推進室と感染症対策室を設置 (新宮市 )
新宮市は25日、今後の新型コロナウイルス感染状況に対応し、迅速かつ柔軟に対策を講じるため、「新型コロナウイルス感染症対策室」を再設置するとともに、ワクチン接種を迅速かつ適切に実施していくため、「新型コロナワクチン接種推進室」を設置した。
厚生労働省では、安全で有効なワクチンが承認され供給できるようになったときには医療従事者などへの最初の接種が2月下旬から始められるように準備を進めており、その後には高齢者、基礎疾患を有する人などの順に接種を進めていくとしている。
ワクチンは原則として、住民票所在地の市町村の医療機関や接種会場で接種を受けることになる。
市は、市民へのワクチン接種を最優先事項と位置付け、市保健センター1階にワクチン接種推進室を設置。同日朝に市庁舎で推進室設置に伴う人事異動発令式があり、田岡実千年市長が田中幸人・健康福祉部長兼新型コロナワクチン接種推進室長事務取扱いら5人に辞令を交付。
「ワクチン接種は今年前半の最優先事項。国の動きにはまだまだ流動的な部分はあるが、ワクチンの供給が開始されたら希望する市民に円滑かつ迅速にワクチン接種を受けていただけるよう私も全力を尽くす」と訓示した。同推進室の業務は、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関すること全般となる。
市役所別館の高齢者相談センター会議室に再設置された新型コロナウイルス感染症対策室では、室長の山下泰司・防災及び危機管理担当部長以下4人の職員が業務に当たる。
設置に当たり、山下室長が「対策室一丸となって、市民に寄り添ったきめ細かい対応を」と職員らに呼び掛けた。
主に▽新型コロナ対策に係る情報収集および発信、相談業務、課題の整理などに関すること▽新型コロナウイルス感染症対策本部会議に関すること―などの業務に従事する。
両室とも、開設時間は土・日・祝日を除く午前8時30分~午後5時15分。ワクチン接種推進室への問い合わせは電話0735・23・4511。感染症対策室は0735・29・7358(直通)もしくは0735・23・3333(内線8603、8605、8606)。
(2021年1月26日付紙面より)
三尾川小の4~6年生7人 (古座川町 )
古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(山本健司校長、児童9人)の4~6年生7人が22日、卒業証書用の和紙を手作りした。先だって21日は、全校児童と教職員ではがき大の和紙作りに挑戦。全員で古く古座川流域でも盛んだった製造文化の一端に親しむ機会を持った。
この活動は、約20年続いている児童自ら卒業証書用の和紙を作る取り組みから派生した全校規模のふるさと学習。児童数減により近年は4~6年生が3年ごとに一丸で取り組むようになり、その時に1~6年生と教職員全員で練習を兼ねてはがき大の和紙作りにも挑戦する形となっている。
本年度はその巡りの年に当たり、児童は昨年11月13日に作り方を教えてくれる外部講師の谷本節代さん(76)と共に重畳山(かさねやま)一帯へ赴き材料となるガンピの枝を採集。以降、地道に樹皮をむいて細かく切り刻むなどの準備を進めてきた。
初日は全校児童と教職員全員ではがき大の和紙作りに取り組み、草花を繊維の間に挟み入れた作品を作った。2日目は本番の卒業証書用和紙作りで、4~6年生7人が40㌢×30㌢の型枠にミキサーでほぐした樹皮60㌘分の繊維を流し入れ、しっかりと水抜きをして成形。繊維を型枠へ流し入れる時には均一に広がるようにし汚れた繊維をこの段階で取り除くこと、水抜きをする時は和紙の形を崩さないよう優しく扱う事などを意識し、卒業の証しとして持ち続ける紙を丁寧に仕立てた。
自然乾燥を経て後日、アイロンがけをして和紙を仕上げる。以降は谷本さんが外周を切り落として卒業証書の文面を筆書きし、山本校長が学校印を押して卒業時に授与する流れとなる。
間もなく卒業を迎える奈須初実さん(6年)は「皮の茶色いところが入らないよう気を付け、思っていたよりも上手にできたので良かった。はがきよりも大きくて結構大変だったけど、これで一つしかない自分の卒業証書が作れるのでうれしいしもらうのがすごく楽しみです」と思うところを語った。
(2021年1月26日付紙面より)
厄払いや歴代住職などの供養 (紀宝町神内 )
紀宝町神内の玉龍山(ぎょくりゅうざん)善光寺(ぜんこうじ)で24日、延命地蔵の大祭が執り行われた。一村桂晋住職が法要を営み、寺総代、組長、護持会の役員らが除災招福、身体健全、交通安全、延命長寿などを願った。
地蔵菩薩(ぼさつ)の縁日である1月24日が例祭日となっており、例年、山の中腹にある地蔵前で厄払い祈とうが行われるが、今年は雨のため同寺で行った。毎年、地元住民や子どもたちでにぎわう餅まきは新型コロナウイルスの感染防止対策として中止となった。
善光寺では、厄払いのほか同寺を開山した角天禅麟大和尚をはじめ歴代住職や水子菩薩地蔵、永代供養墓、無縁仏などの供養も執り行われた。
護持会の矢熊達雄会長は「前日からの雨で、延命地蔵へ向かう道が滑りやすくなっているので善光寺で大祭を行った。餅ほりの中止も初めてで残念だが、来年は通常通りの大祭になれば」と話していた。
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■延命地蔵
この地蔵は別名「滝の地蔵」とも呼ばれ、奇岩(みさごの岩)の岩窟に祠(ほこら)があり、前方に「大洞の滝」が流れ落ちる。座像ではなく片膝をついた姿をしている。「神内の伝承や昔話」によれば、祭り始めた当時は争い事が多かったため、いつでも立ち上がり、村の助勢ができるように身構えてくれていたとの言い伝えがある。
(2021年1月26日付紙面より)
県トラック協会青年協議会 (那智勝浦町 )
和歌山県トラック協会青年協議会(野嶋利基会長、65人)は23日、那智勝浦町立温泉病院に車椅子6台を寄贈した。野嶋会長を含め役員6人が寄贈式に出席し、山本康久院長や中紀文副院長らが感謝を述べた。
寄贈は同協議会主催によるチャリティーゴルフコンペの収益金を活用した社会貢献事業の一環で、県内の病院施設などに車椅子の寄贈を進めているという。
昨年9月に印南町のラ・グレースゴルフ倶楽部で100人が参加するコンペを開き、本年度は独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターに10台、国保すさみ病院に4台、同院合わせて計20台の寄贈に至った。なお、同院への寄贈は旧病院の頃も含めて2度目となった。
山本院長は野嶋会長に感謝状を手渡し、「那智勝浦町は高齢化率が40%以上と高い。車椅子は機能低下した高齢者の方々のリハビリなどや院内各所で使用できるため本当にありがたい。皆さまの今後のご発展をお祈りしております」と話した。
野嶋会長は「新型コロナウイルスでさまざまな物が不足していると聞いています。さまざまな場面で有効的に活用していただけたら幸いです」と語った。
(2021年1月26日付紙面より)
文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(1月26日)を前に田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で22日、同大社自衛消防隊による防火訓練があった。消防関係者や神職ら約40人が参加。訓練を通して防火意識の高揚を図った。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されている。今年で67回目。
今年の訓練は、新型コロナウイルスの感染予防の観点から規模を縮小し、同大社神職らからなる自衛消防隊が中心となり実施。宝物殿奥の山林から出火し、境内を巡回中の神職が火事を発見したとの想定で行われた。参加者らは消火活動や文化財の搬出など、それぞれ担当する活動に取り組んだ。
最後に、社殿に飛び火することを想定し延焼防止のために社殿に向け放水銃で一斉に放水した。
この日は、消防訓練に先立ち田辺消防署本宮分署による立ち入り検査や、神職らを対象にした応急手当(AED)・消火器訓練も行われた。
訓練後、集合した参加者らを前に、田野直・田辺消防署本宮分署長が「初期消火の遅れが見られた。火災のベルがなった時に全員がすぐに行動を開始すれば火災を小さなうちに消火し、被害を最小限に止めることができるのでは」と講評。
たばこやたき火、コンロなど火災の発生原因を挙げ「まずは火事を出さないように徹底を。そして世界遺産である本宮大社を守るため、もしものときのために訓練の継続をお願いします」と呼び掛けた。
九鬼宮司は「重要文化財をお預かりしているという意識をもって取り組んでいきたい。木造である当大社は火がつけばあっという間。そのことを肝に銘じてしっかりと守っていければ」と気持ちを新たにした。
(2021年1月24日付紙面より)
YouTube活用セミナー (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会と和歌山県商工会連合会は22日、那智勝浦町体育文化会館で「発信力を鍛えようYouTube(ユーチューブ)活用セミナー」を開催した。オンラインでアニバーサリーボイス代表の東大悟さんが講師を務め、ウェブ参加者含め20人がYouTubeの特徴や効果的な使い方、ネタ企画や動画構成について学んだ。
令和2年度制度改正に伴う専門家派遣事業の一環。YouTubeはGoogle(グーグル)LCCが提供する世界最大の動画共有サービスで、ユーザーは約20億人、国内の月間利用者数は6200万人といわれている。
東さんは「動画を作る目的は、相手に行動させること」と述べ、「他の会員制交流サイト(SNS)と比べ、YouTubeは注目を集め、興味付けし、欲求をかき立て、動機付けし、実際に行動に移させるところまでの全ての心理行動プロセスに働き掛けることができる」と紹介。
動画配信システムを無料で使える上、▽動画は有益情報としてGoogleの検索上位に出やすい▽アップロードに時間がかからない▽スマートフォンがあればすぐに実践できる―といったメリットがあること伝えた。
動画作成に当たって「悩みを持った誰に対して、どんな解決法を提示し、どう行動してほしいかを分かりやすく提示することが重要。多くの視聴者が求めているのは、かっこいい動画ではない」と強調。Googleの予測検索を活用し、「那智勝浦町 ランチ」など人が具体的に検索するであろう言葉や求めている情報を予測する方法を提案した。
また、他のSNSと組み合わせることで相乗効果が狙えることに言及し、「LINE(ライン)やフェイスブックのアカウントと連動させ、動画をシェアして顧客に見てもらうという方法もある」とアドバイス。店の雰囲気や商品の紹介、クレームへの回答など、さまざまな活用事例を提示した。
最後に「動画広告を作る心理的障壁が高く、ユーザーのほとんどが配信者側にいない今がビジネス利用を始めるチャンス。10年後も動画による情報発信の手法は残る」と伝えた。
参加した50代女性は「年齢が高くてもチャレンジできると思えるきっかけになった。SNSを使って情報発信をすることで、小さなレベルからでも地方の活性化につなげられる」と話していた。
(2021年1月24日付紙面より)
2年生が「クロスロード」に挑戦 (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長、生徒238人)で22日、防災学習会があった。2年生78人が災害対応ゲーム「クロスロード」に挑戦し、災害にどう対応し、行動するかを考え、グループで議論した。
はじめに、町学校防災アドバイザーで三重大学大学院工学研究科の川口淳・准教授が防災をテーマに防災講話。1959(昭和34)年の伊勢湾台風、2018(平成30)年の台風21号の被害を比較し「過去に学び、未来に備えることは正しい」と述べた。
「地震も起こるたびに学んできたが、1995年の阪神・淡路大震災では5000人以上が家屋の下敷きになって亡くなった。2011年の東日本大震災では大津波が発生した」と説明。「ハザードマップは過去に起きたことを踏まえて作ったもの。過去の災害を超えない保証はなく、安全と危険に境界線はない。過去に起きていないことを想定するのも大切」と伝えた。
続いて、4~5人でグループを組み、クロスロードに取り組んだ。クロスロードは災害発生時の救助や応急活動、避難所運営などの事例が書かれたカードを自らの問題として考え、YESかNOかで自分の考えを示すカードゲーム。
「被災者のあなたは、避難所に犬を連れてくることを許しますか?」の問いに「YES」と答える生徒が多い一方、「NO」と答えた生徒は「動物アレルギーの人もいる」「物資や場所に限りがある」などと意見した。
「水も食料も持たない家族が多数いる避難所で非常持ち出し袋をあける?」「地震発生。海辺の住民のあなたは、近所の一人暮らしのおばあちゃんを見に行く?」などの質問が続き、それぞれが自分の意思を示し、グループで行動を考えた。
生徒たちはゲームを通して災害時の対応を自らの問題としてとらえ、自分とは異なる意見にも耳を傾けていた。
(2021年1月24日付紙面より)
新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)で23日、熊野地方のトップを切って令和2年度(第56回)卒業証書授与式が挙行された。卒業生127人(男子75、女子52)が感謝を胸に学びやを巣立った。
本年度は新型コロナウイルス感染対策のため保護者の出席はなく、在校生は吹奏楽部と、式の様子を動画で配信するメディア部のみの参加とした。
池上校長が4クラスの代表者に卒業証書、各賞受賞者に表彰状を授与。式辞では作家の小関智弘さんの「働くとは、傍楽(はたらく)だ。お前さんが働けば、おふくろさんが楽をする。傍を楽にさせる」という言葉を引用し「一人一人の行動や言葉がその傍の一人一人の心を楽にさせる。本校で学んだ誇りを胸に、これからの社会を力強く生き抜いて」とはなむけの言葉を贈った。
在校生を代表して岡地優希君(2年)が送辞。卒業生を代表して三浦新菜さんが「卒業式や成人式などのお祝いの日を『ハレの日』と呼ぶのに対し、普段通りの日常を『ケの日』と呼ぶ。私たちの3年間、または6年間というあっという間だった幸せな日々のほとんどは『ケの日』。この何気ない『ケの日』の積み重ねが幸せだったのだと、今なら分かる」と語り、共に学んだ友達や学校生活を支えた教職員、保護者、地域の人々へ感謝を述べた。本年度の皆勤賞は14人、精勤賞は32人だった。
(2021年1月24日付紙面より)
紀の国いきいき健康長寿祭グラウンドゴルフ競技
神倉神社の石段検分 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で18日、石段検分が行われた。2月6日(土)の「御燈祭(おとうまつ)り」に向けて関係者が石段の安全を点検。ひび割れなどが70カ所見つかり、祭り当日までに修繕する。
「御燈祭り」は1400年以上前から続くとされており、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。白装束に荒縄を巻いた「上(あ)がり子」と称する参拝者が神倉山上でたいまつに御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下りる勇壮な祭りとして毎年、全国から大勢の人が訪れている。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響から、山門内に大勢の上がり子が集結することによって長時間の3密が避けられない状況にあることを考慮。上がり子の安全や健康を最重要視し、神職と介釈(かいしゃく)約20人のみで営まれる。当日は報道関係者や一般撮影者の入山も禁止。翌7日の餅まきなども中止となった。
点検には同大社、神倉神社奉賛会(猪飼三雄会長)、神倉青年団(中山忠吏団長)の6人が参加。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(1147~99年)が寄進したと伝わる自然石を積み上げた538段の石段を一段ずつチェックし、石が動くなどの問題箇所にチョークで印を付けていった。
中山団長は「コロナ禍で、これまでに経験したことがない状況。楽しみにしている人も多かったと思いますが、上がり子の安全や健康面を第一に規模縮小に至りました。終息を信じ、来年こそは通常の祭りができることを願っています」。
猪飼会長は「奉賛会としては準備など、行うことは同じです。大勢の人たちからも声を掛けられますが、状況的に仕方がない。今年は残念ですが、再び勇壮な祭りができることを信じています」と話していた。
(2021年1月19日付紙面より)
望楼の芝で野焼き作業実施 (串本町 )
串本町潮岬にある望楼の芝で15日、野焼き作業があった。本年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で、イベント「本州最南端の火祭り」は中止。この日は約8万平方㍍の芝地に火を入れ、枯れ芝などを焼き払った。
この作業は、枯れ芝に火を入れることで冬越しする害虫を駆除しその熱気で芝の芽吹きを促す目的で取り入れている管理手法。導入初期は日中に実施していたがその光景に対する好評を受け、後に日没後の実施へと変更して観光資源化。近年は1月最終土曜日に前述したイベントを実施し、多くの見物客を集めるところとなっている。
期日前の野焼き作業は延焼抑止を目的とし、中央の盛り土を境としてイベント会場となる東半分の外周と西半分全体をあらかじめ焼き払う内容で実施している。本年度はそのイベントがないため、東半分も全体を焼き払う形とした。
当初は13日に実施する予定だったが前日の雨で枯れ芝が湿ったため延期。15日は南紀串本観光協会関係者と同町消防本部や同町消防団合わせて約40人が参加し、同関係者が風上の南東側から手分けして火を入れ、消防職員や団員が想定外の延焼を警戒し時には消火をしながら野焼きを進めた。
火の広がりはまずまずで、約8万平方㍍を焼き尽くすのに要した時間は約1時間30分。残り火の確認を同本部に要請して作業を終了した。同協会の島野利之会長(53)は「コロナ感染が増えている中で開催するのは難しいということで、非常に残念だがイベントを中止とした。来年、コロナが落ち着いたら盛大に執り行ってたくさんの方に来ていただければと思う」と話し今回の判断への理解を求めた。
(2021年1月19日付紙面より)
めぐるみらい会議vol.2 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は16日、同町の教育センター(旧三川小学校)で「地域資源が循環する持続可能な未来づくり会議(めぐるみらい会議)vol.2 未来づくり会議」を開催した。町内外から17人が集まり、シュタットベルケ事業で生まれた収益を元にどのようなまちを目指し、課題解決を行うのかを話し合った。
シュタットベルケとは、ドイツ語でエネルギーをはじめとする幅広い分野の公共事業などを担う公益企業を指す。
同町では地域資源を生かし、地域内で資源を循環させることで自立した町づくりを目指す「地域循環共生圏づくり」に取り組んでおり、今後は官民出資型の事業体を設立し、電力小売や太陽光発電などの電力事業を行っていく予定。
その収益を活用して地域課題の解決に取り組むことで「熊野信仰に基づいた環境負荷の少ない暮らしで住民幸福度の高い『環幸』のまち」の実現を目指し、町版のシュタットベルケの準備を進めているという。
同会議は昨年12月に1回目を開き、カードゲームでSDGs(持続可能な開発目標)について学びを深めた。2回目となったこの日は「同事業への理解者・応援者を増やす」「参加者の課題意識や意見をビジョンに反映させる」ことを目標として実施された。
今回、企画運営を行うissue+designの白木彩智さんらが、新型コロナウイルスの影響で来町できずオンラインで参加。同町観光企画課の佐古成生課長や同課の職員が会議運営に協力した。
参加者は「社会福祉」「環境」「経済」の三つのチームに分かれ、地域が抱える課題を付箋に書き出し、各個人で原因や結果の洗い出し作業を実施した。
続いて、チームで話し合い重要な課題に投票し、取り組むべき課題を選択した。選ばれたいくつかの課題から自身が取り組みたい課題を選び、解決のためのアイデアを個人で捻出。その後、チームや全体で共有を図った。
最後は環境省の事業可能性調査などを受諾し進めている南紀自然エネルギーの代表理事・仁木佳男さんがオンラインでシュタットベルケ事業について説明した。
SDGsに精通する同課の赤岡誠さんは「参加者の皆さまから『対話の大切さが分かった。今日の会は町の希望では』とのお声をいただきありがたい。皆さまの意見を反映させながら町の発展や活性化に向けて次年度以降、進めていきたい」と語った。
なお、最終となる3回目の会議はコロナの様子を鑑みながら2月20日(土)午後1時からの開催を予定している。
(2021年1月19日付紙面より)
スギやヒノキ次々と落札
新宮原木市場(谷口泰仁社長)は18日、新宮市あけぼのの同市場貯木場で「新春初市」を開いた。新宮周辺地域を中心に買い方が集まり、開始の合図とともにスギやヒノキが次々と競り落とされた。
同市で木材の市売(いちうり)販売が始まったのは1956(昭和31)年。当地の有力原木生産業者が共同事業体として「新宮電柱木材協同組合木材市売部」を創設した。その後、利用度の増大に伴い公共性が重視され、新宮木材協同組合が中核となり66(昭和41)年、現在の原木市場が設立した。
77(昭和52)年には全国植樹祭の一環行事として「第1回熊野木まつり」展示即売会を開催。以降、毎年4月の恒例記念行事となっており、熊野材のPRや需要開拓などに取り組むきっかけとしている。
今年の初市は、新宮紀宝道路事業に伴う道路拡幅工事のため、上貯木場で開催。熊野川町や古座川町などから直径24~30㌢、樹齢70~100年のスギやヒノキ約930立方㍍(約5400本)が出荷された。
初市の開催に当たり、谷口社長は「材価が下がり続ける中、よくこれだけ集めてくれた。山元の高齢化や住宅様式の変化などで市場を取り巻く状況は依然として厳しい」と現状を述べ「地場産業である木材の活性化を担うのは新宮原木市場。生き残りを懸けて頑張っていきたい」と抱負を語った。
(2021年1月19日付紙面より)