下里神社で迎春準備 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の下里神社(山本貞夫宮司)は28日、初詣や歳旦祭に向けた迎春準備を実施した。神社役員や総代ら7人が鳥居のしめ縄の作成や張り替え、のぼりの設置などに取り組んだ。
この日は新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながら、総代らが駐車場や境内を清掃。同神社の鳥居用に3反のサラシで長さ2㍍、直径6㌢のしめ縄や護国神社用の一回り小さいしめ縄などを作成した。
境内の樹齢400年と推定されるクスノキ用のわら製のしめ縄の準備が整うと協力して鳥居や拝殿など10カ所で張り替えをし、門松や奉納旗も設置した。
同神社によると、コロナ対策として、7年ほど前から実施してきたぜんざいの振る舞いや恒例のお神酒も取りやめるという。さらに手水(ちょうず)舎には消毒液を置き、参拝の際はマスク着用を呼び掛けている。
山本宮司は「コロナの関係で歳旦祭への招待もできずに残念。皆さんが元気にならないとさみしい。来年は早期に終息し、例年通りの行事ができることを祈っている」と話した。
なお、初詣は1月1日(金・祝)午前0時に開門し、歳旦祭は同日午前9時から同神社本殿で山本宮司や総代らで神事を執り行う。
(2020年12月31日付紙面より)
水族館で正月展示始まる (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館のトピックス水槽で27日、正月期間限定展示が始まった。期間は来年1月11日(月・祝)まで。
この水槽は館内Aゾーンにあり、常設ではなく串本の海の旬の話題を伝える目的で適時飼育展示対象の生き物を入れ替えながら紹介する形で活用。ただし年に2期、クリスマスと正月は時期に合わせた展示を飼育スタッフが創意工夫をして行う形が慣例になっている。
今回の展示は中村公一さんと佐久間夢実さんが担当。水槽内を「海中神社」の鳥居やさい銭箱、門松や七福神の置物などで飾り付け、串本の海からハコフグの仲間・ウミスズメとシマウミスズメを迎え入れている。
ウミスズメの仲間は目の上に角のような突起があるのが特長で、英名では「Cow Fish」(牛魚)と呼ばれている。ここに来年のえと「丑(うし)」とのつながりを求めて選んだという。
28日現在、ウミスズメ1匹、シマウミスズメ4匹を飼育展示している。日々の状況を見て内容を変える場合があるので了承してほしいという。
来館者の反応は上々で、28日は来館者の大半が一足早い迎春ムードに興味を示し、手にしたカメラで撮影する姿も多々。佐久間さんは「ウミスズメは目の印象がとても強く愛嬌(あいきょう)のある魚。水槽も映えるよう華やかに飾っているし、参拝をするような様子も時折見せてくれるので、写真を撮りながらゆっくりと親しんでもらえれば」と多数鑑賞を期待した。
この水槽を見るときは入館料が必要となる。同センターは年末年始も無休で、開館時間は午前9時~午後4時30分(入館は午後4時まで)。感染症予防の一環で、正月三が日恒例の餅まきは中止としている。問い合わせは同センター(電話0735・62・1122)まで。
(2020年12月31日付紙面より)
さい銭箱設置など準備進む (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は29日、初詣の参拝者を迎えるに当たり、拝殿手前に幅約8㍍のさい銭箱を設置した=写真。同大社では他にも、要所要所に消毒液を配置するなどの新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、年末年始の参拝者を受け入れる準備を進めている。
新年の参拝者を迎えるに当たり、上野宮司は「信仰心でおいでになる人も多い。イラスト入りのポスターで注意事項を呼び掛けるなど、神社としてスムーズにお参りできるように誘導したい」と話しており、混雑時には普段閉門している東門を開門するなどの対策を講じる予定。東門を開門し参拝者の動線を確保するため、同大社ではこのほど、門付近の段差の整備なども実施した。
また、大みそかの混雑を避けるため、今年は初太鼓開門はなし。31日の午後11時30分ごろに開門し、随時参拝者を受け入れていく。
(2020年12月31日付紙面より)
中央児童館で大掃除 (新宮市 )
新宮市野田の中央児童館で28日、大掃除があった。5歳児から中学生までの20人が参加し、一年間にたまった館内のほこりを払い、窓拭きや本の整理に汗を流した。
新型コロナウイルス感染症の影響で利用人数や利用時間の制限を余儀なくされた中央児童館だが、3密防止や換気・消毒などの感染対策を取りつつ、本年度もクリスマス会や夏休みのチャレラン大会など、さまざまな行事を開催した。
同館職員は最初に、「いっぱい遊ばせてくれてありがとうの気持ちを込め、一年間でたまったほこりを掃除しましょう」とあいさつ。子どもたちは「幼児室」や「わんぱくルーム」「ゲーム室」「図書室」などを分担して掃除に励んだ。図書室では重たい畳を運び出し、本を全て取り出して棚を拭いた。雑巾を洗うと、バケツの水が真っ黒になっていた。
来年の開館は1月4日(月)から。引き続き年齢ごとに利用時間を制限しており、同館は理解を呼び掛けている。
(2020年12月31日付紙面より)
新宮市観光協会特別委員会(会長=里中陽互・市観光協会長)は24日、田岡実千年市長に「通過型観光地から地域主導の滞在型観光地への実践」を提案。委員会でまとめた市の観光振興の具現化案を報告した。
観光客に占める宿泊客の割合が10・7%にとどまる市の観光を取り巻く現状を踏まえ、市観光協会では、昨年9月に特別委員会を設置。通過型から滞在型の観光地を目指すため6回にわたり協議を進め、「地元に眠る観光資源(素材)を発掘し、磨き上げにより観光客が聖地・熊野新宮へ行ってみたくなる回遊滞在型観光コンテンツを地元のわれわれが一体となってつくる」ための実践への取り組みをまとめた。
この日は里中会長と隅地洋・特別委員会副会長、市観光協会の森本祐司専務理事、山本大輔事務局長らが市役所を訪れ、「癒やされます」をコンセプトに回遊性を高める滞在型観光コンテンツを提案した。
新宮城・神倉神社・熊野古道を三つの柱に「新たな発見に感動する~しんぐう 魅力発見旅~」と題し▽新宮城跡と城下町食べ歩き・まち歩き▽熊野川舟下りと新宮三社巡り▽海の熊野古道と万葉歌人の吟行巡り―など七つのプラン案を提示し、多様なニーズに対応するため、テーマ別に地域の観光資源を生かしたミニツアーや体験などもまとめた。
また、市に対して「観光コンテンツの情報発信と旅行エージェントへのプロモーション」「滞在型観光地を推進するための受け入れ態勢の整備」のための取り組みなどを要望として提案した。
隅地副会長は「地元が中心になって行政と連携することが大事。市民を巻き込まないと本当のおもてなしはできない」。里中会長は「官民協力し合い、観光地として新宮をつくっていければ」と主張。
提案を受け、田岡市長は「行政の役割も具体的に示していただいた。実現できればまちの活性化に結び付く。今すぐにはできないこともあるが、行政としても皆さんと一緒にできることからやっていきたい」と応じた。
(2020年12月25日付紙面より)
「お食事処きく」が義援金 (新宮市 )
新宮市井の沢の「お食事処おふくろの味きく」の店主・森下喜久(きく)さんは23日、市社会福祉協議会(田中信秀会長)に、今年7月に熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した「令和2年7月豪雨」への義援金を託した。
同店舗では郵便ポスト型の貯金箱を設置しており、売り上げの一部を寄付するなど募金活動を続けている。地域住民をはじめ森下さんの人柄を慕い、全国各地から訪れる出張者、観光や帰省客らが募金に協力。来店者たちの善意で、今回3万5876円の寄付が集まった。これまでも東日本大震災(2011年)や紀伊半島大水害(同年)、熊本地震(16年)、西日本豪雨(18年)、千葉県で発生した台風15、19号による大雨災害(19年)などの被災地にも義援金を送っている。
森下さんは協力してくれた来店者らに感謝し「少額ではありますが、貯金箱には多くの人の温かい真心が詰まっています。復興を目指す中、今年は新型コロナウイルスの影響もあって大変な日々を過ごしていると思います。少しでも役に立てればうれしい」。
義援金を受け取った大谷康央事務局長は「年末年始を迎える中、コロナ禍で思うように復旧が進んでいない話を耳にしているので、願いが込められた支援にありがたく思います。復興に向け有効に活用してもらえれば」と話していた。
(2020年12月25日付紙面より)
吹奏楽部ミニコンサート (串本古座高校 )
県立串本古座高校(左近晴久校長)の吹奏楽部(仁木愛里部長、部員7人)が23日、生徒有志が自主設置したイルミネーション前でミニクリスマスコンサートを開いて場を盛り上げた。
体育祭や文化祭などの行事をコロナ禍の影響で失った生徒らの思い出づくりの場になればと願って設置したこのイルミネーション。本点灯を始めた直後に「ミニコンサートも開けないか」というアイデアが持ち上がり、提案を受けた同部は生徒有志と同様の思いで挑戦を決意した。
部員は5日間というごく限られた時間の中で、雰囲気に合う楽曲を急ぎ習得。迎えた本番ではアンコール曲を含め3曲を演奏し、生徒やその家族、住民や教員が鑑賞し拍手でたたえるなどした。
演奏を終えて仁木部長(2年)は「楽しかったけれど、練習時間が短くて完全な演奏で聴かせられなかったのは残念」と苦笑いしつつ、「コロナ禍で楽しいことがどんどん減っているけど、こんな風にできることもいろいろとある。みんなで協力してやっていきたいですね」と込めた思いを語った。
このイルミネーションは来年1月15日(金)まで(12月29日~1月3日を除く)の平日午後5時~8時に点灯している。
(2020年12月25日付紙面より)
直見の妙見神社で区民有志 (古座川町 )
古座川町直見(ぬくみ)にある妙見神社で22日、数十年ぶりとなる例祭が営まれた。区長の畦智邦男さんら区民有志7人がかねての思いにコロナ禍退散の願いを積んで奉仕の再開を決起。約40人が参列し、祭神に礼を尽くした。
この神社は妙見橋の右岸側に位置。石垣の上部に宇津木石を組むなど重厚な境内に、明神~三尾川(みとがわ)を向く方向で祭神が祭られ地蔵尊が安置されている。主祭神は牛頭天皇。畦智さんによると例祭は旧暦11月8日に営まれていたが、幼少だった数十年前に餅まきを見た記憶を最後に途絶えている。他方、区外でこの神社を高く評価する声があることにも気付いていて、いつか奉仕を再開したいと思いを募らせているところで新型コロナウイルス流行という時代に直面。牛頭天皇には疫病退散を願い祭られる側面があり有志は今こそ再開と思い立ったという。
旧暦11月8日に当たる新暦12月22日を期日とし、古座神社の石田保宮司に出仕を依頼して例祭の執行を触れ込み。当日は境内をのぼりで飾って神饌(しんせん)を献上し、石田宮司に続いて参列一同で玉串をささげて祈願した。神事後は餅まきや飴まきをし、神前に民の活気を誘って締めくくった。
同橋の下は遊泳場として親しまれるが、今まで大きな事故があったことはなくこれも同神社のご加護だと感謝する有志ら。畦智さんは「コロナ感染はしないさせないの思いで何とか早く収束してほしい。全ての区民の安全と健康と繁栄と併せてそう願った」と語り、今後は区の役員の総意が得られれば区行事、得られずともできる限り例祭を続けて直見の氏神として忘れずに見守る意欲をにじませた。
(2020年12月25日付紙面より)
那智勝浦町出身 (レスリング )
那智勝浦町出身で日本体育大学3年の山口海輝(かいき)選手(21)が、17~20日に東京都の駒沢オリンピック公園体育館で開催されたレスリングの「2020年天皇杯全日本選手権」の男子フリースタイル65㌔級で優勝を果たした。
山口選手は新宮ジュニアレスリングクラブで練習に励んで中学校を卒業後、高校レスリングの強豪である日体大柏高校(千葉県)へと進学。2015(平成27)年の紀の国わかやま国体や高校総体、JOC(日本オリンピック委員会)杯、ブバイサ・サイキエフ国際大会を制すなど、国内外で活躍している。同大学進学後もさまざまな大会で結果を残し、11月には57㌔から65㌔に階級を上げて挑んだ内閣総理大臣杯でも優勝した。
天皇杯では相手選手の棄権により1回戦を突破すると、準決勝は上野裕次郎選手(栃木県スポーツ協会)に快勝した。決勝戦では自他ともに認めるライバルである安楽龍馬選手(早稲田大学)と対戦。白熱した試合を展開し、ポイント2―1で接戦をものにして見事勝利を収めた。
優勝の報告を受けた父・哲也さん(45)は「新型コロナウイルス感染症の影響で練習ができない中、一生懸命自主トレに励んでいました。本人は優勝はうれしい反面、積極的な攻めができなかった、目標である『世界』に向けて課題にしっかりと取り組んでいかないといけないと振り返っていました」と語る。
「総理大臣杯、天皇杯ともに一番の成績を残してくれたことは喜ばしく、優勝を信じていた。これからも支えてくれた多くの方々に感謝しつつ、謙虚さを忘れず突き進んでほしいですね」と話していた。
(2020年12月22日付紙面より)
フィンランドのお菓子作り教室 (紀宝町 )
フィンランド在住のサウナ文化研究家、こばやしあやなさんを招いてのお菓子作り教室が18、19日の2日間、紀宝町浅里の飛雪の滝キャンプ場で開かれた。2日間で計18人が参加し、フィンランドのクリスマスのお菓子「ヨウルトルットゥ」を作った。
18日の教室には子ども6人を含む8人が参加。こばやしさんは世界地図を基に「フィンランドは北欧にあり、湖が多い国。日本からは飛行機で9時間くらい。夏は白夜で太陽が沈まず、冬は太陽が出ずに寒い国」と紹介した。サンタの国、フィンランドではクリスマスを「ヨウル」と呼び、「ヨウルトルットゥ」とホットドリンク「グロギ」がクリスマスの定番だという。
ヨウルトルットゥ作りに挑戦した子どもたちは、正方形の生地に切り込みを入れて、折り紙のように折っていった。天使や花、かわいい風車のような形に折り、伝統的なプルーンとリンゴのジャムをたっぷり塗ってオーブンで焼いた。
焼き上がるまで、こばやしさんはフィンランドの景色を写し出し、「10月に初雪が降り、11月には湖が岸辺から凍り始める。冬のフィンランドはオーロラがきれいで、秋には湖に映ることがある」と話した。
クリスマスにはイルミネーションやツリーを飾り、日本と違いフィンランドのサンタは昼間に来てくれるという。
クッキーで家を作るフィンランド文化などを映像で楽しみ、15分後にはオーブンから甘い香りが漂った。お菓子が焼き上がると、子どもたちは熱々のまま頬張り「上手にできた」「おいしい」と笑顔を見せていた。
(2020年12月22日付紙面より)
大みそかに向け試験点灯 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)別宮、飛瀧(ひろう)神社の御神体である那智の滝と、那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)の三重塔で19日、大みそかのライトアップに備えた試験点灯があった=写真。
1989(平成元)年から始まったライトアップ。発光機の清掃の後、午後5時に点灯され、水銀灯3基と、5基のライトに照らされた三重塔と那智の滝が夕闇迫る那智山中に浮かび上がった。
見守った青岸渡寺の髙木亮英副住職は「新型コロナで大変な世の中、一日も早い終息と、世の平和を願いたい」と話していた。
ライトアップは31日(木)の日没から元日の明け方まで実施される。熊野那智大社では27日(日)に滝の上に架かるしめ縄を張り替え、迎春に備える。
(2020年12月22日付紙面より)
古座川サイクリングフェス (古座川町 )
古座川町で19日、自転車イベント「古座川リバーサイドサイクリングフェス2020」があり一般84人が「KINAN Cycling Team」のプロ選手と共に高池の虫喰岩、滝の拝、一枚岩といった名勝を巡るツーリングに親しんだ。
このイベントは同町観光協会(須川陽介会長)とNPO法人スポーツプロデュース熊野(角口賀敏理事長)が主催、同町と県が後援、株式会社キナンが協力。信号がなく交通も穏やかな町域を生かしたサイクルツーリズムを推進する同協会が主要なコースを広く伝えるため、新宮市を拠点にし大会運営のノウハウを持つ同法人と両輪で計画し、①清流奇岩巡りコース(滝の拝以外の名勝巡り、全長約28㌔)②清流3名勝巡りコース(全長約50㌔)―の2ルートを設定して事前申し込みを受け付けた。
当日は①に20人、②に64人が参加。同協会事務局がある道の駅虫喰岩を大会拠点にして開会し、須川会長は「コロナ禍と初開催で満足のいくイベント結果にならないかもしれないが、今後もよりよいイベントにしていきたいので温かい気持ちで迎えていただければ幸い。古座川の自然や味覚を十分に楽しんでほしい」とあいさつして歓迎した。
来賓を代表して西前啓市町長、鶴保庸介参議院議員、角口理事長が祝辞を寄せ、町議有志も列席。県議会の濱口太史議員と二階俊博代議士の秘書・二階伸康さんは列席に加えて一般参加もした。
共に駆ける同チーム選手10人の自己紹介後、選手含む10人前後の小グループに分かれて順次スタート。スポーツ自転車相応に軽くスピードを出しながら前半はチェックポイントがある各名勝巡りをし、エイドステーションがある一枚岩前で合流した。ジビエやアユ、ユズ菓子など地元の味を昼食としつつ選手のトークショーを鑑賞するなどしながら休憩を取り、後半は南紀月の瀬温泉ぼたん荘前のチェックポイント経由で道の駅虫喰岩へと戻った。
実施に当たり同協会がレンタル提供するスポーツ自転車は全車貸し出しとなり、同法人も希望に対する不足分を出してフォローしたという。ツーリング後は記念グッズ(イベントロゴ入りボトルなど)を受け取って終了となり、参加者やスタッフは物産やサイクリンググッズの直販を利用しつつ解散した。
(2020年12月22日付紙面より)
長距離列車誘致が実現 (JR西日本 )
JR西日本の長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」が、来年夏から秋にかけて、京都から新宮まで運行することが16日、発表された。京都発は夜行列車、新宮発は昼行列車となる(新型コロナの今後の状況により変更となる場合あり)。
同社は、観光を中心とした西日本エリアの活性化のため、9月11日から山陰方面に長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の運行を開始している。
車両は117系6両1編成。定員は90人程度で全車指定席。「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、鉄道の旅の実現を目指し、1両ごとに異なる座席タイプを配置。シンプルながら高い快適性と落ち着いた車内空間を提供するとともに、車窓から沿線の風景を楽しめるような座席配置となっている。
この長距離列車について、新宮市、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町、すさみ町の7市町村と和歌山県は「西日本地域の鉄道を利用した旅行として新たな観光の起爆剤になるのでは」と注目し、2018年4月から意見交換会や勉強会を開催してきた。
今年10月には7市町村と県を代表し、田岡実千年・新宮市長が同社の長谷川一明社長に対し、南紀熊野ジオパークや熊野信仰、古式捕鯨、筏(いかだ)流し、世界遺産、串本町における国内初の民間ロケット発射場の建設などに触れ「当地域の観光資源を活用し、現在運行している山陰地方に負けないおもてなしを用意する」と要望活動を行っていた。
このたびの決定を受け、田岡市長は「一緒に要望書を提出させていただいた紀南7市町村の代表として、また新宮市長として大変うれしく思う。当地方が誇る自然や文化、さらに観光に対する取り組みが評価されたものだと感じている」と喜びのコメント。
今後は、関係市町村や県と受け入れのための協議会を立ち上げ、魅力ある観光素材づくりと「銀河」利用者に再度訪問していただけるように、頑張っていきたいとしている。
(2020年12月18日付紙面より)
岡野光夫教授が講話 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長、生徒547人)で15日、日本の再生医療分野の第一人者である岡野光夫教授によるオンライン講演があった。「細胞シート再生医療の切り拓く未来」と題し、同校に通う理系分野の2年生48人が最先端の医療研究の世界に触れた。
岡野さんは早稲田大学理工学部を卒業し、同大学院高分子化学博士課程を修了(工学博士)。ユタ大学薬学部准教授、東京女子医科大学教授などを経て、現在は東京女子医科大学名誉教授・特任教授、同大先端生命医科学センター長、ユタ大学薬学部細胞シート再生医療センター長を務めている。
冒頭「現在治せない病気を治すにはどうしたらいいか?」と問い掛けた岡野教授は「工学・理学・薬学と医学を融合させ、国境を越えてアイデアや技術を結集する必要がある」と語った。
人工心臓や心臓ペースメーカー、新型コロナウイルス感染症の治療で重要な人工呼吸器などの医療機器のほとんどが輸入に依存していることの問題点にも言及。「教育・研究環境の整備によって日本発・世界初の新テクノロジーを創出し、産官学の連携によって産業を発展させることで、より多くの患者を救えるようになる」と述べた。
親・疎水性ポリマーを応用して作った細胞シートが、拡張型心筋症の治療やがん患者の食道再生、角膜再生に生かされている現場を映像で紹介。細胞シートを積層化する技術にも触れ、「10年、20年後には、肝臓や膵臓(すいぞう)といった臓器をまるごと作れるようにしていきたい」と語った。
生徒からの「これまでで一番大変だったことは?」という質問には、「工学から医学分野に足を踏み入れた際、どこにも研究の場がなかった」と答え、「山中伸弥教授がiPS細胞を作りだしてノーベル医学賞を受賞したことで、再生医療部分野も環境が良くなっている。未来のリーダーと技術をつくる仕組みづくりをしなければ、本当の意味で社会のためにはならない」と話していた。
(2020年12月18日付紙面より)
国際交流員が町長表敬 (那智勝浦町 )
国際交流員(CIR)として那智勝浦町が任用したミャオミャオ・イェさん(25)が16日、同町役場を訪れ、堀順一郎町長を表敬訪問した。イェさんの任期は最大5年。14日から同町観光案内所に勤務しており、任期終了まで観光案内や通訳翻訳、学校訪問、海外への観光プロモーションなどの業務に従事する。
イェさんは「語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)」により来日。先月27日に来日を果たしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、東京のホテルに待機しオンライン研修を受講していた。
中国浙江(せっこう)省出身で国籍はオーストラリア。日本語、英語、中国語が堪能という。幼い頃に「スタジオジブリ」の作品など日本のアニメで日本に興味を抱き、景色や歴史に魅力を感じたことがきっかけでCIRを希望した。
同町と故郷オーストラリア・ブリスベンを比較し「那智勝浦町は景色が美しい。ブリスベンと近い印象を受ける」。ハイキングと日本のとんこつラーメンが好きで合気道が趣味。「那智勝浦町の素晴らしさを広く発信できれば」と豊富を語る。
堀町長は「熊野古道を歩く外国人観光客ではオーストラリア人が一番多く、大変喜んでくれている」と紹介。
「新型コロナの影響でストップしているが、コロナが終息したら海外からのお客さんをお迎えしたい。町中観光マップの作成も考えている。ぜひ力になっていただきたい」と協力を求めた。
同町では、イェさんに外国人観光客への誘客促進や受け入れの環境整備などを期待しているとし、町内事業者に対して「英語や中国語メニューなどの翻訳にお困りの場合はお気軽にお問い合わせを」と呼び掛けている。
(2020年12月18日付紙面より)
追い払い花火使用講習会 (古座川町 )
古座川町が13日、一雨(いちぶり)にある明神中学校体育館などで動物追い払い用花火使用の講習会を開いた。使用に関心がある18人が受講し、座学や試し打ちに臨んで安全な取り扱い方法を学んだ。
同町は猟友会協力による有害駆除と町民による追い払いを組み合わせて鳥獣害を抑えるため、2013年度から町内を対象にして同花火を無償配布している。
採用している同花火は、三重県農業研究所の発案に基づいて開発された伊藤煙火工業株式会社製の動物駆逐用煙火T―3。市販されている花火よりも火薬量が多いため、この講習会を修了していることを無償配布と実使用の条件としている。配布開始以降おおむね年1回の頻度でこの講習会を開いていて、過去8回の実施でのべ約450人が受講し町内での使用の裾野が広がっているという。
9回目となる今回も同社代表取締役会長の伊藤照雄さんに講師を依頼し、当日受け付けで受講者を募集した。前半は座学で、伊藤さんはT―3の概要(5連発式の音花火)と管理および使用方法、使用上の注意を一通り説明。後半は最寄りの河原へ移動して試し打ちをし、使用するときの感覚や花火特有の劣化に伴う不発や暴発などの支障が出たときの対処を経験として伝えた。
受講者には後日、受講修了証を交付する。無償配布は役場本庁と各出張所でしていて、同証の提示と同花火使用受付簿への必要事項(住所や氏名など)記入で町内での使用資格があるかを確かめた上、申請1回につき10本以内で渡す仕組みとなっている。初申請時は花火と併せてステンレス製ホルダーの配布も受けることが必要。一度でも暴発を食い止めたホルダーは引き続き使用せず、その旨を申し出て新品と交換してほしいとしている。
同花火の問い合わせは役場地域振興課(電話0735・72・0180)まで。
(2020年12月18日付紙面より)