日米姉妹都市間ベルリングプロジェクト (戦後75年 )
太平洋戦争終結から75年―。人類史上初の原子爆弾が広島と長崎に投下された6日と9日、全米国際姉妹都市協会(SCI)は「日米姉妹都市間ベルリングプロジェクト」を実施した。9日、新宮市佐野の南珠寺では市姉妹都市のカリフォルニア州サンタクルーズ市(サ市)と中継をつなぎ、参加した市姉妹都市親善協会員や市職員、同寺役員や約30人が平和への願いを込めてベルを鳴らした。
同プロジェクトは、SCIが戦争終結75年の節目を迎えるに際し、平和への思いを一つに日米姉妹都市間で同じ時間にベルを鳴らすというもの。
戦後に広まった姉妹都市の友好関係を重要視する中、新型コロナウイルスの世界的な流行の影響で日米間交流活動が制限されている現状を鑑み発案。悲惨な戦争を繰り返さないよう、平和を願って心を合わせ、相互尊重や理解、協力を通じて平和を推進していくという象徴的な意義が込められている。日米間には現在、455の姉妹都市が存在している。
新宮市の参加は、プロジェクトの実施に当たり真っ先に参加を表明したサ市の呼び掛けによるもの。この日、サ市のドナ・メイヤーズ副市長は中継で「日米間の長きにわたる平和な関係の証しとして、1975年よりの友好都市である新宮との素晴らしい異文化交流を享受してきた関係が今、ここにある」。2020年8月5~11日の週を「サ市と新宮市の平和の週」とするといったジャスティン・カンミンズ市長の宣言文を代読した。
宣言を受け、速水盛康教育長は「素晴らしいメッセージを受け心が打たれた。サ市の皆さんと平和の祈りを共にし、心を響かせながらベルの音(ね)で触れ合える機会をうれしく思う」と述べ、「両市の友好がさらに発展し、絆を深めていけることを祈ります」と伝えた。
午前11時2分。参加者らは長崎への原爆投下時刻を知らせるサイレンに合わせて黙とう。続いて、投下から爆弾がさく裂するまでの時間に準じ、47秒間ベルを鳴らし続けた。また、「子どもたちの代まで日本の平和が続くように」と願いを込め、同寺の伊藤秀幸住職が娘の怜美ちゃん(11カ月)を腕に抱きベルに合わせて鐘をついた。
同寺役員らは中継先のサ市に対し「戦争の犠牲者の冥福をお祈りするとともに原爆の後遺症と戦っている方々のことを考えた。世界の平和が長く続きますようお祈りします」。
同親善協会の岩澤卓副会長は「実際にまたお会いできる日を楽しみしています」と伝えた。
(2020年8月12日付紙面より)
南葵音楽文庫アカデミー (新宮市 )
和歌山県教育委員会と新宮市教育委員会は8日、市役所別館で「南葵(なんき)音楽文庫アカデミー」を開いた。慶應義塾大学名誉教授の美山良夫さんと日本近代音楽史研究家の林淑姫(りん・しゅくき)さんが講師を務め、36人が聴講した。
同文庫は、徳川頼倫(よりみち)侯爵が設立した私設の図書館である南葵文庫の音楽部門に端を発しており、その息子である徳川頼貞が継承するとともに、音楽および音楽学の専門図書館に向け拡充。1977年以降、読売日本交響楽団が所蔵している。和歌山県との委託契約により2017年に紀州徳川家ゆかりの地である同県で一般公開のはこびとなった。
同アカデミーは、文庫が所蔵する資料およびコレクションの基礎を築いた頼貞を中心に、定期講座やミニレクチャーなどを通じて内容や魅力を紹介する目的で実施している。この日は「出前講座」として開催された。
美山さんは「南葵音楽文庫に宿る『魂』」を題目に講話した。紀州徳川家の系譜をたどり、江戸幕府8代将軍・吉宗は、次男である田安徳川家の宗武に文化的側面を任せ、学問・文芸・芸術に親しむことができる環境を整備。田安徳川家は代々、雅楽や能楽の資料を収集し、それらは国立国文学研究資料館に残されている。
紀州徳川家10代の治宝(はるとみ)も芸術への造詣が深く、治宝の雅楽の楽器コレクションは現在、国立歴史民俗博物館に保管されている。
美山さんは、第9代新宮藩主・水野忠央(ただなか)が刊行した「丹鶴叢書」についても触れ「同文庫が特別なのではなく、紀州徳川家やその家臣、また旧藩士らが協力して築き上げた和歌山県の文化山脈の一峰をなすもの」とまとめた。
林さんは「佐藤春夫と音楽」を題目に講話。春夫と音楽との関係性などについて考察した。
春夫の詩に付曲された音楽作品は、校歌や市歌など団体歌をはじめ約350曲が確認されている。春夫は唱歌体験について、「音楽的才能の絶無なわたくしは小学校で唱歌の場合にも、曲のおもしろさを感じるよりも歌はれる歌詞の方に興味を持ち、子供にはわかりにくいはずの歌詞の意味も、漠然とながらほぼ理解しておもしろがっていた」(「詩文半世紀」1963年)などと記している。
一方で作詞家の西條八十(1892~1970年)は「佐藤春夫は、小説家としても有名であるが、『殉情詩集』により、やや古風であるが純粋で気品高い抒情詩を示した。流麗とはいえない一種詰屈(きっくつ)した雅語体の詩風のなかに、何ともいえぬ洗練された音楽をひびかせる作家である」(「詩のつくり方」1947年)と述べている。
林さんは、早坂文雄が春夫の詩に曲を付けた「うぐひす」、芥川也寸志が曲を付けた「水彩風景」などを紹介し「春夫は東京オリンピックに向けて『オリンピック東京大賛歌』を作詞したが、開会を待たずして死去したため、開会式で歌を聞くことはかなわなかった」と話した。
(2020年8月12日付紙面より)
串本町議会議員補欠選挙
串本町議会議員補欠選挙が9日に執行され、別枠の通り当選者が決まった。同選挙へは定数3に対し4人が立候補。当日有権者数は1万3837人(男6436、女7401)、投票者数は6237人、投票率は45・07%で、投票率は平成29年4月執行の同議員一般選挙に比べ27・44㌽下回る結果となった。
トップ当選を目指して取り組んできた吉村聡一郎さん(51)=無所属・新人=とその陣営は、開票結果を受け当選と目標達成の両面で歓喜した。
祝いに駆け付けた田嶋勝正町長、佐藤武治県議会議員、結城力町議会議長から期待の言葉を受けた吉村さんは「この当選は支援者皆さまのおかげ。感謝という言葉しか浮かばない」と胸中を打ち明け、「今の田嶋町政を支え、さらに高みへ上げていきたい。ひいては私の夢を現実にするため、命を懸けて一生懸命まちのために働きたい」と宣言。事務員として支えためいの藤崎凜さんから花束を受け、乾杯や万歳で喜びを分かち合った。
1年ほど前から同町議会の本会議を傍聴するなどしてきた吉村さんが思い描く夢は、「死ぬ時まで誇りを持ち笑顔でいられる串本の実現」。今後に向け「今の町政に対して僕自身は不安には思っていないので、当局の決定をさらに一歩、あるいは半歩でも上のものにできるよう求めていきたい」と意気込んだ。
今回の当選者は前任者の残任期間を受けるため、任期は同町選挙管理委員会が当選証書を付与した翌10日から来年4月30日(金)までの約8カ月半となる。
(2020年8月12日付紙面より)
那智勝浦町消防職員が感染
和歌山県は8~10日の3日間で新たに9人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。9日に陽性が確認された20代男性のうち1人は那智勝浦町消防署職員で、新宮保健所管内では初めて。県内全ての保健所管内で感染者が確認された。県内の累計感染者数は計182人。
県と同町によると、20代の町消防署職員は7日(8日県発表)に感染が発覚した田辺消防署上富田分署勤務の20代男性の濃厚接触者。4日に和歌山市内において当該職員を含む6人で会食などをし、岩出保健所管内の飲食した友人宅に3人で宿泊。5日の夕方に岩出保健所管内において5人(前日の6人のうち)で飲食し、その後帰宅した。
当該職員の他に岩出保健所管内在住の20代消防隊員、20代女性3人の6人全員の感染が確認されている。全員、無症状を含め症状は安定している。
県によると、感染が確認された那智勝浦町消防署職員の濃厚接触者は家族3人、友人4人で現在検査中。
また、10日には、7月22日にクラスター(感染者集団)が発生した和歌山市の訪問介護施設の入浴介護サービスを利用し、30日に陽性が判明した80代男性が死亡。男性には基礎疾患があったという。県内の死者は4人となった。
(2020年8月12日付紙面より)
県高校軟式野球大会
職員らが避難所設営訓練 (新宮市 )
新宮市防災対策課と避難所担当職員ら8人は7月31日、同市野田の市福祉センターで新型コロナウイルス感染症対策下における避難所設営訓練を実施した。本格的な台風シーズンを前に、「3密」を避けるためのレイアウトや避難者受け入れ態勢・手順などを確認した。
市では、避難所における新型コロナ対策として「3密」「熱中症」への対策を中心にレイアウトや必要資機材などを決め、避難所の開設と運営の訓練を重ねている。
市内の風水害指定避難所22カ所でも随時訓練を実施しており、同センターでの訓練は7月中では3回目。市の昨年度の避難実績は、8月14日の台風10号で164人(うち、福祉センター27人)、10月11日の台風19号では141人(同37人)だった。
この日の訓練では、局地豪雨や地震発生など、緊急度・切迫度の高い状況を念頭に、より短時間で避難所を開設し避難者の受け入れを開始することを目標とした。和歌山県からサンプル提供された段ボールパーティションの設置訓練もあった。段ボールパーティションは、8月中に900枚が県から支給されるという。
職員らはA・Bの2班に分かれて受付や避難スペース、体調不良者用スペースなどを設置し、班ごとの動きを確認しあった。また、体調不良者に対する健康状態チェックシートを使った聞き取り訓練も行った。
訓練後、山下泰司・防災および危機管理担当部長が講評。「本日のような訓練を生かして、避難者が安心・安全に過ごしていただける運営をしていきたい」と決意を述べ、市民に対し「いざというときには市からの避難情報に留意し、取るべき避難行動を心掛けて」と呼び掛けていた。
防災対策課の廣井和樹課長補佐は「訓練を重ね、避難者を適切に受け入れられるように対策を講じていきたい。市民の方々には、コロナを恐れて躊躇(ちゅうちょ)することのないよう避難行動をお願いします」と話していた。
(2020年8月2日付紙面より)
新型コロナ対策を強化 (紀宝町 )
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を強化するため、紀宝町は7月31日から、職員が別の建物で業務に当たる分散勤務を開始した。役場庁舎に隣接する防災拠点施設5階の防災研修室とフロアにワークスペースを設け、各課の職員20人が業務に取り組んでいる。
4~6月に続く2回目の処置で、庁舎内の正規職員84人のうち、理事と課長を除く各課2人程度を別庁舎に移した。期間は9月25日(金)までの約2カ月で、2週間のローテーションで職員を入れ替える。
町では新型コロナに対応した事前行動計画(タイムライン)を策定しており、現在は近隣市町で感染者が確認されたステージ4。職員は検温や体調チェックをするなど、万が一の町内発生に備えている。
役場庁舎入り口には手指消毒用アルコールを設置し、来庁者にはマスク着用を呼び掛けている。
(2020年8月2日付紙面より)
小中学校などで終業式
新宮市、太地町、北山村の小中学校、保育所で7月31日、終業式が行われた。新型コロナウイルス感染拡大による長期の臨時休校に始まり、生活様式の変化やクラブ活動の制限など多くを経験した1学期が終了し、1~2週間程度の短い夏休みに入った。
新宮市立王子ヶ浜小学校(山本眞也校長、児童342人)では、校内放送で終業式を実施した。
山本校長は「学校が始まったばかりの頃は皆さんの表情が硬く、心配していたが、体育やプールでは笑顔で歓声を上げる様子が見られた。今日配られる通知表には1学期に皆さんが頑張ったことが書かれている。夏休み中も読書感想文や自由研究など、自分の得意を生かして挑戦してほしい」とあいさつ。
児童代表の千葉颯斗君は「外出を控え、計画的に宿題をしながら、楽しい夏休みを過ごしてください」と呼び掛けた。続いて生徒指導部から▽ルールや決まりを守る▽自分の命は自分で守る▽宿題も含め計画的に過ごす―の3点の諸注意があった。
1年2組の教室では担任の松村圭教諭が一人一人に「毎日休まず学校に来てくれたね」「漢字をきれいに書いていたね」と声を掛けながら通知表を渡し、「新型コロナや熱中症に気を付けながら、夏休みを元気に過ごして」と呼び掛けた。
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■市町村ごとの夏期休業期間
新宮市の夏期休業期間は1日~16日(日)だが、中学3年生のみ3日(月)~7日(金)の午前中を登校日とする。太地町は1日~19日(水)、北山村は1日~20日(木)。なお、那智勝浦町は6日(木)~19日(水)、県立高校は8日(土)~16日(日)に夏期休業期間を設ける。
(2020年8月2日付紙面より)
高校野球和歌山大会
第38回学童軟式野球大会決勝 (マクドナルドカップ )