推進室と感染症対策室を設置 (新宮市 )
新宮市は25日、今後の新型コロナウイルス感染状況に対応し、迅速かつ柔軟に対策を講じるため、「新型コロナウイルス感染症対策室」を再設置するとともに、ワクチン接種を迅速かつ適切に実施していくため、「新型コロナワクチン接種推進室」を設置した。
厚生労働省では、安全で有効なワクチンが承認され供給できるようになったときには医療従事者などへの最初の接種が2月下旬から始められるように準備を進めており、その後には高齢者、基礎疾患を有する人などの順に接種を進めていくとしている。
ワクチンは原則として、住民票所在地の市町村の医療機関や接種会場で接種を受けることになる。
市は、市民へのワクチン接種を最優先事項と位置付け、市保健センター1階にワクチン接種推進室を設置。同日朝に市庁舎で推進室設置に伴う人事異動発令式があり、田岡実千年市長が田中幸人・健康福祉部長兼新型コロナワクチン接種推進室長事務取扱いら5人に辞令を交付。
「ワクチン接種は今年前半の最優先事項。国の動きにはまだまだ流動的な部分はあるが、ワクチンの供給が開始されたら希望する市民に円滑かつ迅速にワクチン接種を受けていただけるよう私も全力を尽くす」と訓示した。同推進室の業務は、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関すること全般となる。
市役所別館の高齢者相談センター会議室に再設置された新型コロナウイルス感染症対策室では、室長の山下泰司・防災及び危機管理担当部長以下4人の職員が業務に当たる。
設置に当たり、山下室長が「対策室一丸となって、市民に寄り添ったきめ細かい対応を」と職員らに呼び掛けた。
主に▽新型コロナ対策に係る情報収集および発信、相談業務、課題の整理などに関すること▽新型コロナウイルス感染症対策本部会議に関すること―などの業務に従事する。
両室とも、開設時間は土・日・祝日を除く午前8時30分~午後5時15分。ワクチン接種推進室への問い合わせは電話0735・23・4511。感染症対策室は0735・29・7358(直通)もしくは0735・23・3333(内線8603、8605、8606)。
(2021年1月26日付紙面より)
三尾川小の4~6年生7人 (古座川町 )
古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(山本健司校長、児童9人)の4~6年生7人が22日、卒業証書用の和紙を手作りした。先だって21日は、全校児童と教職員ではがき大の和紙作りに挑戦。全員で古く古座川流域でも盛んだった製造文化の一端に親しむ機会を持った。
この活動は、約20年続いている児童自ら卒業証書用の和紙を作る取り組みから派生した全校規模のふるさと学習。児童数減により近年は4~6年生が3年ごとに一丸で取り組むようになり、その時に1~6年生と教職員全員で練習を兼ねてはがき大の和紙作りにも挑戦する形となっている。
本年度はその巡りの年に当たり、児童は昨年11月13日に作り方を教えてくれる外部講師の谷本節代さん(76)と共に重畳山(かさねやま)一帯へ赴き材料となるガンピの枝を採集。以降、地道に樹皮をむいて細かく切り刻むなどの準備を進めてきた。
初日は全校児童と教職員全員ではがき大の和紙作りに取り組み、草花を繊維の間に挟み入れた作品を作った。2日目は本番の卒業証書用和紙作りで、4~6年生7人が40㌢×30㌢の型枠にミキサーでほぐした樹皮60㌘分の繊維を流し入れ、しっかりと水抜きをして成形。繊維を型枠へ流し入れる時には均一に広がるようにし汚れた繊維をこの段階で取り除くこと、水抜きをする時は和紙の形を崩さないよう優しく扱う事などを意識し、卒業の証しとして持ち続ける紙を丁寧に仕立てた。
自然乾燥を経て後日、アイロンがけをして和紙を仕上げる。以降は谷本さんが外周を切り落として卒業証書の文面を筆書きし、山本校長が学校印を押して卒業時に授与する流れとなる。
間もなく卒業を迎える奈須初実さん(6年)は「皮の茶色いところが入らないよう気を付け、思っていたよりも上手にできたので良かった。はがきよりも大きくて結構大変だったけど、これで一つしかない自分の卒業証書が作れるのでうれしいしもらうのがすごく楽しみです」と思うところを語った。
(2021年1月26日付紙面より)
厄払いや歴代住職などの供養 (紀宝町神内 )
紀宝町神内の玉龍山(ぎょくりゅうざん)善光寺(ぜんこうじ)で24日、延命地蔵の大祭が執り行われた。一村桂晋住職が法要を営み、寺総代、組長、護持会の役員らが除災招福、身体健全、交通安全、延命長寿などを願った。
地蔵菩薩(ぼさつ)の縁日である1月24日が例祭日となっており、例年、山の中腹にある地蔵前で厄払い祈とうが行われるが、今年は雨のため同寺で行った。毎年、地元住民や子どもたちでにぎわう餅まきは新型コロナウイルスの感染防止対策として中止となった。
善光寺では、厄払いのほか同寺を開山した角天禅麟大和尚をはじめ歴代住職や水子菩薩地蔵、永代供養墓、無縁仏などの供養も執り行われた。
護持会の矢熊達雄会長は「前日からの雨で、延命地蔵へ向かう道が滑りやすくなっているので善光寺で大祭を行った。餅ほりの中止も初めてで残念だが、来年は通常通りの大祭になれば」と話していた。
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■延命地蔵
この地蔵は別名「滝の地蔵」とも呼ばれ、奇岩(みさごの岩)の岩窟に祠(ほこら)があり、前方に「大洞の滝」が流れ落ちる。座像ではなく片膝をついた姿をしている。「神内の伝承や昔話」によれば、祭り始めた当時は争い事が多かったため、いつでも立ち上がり、村の助勢ができるように身構えてくれていたとの言い伝えがある。
(2021年1月26日付紙面より)
県トラック協会青年協議会 (那智勝浦町 )
和歌山県トラック協会青年協議会(野嶋利基会長、65人)は23日、那智勝浦町立温泉病院に車椅子6台を寄贈した。野嶋会長を含め役員6人が寄贈式に出席し、山本康久院長や中紀文副院長らが感謝を述べた。
寄贈は同協議会主催によるチャリティーゴルフコンペの収益金を活用した社会貢献事業の一環で、県内の病院施設などに車椅子の寄贈を進めているという。
昨年9月に印南町のラ・グレースゴルフ倶楽部で100人が参加するコンペを開き、本年度は独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターに10台、国保すさみ病院に4台、同院合わせて計20台の寄贈に至った。なお、同院への寄贈は旧病院の頃も含めて2度目となった。
山本院長は野嶋会長に感謝状を手渡し、「那智勝浦町は高齢化率が40%以上と高い。車椅子は機能低下した高齢者の方々のリハビリなどや院内各所で使用できるため本当にありがたい。皆さまの今後のご発展をお祈りしております」と話した。
野嶋会長は「新型コロナウイルスでさまざまな物が不足していると聞いています。さまざまな場面で有効的に活用していただけたら幸いです」と語った。
(2021年1月26日付紙面より)
文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(1月26日)を前に田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で22日、同大社自衛消防隊による防火訓練があった。消防関係者や神職ら約40人が参加。訓練を通して防火意識の高揚を図った。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されている。今年で67回目。
今年の訓練は、新型コロナウイルスの感染予防の観点から規模を縮小し、同大社神職らからなる自衛消防隊が中心となり実施。宝物殿奥の山林から出火し、境内を巡回中の神職が火事を発見したとの想定で行われた。参加者らは消火活動や文化財の搬出など、それぞれ担当する活動に取り組んだ。
最後に、社殿に飛び火することを想定し延焼防止のために社殿に向け放水銃で一斉に放水した。
この日は、消防訓練に先立ち田辺消防署本宮分署による立ち入り検査や、神職らを対象にした応急手当(AED)・消火器訓練も行われた。
訓練後、集合した参加者らを前に、田野直・田辺消防署本宮分署長が「初期消火の遅れが見られた。火災のベルがなった時に全員がすぐに行動を開始すれば火災を小さなうちに消火し、被害を最小限に止めることができるのでは」と講評。
たばこやたき火、コンロなど火災の発生原因を挙げ「まずは火事を出さないように徹底を。そして世界遺産である本宮大社を守るため、もしものときのために訓練の継続をお願いします」と呼び掛けた。
九鬼宮司は「重要文化財をお預かりしているという意識をもって取り組んでいきたい。木造である当大社は火がつけばあっという間。そのことを肝に銘じてしっかりと守っていければ」と気持ちを新たにした。
(2021年1月24日付紙面より)
YouTube活用セミナー (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会と和歌山県商工会連合会は22日、那智勝浦町体育文化会館で「発信力を鍛えようYouTube(ユーチューブ)活用セミナー」を開催した。オンラインでアニバーサリーボイス代表の東大悟さんが講師を務め、ウェブ参加者含め20人がYouTubeの特徴や効果的な使い方、ネタ企画や動画構成について学んだ。
令和2年度制度改正に伴う専門家派遣事業の一環。YouTubeはGoogle(グーグル)LCCが提供する世界最大の動画共有サービスで、ユーザーは約20億人、国内の月間利用者数は6200万人といわれている。
東さんは「動画を作る目的は、相手に行動させること」と述べ、「他の会員制交流サイト(SNS)と比べ、YouTubeは注目を集め、興味付けし、欲求をかき立て、動機付けし、実際に行動に移させるところまでの全ての心理行動プロセスに働き掛けることができる」と紹介。
動画配信システムを無料で使える上、▽動画は有益情報としてGoogleの検索上位に出やすい▽アップロードに時間がかからない▽スマートフォンがあればすぐに実践できる―といったメリットがあること伝えた。
動画作成に当たって「悩みを持った誰に対して、どんな解決法を提示し、どう行動してほしいかを分かりやすく提示することが重要。多くの視聴者が求めているのは、かっこいい動画ではない」と強調。Googleの予測検索を活用し、「那智勝浦町 ランチ」など人が具体的に検索するであろう言葉や求めている情報を予測する方法を提案した。
また、他のSNSと組み合わせることで相乗効果が狙えることに言及し、「LINE(ライン)やフェイスブックのアカウントと連動させ、動画をシェアして顧客に見てもらうという方法もある」とアドバイス。店の雰囲気や商品の紹介、クレームへの回答など、さまざまな活用事例を提示した。
最後に「動画広告を作る心理的障壁が高く、ユーザーのほとんどが配信者側にいない今がビジネス利用を始めるチャンス。10年後も動画による情報発信の手法は残る」と伝えた。
参加した50代女性は「年齢が高くてもチャレンジできると思えるきっかけになった。SNSを使って情報発信をすることで、小さなレベルからでも地方の活性化につなげられる」と話していた。
(2021年1月24日付紙面より)
2年生が「クロスロード」に挑戦 (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長、生徒238人)で22日、防災学習会があった。2年生78人が災害対応ゲーム「クロスロード」に挑戦し、災害にどう対応し、行動するかを考え、グループで議論した。
はじめに、町学校防災アドバイザーで三重大学大学院工学研究科の川口淳・准教授が防災をテーマに防災講話。1959(昭和34)年の伊勢湾台風、2018(平成30)年の台風21号の被害を比較し「過去に学び、未来に備えることは正しい」と述べた。
「地震も起こるたびに学んできたが、1995年の阪神・淡路大震災では5000人以上が家屋の下敷きになって亡くなった。2011年の東日本大震災では大津波が発生した」と説明。「ハザードマップは過去に起きたことを踏まえて作ったもの。過去の災害を超えない保証はなく、安全と危険に境界線はない。過去に起きていないことを想定するのも大切」と伝えた。
続いて、4~5人でグループを組み、クロスロードに取り組んだ。クロスロードは災害発生時の救助や応急活動、避難所運営などの事例が書かれたカードを自らの問題として考え、YESかNOかで自分の考えを示すカードゲーム。
「被災者のあなたは、避難所に犬を連れてくることを許しますか?」の問いに「YES」と答える生徒が多い一方、「NO」と答えた生徒は「動物アレルギーの人もいる」「物資や場所に限りがある」などと意見した。
「水も食料も持たない家族が多数いる避難所で非常持ち出し袋をあける?」「地震発生。海辺の住民のあなたは、近所の一人暮らしのおばあちゃんを見に行く?」などの質問が続き、それぞれが自分の意思を示し、グループで行動を考えた。
生徒たちはゲームを通して災害時の対応を自らの問題としてとらえ、自分とは異なる意見にも耳を傾けていた。
(2021年1月24日付紙面より)
新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)で23日、熊野地方のトップを切って令和2年度(第56回)卒業証書授与式が挙行された。卒業生127人(男子75、女子52)が感謝を胸に学びやを巣立った。
本年度は新型コロナウイルス感染対策のため保護者の出席はなく、在校生は吹奏楽部と、式の様子を動画で配信するメディア部のみの参加とした。
池上校長が4クラスの代表者に卒業証書、各賞受賞者に表彰状を授与。式辞では作家の小関智弘さんの「働くとは、傍楽(はたらく)だ。お前さんが働けば、おふくろさんが楽をする。傍を楽にさせる」という言葉を引用し「一人一人の行動や言葉がその傍の一人一人の心を楽にさせる。本校で学んだ誇りを胸に、これからの社会を力強く生き抜いて」とはなむけの言葉を贈った。
在校生を代表して岡地優希君(2年)が送辞。卒業生を代表して三浦新菜さんが「卒業式や成人式などのお祝いの日を『ハレの日』と呼ぶのに対し、普段通りの日常を『ケの日』と呼ぶ。私たちの3年間、または6年間というあっという間だった幸せな日々のほとんどは『ケの日』。この何気ない『ケの日』の積み重ねが幸せだったのだと、今なら分かる」と語り、共に学んだ友達や学校生活を支えた教職員、保護者、地域の人々へ感謝を述べた。本年度の皆勤賞は14人、精勤賞は32人だった。
(2021年1月24日付紙面より)
紀の国いきいき健康長寿祭グラウンドゴルフ競技
ヒカンザクラが危機に (那智勝浦町 )
早咲きで知られるJR那智駅前のヒカンザクラ(緋寒桜)が枯れ始めている。この地方で一番早く、1月初旬から咲き始め、併設する道の駅を訪れる人を和ませてきたこのヒカンザクラが危機的な状態になっている。
那智駅周辺にはホームなどに数本のヒカンザクラがあるが、枯れ始めているのは駅前広場中心にある、シンボルとしてすっかり定着しているサクラ。例年ならメジロやミツバチが訪れて大変にぎやかになり、カメラやスマートフォンで撮影するカメラマンや観光客の姿が多く見られる。
数年前から勢いがなくなり、枯れた部分を剪定(せんてい)などしてきたが、樹勢は弱るばかり。勝浦側(西側)の幹は現在花が咲いているが、同所農産物直売所側(東側)の幹はほとんど枯れた状態になっている。
管理する那智勝浦町農林水産課では、東牟婁振興局林務課に相談し現在対策を整えている。東側の幹に関しては、落下などの危険性があるため切除することも検討しており、西側の幹は、2月に寒肥をするための準備を進めているという。
また、県の林業試験所の助言で、生きている幹から出た枝を数本採取して山桜を台木に接ぎ木をして育てており、枯れてしまったときのために備えている。
町担当者は「地域のシンボルである大切なサクラなので、なんとか復活させられるように努力したい」と話している。
(2021年1月22日付紙面より)
工業系高校6校をつなぎ (和歌山県 )
和歌山県内6校の工業系高校をオンラインでつないで20日、第37回工業教育研究発表大会が開かれた。新宮市の県立新翔高校(東啓史校長、生徒326人)でも建設技術系列の2年生6人が参加し、映像を通じて県内の工業高校生による研究成果発表に耳を傾けた。
和歌山県高等学校教育研究会工業部会(西村文宏部会長)とわかやま産業を支える人づくりネットワーク会議による恒例の大会。和歌山工業高校を発表会場とし、紀北工業高校、箕島高校、紀央館高校、田辺工業高校、新翔高校、県内企業をつないで約1000人が参加した。オンラインでの開催は今回が初めて。
西村部会長は「新型コロナウイルスによる臨時休校や就活日程の変更など厳しい環境の中で、工業を生かして研究を行い、一定の成果を出してくれて非常にうれしい。そこまで導いてくださった教職員や関係機関の方々に感謝いたします」とあいさつ。
作文部門では、4人が3年間の高校生活について発表。実習やコンテスト出場を通じた技術の習得、危険物取扱者や機械加工技能士といった国家資格の取得、部活動の経験を通じた自らの成長を語った。
Webプレゼン大会では「水準測量を用いた校舎各階の標高測定と津波防災への活用について」「紀の国わかやま総文、および文化祭2021のカウントダウンボードの製作」「ミストシャワーの製作」など社会貢献を見据えた個性豊かな発表がなされ、審査委員による質疑も行われていた。
(2021年1月22日付紙面より)
ころころ教室第2期始まる (串本町 )
串本町地域包括支援センター主催の介護予防教室「ころころ教室」の第2期が20日、町立体育館を拠点にして始まった。今期は寒さやコロナ禍が増す中での事前募集となったが、9人が2期生として受講登録。期間中は継続参加を希望する1期生と共に健康づくりに欠かせない知識を学び、家庭における実践の定着を目指す。
国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した「在宅高齢者運動指導支援員雇用促進事業」の一環で昨年9月から始まった同教室。外出自粛などで過ごす機会が増えている家庭内での健康づくりを促して介護予防を図ることを目的とし、そのために欠かせない運動、栄養、口腔(こうくう)の各知識を一連のものとして伝える内容で帯開講している。
1期当たりの開講数は9回。昨年9~12月に第1期を実施し、14人が受講登録をして取り組んだ。第2期もコロナ禍の情勢を鑑みて定員を先着15人に抑え、同日から3月31日(水)までの間で2月の3日(水)と24日(水)を除いた水曜午後定例で全9回帯開講することを広報くしもとで告知。1期生による誘いの協力も得ながら、2期生を募集した。
第2期は、継続受講を希望する1期生が2期生のサポート役を兼ねて自由参加。初回は2期生9人と1期生5人が出席し、同センターを代表して保健師の中まどかさんがこの教室の趣旨や目指すところ、理学療法士や保健師、栄養士など専門職が運営を支えていることなどを伝えて歓迎した。
以降は同支援員の理学療法士・原井祐弥さんが推奨する準備体操や転倒の不安解消を意識しながらの運動指導をし、体力テストや体成分分析装置「InBody」による測定を実施した。
この教室は受講前に感染症予防対策として手指消毒と検温をし、併せて血圧の確認を実施。前述した測定は期間終盤にも再度行い、それら結果の変化を見て受講の成果を実感し家庭での健康づくりの意欲を高める材料とする仕組みも取り入れている。
(2021年1月22日付紙面より)
木の川認定こども園 (新宮市 )
新宮市木ノ川の幼保連携型認定こども園「木の川認定こども園」(丸本知加子園長)で20日、新宮市消防本部(越水薫消防長)と合同で、火災を想定した自衛消防訓練を実施した。0~5歳までの園児48人は職員の誘導に従い、駆け足で施設上にある白龍山宝珠寺(西昭嘉住職)へ避難した。
同園によると、消防と共に園児も参加しての取り組みは初だという。訓練は調理員の休憩室から出火した想定で行われた。避難を促す放送直後には職員が連携して園児を屋外へ安全に避難させた。
同寺境内では消防隊員が職員に対して消火器の種類や使用方法を説明。水消火器による実践訓練では「先生頑張って」と職員を応援する園児の姿も見られた。
その後、園児は同園駐車場で防火服の紹介を受け装備を約40秒で整えるもようを見学。子ども用の防火服に着替えたり、消防車両に乗車するなどさまざまな体験を通し、火災予防を学んだ。
市消防本部の中西淳消防係長は「熱心に取り組んでいただき感謝しています。子どもの頃から火災予防に触れることは重要。職員の皆さまには火災予防の大切さを広めてもらえたら。園児の皆さんには将来、消防士になりたいという夢を持っていただけたらうれしい」と話した。
丸本園長は「指導いただきました内容を職員で話し合い、毎月の訓練に生かしていきたいです」と語った。
訓練後、園児は隊員に対して元気いっぱい「ありがとうございました」と感謝を伝えた。
(2021年1月22日付紙面より)
節分前に「吉兆」作り (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)では、縁起物の「吉兆(きっちょう)」作りが大詰めを迎えている。同大社職員や巫女(みこ)、敬神婦人会のメンバーらが先月10日ごろから制作に取り掛かっていた。大(約90㌢)約100本、小(約50㌢)約600本を20日から同社で販売しており、希望者には郵送する(送料別)。
「吉兆」は「良いことの兆し」の意味があり、古い信仰では、「お正月様(年神)」が「今年は豊年、凶事・疫病の起こらぬ良い年」と祝福したことから、この福神を迎えた木のことを「吉兆」という。
大社境内の山林で採ったヤナギの枝を上野宮司が剪定(せんてい)して束ね、大福帳、小判、お守り、タイなどの小物をくくり付け、仕上げに直径約2~3㌢の赤、白、青、紫などの「もち花」を付けた縁起物。
ヤナギはその生命力の強さ、力強さなどから福神が宿るとされている。節分に飾ると商売繁盛、家内安全などの幸福が訪れると信じられている。
今年の節分は立春が2月3日(水)になるため、1897(明治30)年以来124年ぶりに2日(火)となる。吉兆は同日の節分祭でも販売するが、人気があり午前中で売り切れてしまうことも。値段は大が3000円、小が1800円。郵送希望者は同大社に電話(0735・22・2533)で問い合わせを。
同大社では「本年も家内安全、商売繁盛、福徳招来の御祈願を込めて奉製いたしております。皆さまにとって実り多き年となりますようお祈り申し上げます」と話している。
今年の節分祭は、新型コロナウイルス感染予防の観点から「お焚(た)き上げ」を午前10時から開始。時間を短縮し午後8時までとする。午後7時からは「追儺(ついな)式」が営まれるが、鬼の登場はなし。福豆やお菓子まきも実施しない。厄よけ祈とうは午前9時から午後8時まで。同大社では各所に消毒液を設置し感染防止に努めるとともに、参拝者に対してマスクの着用などを呼び掛けている。
(2021年1月21日付紙面より)
漁協職員らが認知症学ぶ (太地町 )
太地町社会福祉協議会(岡本研会長)と同町地域包括支援センターは19日、同町漁業協同組合横の漁村環境改善総合センターで同漁協関係者を対象とした認知症サポーター養成講座を初開催した。那智勝浦町下里の株式会社下里福祉グループホームつつじ園の看護師で和歌山県の認知症介護指導者である川口利恵さんが講師を務め、参加者は認知症患者との接し方などを学んだ。
1日現在で43・3%と高齢化率が高い同町。講座は町漁協が経営する漁協スーパーや道の駅たいじなどの従業員が町民と接する機会が多いことから、認知症への理解を深め、各業務で生かすことで町の課題解決につなげることが目的だという。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からこの日は7人が参加。残りの職員らは来月に数回に分けて講座を実施する予定。
岡本会長は同漁協からの情報提供や対応、見守り活動への参加について感謝を述べ、今後の協力を呼び掛けた。
川口さんは自身が勤務する施設の認知症利用者の生活の様子を紹介し、「認知症になっても人生は終わりではない。今日は認知症の方が私たちと何も変わらない生活をしていることを伝えたい」と話した。
加齢による物忘れと認知症の違いや認知症の一番の症状が記憶障害であると説明。認知症を患っていない人にとっての生活は「時間の連続性」の中にあるが、認知症患者にとってはあいまいなイメージのみが残り、不安を抱えていると述べた。
認知症患者の気持ちと接し方について、内面で起きている世界(本人の気持ち)を見ることが重要とし、急がせないことやシンプルに伝えることを例に挙げ、不安のない安心できる人間関係が一番大切だと主張した。
川口さんは「無関心にならず、『いずれはわが(自分)こと』と考えてほしい。認知症で困っている方にお会いした際は少しの気遣いや関心を寄せてほしい。安心に暮らせる町づくりに生かしてもらえたら」。
同漁協の〆谷(しめたに)和豊参事は「皆さんが自分のことと捉えてくれたら対応も変わってくるはず。講座を通して従業員の皆さんの気づきや行動のきっかけになればうれしい」と語った。
(2021年1月21日付紙面より)
まなびの郷、ふるさと資料館に (鵜殿図書館 )
紀宝町立鵜殿図書館は、町生涯学習センターまなびの郷ふれあいゾーンと、田代公園内のふるさと資料館「みどりの里」にリサイクル本コーナーを設置した。気に入った本があれば持ち帰りできる。
同図書館では現在、移転準備のため本などの整理を行っており、役目を終えた本を有効活用するため、2施設にリサイクルコーナーを設けた。期間は2月末ごろまでを予定しているという。
現在、両施設に並ぶリサイクル本は料理本、雑誌、文庫本などで今後さまざまなジャンルの本を追加するという。
利用対象は紀宝町内在住、在勤の人に限る。来館の際は本を入れる袋などを持参し、マスク着用、検温、手指消毒などに協力すること。
開館時間は、まなびの郷が平日の午前9時から午後5時まで、ふるさと資料館は水曜日から日曜日までの午前9時30分から午後2時30分まで。
問い合わせは、同図書館(電話0735・32・4646)まで。
(2021年1月21日付紙面より)
わかば保が「まちたんけん」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町のわかば保育園(山田眞理子園長、園児81人)の5歳児17人が19日、「まちたんけん」で町立図書館や町消防本部を訪れた。
地元を探検することを通じて、園児たちに町の自然や人々、社会、公共物などに興味を持ってもらうことが目的。
町立図書館では絵本の会「よむよむ」による読み聞かせがあり、園児たちは節分にちなんだ「だいくとおにろく」や「のりまき」を楽しんだ。自分で選んだ絵本を読む時間もあり、夢中で絵や文字を追った。
町消防本部では、消防士による引揚救助訓練を見学。園児は大喜びで拍手を送った。消防士たちは「どうやって消防士になるの?」という質問に、「今からいっぱい食べて、運動して体力をつくり、勉強して試験に合格したら消防士になれる」と答えた。
橋本ちひろちゃんは「図書館には面白い本がいっぱい。救急車にはベッドなどいろんな物があった。消防士さんたちの訓練はかっこよかった」と話した。
晴天の下、園児と保育士たちは役場近くの公園でお弁当を広げ、町を満喫していた。
(2021年1月21日付紙面より)
日本郵便と包括連携協定締結 (太地町 )
太地町は15日、同町役場で日本郵便株式会社との「包括的連携に関する協定」を締結した。協定によって町と同社が人的・物的資源を有効活用し、住民サービス向上と地域の活性化を目指す。
締結式には同社から吉田仁久紀南地区統括局長(椿郵便局長)、坂本雄哉那智部会長(太田郵便局長)、小河則行太地郵便局長、奥田隆昭紀伊勝浦郵便局長が、町からは三軒一高町長と漁野洋伸副町長、森尾伸総務課長が出席した。
同社によると、協定は両者が業務に支障のない範囲で取り組むもので、他市町村との連携も進めているという。
連携事項としては▽防災・災害対策▽安心・安全な暮らしの実現▽未来を担う子どもの育成▽女性の活躍推進▽物流・金融事業を活用した地域の活性化▽地方創生―に関することなどで、太地郵便局と紀伊勝浦郵便局が実施する。
同社と町はこれまでにもご当地ポストの設置やオリジナル切手の作製、各イベントへの参加などで連携しているほか、福祉面では同町社会福祉協議会が実施する小地域ネットワーク活動「ふれあいネット」事業のメンバーとして、住民の見守り活動などにも尽力している。
協定について小河局長は「町民の皆さまに対するサービスや利便性向上が第一。臨機応変に対応できるように、今後はより強固な関係を築いていけたら」と話した。
三軒町長は同町の高齢化率(1日現在で43・3%)に触れ「高齢者が多いため協定はありがたい。配達員の方々は町や住民のことを詳しく知っている。郵便物がたまっているなど、少しの変化にも気付いていただけると思う。ご当地ポストも人気。これを機会に今後も郵便局と手を組んで町の活性化に発展していけたら」と語った。
締結後は同社のオリジナルキャラクター「ぽすくま」と同町のマスコットキャラクター「ゴン太くん」を交えて記念撮影が行われた。
(2021年1月17日付紙面より)
海翁禅寺で秋葉山大権現祈祷 (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の臨済宗海翁禅寺(武内宗隆住職)で15日、一年の間、町内で火災や盗難がないよう祈願する「火盗守護秋葉山大権現御祈祷(きとう)」が営まれた。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から町消防団の参加はなく、寺族のみで執り行った。
同寺によると、今回は前夜の同団有志による餅つきや団幹部らの祈祷参列、餅まきは中止となったがどんど焼きは規模を縮小して行ったという。
祈祷前には境内の鐘が鳴らされ、一行は山頂の祠(ほこら)へ向かった。武内住職と武内洪淵(こうえん)副住職が読経を行い、火伏せの神として知られる「火盗守護秋葉山大権現」に今年の平穏無事を祈願した。
洪淵副住職は「昨年は皆さまにとって我慢の一年だったと思う。コロナの終息と皆さまの心が晴れる日を願っています」。
武内住職は「今年こそ、コロナが終息して皆さまが普通の生活に戻れるようにご祈とういたしました」と語った。
なお、同寺の「火盗守護秋葉山大権現」は町消防団が願主となって建立され、1969(昭和44)年に同寺総檀家が再建したという。
(2021年1月17日付紙面より)
将来を見据えた挑戦へ (紀宝町 )
旧紀宝町と旧鵜殿村が2006(平成18)年1月10日に合併し、新・紀宝町が誕生して今年で15周年を迎えた。今月10日には「紀宝町制施行15周年記念式典」を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、やむなく中止となった。
旧鵜殿村は1894(明治27)年、旧紀宝町は御船村と相野谷村が合併して1954(昭和29)年に誕生した。
新町が発足した1月10日には、役場本庁舎で開庁式が開かれた。玉置俶己職務執行者、旧両町村議会議員、新町職員ら150人が出席し、新たな船出を祝った。当時の人口は1万2648人。将来像「海・山・川の恵みに抱かれ、ともに輝き創造するまち」の形成に向け、新たな一歩を踏み出した。新町の初代町長選は2月5日にあり、旧鵜殿村長だった西田健・現町長が当選した。
11(平成23)年に発生した紀伊半島大水害では、河川の氾濫や土砂崩れなどが多数発生し、1000棟を超える家屋が浸水するなど、過去に例を見ない未曽有の被害をもたらし、町民の心にも大きな爪痕を残した。
水害を教訓に、15(平成27)年には全国で初めて事前防災行動計画「タイムライン」を導入し、昨年から地震津波タイムラインの運用を開始した。
昨年度は新宮道路、紀宝熊野道路が新規事業化され、一般国道42号新宮紀宝道路の熊野川河口大橋建設工事が進むなど、紀伊半島一周高速道路がいよいよ実現しようとしている。
合併を経て15年目を迎えた今年。これまでの歩みを礎に、将来を見据えた新しい挑戦が求められている。式典で西田町長が読む予定だった式辞の一文を紹介する。
「これからも未来への夢を託し、手を携えて、対話を大切にしながら、紀宝町のさらなる発展に向けて、全力を尽くしてまいる所存であります。本日の式典が、今後も紀宝町が輝かしい歴史を刻み続けるため、豊かな自然と歴史文化、人と人の信頼の絆に磨きをかけ、新たな魅力を創造し、町民が誇りを持てる機会となりますことを強く願うものであります」。
(2021年1月17日付紙面より)
丹鶴幼で新春お楽しみ会 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長)で15日、新春お楽しみ会が開かれ、全園児56人が楽しいひとときを過ごした。
正月の飾り付けをした室内で、園児たちの元に教職員が扮(ふん)する唐草模様の獅子が登場。軽快な音楽に合わせて頭にかみつき、一年間病気にかからず、頭が良くなるよう厄払いをした。
「あけましておめでとう、今年もどうぞよろしくね」の歌詞に合わせて園児が他クラスの友達とペアを作ると、続いてビンゴ大会を開催。教職員が次々と数字を読み上げる中、園児たちは協力して数字を探し、「リーチ」「ビンゴ」と声を上げていた。
(2021年1月17日付紙面より)
和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)は13日、那智勝浦町立市野々小学校(中西健校長)で「防災RPG(ロールプレイングゲーム)土砂災害が発生したとき」を用いた県内初の防災学習を実施した。オンラインで参加した開発者である和歌山工業高等専門学校専攻科エコシステム工学専攻(辻原研究室)1年の西萩一喜さん(21)=串本町出身=のアドバイスの下、5・6年生9人はゲームという新たな形で防災への学びを深めた。
同センターによると、地震の避難に関する防災RPGを制作・研究していた辻原研究室の辻原治教授に同センターが土砂災害用ゲームについて提案したところ、防災に興味を持っていた西萩さんの紹介を受けたという。
西萩さんはゲーム開発のためにオンラインでの会議を実施し、同センターを数度訪れるなどして内容を精査。同センターも土砂災害に関する資料や情報を提供し、昨年12月に完成した。
ゲームは大雨警報や避難勧告が発令された中、主人公が自宅から避難所までたどり着けばゴール。さまざまな場面で災害に関する知識や正しい行動についての選択が問われる内容となっている。正解に応じて点数が獲得でき、実際の土砂災害の動画なども映し出される。
児童は2人一組でパソコンに向かい、相談しながらゲームを進めた。参加した中村幸幹くん(6年)は「いつもやっているゲームは学ぶことが少ない。このゲームは分かりやすくて楽しく学ぶことができた」。
中西校長は「受け身の教育ではなく、ゲームを通して主体的に学ぶことができたため、新たな可能性が広がっていくと感じた」と話した。
西萩さんは「今後はゲームをきっかけに家族と土砂災害について話し合い、知識を共有してほしい」と述べ、坂口所長は「楽しく学んでくれて良かった。児童や先生にもアンケートを行い、課題解決につなげていく。今後は県内各地でゲームを活用していきたい」と今後の展望を語った。
なお、ゲームは同センターでもプレーすることができる。問い合わせは和歌山県土砂災害啓発センター(電話0735・29・7531)まで。
(2021年1月15日付紙面より)
人権擁護委員委嘱状伝達式 (和歌山地方法務局 )
新宮市緑ヶ丘の和歌山地方法務局新宮支局(山田勝久支局長)で13日、人権擁護委員の委嘱状伝達式が行われ、山田支局長が村田美織さん(64)=那智勝浦町下里=に委嘱状を手渡した。任期は今月1日から3年間となる。
人権擁護委員は、地域住民の中から人権問題に理解や熱意のある人が市町村長の推薦を受けて法務大臣から委嘱される。さまざまな分野の人が地域の中で人権思想を広め、住民の人権が侵害されないよう配慮する活動を続けている。1日現在で同市では9人、那智勝浦町は6人、全国で約1万4000人が委嘱されている。
委嘱状を受け取った村田さんは「人権は、全ての人が守られ、平等であるべきもの。コロナの収束を迎えれば保育士として勤めていた経験を生かし、絵本などを通じて子どもたちに人権の大切さを少しでも伝えていければとも思っています。初めての活動で分からないことも多いですが、先輩委員の方々から学び任期を全うしていきたい」と決意を述べていた。
全国人権擁護委員連合会では昨年、新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大し緊急事態宣言が発令される中、5月に「差別をなくして新型コロナウイルス感染症のまん延を乗り越えよう」と緊急宣言。「このような時期だからこそ、個々の自覚した行動が求められている。一人一人は弱い人間でもみんなで助け合って支え合えば、この危機を乗り越えることができるのでは」と提唱した。
(2021年1月15日付紙面より)
飯田高校と最終の遠隔授業 (串本古座高校 )
県立串本古座高校普通科グローカルコース3年生が13日、石川県立飯田高校総合学科3年生と最終の遠隔交流授業に取り組んだ。
飯田高校は石川県の能登半島の先端に位置する学校。他地域に関わることで取り組む地域学への刺激が得たいという思いで紀伊半島の先端にある串本古座高校に交流を申し入れ、同校も生徒の取り組みに対する客観評価を得て学びを深められると意義を見いだして承諾し、実交流としてウェブ会議システムを使ったこの授業に取り組み始めた。
昨年6月に初実施し、以降も回を重ねて互いが取り組んでいる地域学の内容を伝え合い、時には相手の地域学を深めることに協力し合うなどしてきた。最終となったこの日は前後半の2部構成で実施。前半は同席した外部講師のために互いの地域の特色と地域学の経緯や学んだ事柄などを発表し、後半は飯田高校側の外部講師・圓山晃歩(えんやま・あきほ)さんと串本古座高校側の外部講師・宇井晋介さんが最終講義をしこの交流を締めくくる生徒に期待する事柄を託すなどした。
圓山さんは副業として半島同盟を運営するメンバーの一人。その活動内容や取り組む意味を紹介し、両校生徒がこの授業で追い求めたように半島同盟も他地域との違いを知って自分の価値を知り、それが今後の可能性につながるから取り組んでいるとして両校生徒の取り組みに共感した。
宇井さんは元・串本海中公園センター水族館館長で現・南紀串本観光協会事務局長。串本の海の特色と生物多様性を生かす観光業の成り立ちを体験型観光の主流化という時代変遷も踏まえながら説明し、その領域の一先駆者として▽「何もないところ」はない▽物事をいろんな方向から見てみる▽考えるだけでは考えていないのと同じで例え小さくても形にすることが大事▽継続が最も大切―などの発想を生徒に託した。
最後に両校代表を1人立ててこの交流の印象を発表。飯田高校側は「自分から進んで調べようとしなかったことをこの交流で知ることができ、それによって自分たちの地域をより深く知ることができて良かった」、串本古座高校側は「(交流を通じて)串本ではしていないまちづくりなどを勉強でき、今後自分たちの地元を盛り上げていくために活用できたらいいなと思った」と伝え合って交流を締めくくった。
(2021年1月15日付紙面より)
大泰寺で大般若祈祷会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町下和田の古刹(こさつ)、定光山大泰寺(西山十海住職)で13日、西山住職ほか、同町や太地町の9人の住職が出仕して「大般若祈祷会」を営んだ。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から恒例の餅まきは中止となったが、境内や本堂には約130人が訪れ参拝した。
法要ではマスク着用やアルコール消毒、換気など新型コロナウイルス対策を徹底し、住職の出仕も2町にとどめた。
住職らは全600巻の大般若経典を左右に波打たせながら一気に読む転読を行い、厄払いや家内安全、商売繁盛などを祈願した。
西山住職は「早期のコロナ終息と多くの方々が元通りの生活に戻れるように心に念じながらご祈とうさせていただいた。今年は皆さまが幸せをかみしめることのできる一年になることを願っています」と語った。
なお、昨年末から無料で授与されていた疫病封じの床浦大明神のお札を持ち帰る参拝者の姿も多く見られた。
同寺は伝教大師により1200年前の平安初期に創建された桓武天皇勅願道場と伝わる。薬師堂は関南薬師の第一霊場として昔から近隣の人々の信仰を集めてきた。
この日もご開帳された本尊の薬師如来像(国重要文化財)は1156(保元元)年の作。その優美な姿に引かれ、例年のご開帳の際は大阪や東京などからも参拝者が訪れている。
(2021年1月15日付紙面より)
チビリンピック東牟婁予選
GIGAスクール構想 (新宮・東牟婁 )
黒板と教科書、ノート、鉛筆。そんな子どもたちの学習風景が大きく変ろうとしている。新型コロナウイルス感染拡大が追い風となる形で政府が推進する「GIGAスクール構想」では、義務教育段階の児童生徒に1人1台の学習用パソコン(PC)端末と高速大容量ネットワーク環境(校内LAN)を整備し、個人に最適化された教育環境の実現を目指す。
新宮・東牟婁地方の各自治体や教育現場でも本年度、タブレットPC導入や校内LAN整備工事、教職員研修、オンライン授業研究などが進んでいる。早ければ年度内にも、児童生徒が学習用端末に触れる授業が開始される。
太地町立太地中学校では12日、「1人1台パソコンの導入に係る操作研修」が行われた。町内小中学校の教職員25人が参加し、実際にタブレットPCを使いながら操作方法を学んだ。
講師の赤井俊哉さんは、共有ドライブに保存した作文の添削やコメント、協働編集によるスライド作りの手順などを教えた。教職員からは「使いこなすにはもっと実践が必要だが、端末の立ち上がりも早く、授業で使えそうな便利な機能もたくさんあった。特にグループでのスライド作りは操作も簡単で、資料作りと発表が一つの端末でできる」との声があった。
新型コロナ第3波により首都圏1都3県に緊急事態宣言が発出され、関西や東海など7府県の追加も見込まれる中、遠隔授業の環境整備を含む情報通信技術(ICT)活用は喫緊の課題だ。それに加え、山間部のへき地学校や複式学級を多く抱える当地方では、ICTが子どもたちの学習を支え、人々との交流の輪を広げる手段となる可能性を秘めている。今後の各自治体の取り組みに注視が必要だ。
(2021年1月14日付紙面より)
三役が市長ら表敬 (新宮青年会議所 )
一般社団法人新宮青年会議所(新宮JC)の梅村英義理事長、和田祐幸副理事長、竹内知恵利専務理事の三役は12日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長と速水盛康教育長を表敬訪問した。新年のスタートに当たっての意欲を伝えるとともに事業への協力などを呼び掛け、新年のあいさつとした。
「温故知新~変化のとき~」をテーマに掲げる今年の新宮JC。梅村理事長は「去年は新型コロナウイルスの影響でほとんど事業ができなかった。今年は『コロナだからできない』のではなく『コロナでもできる』ように事業を模索していきたい」と、会員拡大に向けた取り組みや青少年育成事業、新宮JC杯中学新人サッカー大会の開催などへの意欲を示した。行政や学校ができない役割を担っていきたいと抱負を語り「自分たちだけでできないことも多いと思う。そのときは行政とタッグを組ませていただければ」と協力を求めた。
新宮JC第32代理事長を務めた経緯のある田岡市長は「地域と学校の関係が希薄となる中、JC会員が小中学校を訪問し自分の仕事について講話した事業は楽しかった」などと当時を振り返り会員らにアドバイス。
また、新宮JCで7年間取り組んだこと、理事長を務めた経験は自身の人生のターニングポイントだったと語り「一生懸命頑張るということは多くを学べるということ。仕事と活動の両立は大変だと思うが頑張りは自分の成長につながる。(JCの活動は)短い期間だが一生のうちでも貴重な時間になると思う」と激励した。
(2021年1月14日付紙面より)
塩竃神社で「脊美祭り」神事斎行 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浦神の塩竃(しおがま)神社(井谷正守宮司)で10日、伝統の「脊美(せみ)祭り」が営まれた。祭り関係者約10人が参列し、商売繁盛や船の安全などを願った。
脊美まつり保存会(会長=並川廣・浦神西区長)が祭りや歴史を継承しており、古来捕鯨の歴史を持つ同区でセミクジラを模したわら製の「脊美」を縁起物として用いる祭り。過去には成人の儀式として行われていたとされている。長年、捕鯨文化を継承していることから2016(平成28)年に日本遺産「鯨とともに生きる」に認定された。
例年は井谷宮司が「鬼」と書かれた的を矢で射抜くと同時に、3人の脊美子が取り付けられた脊美を一斉につかみ取って西区区民会館まで全力で駆け抜ける儀式や東区の勇義社(鈴木伸社長)による勇壮な獅子舞奉納、脊美音頭などが披露され、にぎわいを見せているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から大幅に規模を縮小し神事のみの斎行となった。
厳かな雰囲気の中、井谷宮司が神事を執り行い、祝詞を奏上。参列者が順番に玉串をささげていき、一日も早いコロナウイルスの終息を祈念した。脊美祭り前には豊漁などを祈願する弁天祭りも行われた。
並川区長は「昨年秋の例大祭に続き、獅子舞などができずつらくて寂しい。終息を願い、平常通りの行事ができることを祈っています」。神事を終えた井谷宮司は規模縮小について残念の一言と述べ「脊美祭りは地域の伝統ある特別の祭り。若い人たちも継承しようと頑張ってくれています。来年こそは活気ある通常の祭りができれば」と話していた。
(2021年1月14日付紙面より)
オンライン面会環境整う (くしもと町立病院 )
くしもと町立病院がこのほど全病室にWi―Fi(ワイファイ)環境を整え、今月4日から全患者を対象にオンライン面会のための通信機器貸し出しも始めた。
入院患者にとって面会に訪れる家族の存在は加療の励みとなるところ。他方、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う面会制限は少なからずその機会を奪っている。この状況下でどうすれば入院患者が相応の励みを得られるかを考えた竹村司病院事業管理者は、オンライン面会の手法を導入できないかを昨夏に着想。以降同病院を挙げて実現を目指してきた。
院内は旧来、1階待合室と3、4階のデイルーム限定でWi―Fi環境があり、持ち込みの通信機器で独自にオンライン面会をする患者もいた。しかし病室から動けない患者や通信機器の操作が苦手な患者、通信機器を持っていない患者にとっては縁遠い利便。そこで通信機器が患者に与える影響を確かめた上で▽Wi―Fi環境を全病室へ拡大▽貸し出し用通信機器(タブレット)を確保▽医療スタッフによる通信支援―の3項目を県の新型コロナウイルス関係補助金を活用して整え、全患者が家族とオンライン面会できる状況を形にした。
同病院が貸し出す通信機器の利用対象は患者の家族で、オンライン面会できるのは祝日を除く月~金曜日の午後2時~4時。▽面会時間は最大5分▽1週間につき1回まで―といった条件をつけ、数に限りがある通信機器を多くの患者で活用できる状況を目指している。
LINE(ライン)通話を使った面会となるため、家族側の通信機器にも相応の設定が必要。患者側の通話にはスタッフが対応する(病院側から家族側へ通話を発信する)ため利用は事前予約制とし、前述した曜日時間帯中に同病院(初回のみ電話0735・62・7111、2回目以降はLINEトークを使用)へ希望する日時の前日までに家族側から申し出てほしいという。以降は担当するスタッフとの調整となる。
同病院は今月7日に新宮保健所管内で陽性患者が出たという発表を受け、翌8日から患者の付き添い人と病院が来院を求めた人以外は面会禁止とする対応を取っている。名田倍也事務長は「今は患者と直接面会できないが、代わりにオンライン面会で入院する家族を支えてほしい」とし、それが可能となったことの周知と活用の促進に努めている。問い合わせは同病院まで。
(2021年1月14日付紙面より)
那智勝浦町体育協会
軟式野球体験練習会 (新宮黒潮ベースボールクラブ )
ジュニア駅伝チームが本番に向け練習 (那智勝浦町 )
森浦大輔投手が表敬訪問 (新宮市 )
プロ野球ドラフト会議で広島東洋カープから2位指名を受け入団が決まった新宮市出身の森浦大輔投手(22)が4日、市役所を訪れ田岡実千年市長を表敬訪問した。田岡市長は「地元の子どもたちに夢と希望を与えてくれた。心よりありがとうとおめでとうを言いたい」と歓迎した。
森浦投手は最速148㌔のストレートとスライダー、チェンジアップ、カーブを武器とする左腕。緑丘中学校では野球部に所属し3年生の時に和歌山県大会で優勝。近畿大会に出場した。
名門・天理高校に進み1年の夏からベンチ入り。2年で「春の選抜」に出場し、甲子園のマウンドに立った。甲子園には春夏の連続出場を果たした。天理大では1年の春からリーグ戦に出場し、5戦3勝、防御率0・92でMVPを獲得。秋には最多の5勝をマークし、MVPと最優秀投手を受賞している。
森浦投手が同市に帰省したのは昨年12月28日。秋のリーグ戦が終わってから自主トレを開始した。年末年始は家族とゆっくり過ごし、2月から沖縄県と宮崎県で始まるキャンプに向け英気を養ったという。
横浜DeNAベイスターズの東克樹投手を目標に掲げ「まずは1軍の舞台で投げるのが目標」。
「カープはファンの人が熱い。たくさんの応援を力に変えたい。キャンプでは、ストレート、スライダー、チェンジアップのキレを出していきたい」と目下の課題を語り、地域や子どもらに対し「たくさんの応援に応えられるように頑張りたい。(子どもたちには)しっかり練習して頑張ってほしい」とコメントを寄せた。
田岡市長は「野球ができる環境をつくってくれたご両親に感謝と敬意を表するとともに、森浦投手にはけがをせずに息の長い選手になってほしい。一日でも早く1軍で活躍し、テレビで投げる姿を楽しみにしています」と背番号13を激励した。
(2021年1月6日付紙面より)
熊野那智大社にマグロ奉納 (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で初市が開かれた4日、和歌山県漁業協同組合連合会の片谷匡副会長ら6人が同町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)を参拝した。この日揚がったマグロを1本奉納し、大漁と漁業者の安全な操業を祈願した。
約15㌔のメバチマグロが神前に供えられ、神事では神職が祝詞を奏上。巫女(みこ)が神楽「那智の滝舞」を舞い、金幣(きんぺい)の儀が行われた。一同を代表し片谷副会長が玉串をささげた。
男成宮司は奉納に感謝を述べ、「昨年は新型コロナウイルスに始まりコロナに終わった。一日も早い終息と勝浦市場や県漁連の発展をお祈りしています」と語った。
参列した県漁連の額田浩事務局長は「コロナ禍の中、和歌山県の漁業者の安全と大漁をお祈りした。漁獲量も増え、価格も上がってほしい。そして皆さまにおいしく食べていただきたい」と話した。
(2021年1月6日付紙面より)
南紀串本観光協会古座 (串本町 )
アウトドア拠点化を目指して昨秋にリニューアルした南紀串本観光協会古座事業所(通称・同協会古座)―。同町と株式会社モンベルの包括連携協定を追い風にして挑戦を重ねている。
串本町とアウトドアメーカーのモンベルは2018年1月末、過去の寄贈や商材採用の縁をさらに発展させるため同協定を締結。以降町域では同社のフレンドエリア化が進み、モンベル会員対象サービスの導入など具体化策を取り入れて誘客を図る事業所が増えている。
同事業所は対象に縛られない形で同協定の追い風を受けつつ、地域密着型アウトドアショップをコンセプトにしてリニューアル。モンベルショップの一店舗に加わり、コロナ禍の影響で若干出足が遅れたが物販事業の中でモンベル商材の取り扱いを始めた。アウトドアメーカーならではの多彩な構成で、各種ウエアやアウトドアを楽しくするグッズがそろい、昨年のクリスマス前には冬物を入荷するなど季節展開も交えて弾みをつける状況となっている。
カタログ販売にも対応していて、注文して取り寄せてからの販売となるが送料がかからない点はこの仕組みの強みと自負している。アウトドア関係ではモンベル以外にストリートトレイルなどの商材もあり、他方ではウツボやユズ、姫ひじきや観光カレンダーなどの地元産品はもちろん、リニューアル前のイメージを強化継承してアートやハンドメイドの各商材も取りそろえている。
リニューアル後の同事業所内は木製棚と暖色系の照明で温かみのある内装に。同事業所は「店頭で取り扱うモンベルのウエアは家族の需要にも応える取りそろえ。住民、観光客を問わず、まずは気軽に立ち寄っていただければ」という。
同事業所はJR古座駅の駅舎内に位置。物販と双翼で提供するカヌーレンタルやカヌー体験との兼ね合いで一時的に閉める場合があるが、基本無休で午前8時30分~午後5時30分に開いている。両事業の問い合わせは同事業所(電話0735・72・0645)まで。
(2021年1月6日付紙面より)
新宮公設市場で初市
新宮市佐野の新宮広域圏公設地方卸売市場で5日、同市場協力会(小田三郎会長)主催の「令和3年初市」があった。午前7時過ぎから初競りが始まり、威勢のいい掛け声が市場内に響く中、ダイコン、イチゴ、白菜などが次々と競り落とされた。
生鮮食料品の円滑な流通と安定供給を図り、周辺広域住民の食生活の安定に貢献することを目的に、1985年5月に県内の公設市場第1号として設置された市場。
初競り前の式典で小田会長は、新型コロナウイルス感染症が及ぼす経済的な影響に言及し「ワクチンの接種開始が間もなくとの報道もあり、一刻も早くこのコロナ禍の状況が収束し、元の普通の日常が戻ってくることを願うばかり」とあいさつ。
市場を取り巻く現状について、人口減少や高齢化、小売店の後継者難、ネット通販など流通の多様化などによるマーケットの縮小で厳しい状況にあるとしながらも「このような時こそ地域との密着性、距離感の近さという強みをこれまで以上に生かしてきめ細やかなご商売を続けることで、この地域の経済の循環の一端を担っていただくことが地元の活性化にもつながっていくのでは」。
「公設市場も地元小売業者の皆さまのご商売を下支えし、生鮮食料品の安定供給という使命を果たすことで地域の活性化に貢献したい」と誓いを新たにした。
市場管理者の田岡実千年市長は関係者たちの日頃の協力や新型コロナ感染症予防対策の実施などに感謝を述べ「コロナ禍中ではあるが、今後とも関係各位のなお一層のご協力を賜り、市場機能の充実・活性化のために努めていく」と呼び掛けた。
(2021年1月6日付紙面より)