嘱託警察犬に感謝状 (和歌山県警察 )
和歌山県警察はこのほど、嘱託警察犬パンドラ号(パンドラ・フォン・クランツ・K.Y.)とダンス号(ダンス・オブ・ウエスト・アシダ)の長年の功績をたたえ、指導者である新宮市の榎本義清さん(58)=NPO法人和歌山災害救助犬協会理事長=と太地町の瀧本美鈴さん(57)=同協会副理事長=に感謝状を贈った。
感謝状は、生前の活動実績や功績をたたえるもの。パンドラ号(シェパード・雌)は昨年11月にその生涯を終えるまでの11年間、そして今年1月2日に急死したダンス号(シェパード・雄)は9年間、県警察嘱託警察犬として捜索救助や足跡追跡、爆発物捜索などの職務に従事してきた。
また、2頭とも榎本さん、瀧本さんと共に、紀伊半島大水害や熊本地震、西日本豪雨の被災現場で捜索活動にも参加している。
勇敢な性格だったというパンドラ号は2019(平成31)年4月、新宮市内で行方不明となっていた女性を生存発見したとして新宮警察署から感謝状を受けた経歴も。一方、ダンス号は人にも犬にも優しく温厚。「指導の際も反抗することなく覚えも良かった。素直な性格だった」(瀧本さん談)という。
感謝状を受け、榎本さんは「人間のために厳しい訓練にも頑張ってくれた。(パンドラ号には)使役犬として接してきた。相棒がいなくなったという気持ちが大きい」。
瀧本さんはダンス号に対し「急に調子が悪くなり、心の準備ができていなかったが、苦しまずに最期を迎えたので良かった。最後まで現役でいてくれた」と述べ、「『本当に今までお疲れさま』と伝えたい」と声をそろえた。
県内では現在、14人の指導員と28頭の警察犬が嘱託されている。
(2021年1月28日付紙面より)
知事と町長から駐日大使へ (和歌山県と串本町 )
2020トルコ西部イズミル県地震災害義援金を呼び掛けた仁坂吉伸知事と串本町の田嶋勝正町長が26日、駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使の県庁訪問に合わせて同義援金の目録を贈った。
この地震は昨年10月30日にエーゲ海を震源として発生し、至近のイズミル県を中心とする発災につながった。その状況を知った呼び掛け2人はすみやかに県トルコ震災を支援する会を立ち上げ、県内30市町村に協力を求めつつ昨年11月5日付で同義援金の窓口を開設した。
同会は口座振り込み、各市町村は義援金箱を設置して県民からの善意を受け付け。同大使館経由で被災者に届ける流れとなっている。コロナ禍の情勢により面会の機会を得られずにいたが、メルジャン大使が公務の延長で県庁を訪問することになり、呼び掛け2人がそろって目録を託すに至った。
田嶋町長によると、メルジャン大使は間もなくアメリカ合衆国へ転任となるそうで、今回はあいさつ回りで県庁へ訪問。任期中最終となる同町からの交流記念品としてトルコ軍艦遭難慰霊碑のレリーフと大使の実名を入れたポロシャツと大島小への民族衣装の贈呈や串本町トルコ文化協会のトルコ文化センター設置への協力など交流の数々を記録した写真アルバム、併せて同協会から預かった交流記念品を贈って感謝したという。
同義援金の受付期間は今月末までで、締め切り後に一括して同大使館へ託す。田嶋町長は「メルジャン大使は涙ながらに感謝し、県や同町に同様の災害があったときはトルコ人が助けに行くと言ってくれた。呼び掛け人として多くの町民や県民の皆さまから多額の義援金を頂けてうれしかったし、これからも共に友好を続けていくことにつながれば」と今後を願いながら、寄せられた善意に感謝した。
(2021年1月28日付紙面より)
井田小学校の4、6年生が (紀宝町 )
紀宝町立井田小学校(石谷正秀校長、児童115人)の4年生24人と6年生21人が26日、和紙作りの紙すき作業を体験した。今後、6年生と16日にすでに体験した5年生は和紙でランプシェードを作る。4年生は詩と絵を描くという。
4年生は国語の授業で「和紙」について学び、実際に作ってみようと町立ふるさと資料館の栗須高洋館長の協力を得て体験した。
体験を前に講義した栗須館長は「皆さんが今使っているノートは洋紙で、100年ももたないが、和紙は虫が嫌いな養分が入っているので1000年以上長持ちする。約1300年前の和紙に書かれた文書も残っている」と説明した。
和紙の原料となる天然の雁皮(ガンピ)はとても貴重で、材料をそろえるだけでも苦労すると伝え、ガンピの皮をはぎ、2週間水に漬けた後、2日間釜で煮て紙料にすると紹介した。
児童たちは行程などを学んだ後、紙すきを体験。水に溶けた雁皮をはがきサイズのすき枠で一枚一枚すくい、1人3枚の和紙を作った。
完成後、児童たちは「失敗もしたけど、成功したときはうれしかった」「初めて作業して楽しかった」と話していた。
(2021年1月28日付紙面より)
新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」
今夏の完成に向け、新宮市下本町で建設工事が進む市文化複合施設「丹鶴ホール」のシンボルマークおよびロゴデザインが決定した。今後、施設のPRを含めた活用を展開していく。
デザイン制作者は山下・金嶋共同企業体。制作者によると、施設を上から見た形状をモチーフにしつつ、中央のホール部分を示す矩形(くけい)と併せて、愛称である丹鶴ホールの「丹」の字を表現した。
新宮の歴史・風景との呼応から生まれた変化のある施設形状と、「丹鶴」という言葉との重ね合わせにより、ここから新たな活動が生まれ、動き出す躍動感を表したという。
テーマカラーには、「丹(に)」をイメージさせる赤色が採用されている。
(2021年1月28日付紙面より)
熊野灘水難救済会を表彰 (第五管区海上保安部 )
串本海上保安署は18日、太地町の太地町漁業協同組合で、昨年11月に発生した帆船(ヨット)座礁事故の乗員救助に尽力した熊野灘水難救済会太地町支所(脊古輝人支所長=同町漁協組合長)に対し、第五管区海上保安本部長表彰の伝達を行った。
漁業関係者を中心に組織される同救済会は、海で遭難した人々の救助を行う民間のボランティア団体で、同町と串本町に支所がある。
同署によると、事故は神奈川県船籍の50~60代の男女3人が乗る全長9・8㍍の帆船が太地町沖で座礁し、118番通報を受けた同署が巡視艇むろづきで救助に向かったもの。当初はヘリコプターによる救助も検討していたが、夜間に加えてこの日は磯波もあったことから断念したという。
救助協力の要請を受けた脊古支所長と救助員の貝良文さん(同町漁協専務理事)、〆谷(しめたに)和豊さん(同町漁協参事)が漁船で駆け付けたが浅瀬のため、一度引き返し小型船に乗り換えて現場に到着。「明るくなるまで船で待機する」と話す乗員を同署の職員と共に救助し、小型船に乗せて港まで連れ帰った。その数時間後には帆船の船体はバラバラになったという。
内海浩一署長は「水難救済会は明治22年から全国で設立されている歴史ある組織。むろづきは串本町から新宮市までをカバーすることになるため、熊野灘水難救済会の皆さまは非常に心強い存在。感謝しています」と話した。
貝さんは「磯を知らないと危険。二次災害が発生する危険性がある。バラバラになった船体は3日間かけて漁協の組合員が有志で片付けてくれた。漁協も休業補償や漁業補償も要求しなかった。こういうときはお互いさま」と語った。
脊古支所長は「朝、現場に行ってみてびっくりした。船体がバラバラになっていた。助けることができてわれわれもうれしいです」と話した。
(2021年1月20日付紙面より)
熊野那智大社で節分準備進む (那智勝浦町 )
2月2日(火)の節分を前に那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)では「鬼面札」や福升の準備が行われている。18日は神職や巫女(みこ)が鬼面札作りの作業を進めていた。
災難よけのお札「鬼面札」と縁起の良い「福桝(ふくます)」を作っている。鬼面札はしめ縄の輪の中に赤鬼・青鬼を封じ込めた図柄で昭和44年に3代前となる篠原四郎元宮司が作成した木版画で翌45年から授与。独特の絵柄が人気で昨年末から予約が入るという。
神職が縦35㌢、横45㌢の画仙紙に那智の滝の水で溶いた墨を版木に付け1枚ずつ刷り出し、巫女が「那智宮印」を押して、2000枚を仕上げる。モミの木製の福升は5合升せ1升の半分であることから「繁盛(半升)升」ともいわれ350個作るという。
𠮷田遥紀権禰宜(ごんねぎ)は猛威を振るう新型コロナウイルスの現状に触れ、「今年は特に厄災の象徴とされる鬼を閉じ込めた鬼面札には感慨深いものがあると思う。終息の願いも込めて作成しているのでおまつりいただき、少しでも安心感を持っていただければ」と話した。
鬼面札はこの日の午後から社頭で授与が開始。鬼面札は1枚800円、福升は1500円、福豆が300円。郵送授与希望時は別に送料が必要で、申し込みはFAX(0735・55・0643)かメール(nachi@kumanonachitaisha.or.jp)で受け付けている。問い合わせは同大社(電話0735・55・0321)まで。
同社によると、124年ぶりとなる来月2日の節分行事はコロナ対策を万全に施し、午前10時と午後1時から実施するという。
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■那智山青岸渡寺では
西国三十三所第一番札所である那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)では例年多くの参拝者が訪れる「節分会豆まき会式」を新型コロナの感染拡大防止の観点から中止する。
同寺によると、節分で使用する祝升の作成や豆まき行事は実施せず、節分のご祈とうのみ執り行うという。
(2021年1月20日付紙面より)
町WSを挑戦の第一歩に (串本古座高校 )
県立串本古座高校CGS部(森陽翔部長、部員20人)が18日、串本町のロケット事業に関するワークショップ(WS)に参加した。同部は打ち上げ時の地域貢献を今後の活動の中に思い描いていて、その挑戦の第一歩として同事業に対する意見をまとめつつ自分たちにできることを探った。
このWSは、同町が本年度誘客多角化等実証事業の一環で実施。住民がロケット事業を自分事と意識できるよう基本情報を託して意見を聴取する目的で、学校や町民を対象にして開いている。
その割り当てを得た同校は、第2回宇宙シンポジウムin串本に参加するなど関心が高い同部が受けることとした。事前の調整で部員はこのWSの序~中盤のロケットや人工衛星の基本情報をすでに得ていると判断し、教材「スペースポート紀伊まるわかりブック」を配って説明に代える形にして省略。終盤の内容「ロケット打ち上げを楽しもう」の解説を足掛かりにして同事業への意見をまとめる流れでこのWSに取り組むこととした。
講師は南紀串本観光協会付けで要請を受けた坂本直弥さんが担当。打ち上げにはさまざまな関わり方が考えられることや、地域が迎える見学者にはコアな人(=ロケット好きで通う人)とライトな人(=興味が湧いて見に来る人)がいるなどの特色を伝えた。
その内容を踏まえて部員は四つの班に分かれ、▽食▽土産▽リピートのこつ―の3項目で個々のアイデアを集約。項目内区分をしながら考えを深め、班の意見として全体発表した。
食の面では見学時の軽飲食は不可避でその前後で地元の名物も味わってもらうことも含めてロケットと絡め楽しんでもらう、土産の面でもロケットにちなんだ文具や小物、菓子など身近なグッズでロケットを感じられるような商材開発を進める、といった傾向を帯びたアイデアが複数挙がった。
リピートのこつでは▽スタンプラリー(=見学回数に応じて非売品を贈呈)▽フォトコンテスト(得た秀作を商材開発に生かす)▽専門家による講演会(見学の付加価値を増す)▽マグロ解体ショーなど地元ならではの企画との連動(見どころを増す)―などのアイデアがあり、オブザーバーとして出席した同町企画課ロケット推進グループの宮本宏保さんや平井治司さん、南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長が印象や質問を寄せた。
最後に講師とオブザーバーが講評をして、部員の今後の挑戦を期待。宮本さんはいつもとは違うWSとなったが意見聴取の点ではとても勉強になったとして、部員の意見に感謝した。
このWSをコーディネートした清野祐介顧問は「CGS部としてできることを具体化する道のりは遠いがそれでも考えて具体化を進め、初打ち上げの時にここにいるみんなで何かができるよう行動していこう」と部員を鼓舞してWSを締めくくった。
(2021年1月20日付紙面より)
御燈祭りに向け事故防止協議会 (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社双鶴殿で18日、御燈祭(おとうまつ)り事故防止協議会があった。上野顯宮司をはじめ、新宮警察署や市消防本部など関係者ら約15人が出席し、2月6日(土)の祭り当日に向け、連携して取り組むことを確認した。
冒頭で上野宮司は「新型コロナウイルス感染予防の観点から、今年は健康を考慮して上(あ)がり子および報道関係者、一般撮影者の入山を禁止することとしました」とあいさつ。「毎年、約2000人の上がり子が神倉山の山門内に密集するため、クラスター感染が発生する可能性が非常に高いと憂慮し、今回の結論に至った」と経緯を説明した。
会議では▽一般の参拝者は神倉神社の太鼓橋にロープを張り、当日の正午に入山を止める▽新宮消防署・消防団において山内に防火体制が取られる▽翌日7日(日)の餅まきを中止する―などを確認した。
上野宮司は「コロナ禍で大変な時期ではあるが、祭りの本義を考える良い機会を与えてくれていると感じています。寂しい祭りと捉えられるかもしれないが、決して『縮小』ではなく本来の姿が現れるのではないかと思っている。気を抜くことなく、例年と同じように進めていきたい」と話していた。
(2021年1月20日付紙面より)
トヨタカップ県小学生サッカー東牟婁予選
神倉神社の石段検分 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で18日、石段検分が行われた。2月6日(土)の「御燈祭(おとうまつ)り」に向けて関係者が石段の安全を点検。ひび割れなどが70カ所見つかり、祭り当日までに修繕する。
「御燈祭り」は1400年以上前から続くとされており、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。白装束に荒縄を巻いた「上(あ)がり子」と称する参拝者が神倉山上でたいまつに御神火を受け、山門の開閉とともに急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下りる勇壮な祭りとして毎年、全国から大勢の人が訪れている。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響から、山門内に大勢の上がり子が集結することによって長時間の3密が避けられない状況にあることを考慮。上がり子の安全や健康を最重要視し、神職と介釈(かいしゃく)約20人のみで営まれる。当日は報道関係者や一般撮影者の入山も禁止。翌7日の餅まきなども中止となった。
点検には同大社、神倉神社奉賛会(猪飼三雄会長)、神倉青年団(中山忠吏団長)の6人が参加。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(1147~99年)が寄進したと伝わる自然石を積み上げた538段の石段を一段ずつチェックし、石が動くなどの問題箇所にチョークで印を付けていった。
中山団長は「コロナ禍で、これまでに経験したことがない状況。楽しみにしている人も多かったと思いますが、上がり子の安全や健康面を第一に規模縮小に至りました。終息を信じ、来年こそは通常の祭りができることを願っています」。
猪飼会長は「奉賛会としては準備など、行うことは同じです。大勢の人たちからも声を掛けられますが、状況的に仕方がない。今年は残念ですが、再び勇壮な祭りができることを信じています」と話していた。
(2021年1月19日付紙面より)
望楼の芝で野焼き作業実施 (串本町 )
串本町潮岬にある望楼の芝で15日、野焼き作業があった。本年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で、イベント「本州最南端の火祭り」は中止。この日は約8万平方㍍の芝地に火を入れ、枯れ芝などを焼き払った。
この作業は、枯れ芝に火を入れることで冬越しする害虫を駆除しその熱気で芝の芽吹きを促す目的で取り入れている管理手法。導入初期は日中に実施していたがその光景に対する好評を受け、後に日没後の実施へと変更して観光資源化。近年は1月最終土曜日に前述したイベントを実施し、多くの見物客を集めるところとなっている。
期日前の野焼き作業は延焼抑止を目的とし、中央の盛り土を境としてイベント会場となる東半分の外周と西半分全体をあらかじめ焼き払う内容で実施している。本年度はそのイベントがないため、東半分も全体を焼き払う形とした。
当初は13日に実施する予定だったが前日の雨で枯れ芝が湿ったため延期。15日は南紀串本観光協会関係者と同町消防本部や同町消防団合わせて約40人が参加し、同関係者が風上の南東側から手分けして火を入れ、消防職員や団員が想定外の延焼を警戒し時には消火をしながら野焼きを進めた。
火の広がりはまずまずで、約8万平方㍍を焼き尽くすのに要した時間は約1時間30分。残り火の確認を同本部に要請して作業を終了した。同協会の島野利之会長(53)は「コロナ感染が増えている中で開催するのは難しいということで、非常に残念だがイベントを中止とした。来年、コロナが落ち着いたら盛大に執り行ってたくさんの方に来ていただければと思う」と話し今回の判断への理解を求めた。
(2021年1月19日付紙面より)
めぐるみらい会議vol.2 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は16日、同町の教育センター(旧三川小学校)で「地域資源が循環する持続可能な未来づくり会議(めぐるみらい会議)vol.2 未来づくり会議」を開催した。町内外から17人が集まり、シュタットベルケ事業で生まれた収益を元にどのようなまちを目指し、課題解決を行うのかを話し合った。
シュタットベルケとは、ドイツ語でエネルギーをはじめとする幅広い分野の公共事業などを担う公益企業を指す。
同町では地域資源を生かし、地域内で資源を循環させることで自立した町づくりを目指す「地域循環共生圏づくり」に取り組んでおり、今後は官民出資型の事業体を設立し、電力小売や太陽光発電などの電力事業を行っていく予定。
その収益を活用して地域課題の解決に取り組むことで「熊野信仰に基づいた環境負荷の少ない暮らしで住民幸福度の高い『環幸』のまち」の実現を目指し、町版のシュタットベルケの準備を進めているという。
同会議は昨年12月に1回目を開き、カードゲームでSDGs(持続可能な開発目標)について学びを深めた。2回目となったこの日は「同事業への理解者・応援者を増やす」「参加者の課題意識や意見をビジョンに反映させる」ことを目標として実施された。
今回、企画運営を行うissue+designの白木彩智さんらが、新型コロナウイルスの影響で来町できずオンラインで参加。同町観光企画課の佐古成生課長や同課の職員が会議運営に協力した。
参加者は「社会福祉」「環境」「経済」の三つのチームに分かれ、地域が抱える課題を付箋に書き出し、各個人で原因や結果の洗い出し作業を実施した。
続いて、チームで話し合い重要な課題に投票し、取り組むべき課題を選択した。選ばれたいくつかの課題から自身が取り組みたい課題を選び、解決のためのアイデアを個人で捻出。その後、チームや全体で共有を図った。
最後は環境省の事業可能性調査などを受諾し進めている南紀自然エネルギーの代表理事・仁木佳男さんがオンラインでシュタットベルケ事業について説明した。
SDGsに精通する同課の赤岡誠さんは「参加者の皆さまから『対話の大切さが分かった。今日の会は町の希望では』とのお声をいただきありがたい。皆さまの意見を反映させながら町の発展や活性化に向けて次年度以降、進めていきたい」と語った。
なお、最終となる3回目の会議はコロナの様子を鑑みながら2月20日(土)午後1時からの開催を予定している。
(2021年1月19日付紙面より)
スギやヒノキ次々と落札
新宮原木市場(谷口泰仁社長)は18日、新宮市あけぼのの同市場貯木場で「新春初市」を開いた。新宮周辺地域を中心に買い方が集まり、開始の合図とともにスギやヒノキが次々と競り落とされた。
同市で木材の市売(いちうり)販売が始まったのは1956(昭和31)年。当地の有力原木生産業者が共同事業体として「新宮電柱木材協同組合木材市売部」を創設した。その後、利用度の増大に伴い公共性が重視され、新宮木材協同組合が中核となり66(昭和41)年、現在の原木市場が設立した。
77(昭和52)年には全国植樹祭の一環行事として「第1回熊野木まつり」展示即売会を開催。以降、毎年4月の恒例記念行事となっており、熊野材のPRや需要開拓などに取り組むきっかけとしている。
今年の初市は、新宮紀宝道路事業に伴う道路拡幅工事のため、上貯木場で開催。熊野川町や古座川町などから直径24~30㌢、樹齢70~100年のスギやヒノキ約930立方㍍(約5400本)が出荷された。
初市の開催に当たり、谷口社長は「材価が下がり続ける中、よくこれだけ集めてくれた。山元の高齢化や住宅様式の変化などで市場を取り巻く状況は依然として厳しい」と現状を述べ「地場産業である木材の活性化を担うのは新宮原木市場。生き残りを懸けて頑張っていきたい」と抱負を語った。
(2021年1月19日付紙面より)