宇久井小に「紀伊」のサボ (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井小学校の校長室に、2枚の列車の行先標(通称・サボ)がある。青には「紀伊勝浦←→東京」、白には表裏にそれぞれ「東京行」と「紀伊勝浦行」の文字。かつて東京―紀伊勝浦間を運行していた夜行列車「紀伊」のものだ。
サボは宇久井小の倉庫に眠っていたのを、同校の芝﨑勝善校長(60)が発見。「なぜ宇久井小にあるのかは分からないが、自分たちの世代にとっては東京へ大学受験に行く時に乗った思い出の列車」と懐かしみ、校長室へと持ち帰った。
当地方では、紀勢本線の全線開業により1959(昭和34)年に東京―新宮間で夜行急行列車「那智」が運行開始。64(昭和39)年に紀伊勝浦まで延長され、68(昭和43)に「紀伊」と改称した。75(昭和50)年には特急列車(通称・ブルートレイン)に格上げ。84(昭和59)年に廃止されるまで、毎日上下1本ずつ、約11時間、621㌔の道のりを走った。
下り列車は明け方に紀伊勝浦駅に到着し、新宮駅の客貨車区に戻って清掃や整備を済ませ、夕方には再び紀伊勝浦駅へ。機関車を方向転換させた後、乗客を乗せて東京へ出発。途中で伊勢や能登などからの列車と連結し、翌朝乗客が目を覚ますと、そこは大都会東京の街だ。若かりし頃の思い出に残っている人も多いだろう。
紀伊号の運行に関わった新宮駅の道本隆文駅長(60)にサボについて問い合わせたところ「1982(昭和57)年に18歳で国鉄に入社し、最初の3年間の配属が新宮駅。当時は紀伊号の機関車の連結や切り離し、ブレーキのエアホースの付け替えなどをしており、ラストランの日には多くの人が見に来ていた。自分たちの時はDD51形ディーゼル機関車が牽引していたが、当時のサボはロール式。さらに古いものだと思う」と語った。
「国鉄」時代の資料を集める、熊野学研究委員の中瀬古友夫さんは「特急格上げ前の客車で使われていたもの」と推測。「想像だが」と前置きしつつ「特急列車に切り替わる前日、紀伊勝浦駅に到着した旧列車は、回送列車として品川の車両基地へ帰っていく。その際に外したサボを、誰かが小学校に持って行ったのでは」と話していた。
「紀伊」が運行終了してはや40年。今年も多くの若者たちが、不安と期待の入り交じった表情で、都会へと巣立っていく。世界を見て、大きく成長して、いつかまたこの町の、この駅に帰ってきてほしい。
(2024年3月27日付紙面より)
災害に備え研修会 (那智勝浦町脇入区 )
那智勝浦町の脇入区(濵口佳男区長)は24日、同区の脇仲会館で南海トラフの大地震などの災害に備え、「非常時避難所運営研修会」を開いた。14人が参加し、和歌山県が開発した「きいちゃんの災害避難ゲーム」を楽しみながら、避難所運営を机上で体験した。
研修会は同町役場総務課防災対策室主査の藤社祐樹さん、主事の山本将平さんが講師になり開催。机の上に避難所になった架空の小学校「きいちゃん小学校」の図を広げ、参加者は施設管理班長、ボランティア班長などの役割が与えられてゲームがスタート。対策室の藤社さんらが「トイレはどうする」「駐車場はどこへ」「避難者名簿はどんな内容が必要」「ペットの受け入れ場所はどこ」などの問題を出した。参加者からは「思いも寄らなかった避難者への配慮などの注意点に気付くこともあった」という声も聞かれた。
ゲーム後、参加者は防災対策室が撮影した能登半島地震の被災地の写真を見ながら、避難所の運営状況や家庭での備蓄品などの説明を聞いた。
濵口区長は「有意義な研修会だった。机上の訓練だが、いろいろな知識を吸収してもらえたと思う。今後は実際に小学校での訓練も必要ではないかと感じた」と話した。
(2024年3月27日付紙面より)
国際鯨類施設で竣工式 (太地町 )
古式捕鯨発祥の地として知られる太地町の「国際鯨類施設」で23日、竣工(しゅんこう)式が開かれた。約90人の来賓が出席して完成を祝し、今後の研究発展に期待を寄せた。
同町が目指す「くじらの学術研究都市構想」の拠点施設で、平見の高台に建設された。調査捕鯨などを行う日本鯨類研究所(以下、鯨研)の太地事務所や約3万冊の図書室、研修ホール、会議室などで構成される。延べ床面積は1879・92平方㍍、鉄骨造り2階建て。建設費約18億円。
式典では、三軒一高町長が1878(明治11)年の大背美流れや南氷洋捕鯨の歴史に触れ「私たちは過去・現在・未来、鯨との関わりをやめない。この地で生きんがため、先人たちがもがき苦しんだ歴史を必ず後世に伝えなければならない」と宣言。「世界に開かれた鯨の学術研究都市を目指し、今後も懸命の努力をする」と誓った。
来賓の自民党の二階俊博元幹事長は「この地は命を懸けて鯨と相対してきた。捕鯨を理解してもらうよう、自信と誇りを持って取り組んでいかなければ」と祝辞。鶴保庸介参院議員、和歌山県の下宏副知事、水産庁の森健長官、外務省経済局の片平聡局長も祝いの言葉を述べた。
テープカットの後には餅まきがあり、町民ら約150人が歓声を上げ、3俵(約180㌔)の紅白餅を拾った。
式典後、鯨研の藤瀬良弘理事長は、2011年の東日本大震災で宮城県の鮎川実験場が津波の被害を受け、東京では標本などの保管が難しかったところ、太地町が無償で保管を引き受けたことに感謝を述べ「非常に立派な施設で驚いている。今後は施設に負けない研究成果を、世界へ発信していきたい」と抱負を語っった。施設の利用開始は4月1日(月)。
(2024年3月27日付紙面より)
田並でワカイミソラ寄席 (串本町 )
串本町田並にある田並劇場で24日、公演「ワカイミソラ寄席春場所」があり約60人が創作劇「子別れ・熊野篇」や創作落語「寺子屋問答」を鑑賞した。
アマチュア落語家・熊野家三九郎(旧芸名・熊野亭雲助、本名・鈴木俊朗)さんと劇団ワカイミソラによる、劇を交えて落語の世界を広げる公演。今回は昔ながらの大衆劇場で上演したいという思いで田並劇場を会場に選び、来場を呼びかけた。
創作劇「子別れ・熊野篇」は、古典落語「子別れ」を原作にしその人情談を大正期の新宮に当てはめた作品。台本を書いた谷口克朗さん(父役)と羽山真弓さん(子役)、谷口美加さん(母役)が主演し、今回は筋書きの表現力を増すため父役の回想シーンで大石誠之助役(川口一夫さん)も登場する工夫を加えて子がかすがいとなり夫婦がよりを戻す流れを演じた。
創作落語「寺子屋問答」は中学時代から半世紀以上にわたって落語に打ち込んできた熊野家三九郎さん作、熊野家さんの大学時代の同期で桂ざこばさんの一番弟子・桂塩鯛さんがネタおろしした作品。今回は創作時点の内容で高座に臨み、寺子屋問答(=卒業試験)で子どもとその親、寺子屋の師匠が珍問答を重ねる様子を口演した。
昨年7月の同寄席夏の陣(新宮市の西村伊作記念館外庭で実施)、今年1月の同寄席新春顔見世興行(新宮市のCOLORsで実施)に続き3回目となる今回のコラボ公演は初の市外実施。その接点づくりに尽力した谷口克朗さんは「回を重ねてこの公演の楽しさがだんだん分かってきました。今後についてはまだノープランですが今日は大勢の皆さんにお越しいただき、折があればこちらでもまた公演してみたいと思いました」と語った。
(2024年3月27日付紙面より)
大物クロマグロに活気 (勝浦地方卸売市場 )
はえ縄漁による生鮮マグロの水揚げ量日本一を誇る那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で20日朝、今年最大の269㌔のクロマグロが水揚げされ、市場が活気づいた=写真。釣り上げたのは清漁丸(宮崎県)で、山下寛正船頭は「大物でうれしい。今シーズンも頑張る」と語った。1㌔当たり6490円の値が付いた。
同じく宮崎県の第八長久丸が釣り上げた153㌔のクロマグロにも1㌔当たり6400円の値が付き「今年はマグロが少ないが、いい大きさのものが取れて良かった」と話した。仲買人らの他、「うちの船でも大物が釣れるように」と見に訪れる船員の姿もあった。
市場展望スペースを訪れた森脇佳寿美さん(18)は「家族旅行で来た。新鮮なマグロが並んでいてすごい。今日もこれからマグロを食べに行く」と話していた。
この日の入港は8隻で、水揚げは約80㌧。県漁連勝浦市場の太田直久市場長は「ビンチョウマグロが豊漁だったこともあり水揚げ量は伸びている。クロマグロは出足が遅めだが、今後に期待している」と話していた。シーズンは5月ゴールデンウイークあたりまで。
(2024年3月22日付紙面より)
国際研究集会記念し講演会 (新宮市 )
新宮市の丹鶴ホールで20日、国際科学掘削計画に関する市民講演会「地球の恵みを知り、災いに備える―和歌山から始まる世界への挑戦―」が開催された。近隣市町から大勢が参加し、地球掘削による最新の研究動向に触れた。
熊野地方では18日から、世界17カ国の研究者ら約150人が集う国際研究集会が開催されている。海底下の堆積物や岩石を掘削して地球の歴史や地震のメカニズム解明を目指す「国際深海科学掘削計画」(IODP)が今年9月に終了予定であることに伴い、後継プログラムの立ち上げを目指すもの。その記念で市民向け講演会を企画した。
開会に当たり田岡実千年市長が「地球掘削といえば、当地方では地球深部探査船『ちきゅう』が新宮港を拠点に行ってきた南海トラフ地震発生帯掘削がなじみ深い。歴史的瞬間を皆さんと共有したい」。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の大和裕幸理事長は「世界中の研究者たちの盛り上がりを感じていただければ」とあいさつした。
シンポジウムには東京大学地震研究所の木下正高教授、イタリア国立海洋物理学研究所のアンジェロ・カメルレンギさん、大阪公立大学の益田晴恵特任教授が登壇。
地球掘削の重要な研究テーマである「気候変動」について、アンジェロさんは、海洋底の堆積物調査によって分かった6500万年前から現代までの気候変動の図を紹介。「人間の活動の影響で、恐竜が巨大化した6500万年前と同じ温度まで気温が上昇している」と述べた。会場からの「人間が石油や石炭を使うことで、石炭紀や古生代レベルの温暖化は起こりうるのか」という質問には「古生代の気温が高い理由はまだ分かっていない。計算上、ある程度気温が上がれば揺り戻しがあるため、そこまではいかないのでは」と返答した。
司会の熊野家三九郎さんの「地震の前兆は分かるのか」という問いに、木下教授は「すぐではないが、可能性はある。掘削した穴に温度計や圧力計を設置しており、兆候をうかがうチャンスが増えている」と語った。
JAMSTECの江口暢久さんによる講演では、「ちきゅう」による調査研究を振り返り「今秋には世界中の研究者が『ちきゅう』を使い、2011年の東北地方太平洋沖地震から13年が経過した海底で、コア試料の採取や長期孔内観測に挑む。皆さんにも海底下で起きていることをお知らせしたい。航海に応援を」と話した。
益田教授は、身近な温泉に着目した研究を紹介。「温泉は通常の地下水にはない面白い成分を含み、地球深部のマントルと同じ組成を持つヘリウムが見つかることも」と述べ、「次に温泉に入るときは、そのお湯が流れてきた道のりを想像し、地球の営みを感じてほしい」と呼びかけていた。
(2024年3月22日付紙面より)
1年生対象にし宇宙教室 (串本古座高校 )
和歌山県立串本古座高校(榎本貴英校長)が13、14、19日の3日間、1年生89人を対象にした宇宙教室を実施した。生徒はロケットの概念などを教わり、水ロケットを制作。19日はグラウンドで飛翔実験をするなどした。
次年度から未来創造学科が始まり、現普通科3コースの後継2コースに加えて新たに宇宙探究コースが加わる同校。現1、2年生は次年度以降も普通科のカリキュラムで卒業を目指すが、だからといって学校の特色の一端となる宇宙教育には関係ないとはしたくないという思いもあり、宇宙教育専門教員の藤島徹教諭監修によるこの教室を計画した。
13日は座学、14日は水ロケット制作、19日は飛翔実験とまとめという内容で、座学ではロケットが飛ぶ原理や串本町から飛翔するロケット「カイロス」について紹介した。
そのイメージを持って制作では藤島教諭の「身近な材料で組み上げる」というこだわりに沿って、容量500㍉㍑の炭酸飲料用ペットボトルとA4サイズのクリアフォルダ、紙コップと紙パックから切り出したフィン(羽根)などを組み合わせて水ロケットを組み上げた。
基本構造は共通だがフィンや機体部分はアレンジしてよいとし、1年生が仕上げた水ロケットは千差万別。19日は藤島教諭の試射を見て手順をつかみ、6人一組で順番に打ち上げた。途中で軌道が曲がったりバランスを崩して落下したりする水ロケットも多い中、安定した放物線を描いて藤島教諭の試射以上に飛ぶ水ロケットもいくつかあり、最後はそれら全体の結果からロケットを飛ばす難しさや、難しい中にも成功の筋道があることを振り返って締めくくったという。
今回の教室実施について藤島教諭は「この経験を通して、ロケットを人ごとから自分ごとにしてまずは家族に伝えるところから始めてもらえれば」と監修に込めた思いをコメント。次年度はいよいよ宇宙に関心を持つ後輩が加わり学科は違っても同じ学校の生徒として共に励む流れとなるが、今回の教室はその連帯の架け橋の一つとなる理解を学年全体で共有する節目ともなった。
(2024年3月22日付紙面より)
ウミガメ公園防災拠点の完成式 (紀宝町 )
道の駅「紀宝町ウミガメ公園防災拠点」の完成式が20日、紀宝町井田のウミガメ公園に隣接する新施設であった。災害に強い道の駅への生まれ変わりに期待し、国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所と町の関係者らがテープカットした。
今後、発生が予想される南海トラフ地震などによる大規模災害発生時に救援や救護活動、緊急物資の搬送を迅速に行う活動拠点として、国交省と紀宝町が2019年度から事業を進めてきた。
国交省は防災倉庫(500平方㍍)、資材置き場(800平方㍍)、駐車場(1800平方㍍)を整備。今後、大型トラック、クレーン、土のうなどを配備する。
町は円筒形鉄筋コンクリート造り2階建ての一時避難場所を建設。高さ6・5㍍、床面積165平方㍍。海抜14・4㍍地点にあり、屋上(海抜20・5㍍)には地域住民や道の駅の利用者など最大200人が避難できる。
完成式には町議、地元区長、消防団、藤根正典、大久保孝栄、東豊の各県議らが出席。冒頭、能登半島地震の犠牲者に黙とうをささげ、西田健町長が「人の命が一番を基本とし、災害で犠牲者を出さないため、さらにハードとソフトの対策を推進したい」とあいさつ。難場所を建設した幸榮建設(森村哲也代表取締役)に感謝状を贈った。
紀勢国道事務所の市川幸治所長は「防災拠点の完成は、大規模災害発生時の道路啓開作業における実効性の向上が図られることに期待する」、藤根県議は「この施設が町民らの安心安全につながる」などと祝辞を述べた。
一時避難場所前でテープカットし、地元のほたる夢太鼓、熊野水軍子供太鼓が力強い太鼓演奏を繰り広げた。
(2024年3月22日付紙面より)
新宮市内の景況調査結果
新宮商工会議所はこのほど、2023年下期(7~12月)の新宮市内の景況調査結果を発表した。▽建設業▽製造業▽卸・小売業▽飲食業▽サービス業―の5業種100社が対象。いずれの業種も多くの項目で前年同期比と「変わらない」と感じていることが浮き彫りになった。
建設業は、業況、売上、利益、資金繰りの4項目でいずれも「変わらない」が50%前後の最多となった。業況については「やや悪い」が35%。売上や利益でも「やや減少」の回答数が「やや増加」を上回った。
製造業は、「変わらない」の割合が業況は40%、売上は30%、利益は40%、資金繰りは85%だった。しかし売上は「やや増加」が30%で、「変わらない」と同率となった。利益も「やや増加」が25%に。売上と利益は前年より少し状況が良くなった。
卸・小売業は「やや減少」「減少」という回答が目立った。売上は「やや減少」が最多で45%。利益は「やや減少」が最多の60%となった。客数は「横ばい」が最多で50%、次いで「やや減少」が40%。資金繰りは「変わらない」が70%と突出した。
飲食業は、わずかに明るい兆しが見え始めた。売上は「やや増加」が最多の35%。利益は「横ばい」が最多の40%だが、次いで「やや増加」が25%となった。客数も同傾向で、「横ばい」が最多の40%だが、「やや増加」が20%で続いた。資金繰りは「変わらない」が50%、次いで「やや悪化」が30%と厳しさを見せた。
サービス業は、売上で「やや増加」と「変わらない」がともに最多の35%、「増加」も15%となり、今後に期待が高まる。ただ、仕入れは「変わらない」が最多の75%、利益は「横ばい」が最多で45%、客数は「横ばい」が最多の35%となった。
(2024年3月16日付紙面より)
人権学習会に社協職員30人 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会は12日、市福祉センターで職員対象の人権学習会を開いた。市人権教育指導員の谷嗣弘さんが「身近な人権」をテーマに、家庭教育の重要性を説いた。
年1回の学習会で30人が参加。谷さんは「幸せになるために生まれてきた。そして、幸せになるために生きる」といった言葉を紹介し、「人権問題は一つではない。人の数だけ人権は存在する」と強調した。
「あなたの思い込みは正しいですか?」と投げかけ、「迷信、言い伝えも思い込みに含まれる。雨男、雨女だから『あの人を誘わないでおこう』、血液型診断で『だから、あの性格なのね』と決めつける排除が差別となる」とした。
「先人の経験から良い迷信もある」と前置きした上で「迷信や言い伝えは親から子へ、家で受け継がれる。これが差別につながる。頭を白紙に戻して、偏見につながる迷信などは取り除きたいですね」とまとめた。
(2024年3月16日付紙面より)
那智中で命の授業 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立那智中学校(寺地琢也校長)で14日、命の授業があった。刺しゅう作家の星野真弓さん(東京都)と千葉県を拠点とするFMラジオ局「ベイエフエム」の東京支社長を務める小縣正幸さんが、2011年に発生した東日本大震災の実話を元にした絵本「トミジの海」を朗読。2年生51人が災害の恐ろしさや防災の大切さを学んだ。
絵本の登場人物であるトミジは、宮城県石巻市在住でワカメ養殖などを行う齋藤富嗣さんがモデル。東日本大震災の大津波から生還し、以後各地で語り部として活動している。小縣さんは被災地支援で現地入りしていた際に齋藤さんの話に衝撃を受け、今後に残すべき体験と確信。同社で企画を進め、ラジオ放送でクラウドファンディングを呼びかけて制作に至った。絵は墨絵画家で絵本作家の本多豊國さんが無償で手がけた。
星野さんは、震災から13年が経過する中、災害の記憶を風化させてはならないとの思いから各地で絵本朗読に協力。作品の寄贈や刺しゅう教室開催で、長年東北地方の復興に尽力している。
星野さんと小縣さんは一文一文に思いを込めながら絵本を朗読し、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けた。星野さんが「慈愛」をテーマに東北復興への思いを込めて制作した刺しゅう画「レジリエンス~千手観音菩薩(ぼさつ)~」の展示もあり、生徒たちが関心を寄せていた。
授業後、篠原帆歩さん(2年)は「災害は人を苦しめ、幸せを奪うというイメージだけだったが、本や刺しゅう画を通じて、自然の大切さも教わった。災害には普段から気持ちの準備が必要だと感じた」と語った。
小縣さんは「朗読を耳にして一人でも大切なものを学んでもらえたら。南海トラフ巨大地震もいつ、どのタイミングで発生するか分からない。自分の命を守るため、しっかりとした備えを意識してもらいたい」。星野さんは「生徒の皆さんの真剣に聞く姿が見られました。震災から13年。決して当時の出来事を風化させてはいけない。絵本などを通じて、防災対策に関心を持ってもらうきっかけになれば」と話していた。
この日は1年生53人を対象とした授業もあった。
(2024年3月16日付紙面より)
「ほっとほーむ」が文科大臣表彰 (那智勝浦町 )
那智勝浦町内でベルト型家庭訪問を軸にした活動を行う家庭教育応援チーム「ほっとほーむ」が、文部科学大臣表彰を受けた。
家庭教育応援チームは、子どもたちの健やかな育ちを支え、全ての保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう、地域で主体的な取り組みを行う組織。家庭教育を取り巻く環境が大きく変化し、支援が届きにくい家庭も存在することから、文部科学省が登録制度を設けて活動を促進している。
同町の「ほっとほーむ」は2016年に活動を開始。当初は不登校の子どもがいる家庭への訪問などからスタートし、現在では対象学年(小学1、3、5年、中学1、3年)の全戸訪問を行い、学校や町子ども未来課、福祉課、医師、臨床心理士らと連携して相談体制を構築。特色ある優れた活動として、全国20の優良事例の一つに選ばれた。
現在のメンバーは民生委員や主任児童委員、元教師、学校支援員、子育て経験者ら14人。保護者の声に耳を傾け、心に寄り添い、一緒に考えることを大切に活動している。ほっとさろんの開催や広報紙「ほっと通信」の発行(町ホームページに公開)、LINE(ライン)相談も行う。
表彰を受けてメンバーは「つらいことを、涙を流して相談してくださる保護者の方もいる。関係機関につないで解決を図る前段階で、まずはお話を聞き、心に寄り添うところから」と語る。
今後に向け「『何でも相談していいんだ』という信頼関係を築くため、みんなで考えて進んでいきたい」と話していた。
(2024年3月16日付紙面より)
【第70回】喉に詰まらせないために
先日、福岡県の小学校で、1年生児童が、給食の「ウズラの卵」を喉に詰まらせて亡くなる事故がありました。これには、「給食の時間が短い」とか「急いで食べるからだ」という意見が見られました。ウズラの卵の使用を控えるという動きが相次ぎましたが、それでは根本的な解決にはならないなと感じています。「ウズラの卵」であっても、昔あった「こんにゃくゼリー」であっても、お正月のお餅でも、噛(か)まずに飲み込もうとすると、窒息する可能性がある食材は、たくさんあります。大切なのは、リスクのある食材を排除することではなく、喉に詰まらせない食べ方を、きちんと教える食育だと思うのです。そこで、今回はこういった痛ましい事故が起きないように、気を付けたいポイントを三つお伝えしようと思います。
まず一つ目、この問題で1番大切なのは「咀嚼」だと私は感じています。「よく噛んで食べることの大切さ」を、しつこく教えてあげてください。以前、こちらでも「噛むことの大切さ」についてお伝えしたことがありますが、「よく噛む」ということは、食育上メリットしかありません。子どもに限らず、大人にとっても、よく噛んで食べることは良いことしかないのです。簡単におさらいすると、「肥満予防・味覚の発達・言葉の発音・歯が強くなる・脳の発達・がんの予防・胃腸の健康・顎の筋肉の強化」などなど、他にもたくさんあるんです! まずは1口30回を意識して、よく噛むことを習慣付けてあげてください。
二つ目のポイントは「食事中に、きちんと水分を取ること」です。これは当たり前だと思われるかもしれませんが、意外と食事中に水分を取らないお子さんは多いんです。食事中に飲むための、お茶やお水を、食事の最初や最後に一気に取るという子もたくさんいます。食事の時間に、そういうことに気付いたら水分を取るように促してあげてください。喉が潤っていると、食べ物が喉に詰まるというリスクはグッと低くなるはずです。そしてこの水分補給は、まさに習慣なのです。その癖を付けておいてあげることは、とても大切です。
三つ目は姿勢を良くして食べる、ということです。椅子に座って背筋を伸ばすと、食べ物を飲み込みやすい姿勢になります。これは食べる時のマナーでもありますが、やはり姿勢が悪く猫背になると、喉に詰まりやすくなってしまうのです。食べる時に姿勢を正すということは、見た目の美しさや、マナーだけではなく、とても理にかなっているんですね。
いかがでしたでしょうか? どれも当たり前のことですが、日々の中でついつい忘れてしまいがちなことですよね。この「ウズラの卵」の事故を受けて、いま一度食事の習慣を、見直してみてはいかがでしょうか? 食べることは、生きることです。食べることで、命を落とすようなことがないように、しっかりと習慣にしておきたいなと思いました。
(2024年3月16日付紙面より)
自治会連合会が防災講演会 (新宮市 )
新宮市自治会連合会(榎本義清会長)による防災講演会が10日、「丹鶴ホール」であった。「災害時に誰一人取り残さない、安心・安全な地域の絆」をテーマに、防災士で東京大学大学院工学系研究科のピニェイロ・アベウ・タイチ・コンノ特任助教が講演、「今後に備えて避難訓練を重ね、地域防災力を高めることが大切」と訴えた。参加者は災害時要配慮者の避難安全に備えて、今できることを考えた。
日本人の4人に1人が高齢者。30年後には3人に1人と予想されており、講演会では要配慮者の避難安全に焦点を当てた。誰一人取り残さないために、コンノさんは「一人の100歩より、100人の一歩」と強調。▽みんなのまちは、みんなで守ろう▽だれもが助かる、絆を結ぼう▽福祉と防災、一緒に歩もう▽災害恐れぬ、地域をつくろう▽なにがあっても、共助は無限―といった標語を掲げ、参加者は拍手で賛同した。
スライドを用い「災害時要配慮者とは災害時に情報入手、避難行動、避難生活が困難な人。そのうち、支援がないと避難できない人は避難行動要支援者とされている」と説明。津波や地震は自然現象、被害は社会現象であり、社会の弱い箇所をなくすことで被害を小さくすることが可能になるとした。
「犠牲者のほとんどが子どもや高齢者などの要配慮者」と伝え、東日本大震災で助かった人の平均避難距離は430㍍、助からなかった人は430㍍以上避難できなかったと分析。要配慮者の支援は共助を生かした〝福祉と防災の連結〟が大切と語り、要配慮者、安否確認、避難誘導、避難所対応など要配慮者支援を細かく分類することが地域支援につながるとした。
南海トラフ地震が発生すると最短3分で津波が襲来するとのデータを示し、「強い揺れを感じたらすぐに避難してほしい。要配慮者の避難安全に備えて今できることをみんなで考えよう」と呼びかけた。
(2024年3月12日付紙面より)
少年少女発明クラブ (新宮市 )
新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)の3月講座「ブーメラン飛行機を飛ばそう!」が9日、新宮市福祉センターであった。市内の小学生会員25人が参加、発泡スチロール板を使用した飛行機を作って飛ばし、仕組みなどを学んだ。
発明クラブは全国で活動しており、県内でも10市町で行われている。新宮市では、市内の小学4~6年生を対象に年間を通して講座を開催。子どもたちに理科や科学、ものづくりに関心を持ってもらえるよう、さまざまな制作・野外活動に取り組んでいる。
瀧野会長が講師を務めた。「ブーメラン飛行機」は、投げるとブーメランのように自分の所に戻ってくるというもの。児童は用意されたパーツを組み上げて飛行機を完成させた。実際に飛ばし、戻ってくることを確かめた。他に数種類の紙飛行機作りも楽しんだ。
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■閉講式も実施
この日は閉講式も行われた。瀧野会長から全員に、修了証書が手渡された。瀧野会長は「11回の講座ご苦労さま。来年度も同じように講座を組みたい。4、5年生はできればまた参加して。続けてやると技術を身に付け、未経験者に教えられるようになっていく。それもクラブの一つの意義。できれば続けて」と呼びかけた。
神倉小4年の堀本心海さんは「お姉さんがやっていたので、やってみたいと思って参加した。(1年を通して)楽しかった。空気砲が特に楽しかった。また来年もやってみたい」と話した。
(2024年3月12日付紙面より)
観光協会が自転車イベント (古座川町 )
古座川町観光協会(鈴木貴裕会長)主催のイベント「古座川エクスペリエンス&ライド」が10日にあり、自転車の愛好者ら約120人が地域体験を織り交ぜた町内ツーリングを楽しんだ。
実施に当たってはスポーツプロデュース熊野と「KINAN Racing Team」、町が協力。今回は桜が咲き華やかな春に期日を設定し、同チーム所属選手とのファンライドと位置付け、信号がないコースを駆け抜ける中で景観に出合い町の味覚を体験する内容で参加を呼びかけた。
コースは国際ロードレース体験(花見体験含む)と難度低めの花見体験の2種類を設定。直前で花見体験のコース延長が提案され、希望者がいたため3コースで実施する形となった。
発着拠点は一枚岩前。開始に先立って鈴木会長は「クマノザクラが見頃になっている。目で見て、耳で自然の音を聞いてゆっくり無理をせず選手と一緒に走ってほしい。エイドステーションやゴール後にはアユやジビエなどをご用意しているので、今日は五感全てで古座川を体験してほしい」と述べて歓迎。スポーツプロデュース熊野の角口賀敏理事長(株式会社キナン会長)があいさつ、良好なファンライドを期して同Teamの監督と選手7人が自己紹介をして愛好者との距離を縮めるなどした。
交通規制未実施のため、愛好者は選手ら含め十数人のグループになり愛車や同協会がレンタル提供しているEバイクなどで希望するコースへ順次出走した。発着拠点とコース半ばの佐田桜の広場、道の駅瀧之拝太郎、町役場、道の駅虫喰岩にエイドステーションを設け、イベントボランティアが町産の味覚を振る舞って愛好者らのツーリングを後押ししたという。
(2024年3月12日付紙面より)
17日まで、公募絵画展 (太地町立石垣記念館 )
太地町立石垣記念館(江﨑隆司館長)の公募絵画展が9日に始まった。同町や近隣市町から34点の出品があり、町長賞1席に竹原愛さん(那智勝浦町)の「魂の記憶」、2席に上野節子さん(新宮市)の「ジンジャー」、3席に土山明美さん(太地町)の「planet X」が選出された。
初日には審査員による講評があり、江﨑館長が「18回目を迎え、年々レベルも高くなっている。審査員の方々の評を聞き、絵に対する思いが高まるような場になれば。当館としても、町の文化活動の発展にもつなげたい」とあいさつ。
審査員を務めた熊野美術協会の運営委員の平田勝男さん、太田俊伸さんが一点一点丁寧に講評。町長賞1席の竹原さんの作品について「ヘビのような木と女性の表現が独特で、特に表情、髪の毛の質感や色の対比がいい」と述べた。会場に向け「新宮市などでも絵の具や画材の店がなくなっていく中だが、皆さんにはどんどん絵の具を買って描き、石垣記念館の期待に応えてほしい」と呼びかけた。
竹原さんは「命や魂などをテーマに人物を描き始めて2年。自分では描き切れていない部分ばかりが目についていたが、1席を頂いて驚いた。これからも自分の世界観を表現したい」と語った。
期間は17日(日)までで、開館時間は午前9時~午後4時30分(最終日は午後3時まで)。期間中の来場者の投票で教育長賞の1~3席が決定される。同館は大勢の来場を呼びかけている。
(2024年3月12日付紙面より)
スポーツウエルネス交流大会 (那智勝浦町体協吹矢部 )
新宮ジュニアレスリングクラブ
サッカー「トルベリーノ鰹カップ」
増田綱紀さんの絵が永田町へ (太地町 )
太地町の増田綱紀さん(75)が描いた風景画「吉野」と「春爛漫(らんまん)」が東京都千代田区永田町の首相官邸に飾られることになった。作品は9日(土)に増田さん宅から東京へ搬送される。2作品とも油彩F100号。桜満開の吉野山を描いた絵画が岸田文雄首相の元に一足早い春を届けそうだ。
増田さんによると、美術・工芸の一般社団法人「光風会」(東京都豊島区)が発行する出版物に2作品が掲載され、絵画を探していた首相官邸の事務局の目に留まったという。増田さんは「春の暖かい雰囲気の絵を探していたそうだ。まさか選ばれるとは夢にも思わなかった。光風会の近畿ブロックで初とも聞いた。支えていただいた方々のおかげ」と話す。
「春爛漫」は2年前、「吉野」は1年前の作品。「あの場所にほれ込んで毎年描いている。描き出すと没頭してしまう。飾られる期間は聞いていないが、桜の風景を楽しんでもらえればうれしい」と笑顔を見せた。
増田さんは光風会主催の公募展で8回の入選を重ね、2022年に会友推挙となった。熊野地方の絵画愛好家でつくる「筆島会」の会長を務める。和歌山県美術家協会会員、熊野美術家協会会員。
(2024年3月6日付紙面より)
藤紀流家元の藤紀実美さんに (那智勝浦町 )
日本とベトナムの文化交流事業で20日(水・祝)からベトナムへ渡航する藤紀流二代目家元の藤紀実美さんに2日、那智勝浦町内で絵手紙教室を開く阿部由美子さんが生徒と共に描いた絵手紙65枚と色紙を託した。
藤紀さんは、将来日本で働くことを目指す学生たちが学ぶベトナムのフックグエン日本語学校で日本文化を伝えており、渡航は今回で3回目。日本舞踊を披露する他、日本の音楽や浴衣、法被、アート、クマノザクラなどさまざまなものに触れてもらうワークショップも開いている。今回は日本の絵手紙を知ってもらおうと、阿部さんに協力を依頼した。
色とりどりの絵手紙には、日本固有の植物であるツバキや着物、現地で人気の日本アニメが描かれており「シンチャオ(こんにちは)」「ティ(好き)」などのベトナム語のメッセージも入っている。
阿部さんは「絵手紙は人に渡すためのもの。海を渡って現地の方々に届けてもらうのがうれしい」。藤紀さんは「日本に興味を持っている学生ばかりなので、喜んでくれるはず」と感謝していた。
(2024年3月6日付紙面より)
熊野速玉大社が所蔵
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)が所蔵する「彩絵檜扇(さいえひおうぎ)」を、新たに和歌山県文化財に指定したことを4日、県教育委員会が発表した。同大社関連の県文化財はこれで10件となった。
新たに県文化財となった彩絵檜扇は、同大社の神宝の一つとされていたが、明治時代中期に一度は行方が分からなくなっていた。佐藤春夫が買い戻し、その子孫が奉納して戻った。27枚のヒノキを材料に作られた扇で、大きさは縦が39・4㌢。片面にはフジバカマやススキが、もう片面には松や竹が描かれている。状態は極めて良好という。
光学調査などの結果、足利義満らが1390年に同大社へ奉納した国宝「古神宝類」に含まれる檜扇群と顔料が共通し、元々は一連の作品だった可能性が極めて高いと判断された。
なおこれまで、同大社所有の県指定文化財の件数は、美術工芸品が7件、有形民俗文化財が1件、史跡が1件だった。また今回、彩絵檜扇のほか3件も、新たに県文化財に指定された。
(2024年3月6日付紙面より)
木葉神社で諸団体関係者 (串本町 )
串本町田原にある木葉神社(井谷正守宮司)で4日、有志による「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ成功祈願祭」が執り行われた。
スペースワン株式会社が発表した初号機の打ち上げ日時(9日午前11時~正午)に向けて広まる無事成功の期待が形となった、関係諸団体関係者の私人参列による祈願。
当日は町、町議会、田原区、和歌山東漁業協同組合、同社から21人が参列し、井谷宮司や古座神社の石田保宮司と共に礼を尽くして初号機の成功(人工衛星の軌道投入まで達成)を願った。
このロケットは、串本町田原地内に射点がある射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる計画で、田原はその最至近の見物場所という点で有志はこの場所で祈願をすることにしたという。神事を経て町長の田嶋勝正さんは「今日は打ち上げの成功と訪れる皆さんの安全安心を願った。必ず成功するよう、まちの方も万全を尽くしたい」、田原区長の筒井政士さんは「まずは成功してほしい。そして宇宙産業が地元に根付き、家族が増え小学校がにぎやかになり田原区の少子高齢化や人口減がちょっとでも緩やかになれば」とそれぞれコメント。同社企画・営業・渉外本部課長の村部昭憲さんは「このような祈願祭を設けていただき、非常にうれしい限りです。地元ではわれわれの事業がまちの起爆剤といわれていますが、われわれにとっては宇宙産業を加速する上で皆さんの協力が一番の起爆剤。地元とスペースワンが共存共栄していけるよう、このまちに盛り上がっていただけたら」とそれぞれに思うところを語った。
(2024年3月6日付紙面より)
那智勝浦町春季ソフトバレー
那智勝浦町総体卓球大会
県小学生サッカーABリーグ
築地地区に津波避難施設 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は1日、一般会計当初予算としては過去最大の107億900万円の2024年度当初予算案を発表した。前年度当初比12億4200万円(13・1%)増で、新クリーンセンター整備事業(19億8564万4000円)や築地地区津波避難施設整備事業(2億1436万1000円)などが押し上げの要因。7日(木)開会の町議会定例会に提案する。
防災・減災対策、子ども・子育て支援・福祉事業、観光産業振興に重点を置いた構成。築地地区の津波避難施設は、にぎわい市場前のタイムズ駐車場に24、25年度の2カ年で建設予定。高さ20㍍、収容人数400人。平常時も観光客らに勝浦湾の眺望やはえ縄漁の歴史を学ぶ場として利用してもらえる施設とする計画だ。
子ども・子育て関連では、高校までの医療費無償化を予定。同町では現在、中学校卒業までの子ども(15歳になって最初の3月31日を迎えるまで)の保険診療の自己負担分を助成しているが、新たに18歳へ拡充する。受給者数は1322人で、事業費として3854万9000円を見込む。
福祉関連の新規事業は高齢者や障害者の入浴助成券配布があり、507万6000円を計上する。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年などに際し、主力産業である観光振興費には計7391万1000円を予定。新規事業として大門坂駐車場リニューアルに向けた基本設計を行い、町中への周遊観光につなげる拠点の他、災害時の避難場所としても活用したい考えだ。地域おこし協力隊制度を利用した外国語観光ガイドの育成、紀伊勝浦駅前周辺の整備に向けた基本構想の策定にも取り組む方針だという。
堀順一郎町長は会見で、いよいよ来週に迫るロケット打ち上げに触れ「観光の目玉になるかの試金石。住民生活への影響やお越しいただいた方の満足度などをしっかりと見極めたい」と語った。
那智勝浦町議会3月定例会の会期は21日(木)までを予定。一般質問は18日(月)、19日(火)を見込んでいる。
(2024年3月2日付紙面より)
消防車両で広報活動 (新宮市 )
春の全国火災予防運動(1~7日)に伴い、各地の消防は1日、防火広報を実施した。新宮市消防本部では、市消防本部、三輪崎消防派出所、高田コミュニティ消防センター、熊野川消防出張所に分かれて住民らに防火意識の高揚を呼びかけた。
市消防本部で行われた出発式には、丹鶴、千穂、蓬莱、警備の4分団から16人が参加した。中谷健兒団長は「本日より、春の全国火災予防運動が始まります。市民の皆さんに防火意識をしっかりと持っていただけるよう、消防車両による広報活動をお願いします」と呼びかけ。団員らは各分団の消防車両に乗り込み、各地域で広報活動へと出発した。
市消防本部管内では昨年(1~12月)、14件の火災が発生し、うち7件が建物火災だった。今年に入ってからは3件の火災が発生している。また予防策として、住宅用火災警報器の設置を呼びかけている。
今年の全国統一防火標語は「火を消して 不安を消して つなぐ未来」。期間中の全国重点目標は▽住宅防火対策の推進▽林野火災予防対策の推進▽特定防火対象物などにおける防火安全対策の徹底▽放火火災防止対策の推進▽製品火災の発生防止に向けた取り組みの推進▽多数の者が集合する催しに対する火災予防指導などの徹底▽乾燥時および強風時の火災発生防止対策の推進▽地震火災対策の推進―の八つとなる。
(2024年3月2日付紙面より)
新宮市の県立新宮高校(深野泰宏校長)で1日、卒業式が開かれた。保護者や教職員、在校生らが見守る中、187人が卒業証書を受け取り、新たな道へ歩みを進めた。
各クラスを代表して太田真由さん、川本晴春さん、島良輔さん、藤田侑叶さん、問芝璃音菜さんが深野校長から卒業証書を受け取った。
深野校長は、新型コロナウイルスが5類に移行し、学校行事が通常に戻ったが、生徒たちは「失敗を恐れずに挑戦し、多くの実績を残してくれた」と賛辞を贈り、「自身の持つ無限の可能性を信じ、勇気を持って果敢に挑戦してほしい」と卒業生を励ました。
卒業生代表の久司航輝さんは答辞で、選択する勇気の大切さを述べ、「さまざまな選択を繰り返し、自分自身と向き合い、成長してきた」と高校生活を振り返り、「岐路に立たされた時、きっと輝きあるこの3年間の出来事が選ぶ勇気をくれます。理想という『見えにくいけれど確かに存在するもの』に向かって私は強い選択をしていきたいと思います」と決意を語った。
(2024年3月2日付紙面より)
2024年度の当初予算案発表 (串本町 )
串本町が2月29日、2024年度一般会計当初予算案を発表した。歳入歳出それぞれ総額は113億6104万3千円で、前年度比8・4%増。構成比は別図の通り。
26年度開校を目指す統合小学校建設事業がいよいよ建設に差しかかる影響が大きく、総額は前年度より8億7661万6千円増。発表に当たり田嶋勝正町長は、引き続き歳入歳出両面で見直しを徹底して持続可能な財政運営を心がけるとともに、事業の必要性や緊急性を熟慮した上で子育て支援と安全安心のまちづくりに重点を置いた内容だとしている。
予算額が特に大きい統合小学校建設事業は9億9717万6千円を計上。26年度開校を見据えて建設を完了する考えで、初年度分の建設工事費(進行率30%前提)、工事監理委託料、意図伝達業務委託料などを含んでいる。
他の予算額が大きい事業は▽ロケット推進事業(4577万4千円)▽古座分庁舎リノベーション事業・旧第二庁舎(=同分庁舎)管理経費(計5912万8千円)▽地籍調査事業(1億867万円)▽潮岬学童保育所新築事業(1億4307万円)▽旧くしもとこども園跡地公園整備事業(9185万2千円)▽有田残土処分場整備事業(1億9964万8千円)▽新古座消防署庁舎建設事業(1億2487万3千円)―など。新規で新婚生活支援事業、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業、母子保健事業―妊産婦アクセス支援事業、小企業信用保証料免除に係る補助金(県内初)、公立中学校給食費無償化(24年度から実施)なども盛り込んでいる。ふるさとのまちづくり応援寄付関係で、同応援基金から4635万1千円を同会計へ繰り入れて活用するという。
併せて14ある特別会計の当初予算案総額も発表。その合計額は87億3280万2千円で、24年度の予算規模は200億9384万5千円となっている。
これら当初予算案は町議会第1回定例会へ上程して審議、承認を求める。
(2024年3月2日付紙面より)
第199回職場対抗ボウリング大会
那智勝浦町体協グラウンドゴルフ春季大会