新宮市立佐藤春夫記念館(辻本雄一館長)にこのほど、春夫愛用の品など100点以上が新たに寄贈された。30日、辻本館長が発表した。
2010(平成22)年に他界した、春夫の子息である佐藤方哉(まさや)氏の遺品整理に伴い佐藤家の遺族が寄贈した。現在は特に資料やいわれの残る日時計や文机、座卓など5点が同館で展示されている。
日時計は高さ約110㌢。影を利用して時間を計る。一緒に撮った写真=写真①=が残るなど春夫のお気に入りだったとされる。1989(平成元)年に春夫邸が移築された後も東京の佐藤邸に残されており、方哉氏の子ども時代について記した著書「環境」の挿絵(谷中安規画)のモチーフになるなど佐藤家のシンボル的な存在であった。
文机は和歌山県名匠にも選ばれた指物師・鮒田武彦(和往・和道)氏の作品。鮒田氏が、1960(昭和35)年の伊勢湾台風で倒れた熊野速玉大社の大鳥居のヒノキを使って作った文机を同市船町の故・杉本義夫氏が春夫に贈ったといった記録があるが、サイズや材質が異なることからそれとは違う机だと考えられる。裏に「紀伊国住人 和往作(印)」とある。
座卓に関しては、春夫邸建築当時の応接間の写真=写真②=が残されている。直径約70㌢で1人か2人が座れる程度の大きさ。晩年、門弟三千人といわれた春夫の応接間にはもっと大きな座卓が置かれるようになったが、佐藤家では大切に保管されていたという。
寄贈品に関して辻本館長は「佐藤家のシンボルである日時計が、移築復元された春夫邸に戻ってきた。多くの人に見ていただければ」と話している。
(2020年10月31日付紙面より)
診療・検査医療機関を指定 (和歌山県 )
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備え、和歌山県では、地域において発熱などの症状のある人が適切に診療・検査を受けられる体制を整備するため、発熱患者の診療および検査が可能な医療機関を「診療・検査医療機関」として指定した。11月1日から運用を開始する。
同時流行による発熱患者の急増を見据え、国は9月、保健所中心だった従来の方針を転換。都道府県に、10月中に地域の実情に応じ、かかりつけ医などの医療機関を確保し「診療・検査医療機関」に指定するよう要請していた。
要請を受け、県は▽発熱患者等が新型コロナウイルス感染症以外の疾患の患者と接触しないよう、可能な限り動線が分けられている▽必要な検査体制が確保されている▽医療従事者の十分な感染対策を行うなどの適切な感染対策が講じられている▽県または和歌山市と行政検査の委託契約を締結している▽院内掲示を行う等、自院のかかりつけ患者等に対して、発熱等の症状が生じた場合には、電話で相談した上で、自院で診療・検査可能である旨を周知する―の要件を定め、申請を受け付けていた。
県が新たに診療・検査医療機関に指定した民間医療機関は280カ所。指定された医療機関は発熱患者の診療体制の確保に必要な経費に対する補助金や個人防護服の配布対象となるほか、発熱患者など専用の診療室を設けて患者を受け入れる体制をとった場合、その体制確保に要する経費の支援が国から受けられる。
今後は、発熱などの症状がある場合にはまずは電話でかかりつけ医に相談をする。かかりつけ医が指定を受けていない場合は指定医療機関への紹介が受けられるという。
(2020年10月31日付紙面より)
和大オンライン塾始める (串本古座高校地域協議会 )
串本古座高校地域協議会が28日、同校の生徒を対象にした「和歌山大学オンラインくろしお塾」を始めた。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って大学生と高校生の学び合いを形にする取り組みで、同高校からは1、2年生8人が受講登録し2学期中の毎水曜日放課後にオンライン授業などに臨むという。
地方は都市圏ほど大学が身近ではないという不利の状況緩和策として前年度、単発企画「出張!和大くろしお塾」を実施して生徒と大学生がじかに情報交換できる場を設けた同協議会。今後の場の継続を考える中でインターネットを使えばより多くの機会をつくれると気付き、「和歌山大学オンラインくろしお塾」の実現を模索してきた。
他方、コロナ禍の情勢に伴い通信端末(タブレット)の整備が全国規模で急進し、同校でもオンライン授業実施のための環境が図らずして充実。これを追い風にして情報教育に得手がある和歌山大学教育学部の豊田充崇教授の監修を得て実施内容を固め、校内塾「くろしお塾」を通して生徒に受講を呼び掛けた。
この日はオンライン授業の前段階として対面授業を実施。講師を務める同学部3回生の畑屋蓮さんと栗生菜名さんが来校して生徒と自己紹介をし合い、大学生活や高校時代の学習、受験対策や日頃の学習方法、それぞれの特技などで情報交換をして互いに親近感を培った。終盤では通信端末を使い同システム越しで豊田教授が指導を行い、大学を身近に感じる機会としてこの取り組みがあることを学生と生徒に伝えて共に実りのある機会とするよう促しながら締めくくった。
校内塾の酒井豊塾頭によると、以降12月9日(水)まではオンライン授業を実施し、生徒は英語と数学の問題解説などを受け学生との情報交換もより深める。最終となる16日(水)は再度対面授業をし、オンライン授業の取り組みを振り返りながらより身に付く学習の助言をする予定という。
(2020年10月31日付紙面より)
ニュータウン熟年クラブ (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井のニュータウン熟年クラブ(峰武久・東熟年クラブ会長、角本聖洋・西熟年クラブ会長)は27日、同町内を巡る初の「まちなかウオーク」を開催した。晴天の下、会員34人が参加。景色や町並みを見物しながらウオーキングを楽しんだ。
同クラブは健康増進のために、熊野古道などを歩く「健康ウオーキング」などに取り組んできた。今回は自分たちが住んでいる町や名所を知るために、まちなかでのウオーキングを実施することとなった。
会員はお蛇浦(じゃうら)遊歩道周辺に集合し、記念撮影後に弁天島やお蛇浦遊歩道を見物し出発。勝浦八幡神社横を通り入船館(いりふねかん)へ。その後は高台の防災公園で食事を取り、ビン玉通りを歩きさらに周辺を散策した。
参加した同町狗子ノ川の西岡稔さんは「実際に歩くと改めて那智勝浦町の素晴らしさに気付いた。天気も良く、34人全員が無事で全ての行程で快適に過ごすことができた。今日のおかげで、皆さん若返ったかもしれない」と笑顔で語った。
峰会長は「今回は入会後、初めて参加される方も喜んでくれて良かった。地元を全く知らないと言う方もいたので充実した一日になったと思う」。
今後については「良い町をつくっていくには自分たちの住んでいる町を知ることが重要だと思う。これからのまちなかウオークでは町を学びながら、お店で買い物や食事をして、町の経済活性化にも貢献していきたい」と話した。
(2020年10月31日付紙面より)
総合スポーツ大会グラウンドゴルフ (ゆうゆうクラブ )
県年金受給者協会グラウンドゴルフ潮岬大会
【第23回】楽食のススメ
健康的な食事に関する情報は、今あふれています。糖質制限や、腸活、グルテンフリーにビーガンフードなど、あらゆる側面から健康的な食事に関するさまざまな情報が簡単に手に入りますよね。子どもたちを取り巻く食事にも、オーガニックや無農薬・無添加などの食材が脚光を浴びています。ただ、食事は毎日のこと。「こうじゃないとダメだ!」と決めてしまっては、本当に疲れてしまいます。では、子どもたちを健やかに育てるために、本当に大切なのはどんな食事なのでしょうか? どれだけ体が健康でも、イライラしていたり、体がだるかったり、気力がないと心配になりますよね。やはり、心と体がどちらも元気で、生き生きと前向きな子でいてほしいものですよね。結論から言うと、子どもを健やかに育てる食事は「何を食べるか」ではなく「どんな雰囲気で食べるか」が大切なんです。
家族で食べる食事が、子どもの健康にどう影響するかを調べた研究があります。この研究は、「食事の質」「家族そろった食事」「食卓の雰囲気」などと、子どもの「心の健康状態」との関係を調べたものです。「心の健康状態」の中には、「学校に行くのが嫌になることがあるか?」という登校忌避感や、「自殺したいと思ったことがあるか?」という自殺念慮なども含まれています。「食事の質」には、皆さんが思うインスタント食品やファストフードなどを頻繁に食べるか?などが含まれいます。中学生573名を対象に調べた結果、「『自殺念慮』や『登校忌避感』には『安らぎの場である食卓に家族がほとんど毎日そろうこと』が効果を持つということである」(東洋英和女学院大学人間科学部「食事の質、共食頻度、および食卓の雰囲気が中学生の心の健康に及ぼす影響」、2001年)と記されています。「食事の質」が影響したのは「根気のなさ」という1項目だけだったともあります。つまり子どもの心の健康状態に影響するのは「何を食べるか」ではなく、「どんな雰囲気で食べるか」ということなんです。子どもたちにとって、食卓は自分が安心してくつろげるとても大切な場所で、そこで家族と楽しくコミュニケーションをとることは、精神的な安定に大きく影響するということです。そうは言っても、忙しくてなかなか家族そろって、食事が取れないというご家庭もあると思います。でも大丈夫、その安らぎの場は、食卓でないといけないわけではありません。食卓以外の場でも家族間でしっかりとコミュニケーションが取れていて、家庭が安らぎの場であればそれでいいんです。子どもたちは、大人が自分たちを気に掛け、受け入れ、認めてくれているという状況に安心し、自尊感情や自己肯定感を高めていくんだと私は考えています。
食事の内容ももちろん大切ですが、それよりも、食事の時間に余裕を持ち、その雰囲気を楽しいものにしてあげてほしいと思います。楽しい食卓は子どもだけではなく、きっと私たち大人の心も穏やかにしてくれると私は信じています。
(2020年10月31日付紙面より)
生涯現役スキルアップセミナー (新宮市 )
新宮市生涯現役促進地域連携協議会は22日、市役所別館で令和2年度第4回生涯現役スキルアップセミナー「御燈祭(おとうまつ)り『たいまつづくり体験』」を開催した。垣下正義さんが講師を務め、6人の参加者が「御燈祭り」に欠かすことのできない「たいまつ」作りに挑戦した。
セミナーは市在住55歳以上の中高年齢者が対象。和歌山労働局の受託事業として、就業を希望する人と雇用を希望する企業や事業所の双方のマッチングを行い、中高年齢者の雇用の促進と生きがいづくりの場への参加などの支援を実施している。
熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける「御燈祭り」は、新年における「火の更新」を意味する勇壮な祭り。毎年、当日の2月6日には全国から大勢が「上(あ)がり子」として祭りに参加し、御神火を移したたいまつを手に一斉に神倉神社を駆け下りる。
たいまつはヒノキの板を五角錐に組み合わせ、針金や竹ひもなどで固定。柱状部分の空洞に「バタ」と呼ばれる木切れを入れ、ヒノキを薄く削った「ハナ」を付ける。
垣下さんは新宮生まれ新宮育ち。同市相筋で垣下建築を営む。毎年、本業の傍らたいまつを制作しており、今年は約150本を作り上げた。制作に当たっては「簡単なように思えるが時間と手間がかかる」と紹介。
参加者らは垣下さんの指導の下、手縄の作成からスタート。5枚の板を組み合わせたいまつの形に。結束バンドで仮固定し、針金などを使って組んでいった。「バタ」を入れ、最後に80枚の「ハナ」を付けて完成させた。
セミナーに参加した尾﨑禅さんは「初めての経験で汗をかいたが満足しました。自分の作ったたいまつを持って祭りに参加できる日が楽しみ」と笑顔で話していた。
(2020年10月24日付紙面より)
串本町が22日、役場町長室で本年度観光フォトコンテストの表彰式を開き入賞作品17点を発表した。グランプリは作品「串本大橋夕景」で、撮影者の吉田正洋さん(73)は「この作品が選ばれるとは思っていなかったのでびっくりした」と話している。
このコンテストは、観光PRに活用する写真を広く募集する目的で例年実施。10回目の節目となる本年度は町内外の43人から221点の応募があり、先月25日に審査会を開き田嶋勝正町長ら審査員の選考で入賞作品候補17点を決めた。
各撮影者から原画(画像データ)の提出を受けて入賞を確定し、グランプリ・準グランプリ・審査員賞の各撮影者に表彰式への参加を呼び掛け。当日は吉田さんと審査員賞の長谷洋さん(54)が出席し、田嶋町長からじかに表彰を受けた。
吉田さんの作品は、9月にボランティアで草刈りなどの管理をしているポケットパーク下の磯場から夕暮れ時のくしもと大橋を捉えた内容。この光景は何年も通って挑戦していて、さらにいい瞬間があると気づいていてこの作品では選ばれないと思っていたという。
表彰するに当たり田嶋町長は「見慣れた景色が見る時間帯や角度によって素晴らしい物になるといつも感じている。これからも串本の再発見ができるような写真を応募いただけるとありがたい」とコメント。
表彰を受けて吉田さんは「年がいって『えらいなぁ』と思うこともあるが、まだまだ頑張らんといかんなという思いになった」、長谷さんは「このコンテストでの入賞は連続3回目で光栄に思う。(最近は)見るだけでなく体験しようと思ってもらえるような作品を意識していて、これからも同じ思いで挑戦していきたい」と気持ち改まるところを語った。
入賞した作品17点は23日から30日(金)まで文化センターで、以降は道の駅くしもと橋杭岩で展示予定。諸事情で発表が例年より遅れたが、11月末までに来年の観光カレンダーの発行を始められるよう努めるとしている。
(2020年10月24日付紙面より)
なぎ看護学校で看護宣誓式 (新宮市 )
新宮市蜂伏の和歌山県立なぎ看護学校(塩路喜英校長)は22日、同校で看護宣誓式を開いた。今年4月に入学した1年生36人が看護師の道を歩む決意を新たにした。
宣誓式は専門的な知識や技術を学ぶ中、有能な看護師を志す自覚を深めてもらうことを目的に毎年実施している。
点火の儀では、厳粛な雰囲気の中、学生が1人ずつろうそくに火をともし、グループごとに舞台に整列。9グループに分かれて「私たちは患者さんのことを第一に考え、心の声に気付き、患者さん一人一人を思った看護ができる看護師になることを誓います」などと宣誓した。その後、学生はそれぞれの思いを胸にナイチンゲール誓詞を唱和した。
塩路校長は「繰り返し経験をすることで現場の実践力が身に付くと信じてください。今日誓った言葉とこの日の思いを忘れることなく、自分の目標にまい進してください」と式辞。続いて、新宮保健所の池田和功所長が仁坂吉伸知事の励ましの言葉を代読した。
来賓で紀南病院(御浜町)の廣畑靜(しづ)看護部長は「皆さんが看護師になることをご家族だけでなく、多くの人々が心待ちにしていることを忘れないでください」と祝辞を述べた。
在校生代表の羽山高史さんは「思いやりを持ち、患者さんの声に耳を傾け理解しようとすることで、信頼関係の構築や寄り添った看護につながる。困難は仲間と助け合い乗り越えてください。今日誓った自身の看護師像に一歩でも近づけるよう共に頑張っていきましょう」と祝いの言葉を贈った。
(2020年10月24日付紙面より)
全国高校サッカー和歌山大会
那智勝浦町総合体育大会バドミントン大会
新宮市民スポ祭弓道競技の部
集客力UPセミナーに40人 (和歌山県 )
和歌山県観光交流課は21日、那智勝浦町の体育文化会館で「コロナ時代における集客力UPセミナー&相談会~スマホ利用者に店舗・観光情報を発信~」を開いた。約40人が参加。コロナ禍における集客に向けた情報発信方法などについて学びを深めた。
コロナ禍により海外往来の制限や新たな生活様式の浸透など、観光業界を取り巻く環境が急激に変化し、集客に向けた情報発信にも変化が求められている。
セミナーは、そういった現状を鑑み、今後旅行のスタンダードとなりうるGoogle(グーグル)や各種オンライン旅行予約サイト(OTA=※)などを活用して旅行する個人や小グループ旅行客を取り込むためのノウハウに関して、分かりやすく具体的な情報を提供する目的をもって開催に至った。
開催に当たり、県商工観光労働部観光交流課の橋本恵一郎課長が「コロナをきっかけに時代が変わりつつある。政府でもデジタル化を進めようといった動きもあり、今後ますますデジタル化は進んでいくと思う」。県内の観光概況について説明し「人口が減少する中、外貨を取り入れる必要がある。県もインバウンドを呼び戻すために取り組んでいく」などとあいさつした。
セミナーではGoogle社公認GMB・GoogleMapゴールドエキスパートの永山卓也さんが講話。休憩を挟み、Trip.comグループ日本ブランディング戦略部長の石川美奈さんが「OTA活用による情報発信のメリット」、チケッツインターナショナル日本支店代表の荒木篤実さんが「観光客が体験をする際のニーズ」などをテーマにそれぞれ講話した。
GoToトラベル事務局(和歌山事務局)によるGoToトラベル地域共通クーポンに係る制度概要の説明もあったほか、セミナーと並行し、会場外では講師陣による個別相談会も行われた。
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※OTA=「じゃらん」や「楽天トラベル」に代表されるインターネット上をメインに取引を行う旅行会社。取り扱い分野は、航空券・ホテル・現地オプショナルツアーなど多岐にわたる。
(2020年10月23日付紙面より)
通学路の危険箇所も点検 (御浜町 )
防犯ボランティア団体の子ども見守り隊御浜支部とみかんパトロール隊は、御浜町立阿田和小学校(竹本和拡校長)で19日、見守り活動に取り組んだ。下校する児童に「気を付けて帰ってね」と声を掛けた。
「子どもと女性の犯罪被害防止」などを重点とする全国地域安全運動の一環。紀宝警察署と合同で実施し、2団体と同校の竹本校長、署員の計7人が参加した。
下校する低学年の児童への見守りを行った後、通学路の危険箇所を点検した。同校が昨年実施した保護者アンケートでは、「見通しが悪い場所や人通りの少ない道路がある」などの回答があり、警察と2団体、学校が情報を共有した。
竹本校長は「児童136人のうち、ほとんどが徒歩で通学している。学校では保護者アンケートで危険箇所を把握し、防犯教室にも取り組んでいる。防犯ボランティア団体の活動も抑止力につながっている」と話していた。
(2020年10月23日付紙面より)
潮岬中で子育て講演会など (串本町 )
串本町立潮岬中学校で21日夜、同校と潮岬小、潮岬こども園の保護者を対象にした子育て講演会があった。テーマは「ネット・スマホ・ゲームと依存症 正しく知って生かしましょう」。保護者や教諭ら47人が参加し、子どものインターネット利用の実態や周囲の関わり方を考える足掛かりとして聴講した。
この講演会は、潮岬地区の子どもが一貫して通うことになる3校園の育友会が合同で計画した行事。今回は25年来の情報教育研究経験を持つ和歌山大学教職大学院教授・豊田充崇さんを講師に迎え、その識見から子どもが直面する課題解消の糸口を考える趣旨で参加を呼び掛けた。
豊田さんは和歌山県の子どものインターネット利用の実態と県民のおおらかさなどを都道府県別に比較した統計資料で示唆。他方、薬物・アルコール・ギャンブルに続く第4の依存として世界的に懸念されるゲーム障害は没頭により生活が崩れている状態を指すことを紹介し、単に長時間だからではなくどのような状態が依存に当たるかの目安を伝えた。
状態に対する対処として五つの視点(①使用ルールを作る②使用状態の把握③ネット以外の居場所を作る④使用履歴を作る⑤使用制限をする)を挙げ、①については県教育委員会が近々誓約書の書式を発表予定だと伝えて活用を推奨。さらに六つ目の視点として、ゲーム好きはプログラミング好きでプログラムの内容に対してより良いアイデアを出しその実現に意欲を示すという側面を例示し、そのように高い関心を有益な方向へ振らせるのも一つの手だと提言して、保護者らによる関わりを促した。
豊田さんは保護者とは別に同日午後、潮岬小4~6年生78人と潮岬中1~3年生65人を対象にしたネット・スマホ・ゲーム講演会にも登壇。身近な利用方法に潜んでいる危険を児童生徒と一緒になって考え、▽寛容・許容の精神を持つ▽拡散されても大丈夫な書き込みか▽個人情報の扱いは必ず相手の許可を取る▽動画投稿にはリスクがつきもの▽スマホでの時間浪費は未来の自分を虐げる―といった要点を振り返って適切に利用する意識を促した。3校園の教諭を対象にした研修の講師も務め、今後の社会変化を見据えた関わり方の視点を託すなどした。
(2020年10月23日付紙面より)
順心の会が太極拳鍛錬会 (那智勝浦町 )
楊名時太極拳順心の会(大澤順子代表)は21日、那智勝浦町のブルービーチ那智(JR那智駅裏側付近)の広場で太極拳鍛錬会を実施した。約40人が参加し、眼下に広がる那智湾を前にさまざまな型に取り組んだ。
大澤代表は日本健康太極拳協会の師範で、大自然の空気を存分に味わいながら太極拳に取り組んでもらいたいとの思いから年に1度実施。熊野地方で五つの太極拳教室を開き、参加者の健康づくりに役立てている。毎週水曜日には旧三川小学校で教室を開催している。
参加者は大澤代表の動きに合わせて実践。緩やかな音楽が流れる中、集中しながら体を動かし汗を流した。
大澤代表は「曇り空で天候が心配でしたが、晴れ間も見えるようになりすがすがしく行うことができました。コロナ禍でいろんな催しができなくなる中、鍛錬会も中止を考えましたが、対策を取り細心の注意を払って実施することを決めた。自宅で過ごす人が多く、気が重くなりがちのため、自然の空気を吸って少しでもストレス発散につなげてもらえれば」と話していた。
(2020年10月23日付紙面より)
広報キャラバン隊が県内でPR活動 (紀の国わかやま文化祭・県実行委員会 )
「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」が来年10月30日(土)から和歌山県内全域で開催される。1年後の開催に向け、キャラバン隊メンバーときいちゃんが県内各地でPR活動を実施。7日に紀南地方入りしたキャラバン隊は、新宮市井の沢の熊野新聞社本社を訪れ「県民一丸となって盛り上げましょう」と呼び掛けた。
国民文化祭は、文化活動への参加の意欲を喚起し、地方文化の発展に寄与するとともに国民生活のより一層の充実に資することを目的とする全国規模の文化の祭典。全国障害者芸術・文化祭は全ての障害者の芸術や文化活動への参加を通じて、障害者の自立と社会参加の促進に寄与することを目的に01(平成13)年から始まった。
わかやま文化祭のキャッチフレーズは「山青し 海青し 文化は輝く」。▽県民総参加で文化力のさらなる向上を目指す▽先人が育んできた文化を継承する▽交流の中で相互理解と新しい文化の創造を促す―を基本方針とし、地域文化の発展や新しい文化の創造へとつながる祭典を目指す。現在、県内で136の事業を予定している。
祭典に向け、実行委員会では県内文化団体や障害福祉関係団体、各市町文化協会により「盛り上げ隊」を発足。県民が作成した折り鶴を使用して「折り鶴アート作品」を制作する「折り鶴プロジェクト」や、盛り上げ隊が県内の学校などに出向き、文化体験を行う「出前体験プロジェクト」、公式ポスターを県内全域の企業や店舗などの協力のもと掲出し、会員制交流サイト(SNS)で発信する「ポスター2021プロジェクト」など、PRを重ね、県民意識の高揚を図るための取り組みを行っている。
地元和歌山を拠点に活動を行う兄弟お笑いコンビ「すみたに」を中心とするキャラバン隊は、きいちゃんと共にラッピングカーで県内各地を訪問。広く広報活動を行っている。21年の開催に合わせ、県内で2021枚のポスターの掲示を目標に8月6日から事業所などを回り、約2カ月で約600枚のポスターを配ってきた。この日は広報ポスターと出来上がったばかりの公式リーフレットを持参し周知を呼び掛けた。
実行委員会では現在、グッズを活用した広報や、文化祭SNS公式アカウントをフォロー・シェアするなどして祭典を盛り上げる広報ボランティアを募集している。
「すみたに」の角谷匡俊(まさとし)さんは「一人一人がサポーターとなって、祭典に向かって県民みんなで盛り上げていけたら」。弟の佳洋(よしひろ)さんは「県民の皆さんに多く知っていただき、共に広報をしていただけたら」と話していた。
広報ボランティアへの応募は11月21日(日)まで。氏名(団体名)、応募人数(団体のみ)、住所、年齢(個人のみ)、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどSNSのアカウントを記入し、FAX(073・423・7120)やメール(kinokunibunkasai2021@pref.wakayama.lg.jp)で申し込む。
(2020年10月11日付紙面より)
田岡市長が要望書を提出
和歌山県紀南地方の7市町村と県は7日、JR西日本(長谷川一明社長)に対して長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の誘致に向けた要望書を提出した。新宮市の田岡実千年市長が代表し、冨本直樹・和歌山支社長に要望書を手渡した。
同社は観光を中心とした西日本エリアの活性化のため、9月11日から山陰方面に長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の運行を開始した。
長距離列車について同市、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町の7市町村と県は「西日本地域の鉄道を利用した旅行として新たな観光の起爆剤になるのでは」と注目。2018年4月から意見交換会や勉強会を開催してきたという。
要望書には、南紀熊野ジオパークや熊野信仰、古式捕鯨、筏(いかだ)流し、世界遺産、また、串本町における国内初の民間ロケット発射場の建設などに触れた上で「世界中に新型コロナウイルス感染症の猛威が吹き荒れ、本県の主要産業である観光関連事業は壊滅的な打撃を被り、地域は疲弊している」「地元自治体、観光関係団体・事業者、地域住民とともに地域の多種多様な観光資源を活用し『with コロナ』という新しい生活様式に沿った魅力ある観光メニューの開発や食、おもてなしを用意していく」と盛り込んだ。
田岡市長は提出に当たり「当地域の観光資源を活用し、現在運行している山陰地方に負けないおもてなしを用意するのでぜひとも運行をお願いしたい」。
冨本支社長は「素晴らしい観光資源を持つ紀南地方へ誘致できるように取り組んでいきたい」と述べた。
(2020年10月11日付紙面より)
台風14号は10日午前8時現在、潮岬の南約180㌔にあり、暴風域を伴いながら時速20㌔で北東に進んでいる。中心気圧は985ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30㍍、最大瞬間風速は40㍍。夜には東海道沖に達し、その後は勢力を弱めながら南へ移動する見込み。
串本町では9日夕方、50代女性が強風にあおられ転倒。左足を骨折する重傷を負った。
また、紀宝町浅里地区では9日夜、大規模な地滑りが発生したが、けが人はなかった。
和歌山、津両地方気象台によると、7日午後2時の降り始めから10日午前5時までの降水量は▽那智勝浦町色川433㍉▽新宮市371㍉▽熊野市新鹿339㍉―などとなっている。串本町潮岬では10日午前6時9分、30・1㍍の最大瞬間風速を観測した。和歌山県によると、新宮市で約30軒、那智勝浦町で約370軒、串本町で約90軒の停電が発生した。
また、9日には倒木に伴い、串本町潮岬の潮岬周遊線が片側通行規制となったが、現在は復旧。同町田原から津荷にかけての国道42号で全面通行止めとなっている。
台風の接近に伴い、JR西日本は10日、特急くろしお号と、きのくに線の運転を一部取りやめ。JR東海は同日の特急ワイドビュー南紀号を全区間、終日運休した。
(2020年10月11日付紙面より)
高田小児童らが「海の教室」 (勝浦海事事務所 )
児童らの海や船への関心を高め、海事思想の普及を図る「海の教室」が2日、那智勝浦町と太地町を舞台に展開された。新宮市立高田小学校(大家淳志校長)の全校児童11人が市場見学や遊覧船体験などを通じて海の恩恵に感謝する機会とした。
近畿運輸局勝浦海事事務所、紀南海運協会などが主催。「海の月間」(7月1日~31日)の協賛行事として、管内の小学生を対象に毎年実施している。児童らは、那智勝浦町築地の和歌山県漁連勝浦市場展望室で市場の様子を見学。勝浦海事事務所の堀川裕之次長が「船員さんたちの仕事を見てたくさん勉強してください」と呼び掛けた。
児童らはその後、勝浦観光桟橋に移動し「くじら号」に乗船。波に揺られながら紀の松島めぐりを楽しんだ。
太地町では町立くじらの博物館でくじら講座を受講。学芸員の今川恵さんが「太地浦捕鯨絵図」を基に、同町において古来から続く人間と鯨の関わりについて話した。今川さんは▽みんなで協力して大きな鯨をとっていた▽地形を利用して鯨を見張っていた▽道具を工夫して使っていた―などと説明。児童らは鯨やシャチに関するクイズに対し、元気よく手を上げるなどした。
最後にイルカショーを見物。イルカが見せる見事な演技に、児童らは大きな拍手と歓声を送った。
同校5年の水口胡都さんは「学校の全員でいい体験ができた。遊覧船ではいっぱい魚が泳いでいて波もすごかった。教科書で漁は大変と学んだが、(市場では)たくさんの魚の種類を分けていてすごいと思いました」。
6年の古藤紬さんは「(海は)高田の川とまた違っていて楽しかった。いつもと違う体験ができて良かったと思います」と話していた。
(2020年10月4日付紙面より)
境内にのぼり立てる (新宮の速玉祭 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は3日、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」=15日(木)、16日(金)=に向け、境内にのぼりを掲揚した=写真。近づく祭りへの機運を高めようと、神職らが約80本ののぼりを一本一本、丁寧に取り付けていった。
同祭は2月の御燈祭(おとうまつ)りと合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。
例年では「御船祭(みふねまつり)・早船競漕(きょうそう)」に出船する各地区の関係者らが協力し市内各地区でのぼり立てを行うが、新型コロナウイルス拡大予防の観点から今年は早船競漕が中止に。伴い、のぼりも境内のみの掲揚とした。
同大社の佐藤仁迪(ひとふみ)権禰宜(ごんねぎ)は「いまだコロナ収束のめどは立たないが、神事はしっかりとやっていかなければならない。多くの人が関わるところ以外は例年通り実施していきたい」と話していた。
(2020年10月4日付紙面より)
かんりん文庫が読書講演会 (串本町 )
串本町潮岬にあるかんりん文庫(梅﨑百合子代表)が9月26日に県立潮岬青少年の家で読書講演会を開き、30人が聴講して今後の読書推進の一筋道を考える機会を得た。
この講演会は、わかやま市民生協の地域コミュニティー支援補助金制度を活用して計画。梅﨑代表の教員時代以来の知人でかんりん文庫訪問の機会を模索していた元枚方市立図書館司書の川上博幸さんに講師を依頼し、17年来の家庭文庫運営に加え大学講師や新聞企画への寄稿の経験も持つ立場から提言を得る場を整えて参加者を迎えた。
演題は「AI時代の子どもの読書の重要性について 今こそ子どもに読む喜びを!」。川上さんは子どもと人工知能(AI)が共存する力はどうすれば身に付けられるかという視点を意識付けた上で持論を展開した。
時代背景として学校図書館協議会(SLA)の統計にみる子どもの読書推進の成果とAI技術の進展をそれぞれ振り返り、大枠として高度情報化から知識基盤へと特色が移り変わった社会情勢と特有の諸課題も見据えてこれからの時代の知恵の発揮の大切さを示唆。
他の動物と比較したときの人間の特徴の一つに声を言葉として使ってコミュニケーションをする点があり、この言葉を形に置き換えたのが文字。川上さんは耳で聞いて言葉を知りその形である文字を読む先に読書が成り立っていると順序立てし、さらにその先で本に込められた感情の起伏を味わいその心や考えをもらう段階に達した時に子どもは読書に大きな喜びを得ると筋道をつけた。
対して現在のAIは、喜びを得る一歩手前までこなせる段階と位置づけ。子どもとAIが共存する上で大切なのは『教科書が読める(読んで理解できる)ぐらいの読解力』で、これができないとリテラシー(情報を適切に把握し適切に再構築する能力)が伸びずAIに後れを取ることになる。この筋道を今後の読書推進を図る上で目安の一つにすることを推奨して話を締めくくった。
(2020年10月4日付紙面より)
全国花のまちづくりコンクール (那智勝浦町 )
花のまちづくりコンクール推進協議会(野路國夫会長)が実施する第30回「全国花のまちづくりコンクール」において、那智勝浦町の花づくりボランティアで構成される「花てまりの会」(おお木博子会長、会員26人)が9月25日、花のまちづくり奨励賞を受賞した。その喜びや活動の様子を取材した。
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コンクールは農林水産省および国土交通省が提唱するもので、1990年に開催された「国際花と緑の博覧会」の理念である「自然と人間との共生」を継承し、91年より「花のまちづくり活動の発展」と「花の社会性の向上」を目的に、全国各地の優れた花のまちづくりを表彰している。
対象は全国の市町村や学校を含む団体や個人、企業。コンクールは花の美しさや出来栄えを競うものではなく、花と人、花と社会の関わり合いの中で、花が社会に及ぼすプラスの影響(コミュニティーづくりや世代間の交流、観光振興、環境保全など)を生かしてどのようにまちづくりに昇華されたかを審査する。
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同会は観光客や住民らに花を楽しんでもらい、町のPRや活性化に寄与するために町内9カ所の花壇整備に取り組んでいる。
今回、「和歌山県花を愛する県民の集い」(二階俊博会長)からの勧めもあり参加を決意。活動の様子を紹介するための写真撮影や説明文の作成に奮闘し受賞に至った。なお、全国から1690件もの応募があり、団体部門では1487件に上ったという。
新型コロナウイルスの影響から町を訪れる観光客などが減少している中でも、日々花壇の手入れや周辺の草刈りなど町の美化に努めてきた。
受賞について、おお木会長は「これまでの積み重ねが認められたようですごくうれしい。これからも皆さんと一緒に活動していきたい」。
今後については「観光のまち・那智勝浦町のためにおもてなしの気持ちで取り組んでいる。花を枯れさせない、常に花がある状態を保つには花壇だけの作業ではだめ。周辺の美化が大事になる。いつもきれいな環境を目指しています」と語った。
(2020年10月4日付紙面より)
※ おお木博子会長の「おお」は、左側が「羽」の下に「令」、右側が「寛」