ建てるのに必要な予算(約13億円)、小学校入学から高校卒業までの間に使われる1人当たりの税金の額(1125万円)を紹介するなどして税の大切さの実感を託した。

 坂井陽向君(12)は「税金のある世界は平和で楽しく過ごせそう」と税の印象を話し、ない世界でしなければいけないことを振り返りながら「税は必要だと思った」と考えを深めた。

(2021年1月30日付紙面より)

新宮税務署の宮澤拓哉さんと一緒に税について考える6年生=28日、串本町立古座小学校
金額の実感を養うため1億円見本の重さを体験する坂井陽向君ら
2021年01月30日
14 初詣期間終え総括 熊野本宮よみがえり委員会 (田辺市本宮町)

 田辺市本宮町の熊野本宮大社と本宮町商工会、熊野本宮観光協会で組織する「熊野本宮よみがえり委員会」(会長・名渕敬熊野本宮観光協会会長)は28日、同町の「世界遺産熊野本宮館」で第5回委員会を開き、新型コロナウイルス感染症対策として講じた今年の分散初詣について総括を行った。

 同委員会は、参拝者に対し「新しい生活様式の実践例」に基づいた神事の斎行などを提案するため昨年7月30日に設立。

 新型コロナ禍中における分散型の参拝や観光の在り方などについて協議を行っており、132年ぶりに旧社地「大斎原(おおゆのはら)」での祈祷(きとう)を行うなど、初詣に向けた取り組みを実施してきた。

 委員会開催に当たり、名渕会長はあいさつを述べ「関係機関の方々の協力で初詣期間を無事終えることができた」と感謝。

 顧問の九鬼家隆・熊野本宮大社宮司は「県外の方は戸惑うこともあったと思うが、事故もトラブルもなく正月期間を終えることができた」と参拝者や関係者の協力に感謝し「本殿と大斎原が一体であると、改めて多くの人に知っていただけたと思い意義のある取り組みだった」と述べた。

 総括では、名渕会長が観光協会の立場から、昨年度約3800件だった宿泊予約が約6割の2100件であったことなどを報告。

 副会長の渕上太志・本宮町商工会長は分散参拝に伴う「初詣特別版熊野本宮まちめぐりマップ」の制作に関して「全体的にはいいものができたと思っている。今後もマップを活用し、まちなかを歩いてもらえるように提供できれば」と述べ、町内に設置した絵馬掛けについて「今後もまちを巡るポイントとしてそのまま維持できれば」と希望した。

 委員やオブザーバーからは「車の流れも少なく分散参拝という意味では結果的に良かったのでは」「分散の取り組みにおいて一定の成果が得られた」などの意見があった。

 昨年の三が日、同大社には約47万人が訪れたが、今年の初詣客は約8万人だったという。九鬼宮司は「同大社ではこれから春の大祭(本宮祭)も控えている。祭りだけではなく、観光協会、商工会の行事の際にも一致団結して本宮町を盛り上げていけたら」と呼び掛けた。

(2021年1月30日付紙面より)

正月期間を終え総括を行った=28日、田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館
2021年01月30日
15 自分たちで町をきれいに
 宇久井中学校が地域清掃  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)は28日、地域の清掃活動を実施した。美化部を中心に全校生徒63人が手分けし、宇久井ニュータウンや里地区、湊地区、宇久井海岸のごみを拾った。

 夏季休業前後に生徒有志で実施していた学校周辺の清掃活動から始まり、2015年からは全校生徒で取り組んでいる。

 開始に当たり坊校長は「今日の清掃活動は、自分たちの手で地域をきれいにするだけでなく、普段から学習や体験でお世話になっている地域の方々に恩返しをする目的もある。元気にあいさつし、頑張っている姿を見せてほしい」と話した。

 生徒たちは縦割りの6班に分かれて町を歩き、道端に落ちている菓子袋や食品トレー、空き缶、海岸に漂着したプラスチックごみを拾った。

 多かったごみは空のペットボトルで、町指定のごみ袋で可燃ごみが7袋、缶が2袋、瓶が1袋集まった。参加した教職員からは「去年よりも量が増えた」という声が聞かれ、今後の取り組みへの課題としていた。

(2021年1月30日付紙面より)

宇久井海岸の漂着ごみを清掃=28日、那智勝浦町宇久井
2021年01月30日
16 入賞作品14点を発表  第1回紙上短歌大会  (串本町 )
2021年01月30日
17 クレーンが転倒  新宮紀宝道路の建設現場で  (紀南河川国道事務所 )
2021年01月30日
18 懲戒処分などに対し説明  情報不十分に謝罪も  (新宮市 )
2021年01月30日
19 入学に向け一緒に遊ぶ  5歳児と1年生の交流会  (太地こども園 )
2021年01月30日
20 議長席で将来の夢を発表  勝浦認定こども園が社会見学  (那智勝浦町 )
2021年01月30日
21 令和7年度から建設を予定  東紀州広域ごみ処理施設  
2021年01月30日
22 正月の観光入込客数減少  三重県内主要20施設で調査  
2021年01月30日
23 木本総合2倍、紀南1・88倍  三重県立高校前期選抜の志願状況  
2021年01月30日
24 ズボンも選べるように  来年度から女子生徒の制服で  (矢渕中 )
2021年01月30日
25 お悔やみ情報
  
2021年01月30日
26 ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
 【第29回】毎日手作りじゃなくていい  

 毎日のご飯作り。はっきり言って、面倒ですよね。家にいるときはほとんどキッチンにいるという方も多いと思います。でも、そのご飯、本当に毎日頑張って作らなくちゃいけませんか? ほとんどのお母さんは、食事作りを子どものために頑張っていますよね。「手作りのものを食べさせてあげたい」「栄養を考えた献立にしてあげたい」など子どもたちを健やかに育てるための義務だと思って頑張っている方がほとんどだと思うのです。

 でも、この義務感がかえって食育上、問題を起こす可能性があるんです! 母親と父親の調理態度が、子どもの食態度にどう影響するかを調べた研究があります。その研究にこんな結果が書かれています。「『母親の調理頻度』のβ値は、男女ともにマイナス方向に有意であり、特に男子で大きい。すなわち、『母親の調理頻度』が高いほど、子どもは『共食の雰囲気』を楽しいと感じられなくなり、その傾向は男子で強い」(日本家政学会誌「母親と父親の調理態度が、家族の共食と中学生の調理態度に与える影響」、2007年)。

 驚きませんか? 料理を作れば作るほど、子どもたちにとって食事が楽しくないものになる!ってことですよ?「何のために頑張ってきたんだ」ってなりますよね。これはなぜなのか、それは、母親が調理をすればするほど義務感や負担感を強めてしまい、それを子どもが感じ取って「共食の雰囲気」の良さを阻害するからだそうです。毎日の料理に疲れて嫌々ご飯を作ってたこと、子どもにバレていたんですね。そのせいで、食卓が楽しくないものになっているんです。確かに、お母さんがいくら自分のためにお料理してくれても、お母さんが疲れていて機嫌が悪いと、おいしいとは思えなくなってしまいますよね。子どもたちはそんなお母さんの雰囲気を敏感に感じ取っているんです。

 要するに、私たち母親も、気分良く作れるときだけ作ればいいんです。いやだな~めんどくさいな~と思うときはやめた方が子どものためなんです! 外食をすることや、お総菜を買うこと、デリバリーに頼ることに、罪悪感は一切必要ありません。むしろ、その方が笑顔でいられるなら、子どものためになるわけです。子どもは、笑顔のお母さんが大好きです。疲れたとき、イライラしているとき、そんなときは思い切って、誰かが作ったものを「おいしいね~!」と笑顔でいただきましょう!

 そうすることで、子どもは安心するのかもしれません。

 お料理に疲れたら、作らないのが子どものため! これを合言葉に、笑顔で過ごせる毎日をお送りください。

(2021年1月30日付紙面より)

2021年01月13日
27 厄災払い、元気与えたい
 那智湾の夜空に大輪咲く  (那智勝浦町 )

 イベント企画などを行う田辺市の有志団体「Recvation(レクベーション)」(盛永大樹代表)が古座川町の一般社団法人樹木医甚兵衛や新宮市のTONGA(トンガ)から協賛金の協力を得て10日、那智勝浦町の那智湾でサプライズ花火を打ち上げた。厄災払いの意味も込められた3分間の花火は夜空に大輪を咲かせ、ブルービーチ那智に訪れた人々の目を楽しませた。

 同団体によると、新型コロナウイルスの影響で各種イベントが中止となる現状を受け「地域住民や子どもたちに元気と笑顔を与えたい」という思いで実施。昨年末には串本町でも花火が打ち上げられた。

 紀南学園の児童らが招待されたほか、会員制交流サイト(SNS)などで花火を知った人々がビーチに集まった。

 友人から花火の情報を得たという串本町在住の30代男性は「寒かったけど元気が出た。すごくきれいだった」と笑顔で話していた。

 次回は大阪方面での開催を予定しているという盛永代表は「協賛に手を挙げてくれる仲間がいてくれたおかげで無事終えることができた。コロナの終息を願っているがすぐには難しいと思う。皆さまの元気のためにもコロナの今だからこそ、諦めずに活動を続けていきたい」と語った。

(2021年1月13日付紙面より)

地域の元気のため夜空に大輪が咲いた=10日夜、那智勝浦町のブルービーチ那智
別角度からの花火
2021年01月13日
28 「開催して良かった」
 イルミネーション撤収作業  (「光の祭典in紀宝」 )

 光の祭典in紀宝実行委員会(西村喜久男会長)は9日、紀宝町大里のふるさと資料館前でイルミネーションの撤収作業を行った。

 町ににぎわいを創出しようと、毎年12月1日から1月5日まで点灯。期間中は、例年2万5000人ほどが訪れる「冬の風物詩」として定着している。

 今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、密になりやすいドームや迷路、光のトンネルを取りやめたが、クリスマスコーナーなどを新たに設置。期間中、かわいいキャラクターのオブジェや20㍍ツリーなどが暗闇に浮かび上がると、来場者がきらびやかな光のショーを見入っていた。

 撤収作業には実行委員とボランティア約30人が参加。設置したツリーや電飾などを片付けた。

 西村会長は「当初、開催するか悩んだが、イルミネーションを見に来てくれる人も多く、実施して良かった。例年のイベント『キラフェス』はコロナ対策として中止となったが、今年は開催できるよう早期の終息を願っています」と話していた。

(2021年1月13日付紙面より)

撤収作業に取り組むボランティアら=9日、紀宝町大里のふるさと資料館前
2021年01月13日
29 110番の適正利用促す
 管内の2カ所で広報啓発  (串本警察署 )

 串本警察署(﨑口忠署長)が10日、管内2カ所で110番通報制度の適正利用を促す広報啓発に取り組んだ。

 同日が「110番の日」に当たることにちなんだ活動。この記念日は緊急の事件、事故のための110番通報制度がその他用途で支障を来さないよう適正な利用を国民に呼び掛ける期日として1985(昭和60)年、警察庁が制定し翌86(昭和61)年1月10日から回を重ねている。

 和歌山県警察本部管内における2020(令和2)年の110番通報件数は6万3133件(1日当たり約173件)で、内訳は有効5万1717件(81・9%)、非有効1万1416件(18・1%)。非有効の主な内容は▽無応答▽間違い▽いたずら―という。

 同署管内の同件数は759件(1日当たり約2件)で、内訳は有効553件、非有効206件。非有効が全体の27%を占め、16(平成28)年時の40%から改善は進んでいるものの依然として県警管内においては高い比率で年次推移している。

 この日は地域課員10人が2組に分かれ、道の駅すさみと同くしもと橋杭岩の2カ所で啓発を実施。同くしもと橋杭岩ではマスコットキャラクター「きしゅう君」も登場して往来する観光客や住民の興味を引き、課員が手分けしてウエットティッシュや啓発チラシを配り適正利用を呼び掛けた。

 非有効には問い合わせや警察への相談も含まれているそうで、同課は緊急でない用件については串本警察署(電話0735・62・0110)や警察相談窓口電話(073・432・0110または#9110)を利用してほしいとしている。

(2021年1月13日付紙面より)

啓発物資を配るなどして110番通報の適正利用を呼び掛け=10日、道の駅くしもと橋杭岩
2021年01月13日
30 商売繁盛やコロナ終息など願い
 熊野速玉大社で恵比寿祭  (新宮市 )

 新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の熊野恵比寿(えびす)神社で10日、恵比寿祭(恵比寿神社例大祭)が執り行われた。「熊野ゑびす講」3代目会長の星谷千学さん(94)や神職が参列し、新型コロナの終息などを祈願した。

 例年では商売繁盛や家内安全などを願い、前日夜の宵宮から縁起物の福笹(ふくざさ)や熊手を買い求める多くの人々でにぎわいを見せる同大社の「十日えびす」。

 今年は、新型コロナウイルスの感染状況に伴い宵宮やぜんざいの振る舞い、餅まきなどが中止となる中、神事のみを斎行。えびす様の御利益にあやかろうと、縁起物を手にした地域住民らが続いて参拝した。

 神事を終え、星谷さんは「消毒など、コロナ対策を工夫しての祭りの準備をしていたが、感染状況を鑑み、取り止めざるを得ない状況となった」と祭りに対する思いを語り「地域の経済を豊かにするといった目的で先輩方が先導してきた祭り。神事はきっちりと執り行わなければならない。えびす様が応援してくれていることが頑張ろうという気持ちのもとになる。これからも信仰を厚くしていきたい」。

 上野宮司は「コロナ感染拡大や寒波など、厳しい時期だからこそ大きな御利益を頂けると思っている。コロナが終息し、来年こそは盛大に祭りを斎行することができると信じています」と話していた。

(2021年1月13日付紙面より)

地域の発展やコロナ終息を祈願し、星谷千学さんが玉串をささげた=10日、熊野速玉大社境内の熊野恵比寿神社
熊野速玉大社の上野顯宮司
2021年01月13日
31 定置網に入ったミンククジラ  追い出し困難で捕獲  (太地町 )
2021年01月13日
32 110番の適正利用呼び掛け  署員らが広報啓発  (新宮警察署 )
2021年01月13日
33 熊野地方でも雪景色  路面状況などに注意を  
2021年01月13日
34 コロナでもできる事業を  新宮JCが年頭祈願  (熊野速玉大社 )
2021年01月13日
35 感染拡大地域への往来自粛を  新型コロナ対応タイムライン  (紀宝町 )
2021年01月13日
36 道の駅を盛り上げたい  彦太郎さんがライブ  (ウミガメ公園 )
2021年01月13日
37 地区の安泰を祈り  梶鼻王子権現で例大祭  (紀宝町 )
2021年01月13日
38 コロナで出初め式式典中止  団員表彰は後日伝達検討中  (串本町・古座川町 )
2021年01月13日
39 コロナと寒波で利用ごく少数  望楼の芝キャンプ場有料期間  (串本町 )
2021年01月13日
40 お悔やみ情報
  
2021年01月10日
41 老朽化に伴い工事進む
 熊野速玉大社の「熊野神宝館」  (新宮市 )

 新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の「熊野神宝館」で、屋根のふき替えと下地の修繕工事が進んでいる。工事に伴い、同館は昨年10月から休館しており、3月末の工事完了を予定している(工事延期の可能性あり)。

 このたびの工事は老朽化に伴うもので、同大社は第1弾として屋根および下地、天井の修繕に着手した。

 同大社が発行する「国宝古神宝類」によると、1950(昭和25)年の文化財保護法施行以降、彩絵(さいえ)檜扇(ひおうぎ)5握をはじめとする多数の古神宝670(内容品、付属品を計上すると1204)点が55(昭和30)年に新国宝として指定を受けた。

 同館はそれを記念し57(昭和32)年に新築工事に着工したもので、敷地面積373平方㍍、鉄筋コンクリート造り彩色仕上げ、瓦ぶき屋根の建物は同年12月31日に竣工(しゅんこう)した。以来、60年以上にわたり国宝神宝類の一部、金銅装神輿(みこし)、朱塗り神幸船(しんこうせん)、糸巻太刀など、数々の重要文化財や県・市の指定文化財および古文書などを保存・展示してきた。

 同書によると、神宝(神の調度として皇室から献納された宝物)の全国的に現存する遺品は極めて数が少なく、わずかに熱田神宮、春日大社、嚴島神社、鶴岡八幡宮と同大社(阿須賀神社含む)とに限られており、また、同大社古神宝の調進年代など、各社殿別に品目を記した「熊野新宮御神宝目録」の写しが佐藤春夫の父・豊太郎によって21(大正10)年に奉納されている。

(2021年1月10日付紙面より)

今年3月末の完了目指して工事が進む「熊野神宝館」=6日、熊野速玉大社
2021年01月10日
42 「幸多き一年に」
 天御中主神社で例大祭など  (新宮市 )

 新宮市佐野の天御中主(あめのみなかぬし)神社(髙橋正樹宮司)で9日、例大祭と厄除(よ)け祈願祭、寿祭が営まれた。今年厄年に当たる人などが参列し、今年一年の無事や新型コロナウイルスの終息を祈った。

 例大祭では、髙橋宮司の祝詞奏上に続き、同神社氏子会の石垣倍生総代長、当家(とうや)当主の北道篤志さん、前田道春佐野区長らが玉串を供えた。新型コロナ感染防止の観点から、毎年大勢の地域住民でにぎわう餅まきは中止となった。

 同神社の例大祭は佐野区の上地、中地、下地、永田の4地区の持ち回りでしめ縄付け、餅作りなどの準備をする当家を務めている。今年は中地地区が当家を務めた。

 神事後、北道さんは「当主を務めることができて光栄。今年は新型コロナが収まり、皆さまにとって幸多い年となるようお祈りします」とあいさつ。

 石垣総代長は「皆さまのご健勝やご活躍、郷土繁栄、新型コロナの終息などを祈願しました」と話していた。

(2021年1月10日付紙面より)

一年の無事などを祈り玉串を供えた=9日、新宮市佐野の天御中主神社
2021年01月10日
43 今年一年の平穏など祈願
 初薬師の法要営む  (紀宝町 )

 新年最初の薬師の縁日に当たる8日、薬師如来をまつる各寺院で初薬師の法要が営まれた。紀宝町では鵜殿の醫王山(いおうざん)東正寺や、平尾井の平尾井薬師堂でも祭典が執り行われた。

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■東正寺



 紀宝町鵜殿の醫王山東正寺(片野晴友住職)では、本尊の薬師瑠璃光如来を開帳し、初薬師大般若会(だいはんにゃえ)を営んだ。寺の役員らが訪れ、家内安全、心願成就、疫病退散、新型コロナウイルス感染症の早期終息などを祈願した。

 普同三拝、心経読誦(どくじゅ)に続き、600巻の大般若経典を左右に波打たせながら一気に読む転読が行われ、参拝者らが順に焼香した。

 片野住職による法話では「続けることは根気がいるが、やるべきことを真面目に行えば、人は輝いてくる。まねを続ければ、やがてそれが本物になる」と話し、「普通の生活を送れることに感謝し、一日一日を大切にしてほしい。今日やるべきことはやって、明日目覚めなくても悔いが残らないよう努めて」と語りかけていた。

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■平尾井薬師堂



 平尾井薬師堂では毎年1月8日に営まれている「冬の大祭」が執り行われた。円通寺の山田耕治住職が読経し、一年の平穏、五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全などを祈願した。

 今年は新型コロナウイルス対策として、密にならないよう参列者を制限した。また、「薬師の庭」と呼ばれる境内で行っている餅ほりも中止とし、餅俵のみを供えた。

 参拝者は石段を登った先にあるお堂で鐘を突き、薬師堂に手を合わせた。参列した老人クラブ「平和クラブ」の林杜谷会長)は「新型コロナウイルスの終息と今年一年の平穏を願いました」と話していた。

 白河法皇が熊野三山に御幸した際、逢野細谷(相野谷)の地に薬師堂の建立を勅願し許されたのが熊野三仏平尾井薬師だという。

 薬師堂上の巨岩には、仏足跡と呼ばれる足跡の形が彫られ、高貴な方の参詣の証しとして刻まれたものといわれている。

(2021年1月10日付紙面より)

大般若経典を転読=8日、紀宝町の東正寺
平穏、豊作など願い冬の大祭を営む=同日、紀宝町の平尾井薬師堂
2021年01月10日
44 絵本で新年初笑い
 井関保育所に「よむよむ」  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町立井関保育所(桝本千惠美所長)で6日、絵本の会「よむよむ」による読み聞かせがあった。全園児15人が正月にちなんだ絵本に笑顔を見せ、楽しい時間を過ごした。

 町立図書館や保育所などで20年以上活動を続ける同会には町内在住の6人が所属しており、この日は中村起代子さんと伊藤松枝さんが来所した。

 園児は2グループに分かれて読み聞かせに耳を傾けた。大型絵本「おめんです」では、面の下に誰がいるのか予想し、面白おかしい回答に初笑い。おせち料理や年賀状、たこ揚げ、福笑いなどの正月の過ごし方を描いた「あけましておめでとう」や餅が大好きなお殿様が登場する「おもちぶとん」の世界に引き込まれていた。

 読み聞かせの後は、「たこのうた」と「カレンダーマーチ」を歌ってお礼をした。1月中は、保育所で羽子板やたこ揚げ、かるた、こま回しなどの正月遊びをする予定だという。

(2021年1月10日付紙面より)

「これはまる」を読み聞かせ=6日、那智勝浦町立井関保育所
2021年01月10日
45 市民の皆さまへお願い  田岡市長がメッセージ  (新宮市 )
2021年01月10日
46 ダウンロード数2300万件突破  接触確認アプリ「COCOA」  (厚生労働省 )
2021年01月10日
47 誰もがなる可能性のある病  那智中学校で認知症講座  (那智勝浦町 )
2021年01月10日
48 「浮島の森」の池も凍る  新宮市  
2021年01月10日
49 歯科口腔外科の診療を変更  職員不足で通常体制困難に  (紀南病院 )
2021年01月10日
50 自身と大切な人の命守るため  西田町長がメッセージ  (紀宝町 )
2021年01月10日
51 これで君も指文字マスター  やさしい初級手話教室  (紀宝町 )
2021年01月10日
52 お悔やみ情報
  
2021年01月08日
53 将来を展望するために
 児童が初の麦踏み体験  (太地学童保育所 )

 「朝、種を蒔(ま)け、夜にも手を休めるな。実を結ぶのはあれかこれかそれとも両方なのか、分からないのだから」(旧約聖書のコヘレトの言葉11章6節から引用)―。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する現代においてメッセージ性の強いコヘレトの言葉が注目されているという。この言葉に感銘を受けたと語る新宮市在住で太地町立子育て支援室・子どもの居場所づくり指導員の村上和弥さん。太地学童保育所を利用する児童14人と共に5日、那智勝浦町長井の2㌃の田んぼで麦踏み体験を行った。児童は初めての麦踏みを全力で楽しんだ。

 麦踏みはコロナ禍の中、自然に触れることで子どもたちが抱えるストレスや閉塞(へいそく)感を除き、互いに絆を深め合ってもらうことを目的に計画された。

 村上さんによると、麦踏みをすることで麦が倒れることを防ぎ、新芽が伸びて株分かれする「分げつ」が起きるほか、根の張りなどが良くなるという。説明を受けた児童は両足でカニ歩きをするように元気いっぱい麦を踏んでいった。

 昭和30年代には同地域にも農業の繁忙期には学校が休みとなる農繁休暇があったと述べる村上さんは「昔の人々は地域と密着しており、日本が農業を大切にしていたのが分かる」と推測。

 今回の体験については「野菜などを例に挙げると、スーパーで売られている姿しか知らない子どもが多い。種をまき、収穫するまでの期間やそこに喜びがあることを理解する『長いものさし』を持ってほしい。コロナ禍で先が見えない中だからこそ、将来を展望するための『種まき』の重要性に気付いていただけたら」と語った。

 麦踏みの様子を絵日記にする児童がいるほど盛況で、参加した太地小学校3年生の塩﨑心温(こはる)さんは「麦を踏むと枯れてしまうのではと心配した。踏むことで元気に育つと知ってびっくりした。楽しかった」と語った。

 なお、麦は6月に刈り取って製粉し、できた小麦粉でうどん作りを行う予定だという。

(2021年1月8日付紙面より)

麦踏み体験に取り組む児童=5日、那智勝浦町の村上和弥さん所有の田んぼ(太地学童保育所提供)
2021年01月08日
54 「おおきによ、また来てよ」
 ぱしふぃっくびいなす入港  

 新宮港に6日、おととし8月から約1年5カ月ぶりに日本クルーズ客船株式会社のクルーズ客船「ぱしふぃっく びいなす」(総トン数2万6594㌧、全長183・4㍍)が入港した。熊野の地に降り立った乗客らは、それぞれ観光バスやタクシーに乗車し、熊野三山などの観光を楽しんだ。

 クルーズ名は「新春 伊勢四日市・南紀新宮クルーズ」で行程は横浜―四日市―新宮―横浜。乗客は74人。「GoToトラベル」の一時停止によりキャンセルが相次いだという。

 同船は新型コロナウイルス感染予防と拡大防止対策として▽乗客数を定員(620人)の約半数(300人)とする▽乗船前のスクリーニングを実施▽マルチ空調システムで常に新鮮な空気を取り入れる▽レストランなど座席数・定員を減らす▽全員でマスク着用、体調不良の人は船医の診察を受ける▽寄港地でも船内同様の感染予防に努める▽乗組員の定期的な感染検査と予防教育・訓練に努める▽感染者が確認された場合はクルーズを中止し速やかに下船港へ向かう―の「びいなす安全八策」を講じた上で再開に至った。

 入港に当たり、同船は「クルーズ再開と寄港にあたり『持ち込ませない・うつさない・広げない』ために船内では『びいなす安全八策』を実施するとともに、寄港地でもツアーバス座席数の制限や、乗車時の検温・マスク着用など、クルーズ旅行全体の感染対策を徹底する」とコメントを寄せていた。

 感染防止対策のため入港セレモニーは実施されなかったが、平安衣装姿の女性や雅楽演奏が乗客らを出迎えた。

 夕方の出港時には、田岡実千年市長が「蘇(よみがえ)りの地 熊野」への来訪に感謝を述べ「当面の間は感染症対策を実施した上でのお迎えとはなりますが、梛(なぎ)の木見送り隊をはじめ、地域を挙げて歓迎させていただきたいと思いますので、また熊野・新宮へお越しを」と乗客らに呼び掛けた。

 太鼓演奏などによる見送りイベントは実施されなかったが、梛の木見送り隊や駆け付けた地域住民らが「さいなら おおきによ また来てよ」と見送り。船上からは「また来るよ」の声が響いた。

(2021年1月8日付紙面より)

市民らに見送られ新宮港を後にするぱしふぃっくびいなす=6日、新宮市
2021年01月08日
55 リラックスして全身ほぐす
 からだスッキリ教室  (紀宝町 )

 音楽に合わせたストレッチ・筋力アップエクササイズを楽しむ「からだスッキリ教室」が6日、紀宝町福祉センターで始まった。

 日頃の運動不足を解消してもらうことを目的に、町みらい健康課が実施し今年で6年目。新型コロナウイルス感染症防止の観点から、ソーシャルディスタンスを保てるよう、マットの上でできるストレッチや筋力アップエクササイズを中心に行うこととした。

 20日(水)までに3回の教室を開き、1時間の運動に取り組む。11人が参加し、初回は体組成測定器で体重、筋肉量などを測定した。

 講師はスポーツインストラクターの田畑麻子さん。10年前から各地で指導しており、これまでの経験を生かしたオリジナルストレッチを教えた。

 会場にはリラックスできる音楽が流れ、参加者は呼吸を意識しつつ、1時間かけて全身をゆっくりほぐしていった。田畑さんは「体を温めながら全身を使って楽しみましょう」などとアドバイスした。

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■参加者募集中

 みらい健康課では、27日(水)、2月3日(水)、10日(水)に開催する同教室の受講生を募集している。いずれも午前10時30分から11時30分までで、場所は同福祉センター。

 運動しやすい服装で参加し、飲み物、タオル、ヨガマット(なければバスタオル)を持参する。

 対象は町内在住の20歳以上で、申し込みは同課(電話0735・33・0355)まで。

(2021年1月8日付紙面より)

田畑麻子さん(左)の指導で楽しく体を動かす=6日、紀宝町福祉センター
2021年01月08日
56 たこ揚げやこま回し
 新木保育園で正月遊び  (新宮市 )

 「お正月にはたこ揚げて こまをまわして遊びましょう」。新宮市名誉市民の東くめ(1877~1969年)の唱歌「お正月」に歌われる正月遊び。空高く舞い上がるたこには子どもたちの健康と成長の願いが込められ、こま回しは「物事が円滑に回る」「お金が回る」に通ずることから縁起が良いとされている。

 同市の保育所型認定こども園「新木保育園」(斎藤広志園長、園児88人)でも毎朝、園児たちがこま回しの練習に励み、「エイヤ!」「すごい! 私もやりたい」と元気な声が響いている。

 7日には5歳児21人がこまやけん玉、かるた、すごろく、お手玉などの日本の遊びをした。こま回しではなかなか成功しないものの、ひもの巻き方を教わり、何度も挑戦する中で上達を見せた。

 3歳児23人は画用紙を使ってウシ型のたこ作りにチャレンジ。この日は天候にも恵まれ、園庭を一生懸命走って初めてのたこ揚げを楽しんでいた。

(2021年1月8日付紙面より)

大きな木製のこまを回す=7日、新宮市の保育所型認定こども園「新木保育園」
ウシ型のたこを飛ばす
2021年01月08日
57 感染拡大防止に向けた対応求め  関西広域連合が緊急提言  
2021年01月08日
58 オガタマノキが花咲く  那智勝浦町  
2021年01月08日
59 一年の無病息災願い  7日は「七草粥」  
2021年01月08日
60 平穏な一年を願いつつ 消防功労で瀧本分団長ら56人表彰 (熊野市消防出初め式)
2021年01月08日
61 1月は移動図書館を継続  町内各所で貸し出し  (鵜殿図書館 )
2021年01月08日
62 吹き抜ける寒風が花揺らす  樫野埼灯台周辺のスイセン  (串本町 )
2021年01月08日
63 仁徳たたえて墓石を移設  真砂の妙好人・玉置長兵衞  (佛光山善照寺 )
2021年01月08日
64 コロナ禍で本殿神事のみに  「水門祭」異例の規模縮小  (串本町 )
2021年01月01日
65 わがらのまちや!いっしょにやろらよ 人生100年時代。生涯現役社会の実現目指し (「新宮市生涯現役促進地域連携協議会」の取り組み)

 「わがらのまちや! いっしょにやろらよ」と唱(うた)う新宮市生涯現役促進地域連携協議会が厚生労働省「生涯現役促進地域連携事業」の採択を受けて約1年半が経過した。折り返し地点を迎えた今、これまでの歩みを振り返るとともに、残り約1カ年に懸ける関係者らの声を届ける。

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■厚労省「生涯現役促進地域連携事業」



 「人生100年時代」が叫ばれ、少子高齢化が進展し、労働力不足が問題となっている昨今。高年齢者雇用安定法で企業に65歳までの雇用確保が義務付けられており、企業を退職した65歳以降の高年齢者の多様な就業機会の確保が今後の重要な課題となっている。

 そんな中、働く意欲のある高齢者が能力や経験を生かし年齢に関わりなく働くことができる社会を目指し、国は2016(平成28)年4月に「生涯現役促進地域連携事業」を創設した。地方自治体が中心となって地域の関係機関で組織する「協議会」が、高年齢者の活躍の場を広げるためのさまざまな活動を行うもの。厚生労働省の公募に対して手を挙げた自治体が選定され、委託事業として活動を展開していく。事業実施期間は最大で3年度間。

 「『癒やしと蘇(よみがえ)りの地 熊野・新宮』におけるアクティブシニア生涯現役宣言〜わがらのまちや!いっしょにやろらよ〜」をタイトルに掲げて名乗りを上げた新宮市は19(平成31)年3月29日に厚労省に採択。和歌山県内で事業委託を受けた初の自治体となった。

 同(令和元)年6月に事業開始。同協議会ではこれまで各種生涯現役セミナーや中高年齢者向けの合同企業説明会などの開催、相談窓口の設置、同協議会への登録呼び掛けなどを通して中高年齢者の雇用の促進と生きがいづくりの場への参加などの支援を実施。20(令和2)年10月末現在で42人が登録し、これまで13人の就業希望者の雇用を見守ってきた。

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■市生涯現役促進地域連携協議会



 「生涯現役促進地域連携事業」の採択を目指し、新宮市生涯現役促進地域連携協議会(会長・田岡実千年市長)を設立したのが18(平成30)年12月6日。市と新宮商工会議所、(公社)市シルバー人材センターで構成される。

 「僕たちだけで計画を作ってやっていくわけにはいかない。高年齢者の方々に、自分たちが地域を盛り上げていこうという思いを持っていただきたいと強く思いました」。当時、商工観光課係長だった谷口洋平・企業立地推進課係長は事業タイトル「わがらのまちや! いっしょにやろらよ」に込めた思いをそう語る。

 採択までの道のりは平たんではなく、先立って採択を受けた近隣県の自治体に調査に赴き、何度も計画書を手直し。観光分野における地域の伝統や文化を次世代に継承していく担い手、そして農業・介護分野における人材不足を鑑み、重点業種を「観光」「農業」「介護」分野に設定し、「高年齢者の経験と技術の活用促進により若年層の人材不足を補いつつ、地域全体で生涯現役社会の実現に取り組む」を構想の核とした。

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■笑顔が語る「生涯現役宣言」



 新宮市は晴れて、全国14団体の一つとして平成31年度開始分の実施団体に採択。初年度には高年齢者を対象とした就労意識調査や企業向け雇用ニーズ調査、就労・社会参加情報提供サイトの開設などの事業を展開した。

 そして20(令和2)年、「野菜づくり体験~野菜を育てるには~」を皮切りに生涯現役スキルアップセミナーを開催。以降、「英語を学んで外国人におもてなし」「川舟下り船頭を知ろう!」「御燈祭(おとうまつ)り『たいまつづくり体験』」「郷土料理を作ってみよう」など、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、6回のセミナーを実施した。

 真剣な表情で積極的に学びを深めようとするセミナー参加者の姿からは就労と社会参加に対する喜びが伝わってくる。喜びを参加者同士で分かち合おうとする笑顔こそが「生涯現役」の証しだ。

 「コロナ禍の中、事業を行っていくのは困難。しかし、観光、農業、介護分野に重きを置き、生きがいづくりのきっかけになるようなさまざまな活動を展開していけたら」と同協議会事務局担当の西利行さん。21(令和3)年はフィールドワーク型の観光ガイド育成セミナーの開催も視野に入れているという。

 残り約1カ年。同協議会は高年齢者の就労ニーズにマッチする事業所につながりやすい環境づくりや各種セミナーの開催などを通して、さらなる生涯現役社会の現実化機運を醸成していく構えを示している。

(2021年1月1日付紙面より)

2021年01月01日
66 町内外から振興の波寄せる
 サイクルツーリズム活発化  (古座川町 )

 古座川町域のサイクルツーリズム振興が近年、にわかに活発さを増している。喫緊では古座川町が2町1社と連携協定を締結。今年は広域協力の拡大が注目される一年となる。

 サイクリング王国わかやまの舞台となるルート「WAKAYAMA800」の環境整備がいよいよ県南部に達し、昨年は町域でも自転車専用の青い道路標示や案内板類が整った。ルートの進行方向と分岐点を示すもので、これをたどって駆けるサイクリストを見掛ける機会も増えてきた。

 この人流を大きくつかみにかかるのがすさみ町。年次のサイクリングイベント「ライドオンすさみ」を2017年に立ち上げ、第2回から古座川町域をルートに組み込んだことで500人規模の参加者が同町域を通過するようになった。

 町内の振興着手も早く、古座川町観光協会(須川陽介会長)はおととし秋からクロスバイク(スポーツ自転車の一種)のレンタル事業を開始。愛好者だけでなくスポーツ自転車をまだ持たない初心者も気軽にサイクルツーリズムに親しめる状況を提供している。昨年は推奨3コースを設定し、道の駅一枚岩などと協力して道の駅虫喰岩以外でも乗り捨て(レンタル終了)できる状況を整備。期間限定のスタンプラリーも実施して利用を促している。

 これら上昇機運を素地にして昨秋、古座川町は先駆的にEバイク(電動アシスト付きスポーツ自転車)を運用するすさみ町、上富田町、南紀白浜エアポートの3町1社で連携協定を締結。スポーツ自転車の町域をゆうに越える行動圏を広域連携でしっかりと受け止めるための協力の根拠を宿した。

 川釣りにキャンプ、そしてサイクリングとレジャー要素を帯びた交流人口の幅が広がる古座川町。これらの人流を経済効果につなげる仕組みづくりはまだまだこれからといった状況だが、町外からの注目の勢いは着実に高まっている。

 サイクルツーリズムの潮流を引き込む最大戦力となっている同協会の須川会長は「信号のない町内はサイクリング向きと思い力を入れてきたが、ようやくここまできたかという心境」とコメント。今年以降の展開として「関西圏、次いで関東圏と誘客が広がる今後を期待し、グランピングなど滞在環境の充実やレンタル時の商品券付与、ツアー提供など地元経済に結び付ける策を団体連携で形にすることも進めたい」と思いを巡らせている。

(2021年1月1日付紙面より)

スポーツ自転車で地質資源巡り。古座川町観光協会はレンタル事業でサイクルツーリズムに親しむ機会を提供中(古座川町観光協会提供)
サイクルツーリズムで連携協定を締結。今後の協力の具体化が注目される(古座川町役場地域振興課提供)
2021年01月01日
67 ショーホエルとM地が歩く
 太地の魅力再発見ゆるツアー  

 取材で訪ねる太地町。捕鯨や移民の町として有名だが、近年ではクジラの学術研究都市を目指し、着々と計画が進められている。

 町立くじらの博物館はもちろん、町の玄関口である道の駅たいじ、古い町並みや管理の行き届いた多くのトイレ、町の各所にあるベンチなど魅力はさまざま。本当に素晴らしい町だと思う。

 この町の魅力をさらに知りたい思いから同町のガイド団体に協力を要請し、「ゆるい」魅力再発見ツアーを敢行した。

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太地を知りたい!



 前述の通り、知ったふうに述べるM地だが、名所やまちなかを全て知り得ているわけではない。

 「行ってみたい。知らない太地を知りたい! 誰かM地に太地を教えてください!」

 懇願の声を上げた途端、「仕方ないジオ」とあの甲高い声が聞こえる。

 声の方向を振り向くと、黒くてモサモサした見た目が有名で、ゆるキャラグランプリにも出場経験のある「ソレ」がそこにいた。

 そうです。同町唯一のガイド団体「たいジオ」の「ヨーホエル」だ! 3~4年ぶりに見た彼はなぜか小さくなっていた。聞くところによると、「ソレ」らは「ショー(小)ホエル」という名前らしい。この日はショーホエルと「たいジオ」の久世(くせ)滋子会長、鷲津恵美さんが、M地の身勝手な申し出を快く引き受けてくれた。さあ、ゆるツアースタート!太地を知りたい!

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イルカ…見えない



 まずは同町が取り組む「森浦湾鯨の海構想」の舞台となる森浦湾に設置された鯨類の観察が楽しめるという「海上遊歩道」へGO!

 検温、消毒、受け付けを済ませ、救命胴衣を装着するも時刻は日が陰り始めた午後4時前。ガーン…「見えない」。

 来るのが遅かったのか、寒さのためかお目当てのイルカは見えず…。いつもなら見えるのに…。「もしかしてこの生物のせい?」と心の中でショーホエルに八つ当たりするM地。気を取り直して次だ!

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燈明崎の隠れスポット



 次に案内していただいたのが燈明崎(とうみょうざき)。あれ、それって有名な名所では…と口から出そうな言葉を飲み込み、久世会長たちについて行くM地。すると、階段を下りきらず、横の道にそれていく。

 「地元でも知る人の少ない、大敷の見張り台です」と久世会長。目の前には広く海を見渡すことのできる高さ約3㍍の石造りの見張り台が現れた!

 燈明崎の階段を下りきった時、姿の見えないショーホエルの声が聞こえ、「柵が設置されている下を見るジオ」と叫ぶ。下を確認すると、歴史ある石積みが確認できた。

 「400年くらい前の石積みジオ」とショーホエル。M地が400年の根拠を問うと「きっと400年くらい前ジオ。言い続けていれば本当になるジオ」と開き直る。久世会長は「400年前から追い込み漁があったはず」とその理由を補足する。

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防空壕だったの?



 「太地に防空壕(ごう)あるの知らないですか」と鷲津さん。M地は同町を度々、訪れているがそのようなものを見たことがなかった。

 「あれ? これ知ってる」とM地。町立太地小学校付近にある穴ぼこだったとは。M地はこの穴ぼこはごみの一時保管所か、捕鯨に関する道具を置く場所だと勝手に想像していたのだが…。

 「これは防空壕ジオ。進むジオ」と姿は見えないが声が響く。仕方なく光源のない真っ暗な穴に入ることに。スマートフォンのライト片手にどんどん進んでいく鷲津さん。暗いのが苦手(文句ばかり)なM地はそろりそろりと後を追い掛ける。

 それにしても意外に穴が深い。数㍍進んだ所で一気に広くなった。なるほど、やはりここは防空壕だったのか。

 暗闇が怖いM地は無視してさっさと外へ。その後、久世会長は太地小に続く道の地面に無数に開いた穴を説明してくれた。

 「昔はこの道の半分は川だった。今は道になっているけど、下は暗渠(あんきょ=地下水路)になってます。この穴は雨水などを暗渠に逃がすためのもの」。鷲津さんは「太地は暗渠の町。避難路も多い」と話した。

 「津波が来た時ここで波が止まったジオ。ここで記念撮影するジオ」と突然現れたショーホエルが言った目の前には波切神社があった。

 なぜか背中のむず痒(がゆ)さがなくなった気がしたM地はそう言うならと仕方なく記念撮影。その際の様子がなぜか、たいジオのフェイスブックに掲載されているので驚いた。

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今後の「たいジオ」の活動は



 鷲津さんは「古式捕鯨は終わったが、その役割分担が名字になり、住んでいる人たちが歴史をつないでいる。その価値がすごい」。久世会長は「うまく言えないが、太地町はすごく住みやすい」とそれぞれ町の魅力を語る。

 ジオパークガイド研修で知り合ったメンバーが集まり、2014年に「たいジオ」は結成された。同町はもちろん、熊野地方の良いものをPRするためやジオの素晴らしさを子どもたちに伝えたい思いで活動している。

 活躍の幅が広がっていったそんなさなか、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。現在は実質的に活動を休止しているという。久世会長は「そもそも大きな構想があるわけじゃない。そのうちにまたユルく活動が始まると思う」。

 M地はずっと気になっていた。いつもあちらこちらで出現していた大きいヨーホエルを見掛けない。聞きづらいが勇気を振り絞り聞いてみた。

 鷲津さんは「ヨーホエルは丘クジラ界が退屈で逃げ出して太地に居候していた。どこかへ逃げ出したか、誰かに捕獲されたのでは」と話す。

 再びどこからともなく現れたショーホエルは「気が向いたらひょっこりと帰ってくると思うジオ」とつぶやいた。その時なぜか背中が軽くなったM地であった。

(2021年1月1日付紙面より)


イルカが見えないのはこいつのせい?
見張り台の上で案内する、恐れ知らずの鷲津さん
適当なことを口にするショーホエルたち

ショーホエルいわく、約400年前の石積み
防空壕だったの?
暗渠の穴が所々にある太地のまち

2021年01月01日
68 記憶から記録へ
 住民らが天満の地図作り  (那智勝浦町 )

 「昔の天満は栄えていた。床屋さんもいっぱいあって、正月前は大八車を引いて二河から買い出しに来た人もいた」—。

 そう語るのは「なちかつ古道を守る会」(太田耕二代表)の会員や天満地区(以後、天満)在住者、当時の天満を知る人たちだ。一同は互いの記憶を頼りに天満が栄えていた1960(昭和35)年前後の天満の地図を作成することを誓った。

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■天満の地図を作ろう

 同会のメンバーらは、天満を巡った際に過去の記憶が多くよみがえり、以前の地区を深く知りたくなったという。しかし、天満の詳細を記した文献や資料がほとんどないことに気付く。

 「ないなら記憶を頼りに後世に残す地図を自分たちで作ろう」と同会らの「天満の地図作り」がスタートした。

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■天満出身者やゆかりのある人が集まる

 同会では地図作りに最も必要なピースとなる「記憶」を集めるために、天満在住者や出身者、ゆかりのある人物、興味のある人に声を掛け、昨年11月16日に一同が集まった。

 この日、参加したのは同会の太田代表、中村明代さん、榎本幸子さん、引地裕子さん、柴田紀男さん・三弥子さん夫妻、市野々地区出身で那智中学校に通学した地庵(じあん)晋司さん、天満地区の越水政憲さん、汐﨑裕さん・せつ子さん夫妻。

 過去の思い出話に花を咲かせながら地図作りは進められた。

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■皆で話し合い進める

 「那智参詣曼荼羅(まんだら)絵図には天満の天神社と那智川河口にある船着き場の大黒船が描かれている」「日本地図を作った伊能忠敬(いのう・ただたか)が訪れた際は人数が多かったので分宿した話も残っている」「天満にブリキ屋があったの」「天神社は629年を超えるはず」「昔バスが通っていたなんて信じられない」「きれいな水路が豊富で、そこで泳いだり野菜を洗った」―。

 一同は互いの記憶を出し合い、相談しながら現在の天満の地図の上に過去にあった店などを記した。

 「田かき(代かき)がよく開かれていた。田んぼを平らにならすためのものだが、牛を飾って競争させりしてた」と懐かしみながら次から次へと地図を埋めていった。

  □     □

■参加者の思い

 那智中学校の通学当時の印象が色濃く残る地庵さんは「天満は大都会のようだった。各種専門の店がずらりと並んでいた。盆や正月の節季には一張羅に着替えた母と天満へ買い出しに行ったのを思い出す。今の子どもたちには想像がつかないと思うが、この地図はその証拠であり、貴重な資料」と振り返った。

 地元の越水さんは「昔を思い出すことができた。地図の完成が楽しみ。天満の人には見ていただきたい」。

 汐﨑さん夫妻は「できるだけ記憶にあることを伝えた。こういったものを作っていただきありがたい。若い方々にも完成した資料を見て天満に関心を持っていただけたら」と話した。

 太田代表は「古道を守る会は『歴史と文化と環境を守ろう』をモットーとしている。人によって記憶が違う部分もあるため判定はできないが、昔の天満の古い町並みを再現したかった。天満が栄えていたころの状況を今の人たちに知っていただけたら」と語った。

  □     □

■後世に残す

 旧那智町と旧勝浦町、宇久井村、色川村が合併し現在の那智勝浦町が誕生したが、それ以前の天満は店がひしめき、地区内外から多くの人々が買い物に訪れ活気にあふれていたという。

 「それらの事実や当時の様子を後世に伝えたい」という思いで始まった地図作りは同会を中心に進められ、11月26日に最終確認を行い、紙ベースの地図が完成した。

 その後、改良を加えて当時や現在の天満の写真とともに16ページ、B5判の冊子としてまとめられ▽概要説明▽那智参詣曼荼羅絵図▽天神社▽昭和35年当時の那智中学校周辺の航空写真▽上天満(かみてんま)区の地図▽下天満(しもてんま)区の地図▽地図作りに関わった人々の紹介―という内容となっている。

 冊子完成後は同町立図書館や町教育委員会に寄贈するという。なお、弊社の新年号の締め切りの都合上、製本された冊子は掲載できなかった。

  □     □

■記憶から記録へ

 完成した地図は今後、どのような形でこの地域に残り、後世に引き継がれていくのかは現時点では分からない。地図はこれから時を重ね、手に取る人々によってさらに磨かれていくはずだ。

 情報伝達技術が加速し発達する現代。しかし、最新の機器で検索しようとも、住民一人一人の思い出や体験などの情報に触れることはできない。

 その貴重な「思い」や「時間」が集められたこの地図が「記憶」から「記録」へと変わる瞬間が必ず訪れるはずだ。

(2021年1月1日付紙面より)

完成した天満の地図はこの後、冊子となる
記憶の地図を作るため一同が集まる
思い出を出し合った
2021年01月01日
69 いよいよ運用の初年度へ
 民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」  (串本町 )

 串本町の北端、田原区内(一部那智勝浦町域を含む)で建設中の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」。2021年度は工事が完了し運用が始まる初年度で、地域内外が待望する1号機打ち上げの瞬間もいよいよ目前に迫ってきた。

 国内では種子島、内之浦に続き3番目、世界では27番目にして初の民間設置となる同発射場。運用するスペースワン株式会社は一昨年に建設地を発表し、建設工事に着手した。浦神半島の付け根付近に射点を設け、国道42号串本町と那智勝浦町の町境付近に進入路を整備中。昨年秋には射場や組立棟と対の施設・総合司令棟も外観を見せ始め、住民の関心をにわかに高めるきっかけになっている。

 公表されている小型ロケットの大きさは全長約18㍍、直径約1・5㍍、重量約23㌧。打ち上げ後は3段式の固体燃料エンジンと4段目となる軌道修正用液体エンジンで徐々に加速し、先端のフェアリング(膨らんだ部分)に積載した人工衛星を高度500㌔の軌道へ放つ。

 初年度に1基、20年代半ばには年間20基の打ち上げが目標。目標に達すると3週間に1回は打ち上げがある計算になる。天候に左右されるため打ち上げ日時が定まるのは直前となり、事前には「打ち上げ期間」として示される、と同町は町民対象のワークショップ(WS)で伝えている。

 当初は21年中(12月)とされた1号機の打ち上げ。昨年10月実施のイベント「宇宙シンポジウムin串本」に登壇した同社・遠藤守最高顧問は「21年度の打ち上げを目指して頑張る」と表現して地元の協力を求めた。

 見学場所について那智勝浦町は早い段階から旧浦神小を公表し、串本町は田原海水浴場に仮設し同時に庁内想定する候補地で1号機を定点撮影し見学場の位置を決める考えで、1号機のみ樫野崎を町内の児童生徒ら専用の見学場所とすることも模索している。ロケットはおおむね南東~南(紀伊大島直上は避ける)へ飛ぶため、串本町はWSで「視界の妨げがなければほぼ町域全体で見られる」「ロケットが見られるのは打ち上げ直後のわずかな間だけ。以降は噴射炎と噴煙、音を頼りに目で追う状況になる」としている。

 公表されている1号機の見学場の許容量は2カ所計で5000人規模。他方で最初の打ち上げは2万人が見学で訪れる想定。民間ロケット発射場周辺地域活性化協議会が喫緊の課題として対策を模索しているが、今年もさらに検討を要する状況となっている。

 総合司令棟を有する串本町の田嶋勝正町長は「交通渋滞は今も懸念するところ。1発目は期待よりも不安の方が大きいぐらいで、田原の皆さんに賛成いただいたことが間違いとならないよう、受け入れの容量を慎重に分析しつつ支障のない方法を考えていきたい」とコメント。今年の力点について「町民の理解を深め、経済につなげる。今後を考えればいくらでもアイデアが出てくるので、その議論にみんなで挑戦して町が盛り上がる状況をこれから目指したい」と語った。

(2021年1月1日付紙面より)

射点における打ち上げイメージ図。2021年度中の実現が目指されている(スペースワン株式会社提供)
イベント「宇宙シンポジウムin串本〈第2回〉」。先端情報発信の場として回を重ねている
昨年11月末現在のスペースポート紀伊の進入路。総合司令棟が外観を見せ始めている

2021年01月01日
70 地域の踊りを後世に
 コロナ禍での祭りやイベント  (紀宝町 )

 2020年は、新型コロナウイルスの影響で地域の祭りや各神社の例大祭が中止や規模縮小になった。多くの観光客でにぎわう大きな祭りや、地域で長年受け継がれている盆踊りなども〝例年通り〟とはいかなかった。3密を避けるための苦渋の決断だったことがうかがえる。

 中止を決めた各地区の関係者は「今年(2021年)こそは」と話す。地域の行事や祭りは住民が積み上げてきた歴史と誇りが詰まっている。過去から引き継ぎ、未来へと継承していくことで、担い手が育ち「伝統」と呼ばれるようになる。

 伝統がいくつもある中で、昨年中止や延期になった紀宝町各地区の「踊り」にスポットを当てた。改めてその伝統の価値を再認識し、今年の祭りが一段と盛り上がることを願っている。

  □     □

■鵜殿ばやし



 鵜殿(うどの)ばやしは1992(平成4)年に誕生し、96(平成8)年に保存会(市川英美代表)が発足。うどのまつりや紀宝みなとフェスティバル、芸能発表会などで披露し、町村合併以前の旧鵜殿村運動会でも住民総出で踊ったという。

 保存会のメンバーは大人25人、子ども8人の計33人。毎月2回、ふるさと歴史館で練習している。例年、鵜殿小学校の運動会でも児童が踊り、矢渕中学校の地域学習でも教えているという。

 市川代表は「鵜殿ばやしの歌詞は『力を合わせて八丁櫓(はっちょうろ)をこげば』や『日本一の小さな村に』といった昔の鵜殿村の様子を盛り込んでいる。『沖を眺める』『網をたぐり寄せる』などの漁師のしぐさがある男踊りなので、元気よく踊っている。手を上げる角度、指先の力の入れ方など、難しい踊りなので大人でも覚えるのが大変。難しいだけに〝大好き〟と言ってくれる人も多い」と話す。

 昨年は新型コロナの影響で発表の場がなく、「今では鵜殿地区だけでなく、町内全体に広く会員を募集している。若い人に継承してほしいし、今年は発表の場が欲しい」と語る。

  □     □

■神内音頭



 11月23日の神内(こうのうち)神社例祭の日に合わせて開催する「神内まつり」。毎年、実行委員会を結成し、山車や神輿(みこし)が地区内を練り歩き、区民が神内音頭、紀宝音頭などを踊る。

 神内音頭は、神内まつり、夏の納涼大会のほか、神内小学校の運動会でも児童と保護者、地域住民が一緒になって踊る。子どもたちも慣れ親しんだ踊りだ。

 神内まつりは途絶えた時期があったが、四十数年前、住民同士の交流を深めようと結成した「神内を考える会」が復活させた。

 初年は獅子舞と神輿から始まり、2年目から山車も登場した。昭和40年代に区民から歌詞を公募して神内音頭が生まれた。以降、毎年途切れることなく続いてきたが、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となった。

 神内音頭は、タオルを首に掛けて踊るのが特徴。歌詞には「神内の名所の子安の宮は可愛(かわい)い産子(うぶこ)の守り神」「皆んなおいでよ神内の里へ春は桜で夏ホタル」「みさご岩から滝見下ろして人情深さは親ゆずり」など、神内の名所などを盛り込んだ。

 神内出身の福田丈太朗さんが作曲、振り付けは日本舞踊・哲泉流家元の外畑宗泉(弘江)さんが手掛けた。編曲は須川寿夫さんが担当した。

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■ほうき踊り



 「厄落とし」の観音として有名な井田観音。毎年、8月9日夜に境内で開かれている「納涼盆踊り」で、江戸時代から続く「ほうき踊り」が奉納されている。

 井田観音の観世音像は鎌倉時代のものといわれている。当時から多数の信者を有し、毎年3月の初午祭(はつうまさい)の日は遠近から参詣人が集まった。巡礼者が参道の両側に並び、大道芸人、露店も出てにぎわったという。

 盆踊りは江戸時代から続く伝統行事。毎年、やぐらを組みほうき踊りが行われる。稲の害虫を退治し、払う動きを模したもので地元の住民らが長さ約1・2㍍の「しゅろぼうき」を持ち、やぐらを囲んで太鼓の音と歌い手の音頭に合わせて踊る。

 一時途絶えていたが、地域の若者たちが伝統を継承しようと40~50年前に復活した。踊りを後世に伝えようと結成した実行委員会の前地敏久実行委員長は「3年ほど前には井田小学校で踊りを教えた。地区の子どもは少なくなっているが、伝統の踊りを受け継いでほしい」と話している。

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■薬師踊り



 白河法皇が建立を勅願したとされる平尾井の平尾井薬師堂(石負山(いしおざん)仏願寺(ぶつがんじ))。毎年、1月8日に「冬の大祭」、8月16日に「夏の大祭」が営まれている。夏は「薬師の庭」と呼ばれるお堂横の広場で地区に伝わる盆踊りが奉納されている。

 白河法皇ゆかりの盆踊りとして知られ、御前で村人たちが踊りを披露したところ、法皇が喜び、後世に残すように言われたと伝えられている。

 日の丸の扇を用いることが特徴で、音頭取りの口説きと太鼓に合わせて「平尾井甚句」「薬師踊り」など13曲を踊る。十数年前までは23曲あったという。

 地元の老人クラブ「平和クラブ」が薬師堂や石段の参詣道を含む広い境内の清掃管理などに努めており、林杜谷(もりひろ)会長(74)は「盆踊りは900年以上の歴史がある。子どもの頃の60年ほど前は100人くらい参加していた。この伝統を若い人に引き継いでもらいたい」と話している。

(2021年1月1日付紙面より)

うどのまつりで踊る鵜殿ばやし
地区総出で踊る神内音頭
江戸時代から続く「ほうき踊り」
900年以上の歴史を誇る平尾井薬師堂の盆踊り
2021年01月01日
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84 北山村から全国各地へ じゃばら事業の発展と観光施策 
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