田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)や観光関係者などで組織する、熊野本宮未来創造実行委員会(会長=名渕敬・熊野本宮観光協会長)の会議が15日、同大社であった。約30人が参加。同大社で予定される、横綱の照ノ富士の奉納土俵入りなどについて意見を交わした。
照ノ富士の奉納土俵入りは、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念して、24日(土)に同大社の本殿前で実施する。午前10時から奉納奉告祭、午前11時から土俵入りを予定している。照ノ富士が所属する伊勢ヶ濱部屋の和歌山後援会長の協力で実現した。熊野本宮大社での横綱の奉納土俵入りは初となる。
会議では、一般観覧についての説明があった。▽当日の午前7時から、国道168号沿いの下の鳥居前で整理券を配布▽配布枚数は200枚で、なくなり次第終了▽整理券を持つ一般観覧者は、午前8時30分から9時ごろまでをめどに、神門内に入って待機▽整理券のない一般観覧者は、階段を上った途中の広場に設置されたモニターで観覧が可能▽一般駐車場は河川敷―などが報告された。
会議に先立ち、九鬼宮司があいさつした。「横綱照ノ富士の奉納土俵入りは、邪気を払い国民の安泰や世界の平和を願う意味がある。よみがえりの地である熊野で横綱が土俵入りをすることになる。世界遺産登録20周年にふさわしい事業。皆さんのご協力を賜れれば」と語った。
照ノ富士は、モンゴル出身の32歳で、第73代の横綱となる。いったん大関まで昇進した後、けがや病気で負け越しや休場が続き番付を落としたが、その後に再起。大関を経て横綱への昇進を果たした。
また昨年は夏場所で優勝したが、その後はけがで3場所連続の休場。しかし今年の初場所で優勝を飾り、最高の状態で今回の奉納土俵入りに臨むことになる。
問い合わせは熊野本宮大社(電話0735・42・0009)まで。
(2024年2月17日付紙面より)
熊野地方就職フェア実行委員会(津越紀宏実行委員長)は15日、新宮市役所別館で高校生向け地元就職促進事業「地元企業知っとこガイダンス2024」を開催した。地方公共団体やサービス業、金融業など25社が会社の概要などを説明。和歌山県立新宮高校、新翔高校、串本古座高校、三重県立紀南高校、木本高校の生徒135人が参加した。
同委員会は新宮市、那智勝浦町、新宮商工会議所、南紀くろしお商工会、新宮地区職業安定協会で組織する。ガイダンスは高校生たちに将来、地元で働きたい気持ちを向上させ、若年層流出による地域活力の低下を抑止しようと毎年実施している。この日は2部制で行われた。
開催に当たり、津越実行委員長が、大勢の参加に感謝を述べ「皆さんにとって今後の人生において大切な時期。いつかはふるさとに戻り、地元企業に就職するという選択肢を持っていただくとうれしい」とあいさつした。生徒たちは事前に希望していた3社のブースを回り、各企業の担当者から自社の業務内容や取り組みなどの説明を受けると、質問や熱心にメモを取っていた。
新翔高2年の下野美さんは「いつかは働くことになるので参加しました。企業の方の話を聞いて楽しく、やりがいを持っていることが伝わった。今後の進路への参考になれば」と話していた。
(2024年2月17日付紙面より)
潤野の旧放牧地で「芝焼き」 (古座川町 )
古座川町潤野の旧放牧地で12日、生産者有志による「芝焼き」が営まれその規模が写真愛好家らの注目を浴びた。
耕作地と古座川の間に広がる旧放牧地はかつて、農耕を支えていたウシを放牧していた場所。農業の機械化により時代の役目を終えたウシは姿を消したが土地は残り、現在は生産者合同の手入れで草原にとどめる形で管理をしている。
出水に伴う冠水の恩恵でもとより肥沃(ひよく)な土地であることに加えてウシが草をはまなくなった分、二次遷移の勢いが増してかつて芝地だった旧放牧地は現在草丈1㍍前後の草原として安定。刈り取るにはあまりに広すぎ、手入れを怠れば害虫や害獣の温床になるため、取れる手段として放牧地だった頃から取り入れている「芝焼き」を継続して二次遷移を抑える管理をしている。
生産者有志は火を放つ組と延焼を食い止める組に分かれて作業。火を放つ組は過度に火勢が増さないよう風下から火を入れて徐々に枯れ草を焼き払った。延焼を食い止める組は焼き払う場所の周囲へ散水し、目的外の場所へ延焼が広がったときは手にした生枝ですぐさまはたいて食い止め散水して消し止めた。
1時間弱で旧放牧地の「芝焼き」は終了し、生産者有志はその流れで耕作地内の休耕地の野焼きにも取り組んだ。
「芝焼き」の火は枯れ草が過密な場所では数㍍まで立ち上がり、生産者有志はその熱気に耐えながら作業。その光景が今年も実施を察知した写真愛好家らの最寄りや離れた場所からの見物を集めていた。
(2024年2月17日付紙面より)
期間限定「高校生レストラン」 (那智勝浦町 )
期間限定の「高校生レストラン」が15日、那智勝浦町朝日の「熊野のめざめ」でオープンした。開店初日から大勢が来店し、地元高校生4人の思いが詰まったランチを味わった。
コロナ禍で学校生活に大きな制限がかかり、体育祭や夏祭りなどのイベントが経験できなかった高校生たちに、故郷での思い出をつくろうと、オーナーの花井清州さんが企画。丸山紗弥さん(新宮高校3年)、森田晴斗さん(同)、梶紹隆さん(同)、泉宝さん(新翔高校3年)の4人が参加した。
メニューは▽地元野菜オンリー熊野のグラタン▽手作りチリたるソース島かしわ店のからあげ定食▽いざかたスタンド監修生づけ鮪(まぐろ)のおにぎりとかき揚げ定食―の三つ。町内農家や鶏肉店へ取材や仕入れ交渉に出向き、調理法や盛り付けにもこだわって開発した。原価計算で経営や飲食店の在り方についても学んだ。
多くの地域住民の温かさに支えられたという4人は「心もおなかもいっぱいにします!」と笑顔で開店。忙しい中でも「コミュニケーションを丁寧に」「料理提供時間に差が出ないように」とチームワークで乗り切った。
50代女性は「安心して食べられる食材を高校生が選んで使っているのが感心」。60代女性は「おにぎりは中まで具がぎっしりで、食べ方も新鮮だった」と完食していた。
期間は18日(日)までで、ランチタイムは午前11時~午後2時。ランチはオール1000円。
(2024年2月17日付紙面より)
宇久井中2年が漁業体験 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(川口徹校長)の2年生17人が14日早朝、宇久井漁業協同組合の協力の下、漁業体験学習に臨んだ。生徒たちは大型定置網(通称・大敷)でクロマグロや旬の寒ブリが水揚げされる様子に大興奮。地元漁師たちと喜びを分かち合った。
宇久井大敷の歴史は1926(大正15)年に始まる。黒潮の影響を受ける好漁場で、ブリやサバ、アジ、サワラなどを主に、四季折々の魚が取れる。48(昭和23)年にはブリの大漁によって宇久井中学校の旧校舎が建設されたとも伝わっている。
漁業とのつながりの深い同校は長年海洋教育に取り組み、地元漁師を講師に、漁業の歴史や漁法、魚種、料理などを生徒たちに伝えている。漁業に関わる人々の苦労や喜びを共にすることで、将来の担い手育成も視野に入れている。
第三十宇久井丸と第三十六宇久井丸に乗り込んだ生徒たちは、明け方の宇久井漁港を出発し、昇る朝日を仰ぎながら沖合約3㌔の定置網へ。網を引き上げると漁師たちから「マグロが入ったーるぞ!」と声が上がり、生徒たちは「え、マグロ?」「どこどこ?」と興味津々で網をのぞき込んだ。クロマグロとキハダマグロは船上ですぐさま活(い)け締めにされ、氷づけにされた。寒ブリ40本、マダイ、アジ、サバなども取れ、生徒たちにカンパチやアカイカの刺し身の振る舞いもあった。
濵仲琥羽さん(14)は「網を引き上げるのは重そうで、すごい仕事だなと思った。マグロが2匹も取れてびっくり。お刺し身がおいしかった」。亀井璃暖さん(13)は「初めて沖へ行って、漁師さんの気分を味わえた。魚を取るのはちょっとかわいそうだったけれど、いつも食べ物を取ってくれていることに感謝している」と話していた。
宇久井漁協の向井誠士・代表理事組合長は「これからいよいよブリのシーズン。漁獲量も伸びてくるはず」と大漁に期待を込めていた。
(2024年2月15日付紙面より)
下里神社、伝統の「御弓祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の下里神社(山本貞夫宮司)で11日、「御弓祭」が営まれ、町立下里中学校の生徒4人が昔の狩猟の衣装である直垂(ひたたれ)と烏帽子(えぼし)の勇ましい姿で弓を引いた。災厄や疫病を閉じ込めた的の中央が射抜かれると、見守っていた大勢の地域住民から拍手と歓声が湧き起こった。
祭りは山本宮司の五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災などを祈る神事で始まり、参列者が玉串をささげた後、地元の「下里剣友会」の4人が日本剣道形や基本技を奉納。剣士らが力強く竹刀を振るった。
御弓行事は、境内に設けられた直径102㌢の的を17㍍の距離をおいて射抜く。的の裏には、災厄や疫病を意味する「鬼」の字が書かれている。最初に山本宮司が弓矢で天地を射て、災厄や疫病を的に閉じ込めた。この後、中学生が2人ずつ左右交代して計4本の弓を射た。例年、射手6人と矢拾い2人の計8人務めるが、今年はスポーツ行事などで4人の参加となった。
射手は2年生の桃井勇起斗さん、川口慶次さん、曽我悠太さん、1年生の上田颯涼さん。4人は6日から練習を重ねてきた。中央を射抜いた上田さんは「うれしかった」と笑顔。曽我さんは「所作を正しくできた」と話した。4人とも大役を務め終えて誇らしい表情を見せていた。
御弓祭は、かつては旧暦の正月11日だったが、現在は毎年、2月11日に行っている。山本宮司は「伝統が続いているのは下里中学校と下里剣友会の協力のおかげ」と感謝し、「今年、1巡目で真ん中を射ることができた。記憶では初めてのことと思う。みんな上手だった」と喜んでいた。
(2024年2月15日付紙面より)
着工式で早期完成願う (熊野道路 )
国道42号熊野道路(延長6・7㌔)で初めてトンネルの本体工事が始まることから、着工式が11日、熊野市井戸町の市文化交流センターであった。四つ計画されているうちの二つのトンネルで、掘削が始まる。
熊野道路は、2019年度に事業化された紀宝熊野道路(延長15・6㌔)と、すでに供用中の熊野尾鷲道路(延長18・6㌔)に連結する自動車専用道路で、2014年度に事業化され、19年度から工事が進んでいる。全体事業費は約350億円を見込む。
区間内には四つのトンネルが計画されており、熊野市大泊町の大泊インターチェンジ(IC)付近から木本町を結ぶ熊野第1トンネル(仮称、延長866㍍)と、木本町から井戸町を結ぶ熊野第2トンネル(仮称、延長1307㍍)の掘削に取りかかる。工期は第1が12月下旬まで、第2が来年11月下旬までとなっている。
着工式には国会議員や県知事、地元自治体の首長ら約50人が出席し、早期完成と工事の無事を祈りくわ入れ式などを行った。主催者を代表し、式辞を述べた河上敢二熊野市長は「南海トラフ地震が発生した際、国道42号は津波浸水被害が想定されている。立地条件が似ている能登半島地震の状況を見たとき、災害に強い命の道となる熊野道路にはこれまで以上に期待を寄せている」。あいさつした国土交通省中部地方整備局の佐藤寿延局長も能登半島地震の道路被害に触れ、「1月2日には一般道を啓開してルートを確保した。同じ半島なので、42号に次ぐ2本目の道路を整備することは大きな意味を持つ」と力を込めた。鈴木英敬衆院議員や一見勝之三重県知事ら来賓も祝辞を贈った。
くわ入れ式に続き、近畿自動車道紀勢線(熊野市―新宮市間)建設促進同盟会会長の西田健紀宝町長が音頭を取り、万歳三唱で祝った。また、開式前には県立木本高校吹奏楽部が4曲を演奏し、会場を盛り上げた。
(2024年2月15日付紙面より)
シニアのための教室始まる (新宮市 )
新宮市による「シニアのためのスマホ教室」が13日、佐野会館で始まった。20日(火)までの9講座で計74人がスマートフォン操作の基礎を学ぶ。
デジタル化が進む中、最も身近で利用頻度の高いスマートフォンの取り扱いを学習してもらうことで、高齢者のデジタル活用を支援する取り組み。
昨年に続く2回目で、65歳以上の市民が対象。▽初めてのスマホ▽アプリの追加、インターネットの利用▽地図アプリ、セキュリティー―といった三つから自身にあった基本教室を選ぶ。講師はドコモショップ新宮店の清水怜子さんらが務めた。
初回教室は、初めてスマホを持つ人や、持っていない人が参加。清水さんが「スマホは知りたい情報をインターネット検索でき、自分好みにカスタマイズもできて持ち運びも楽」と利点を紹介。「写真もきれいで地図もはっきり見えますよ」と伝えた。
初めて触る参加者は体験用スマホを使用。電源の入れ方や切り方、スリープモード、マナーモードなどを学び、指でスライドしながら画面に触れて操作のこつを覚えた。
インターネットの検索サイトを使って文字入力も体験し、清水さんは「できる範囲でうまく使い、触りながら覚えてください」と呼びかけた。
(2024年2月15日付紙面より)
市町村対抗ジュニア駅伝へ出発 (新宮市、那智勝浦町 )
「第23回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会」が11日(日・祝)午前11時から、和歌山市内で開催される。紀三井寺公園陸上競技場をスタートし、各チーム10人の選手が仲間との絆をたすきでつなぎ、和歌山県庁前までの10区間21・1㌔のコースで競う。新宮市選手団は10日に市役所別館で出発式、那智勝浦町選手団は9日に同町役場玄関前で壮行会を開いた。
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向井雅男副市長は選手たちに対し「自分たちにできる最高のパフォーマンスを会場の皆さんに見せてあげてください」と激励した。
選手を代表して男子の新家稟雄(しんか・りお)主将(光洋中3年)が「新宮市代表として堂々とたすきをつないでいきます」。女子の上野碧主将(緑丘中3年)が「大会では1秒でも早く、一つでも上の順位が取れるよう懸命に走ります」と誓った。
山下幸之助監督は「走る選手だけでチームが成り立っているわけではない。応援やサポートが絶対に必要。それぞれの役割をしっかり果たしてほしい」、団長を務める速水盛康教育長は「目標を一つにして物事に取り組むのは素晴らしいこと。自信を持って大会に臨んでください」と奮起を促した。
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全選手を前に堀順一郎町長は「本番では練習の成果を発揮し、好成績を目指してもらいたい」と激励。寺本尚史監督は「今まで励んだ練習にうそはありません。あいさつ、ベストを尽くす、休息も練習のうちを実践してきた。28人全員でレースに臨みましょう」と士気を高めた。
選手代表の下向奏介主将(下里中3年)は「歴代記録の更新を目指し、全力で走り抜くことを誓います」と決意を表明していた。
大会の模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ放送され、テレビ和歌山でも午後7時54分から録画放映される。
(2024年2月11日付紙面より)
キャッシュレス納付も
新宮市医師会(谷地雅宏会長)と新宮納税貯蓄組合連合会(森川起安会長)の主催による「電子申告・キャッシュレス納付推進」宣言式が8日、新宮市井の沢の新宮商工会議所の会館であった。谷地会長が推進を宣言、出席した約30人も気持ちを新たにした。
同会と連合会のほか、新宮税務署(美馬本進署長)、公益社団法人新宮納税協会(横手章郎会長)などからの参加があった。
開会に当たり、森川会長があいさつ。情報通信技術(ICT)を活用した申告や納税について「利便性が良く、定着を図ることは経済社会のICT化を一層加速し、企業経営の健全な発展、健全な申告と納税の推進に貢献するもの」と語った。
「医師会が連合会の運動の趣旨に賛同いただき、多くの納税者に対して電子申告・キャッシュレス納付の推進をしていただくことは、私どもにとって喜び。連合会としても、医師会の宣言を背に、納税者に対し、推進を啓発していきたい」とまとめた。
続いて谷地会長が宣言した。新型コロナウイルス感染症の5類移行に言及。「(しかし)多くの人が確定申告で税務署を訪れ、密になることは防がなければ。電子申告を利用すれば回避できる。キャッシュレス納付も時代に適合している」と話した。
「医師会が率先して実践し呼びかけ、感染症の拡大を予防し、活力ある地域社会に貢献したい。よって新宮医師会は『電子申告・キャッシュレス納付推進』に取り組むことを宣言する」と力を込めた。
大阪国税局徴収部長、紀南県税事務所長、新宮市長のあいさつ(代読も含む)もあった。いずれも新宮医師会の宣言を歓迎し、運動の一層の推進に期待を寄せていた。
(2024年2月11日付紙面より)
スイートピー出荷最盛期 (御浜町 )
卒業や異動シーズンを前に、「門出」や「優しい思い出」の花言葉を持つスイートピーの出荷が御浜町阿田和で最盛期を迎えている。
30年以上生産している矢田又己さんのビニールハウス4棟計700平方㍍では、ピンク系統を中心に12色ほどを育てている。今シーズンは暖冬のため、暖房をあまり使わずに済んでいるという。
柔らかな日差しが降り注ぐビニールハウスでは、女性らが収穫時期になった花を丁寧に摘み取っていた。50本の束にして100本入りの箱詰めにし、伊勢市と奈良県の市場に出荷する。作業は4月初旬まで続く。
スイートピーは春を代表する切り花として知られ、卒業入学シーズンに最盛期を迎える。ひらひらとしたかれんな花びらが、飛び立つチョウのようで、新たな旅立ちを祝う花言葉が付いた。
(2024年2月11日付紙面より)
11日の「御弓祭」に向け (那智勝浦町 )
那智勝浦町の下里神社(山本貞夫宮司)で11日(日・祝)に斎行される「御弓祭」に向け、射手を務める町立下里中学校の生徒4人の稽古が大詰めを迎えている。9日には直垂(ひたたれ)と烏帽子(えぼし)を着用し、的に向かって一心に矢を射た。
厄災を封じた的を射抜くことで邪気を払い、無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を願うもの。旧正月11日の年頭行事だったが、現在は毎年、建国記念の日に行っている。
今年の射手は上田颯涼さん、桃井勇起斗さん、川口慶次さん、曽我悠太さんの4人で、6日から稽古をスタート。弓と矢の扱いや姿勢、作法などを教わってきた。上田さんは「射手をするのは今年初めて。これまでの練習で5発当たった」。桃井さんは「難しいけれど、やっていると勉強になることも多くて興味が湧いてくる」と語る。
山本宮司は「本当によく頑張ってくれている」。指導役の神社総代の植地登喜雄さん(83)や植地賢さん(46)は「本番も大丈夫です」と背中を押していた。
祭り当日は午前10時30分から神事を執り行い、下里剣友会の剣士による形の奉納に続いて御弓神事がある。的を戸口に挿しておくと魔よけになることから、神事後には、参拝者が取り合うという。
(2024年2月11日付紙面より)