駅で苗木を育てて植林 (JR西とソマノベース )
JR西日本和歌山支社とソマノベース(田辺市・奥川季花社長)は、和歌山県内の特急くろしお停車駅で、紀州備長炭の原木であるウバメガシの苗木を育て、熊野古道近隣のエリアに植林する「戻り苗」プロジェクトを始めた。28日は新宮駅などに設置。脱炭素や災害防止などを目指す。
戻り苗は、ドングリから苗木を育て、山に植林する取り組み。ソマノベースはドングリが入った戻り苗キットを、環境問題などに関心のある個人や企業にいったん購入してもらい、2年間育てた後に戻してもらって植林している。土砂災害リスクの軽減も念頭に、場所は放置山林などを選んでいる。同支社は、カーボンニュートラルを目指していることもあり、取り組みに賛同。さらに減少しているウバメガシの保護も考えて樹木を選んだ。
場所は▽和歌山支社▽和歌山駅▽海南駅▽新宮駅▽紀伊勝浦駅▽串本駅▽白浜駅▽紀伊田辺駅▽御坊駅―の9カ所。紀州ヒノキで作られた、24本挿しのラダーシェルフを2台ずつ、合計で18台432本を設置する。各駅では駅員が水やりを行う。2年で30㌢前後になる予定という。新宮駅では、1年育てた苗木とドングリを半数ずつ、駅構内に設置した。
同支社地域共生室の御堂直樹課長(48)は「環境保全、森林づくり、ウバメガシ保護、熊野古道の保全など、いろんなストーリーを持たせた取り組み。駅利用者や地域も一緒に環境問題に向き合い取り組んでほしい。愛着ある木を見つけて2年間、成長を感じてもらえれば」と話した。
ソマノベースの奥川社長(28)は、那智勝浦町天満の出身で、新宮高校の卒業。戻り苗の発想の原点は、紀伊半島大水害の経験だった。「植林で防災につなげたいとの思いがあった。新宮駅は通学で毎日のように利用したし、勝浦も地元。そういう場所に置いてもらえるのはうれしい。これを通して大水害の教訓を思い出したり、経験していない子どもらが大水害を知ってくれることにつながれば」と語った。
(2024年3月30日付紙面より)
4~10月の三季運用に向け (串本町 )
串本町くじ野川にある橋杭園地で28日、防砂ネットの撤去作業があった。
南紀串本観光協会(島野利之会長)が4月1日(月)から始める三季運用(4~10月)に向けた準備の一環。この防砂ネットは冬に吹き抜ける風で舞い上がりやすい砂の飛散を抑える目的で設置していて、三季運用のシーズンオフとなる冬場に砂浜へ張っている。
直近では昨年12月に幅1㍍の農業用樹脂ネットを長さ17㍍で切り出したもの20枚を、マツの防風林が途切れて砂が国道一帯まで飛散しやすいビーチハウスラパン前の砂浜(海水浴場の遊泳区域と面する砂浜)へおおむね波打ち際に垂直方向となるよう約5㍍間隔で設置。この日は同協会の会員や職員と町産業課の職員8人が作業に参加し、半ば埋もれるほどに飛散を食い止めた防砂ネットを砂から引き出し支柱も引き抜いて砂浜を自然の状態へと戻した。
同協会は三季運用中、同ハウスを営業してシーカヤックなど各種マリンアクティビティーのレンタルやツアーの提供(その予約は通年で受け付け中)をし、7~8月に海水浴場を設置して活用を図っている。
来月21日(日)には機運醸成を目的としたイベント「橋杭ビーチオープンフェスタ」を初の試みで朝市企画と連動させた形で開くとし、現在内容を煮詰めている。次の三季運用に向け、島野会長(56)は「先日は少し残念だったがロケットの方もどんどん進んでいるし、打ち上げを心待ちにするたくさんの皆さんが串本へ来られると思う。橋杭ビーチでは4月にオープンフェスタがあり、その先も新たなイベントや既存のイベントをどんどんとやっていきたいと思うので、たくさんの皆さんにお越しいただければ」と思うところを語った。
同ビーチの問い合わせは同協会(電話0735・62・3171)、各種マリンアクティビティーの予約はビーチハウス・ラパン(電話090・3356・8305)まで。
(2024年3月30日付紙面より)
民生児童委協が研修会 (新宮市 )
和歌山県社会福祉協議会地域福祉部副部長で、災害ボランティアセンター所長でもある南出考氏による「災害時における民生委員のやるべきこと」の講演が25日、新宮市福祉センターであった。約40人が参加。災害時の行動や備えについて考えた。
新宮市民生委員児童委員協議会(小内潤治会長)の研修会として実施した。南出氏は、自らも支援に出向いた能登半島地震に言及。「家屋倒壊の被害が多数発生している。被災者は、いまだに厳しい避難生活を余儀なくされている。断水の復旧は遅れており、まだまだ水が通っていない状況」などと話した。
被災地の家屋の写真を映し出し「家屋が50㌢以上沈下していた。液状化した地域もたくさんあった。印象的だったのは、門松やしめ縄が飾られたままの家が多かった。誰も悪くないのに日常が一変していた。生活の落差を思うと胸が締め付けられた」と語った。
「生かされた命の尊さ」に言及。「自分自身の役割は何か。被災によりつながりをなくした人もいる。そういう人とつながって励ますために動いている気がする。一人ではできないことを、仲間と協力してできるようにしていくことが役割かと」と力を込めた。
人間関係の構築の重要性も強調した。「被災地に入ると、絆やつながりが大事とよくいわれる。普段つながりを強める取り組みをしているだろうか。孤立や孤独を深めてしまわないように、お互いが気にかけ合い、励まし合い生きていく。災害時も同じ。コミュニケーションを取りつながることが大事」と訴えた。
発災後の関係構築は困難であることを説明。「だからこそ、日頃からつながりを築いておく必要がある。初めましてをできるだけなくしておくのが、備えの一つ。日頃から顔の見える、笑顔の見える関係づくりを」と呼びかけた。
「被災者はよく、防災のことを家族や友人、隣人ともっと話しておけばよかったと言う。災害はいつ起こるか分からない。備えができるうちはまだいい。誰もが防災の担い手。大切なものを守るため、失わないため」と伝えた。
(2024年3月30日付紙面より)
那智勝浦町や串本町など
那智勝浦町や串本町をはじめ県内5カ所に、アニメ「ポケットモンスター」(ポケモン)のキャラクターがデザインされたマンホールのふた「ポケふた」が設置されることになり、そのお披露目式が25日、和歌山県庁であった。各町の名所を背景にした、色鮮やかなデザインが明らかになった。
ポケモンは、ゲームソフトを原作としたテレビアニメ。人気を博し映画化もされ、スマートフォン向け位置情報ゲーム「ポケモンGO」も登場している。そのキャラは森やUFOなどさまざまなものを象徴しており、各町に適したキャラが選ばれてポケふたにデザインされている。
那智勝浦町は那智の滝を背景に森のキャラとなっており、大門坂駐車場に4月中旬から4月下旬に設置を予定。串本町はロケットを背景に星、宇宙生物、磁力のキャラが配され、設置は4月下旬の予定となっている。設置されたポケふたは順次、「ポケモンGO」のゲームマップ上に登場する。
その他の設置場所は、和歌山市、高野町、白浜町。ポケふたは株式会社ポケモンが自治体へ無償で寄贈し、設置や管理は自治体が行う。3月19日現在で33都道府県に333枚が設置され、それぞれが専用デザインとなっている。
(2024年3月30日付紙面より)
初の地域公共交通フェス (那智勝浦町 )
「那智勝浦町地域公共交通フェス2024」が23日、同町の体育文化会館で初開催された。子どもから大人まで多くの町民が集まり、少子高齢化や人口減少、自家用車の普及などさまざまな課題に直面する地域公共交通の現状や、課題に対しての今後の取り組みを考える機会とした。
那智勝浦町、同町地域公共交通活性化協議会主催。同協議会は地域公共交通の維持・活性化を目的に、行政、民間交通事業者、地域住民らで2023年4月に設立。町内6地域との意見交換や観光客らへのアンケートで、今後の方向性を探ってきた。22日の第4回協議会で「町地域公共交通計画」を承認し、来年度より5カ年で着手する。
今後計画を進めるに当たり、町全体で現状認識を共有する場をつくろうと、フェスを企画。和歌山大学きのくに線活性
化プロジェクト(きの活)、きのくに活性化センター、熊野御坊南海バス株式会社、JR西日本和歌山支社、紀勢本線活性化促進協議会・新宮白浜区間部会などが協力した。
協議会副会長で和歌山大学の西川一弘教授による講演では、持続可能な交通の価値を再考。「移動なくして生活はなく、交通が衣食住を支えている。日本では、宅地やレジャーランド造成と合わせたビジネスで交通を考えてきた歴史があるが、海外では道路と同じ社会インフラとして捉える国もある」と言及。免許のない高校生や高齢者だけでなく、飲酒やけが、寝不足、車の故障などで、誰もが移動制約者になりうるとし、幅広い価値で公共交通を捉える必要があると力説した。
今後に向け「地区内の輸送は住民組織による『助け合い輸送』で担い、地区外や幹線へはバスやタクシー、鉄道が担うという役割分担が重要になるのでは。『2024年問題』で物流の担い手不足が深刻化する中、全国的にも面白い事例になる可能性がある」と語った。JR西日本和歌山支社の松田彰久副支社長による講演もあった。
会場では和歌山大学の学生によるプラレールで遊ぼうコーナーに子どもたちが集まり、軌陸車の展示や踏切の非常停止ボタン体験、バスの乗車体験も人気だった。
(2024年3月26日付紙面より)
佐田で「桜フェア」始まる (古座川町 )
古座川町佐田で23日、イベント「桜フェア」が始まった。4月7日(日)までの実施で、期間中はちょうちんを飾り午後6時~9時に点灯。花盛りの多客に合わせて桜の広場一帯での出店も予定されている。
このイベントは桜まつり実行委員会主催。コロナ禍前まで開いていた「桜まつり」に代わる企画で、ちょうちん設置はそのまま継承し出店は期間内で複数日出していい内容となっている。
経年劣化で資材が年々減っているが、ちょうちんは今年も役場佐田出張所~桜の広場間に設置。19日に区民有志や古座川ゆず平井の里役員、役場や町観光協会の若手計11人が手分けして電線を張り、電球部分にちょうちんをつり飾った。
出店は事前登録制となっていて、今年は▽モノリスキッチンカー▽古座川ゆず平井の里▽YOCCO▽上田農園▽ご縁坐▽ふるさとキッチン福ちゃん▽梅乃家―が日取りを選んで出店する。期間中の水、木曜日以外は出店予定があり、休みで人が動きやすい土、日曜日は3~6店舗の予定が入っている。品目は軽飲食が主で、土産品や革小物も並ぶ。
七川ダム湖畔は日本さくら名所100選に選ばれている、紀伊半島南部を代表するソメイヨシノの観賞スポットの一つ。駐車場は桜の広場とおおじゃの森の2カ所が無料開放されている。23日現在、ソメイヨシノはおおむね開花前だが、下流の一枚岩周辺ではすでに咲き進んでいて、期間中盤から終盤が見頃となりそうな状況だ。
昼夜の花見は各自で自由にしてもらう形となっている。問い合わせは同実行委員会(電話0735・67・7901、町地域振興課内)まで。
(2024年3月26日付紙面より)
小椋久美子さん バドで交流 (熊野市 )
三重県川越町出身で、北京五輪バドミントン女子ダブルス代表の小椋久美子さんを招いてのスポーツ講演会と交流会が23日、熊野市文化交流センターであった。交流会では、子どもたちと笑顔でラリーし、世界を舞台に戦った強烈なスマッシュも披露した。
小椋さんは、1983年生まれ。8歳でバドミントンを始め、2002年全日本総合バドミントン選手権シングルスで優勝。「オグシオペア」として活躍し、08年の北京五輪では5位入賞、全日本選手権5連覇を達成して10年に引退した。現在は、子どもたちへの指導を中心にバドミントンを通じスポーツの楽しさを伝える活動を行っている。
「失敗を成功に導く心の持ち方」をテーマにした講演会では、「技術力がない代わりに丁寧なプレーを心がけた。プレッシャーに弱くて、自信を持つために誰よりも練習した」と19年間のバドミントン人生を振り返り、「弱点を違う角度から見て、自分の武器を探すことが逆転の発想。自分が積み上げたものにうそはない。今の姿が全て。自分を認め、信じてほしい」と伝えた。
「周りの励ましや、視点を変えることで壁を乗り越えることができた。失敗から学んだことがたくさんある。失敗を失敗で終わらせないことが大切」と語った。小学校時代のスポーツ少年団でバドミントンの楽しさを知り、全国大会で、後にコンビを組む潮田玲子さんに完敗したことを明かした。
「中学時代は玲ちゃんに勝てなくて、全国3位を目標にした。達成してうれしかったが、目標以上の結果は出ないことに気付いた」と話し、自分が成長したと思える目標を立てることにしたという。
潮田さんとのコンビでスランプになった時「全く違う性格の2人が、相手のことを理解することで勝つ近道になることに気付いた」と語った。
「オリンピックは空気感が独特で、緊張で頭が真っ白になった。みんな、いろんなものを背負っていた」と体験を交え、「夢が目標になると行動も変わる」と説いた。
(2024年3月26日付紙面より)
市役所別館で生涯学習演劇会 (新宮市 )
新宮市教育委員会は23日、市役所別館で生涯学習演劇会を開いた。岐阜県岐阜市を拠点に活動する「劇団風の子中部」が芝居「ぱらりっとせ」を上演。市内在住の子どもやその保護者など約70人を楽しませた。
劇団風の子は「日本の未来は子どものことを考えることから」との思いから1950年に東京都で創設した。同中部は2010年に誕生。東海地方をはじめ、国内外で新たな創造を発信している。
この日は、お手玉、竹馬、風車などの昔遊びや、わらべうたを織り交ぜた演劇「はなさかこぞう」を披露。来場者は物語の世界に夢中となり、テンポの良いせりふ運びや役者の力強い動きなどに笑顔を見せ大きな拍手を送った。
最後は劇団員に教わりながら、岐阜県郡上市八幡町の盆踊りで伝統的に受け継がれている郡上踊りを楽しんだ。
鑑賞した林里緒ちゃん(5)と玉井栞里さん(7)は「近くで劇を見たのが初めてだったので迫力があり、楽しかった。和傘の踊りがきれいでよかった。また来てほしい」と話していた。
(2024年3月26日付紙面より)
第200回職場対抗ボウリング大会
太地町教委第3回大会
新宮道場で剣道体験会 (新宮剣友会 )
新宮市内の景況調査結果
新宮商工会議所はこのほど、2023年下期(7~12月)の新宮市内の景況調査結果を発表した。▽建設業▽製造業▽卸・小売業▽飲食業▽サービス業―の5業種100社が対象。いずれの業種も多くの項目で前年同期比と「変わらない」と感じていることが浮き彫りになった。
建設業は、業況、売上、利益、資金繰りの4項目でいずれも「変わらない」が50%前後の最多となった。業況については「やや悪い」が35%。売上や利益でも「やや減少」の回答数が「やや増加」を上回った。
製造業は、「変わらない」の割合が業況は40%、売上は30%、利益は40%、資金繰りは85%だった。しかし売上は「やや増加」が30%で、「変わらない」と同率となった。利益も「やや増加」が25%に。売上と利益は前年より少し状況が良くなった。
卸・小売業は「やや減少」「減少」という回答が目立った。売上は「やや減少」が最多で45%。利益は「やや減少」が最多の60%となった。客数は「横ばい」が最多で50%、次いで「やや減少」が40%。資金繰りは「変わらない」が70%と突出した。
飲食業は、わずかに明るい兆しが見え始めた。売上は「やや増加」が最多の35%。利益は「横ばい」が最多の40%だが、次いで「やや増加」が25%となった。客数も同傾向で、「横ばい」が最多の40%だが、「やや増加」が20%で続いた。資金繰りは「変わらない」が50%、次いで「やや悪化」が30%と厳しさを見せた。
サービス業は、売上で「やや増加」と「変わらない」がともに最多の35%、「増加」も15%となり、今後に期待が高まる。ただ、仕入れは「変わらない」が最多の75%、利益は「横ばい」が最多で45%、客数は「横ばい」が最多の35%となった。
(2024年3月16日付紙面より)
人権学習会に社協職員30人 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会は12日、市福祉センターで職員対象の人権学習会を開いた。市人権教育指導員の谷嗣弘さんが「身近な人権」をテーマに、家庭教育の重要性を説いた。
年1回の学習会で30人が参加。谷さんは「幸せになるために生まれてきた。そして、幸せになるために生きる」といった言葉を紹介し、「人権問題は一つではない。人の数だけ人権は存在する」と強調した。
「あなたの思い込みは正しいですか?」と投げかけ、「迷信、言い伝えも思い込みに含まれる。雨男、雨女だから『あの人を誘わないでおこう』、血液型診断で『だから、あの性格なのね』と決めつける排除が差別となる」とした。
「先人の経験から良い迷信もある」と前置きした上で「迷信や言い伝えは親から子へ、家で受け継がれる。これが差別につながる。頭を白紙に戻して、偏見につながる迷信などは取り除きたいですね」とまとめた。
(2024年3月16日付紙面より)
那智中で命の授業 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立那智中学校(寺地琢也校長)で14日、命の授業があった。刺しゅう作家の星野真弓さん(東京都)と千葉県を拠点とするFMラジオ局「ベイエフエム」の東京支社長を務める小縣正幸さんが、2011年に発生した東日本大震災の実話を元にした絵本「トミジの海」を朗読。2年生51人が災害の恐ろしさや防災の大切さを学んだ。
絵本の登場人物であるトミジは、宮城県石巻市在住でワカメ養殖などを行う齋藤富嗣さんがモデル。東日本大震災の大津波から生還し、以後各地で語り部として活動している。小縣さんは被災地支援で現地入りしていた際に齋藤さんの話に衝撃を受け、今後に残すべき体験と確信。同社で企画を進め、ラジオ放送でクラウドファンディングを呼びかけて制作に至った。絵は墨絵画家で絵本作家の本多豊國さんが無償で手がけた。
星野さんは、震災から13年が経過する中、災害の記憶を風化させてはならないとの思いから各地で絵本朗読に協力。作品の寄贈や刺しゅう教室開催で、長年東北地方の復興に尽力している。
星野さんと小縣さんは一文一文に思いを込めながら絵本を朗読し、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けた。星野さんが「慈愛」をテーマに東北復興への思いを込めて制作した刺しゅう画「レジリエンス~千手観音菩薩(ぼさつ)~」の展示もあり、生徒たちが関心を寄せていた。
授業後、篠原帆歩さん(2年)は「災害は人を苦しめ、幸せを奪うというイメージだけだったが、本や刺しゅう画を通じて、自然の大切さも教わった。災害には普段から気持ちの準備が必要だと感じた」と語った。
小縣さんは「朗読を耳にして一人でも大切なものを学んでもらえたら。南海トラフ巨大地震もいつ、どのタイミングで発生するか分からない。自分の命を守るため、しっかりとした備えを意識してもらいたい」。星野さんは「生徒の皆さんの真剣に聞く姿が見られました。震災から13年。決して当時の出来事を風化させてはいけない。絵本などを通じて、防災対策に関心を持ってもらうきっかけになれば」と話していた。
この日は1年生53人を対象とした授業もあった。
(2024年3月16日付紙面より)
「ほっとほーむ」が文科大臣表彰 (那智勝浦町 )
那智勝浦町内でベルト型家庭訪問を軸にした活動を行う家庭教育応援チーム「ほっとほーむ」が、文部科学大臣表彰を受けた。
家庭教育応援チームは、子どもたちの健やかな育ちを支え、全ての保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう、地域で主体的な取り組みを行う組織。家庭教育を取り巻く環境が大きく変化し、支援が届きにくい家庭も存在することから、文部科学省が登録制度を設けて活動を促進している。
同町の「ほっとほーむ」は2016年に活動を開始。当初は不登校の子どもがいる家庭への訪問などからスタートし、現在では対象学年(小学1、3、5年、中学1、3年)の全戸訪問を行い、学校や町子ども未来課、福祉課、医師、臨床心理士らと連携して相談体制を構築。特色ある優れた活動として、全国20の優良事例の一つに選ばれた。
現在のメンバーは民生委員や主任児童委員、元教師、学校支援員、子育て経験者ら14人。保護者の声に耳を傾け、心に寄り添い、一緒に考えることを大切に活動している。ほっとさろんの開催や広報紙「ほっと通信」の発行(町ホームページに公開)、LINE(ライン)相談も行う。
表彰を受けてメンバーは「つらいことを、涙を流して相談してくださる保護者の方もいる。関係機関につないで解決を図る前段階で、まずはお話を聞き、心に寄り添うところから」と語る。
今後に向け「『何でも相談していいんだ』という信頼関係を築くため、みんなで考えて進んでいきたい」と話していた。
(2024年3月16日付紙面より)
【第70回】喉に詰まらせないために
先日、福岡県の小学校で、1年生児童が、給食の「ウズラの卵」を喉に詰まらせて亡くなる事故がありました。これには、「給食の時間が短い」とか「急いで食べるからだ」という意見が見られました。ウズラの卵の使用を控えるという動きが相次ぎましたが、それでは根本的な解決にはならないなと感じています。「ウズラの卵」であっても、昔あった「こんにゃくゼリー」であっても、お正月のお餅でも、噛(か)まずに飲み込もうとすると、窒息する可能性がある食材は、たくさんあります。大切なのは、リスクのある食材を排除することではなく、喉に詰まらせない食べ方を、きちんと教える食育だと思うのです。そこで、今回はこういった痛ましい事故が起きないように、気を付けたいポイントを三つお伝えしようと思います。
まず一つ目、この問題で1番大切なのは「咀嚼」だと私は感じています。「よく噛んで食べることの大切さ」を、しつこく教えてあげてください。以前、こちらでも「噛むことの大切さ」についてお伝えしたことがありますが、「よく噛む」ということは、食育上メリットしかありません。子どもに限らず、大人にとっても、よく噛んで食べることは良いことしかないのです。簡単におさらいすると、「肥満予防・味覚の発達・言葉の発音・歯が強くなる・脳の発達・がんの予防・胃腸の健康・顎の筋肉の強化」などなど、他にもたくさんあるんです! まずは1口30回を意識して、よく噛むことを習慣付けてあげてください。
二つ目のポイントは「食事中に、きちんと水分を取ること」です。これは当たり前だと思われるかもしれませんが、意外と食事中に水分を取らないお子さんは多いんです。食事中に飲むための、お茶やお水を、食事の最初や最後に一気に取るという子もたくさんいます。食事の時間に、そういうことに気付いたら水分を取るように促してあげてください。喉が潤っていると、食べ物が喉に詰まるというリスクはグッと低くなるはずです。そしてこの水分補給は、まさに習慣なのです。その癖を付けておいてあげることは、とても大切です。
三つ目は姿勢を良くして食べる、ということです。椅子に座って背筋を伸ばすと、食べ物を飲み込みやすい姿勢になります。これは食べる時のマナーでもありますが、やはり姿勢が悪く猫背になると、喉に詰まりやすくなってしまうのです。食べる時に姿勢を正すということは、見た目の美しさや、マナーだけではなく、とても理にかなっているんですね。
いかがでしたでしょうか? どれも当たり前のことですが、日々の中でついつい忘れてしまいがちなことですよね。この「ウズラの卵」の事故を受けて、いま一度食事の習慣を、見直してみてはいかがでしょうか? 食べることは、生きることです。食べることで、命を落とすようなことがないように、しっかりと習慣にしておきたいなと思いました。
(2024年3月16日付紙面より)
那智勝浦町立市野々小学校(中地直樹校長)を舞台に和歌山工業高等専門学校(御坊市)が行ったアイデア検証「ロボット先生をプログラミングで動かして学ぶ防災学習」が、2月29日に茨城県で開催された第2回高専防災減災コンテストで文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した。3月13日には、研究を指導した和高専の辻原治教授が学生からのビデオメッセージを市野々小へ届け、感謝を伝えた。
和高専は和歌山県土砂災害啓発センター(那智勝浦町)と共に、デジタル技術を活用した防災教育コンテンツを開発。2022年に同じく市野々小で実施した「防災学習砂場の開発」も、第1回コンテストで最優秀賞を受賞しており、2連覇の快挙となる。
今回のアイデア検証は、小学校でのプログラミングの必修化も踏まえ、ゲーム感覚で楽しみながら防災を学べるツールとして、谷口晃祥さん(環境都市工学科5年生)と片嶋将人さん(専攻科エコシステム工学専攻2年生)が企画した。
昨年12月の検証には、市野々小の5、6年生10人が協力。床に置いた36のマス目(各50㌢四方)のフィールドに川や橋、土砂災害(地滑り、土石流、崖崩れ)による障害物を配置し、安全なルートをパソコンに入力してロボットを避難させた。
学生2人からは「前もって災害発生をイメージし、避難の仕方をプログラミングのように順序立てて考えておくことを教える教材として評価していただいた。皆さんのおかげ。将来はぜひ高専に!」とのビデオメッセージがあり、辻原教授は「4月から社会人になる2人には、この経験を生かしてほしい」と語った。
市野々小の中地校長は「13年前の紀伊半島大水害で被災して以後、防災学習を続けている。楽しみながら自然に防災を学び、新しい考え方に触れられる機会をくださり、子どもたちも幸せだと思う」。土砂災害啓発センターの稲田健二所長は「和高専との共同研究は4年目で、全国的にも高い評価を得ている。今後は他の学校にも横展開できるよう努めていきたい」とコメントを寄せた。
(2024年3月15日付紙面より)
動画づくりワークショップ (新宮市 )
丹鶴ホールプロモーションチーム「ICOLE(いこれ)」による「動画づくりワークショップ」が10日、新宮市の丹鶴ホールであった。高校生4人が参加し、丹鶴ホールのショートプロモーションムービー作りに挑戦した。
講師は、新宮市や那智勝浦町観光プロモーションムービー制作やデザインなどを手がける、同市仲之町のふくもとデザイン事務所の福本友樹さんが務めた。
2月10日に続く2回目。前回は、福本さんがカメラのセンサーサイズや動画のサイズ、カメラの動かし方などを教えた。参加者はスマートフォンを使い、背景をぼかして撮影する練習にも取り組んだ。
今回は、丹鶴ホールの良さを知ってもらうことをコンセプトに、外観やホールのロゴ、施設内を分担して動画撮影。20~30秒のムービーを作った。
新宮高校2年生の中浦心陽さんは「写真が好きで応募した。動画撮影は難しかったけど、いいムービーを作りたい」と話していた。
「ICOLE」は市の公募により立ち上がった市民主体の組織。今回のムービーは、昨年も実施したICOLE主催の高校生動画コンテストに出品する予定だという。
(2024年3月15日付紙面より)
田原海水浴場の見学者ら (串本町 )
民間小型ロケット「カイロス」初号機が13日午前11時1分12秒に打ち上げられたが、約5秒後に自律飛行安全システムの飛行中断処置により落下した。串本町の公式見学場・田原海水浴場では入場チケットを持つ685人が見守っていたが、状況を伝えるアナウンスを受け落胆。打ち上げまで頑張ったカイロスを拍手でたたえて見学を終えた。
このロケットはスペースワン株式会社が開発し製造。世界情勢に伴う部品調達難などによる5度の延期を乗り越え、社内外とも念願の打ち上げへとこぎ着けた。
同見学場ではこの日、早朝から地元の出店が始まり9日に続いて数は約4分の1となったが見学者が来場。宇宙飛行士を模した衣装を着た盛り上げ役の町職員と一緒にカウントダウンをしリフトオフの瞬間を迎えたが、届き始めたごう音は数秒で途絶え、ウェブ配信で射点の様子を確かめていた見学者からいち早く状況が広がった。落胆し尾根から立ち上る噴煙ではない煙をぼうぜんと見届けた後、打ち上げまで頑張った「カイロス」に次回へのエールとして拍手を送ろうというアナウンスに応えて見学を終了した。
見学者の一人として結果を見届けた田嶋勝正町長は、ロケットと一体になってまちづくりを進める決意を掲げ、同社に向け「この状況は打開できると思う」とエール。「まちは必ず全面バックアップし、これからの宇宙を開発する最初のまちになるという意気込みでやっていきたい。今回は残念だったが、みんなと力を合わせて『カイロス』の産声を上げさせたい」と思いを声にした。
主に那智勝浦町と串本町の有志が結成し「カイロス」の打ち上げに向け機運醸成に献身してきた和歌山ロケット応援団の青木圭団長は「残念な結果だけれど、いろんなところのロケットの打ち上げを見ていても(こういう結果が)あるので仕方のないことかなと思う。スペースワンやその技術者の方が自分たちよりもっとショックを受けていると思うので、応援団として何かの形で陰ながらにでも応援しているというのを伝えたい」と胸中を語った。
(2024年3月15日付紙面より)
人権擁護委員が矢渕中へ (紀宝町 )
熊野人権擁護委員協議会の南牟婁地区部会による人権教室が13日、紀宝町立矢渕中学校(立嶋信雄校長)であり、1年生78人に悩んだときは一人で抱え込まず、相談するよう呼びかけた。
人権擁護委員制度を理解し、社会問題となっているヤングケアラーについても知ってもらおうと昨年に続いて開催した。紀宝町と御浜町の委員でつくる南牟婁地区部会から部会長の萩野映児さんらが訪れ、1年生計3クラスで授業した。
人権擁護委員は、人権擁護委員法に基づき法務大臣が委嘱する無報酬のボランティアで、住民から人権相談を受けたり、人権啓発活動をしたりしている。紀宝では5人、御浜では4人が委嘱されている。
授業では人権擁護委員の活動内容を説明した上で、いじめなど人権に関する悩みがあれば、学校に置かれている「子どもの人権SOSミニレター」(津地方法務局などが実施)のほか、電話やメールでも相談できることを伝えた。
子どもが家族の介護などを行うヤングケアラーの問題については「中学生の17人に1人がヤングケアラーと言われており、学校に行きたくても、勉強したくても、遊びたくてもそれができない」と語り、「友達の変化に気付けるのは君たち。信頼できる大人に相談してほしい」と呼びかけた。
また、教育を受ける権利や心・体の成長に必要な生活を送る権利など九つの権利を挙げると、「自分が一番大事にしたい権利は?」と問いかけ。生徒は自分にとって大切なことを思い浮かべながら考えた。
(2024年3月15日付紙面より)
地域子育て支援センター (那智勝浦町 )
昨年10月に那智勝浦町の体育文化会館に移転した同町地域子育て支援センター(森本幸美センター長)。「あそびの広場」の利用組数は、移転前1日当たり平均2・8組で推移していたが、昨年10月以降は10・2組と約3・5倍に。毎日多くの親子が利用し、好調な滑り出しを見せている。
同センターは2002年に勝浦保育所(現・勝浦こども園)内に開設。未就園の子どもとその親を対象に、育児相談や乳幼児の遊びの場・親の交流の場の提供などで子育てをサポートしてきた。
体育文化会館を多世代の交流拠点として整備し、利用者の利便性向上を図る目的で移転。会館では、多機能トイレのオムツ交換台や男女トイレへのベビーチェア設置、授乳室、屋外遊び場(砂場)などを整備した。
川口橙弥君(1)と利用している母親の明日香さんは「こちらへ引っ越してきて1年ほど。バイパスからのアクセスも良く、駐車場も近くなり、すごく来やすくなった。利用する子も増えて、同世代の子の成長を見られるのもいい」。前地琥陽君(1)と参加した母親の侑紀乃さんは「以前は月1回ほどの利用だったが、子どもも活発に動くようになり、よく来るようになった。4月から息子と同じ保育園に通う子もいる」と語る。
親子を対象としたミニ防災講話やSNS講座、ベビーマッサージなども企画。館内では福祉課による産後の母親らを対象としたママフィットネスのオンライン教室などもあり、子育てに関わる人や情報が集まる場になっている。同館周辺の散歩やどんぐり拾いも人気。
あそびの広場は、水曜日の午後を除く平日の午前9時~正午、午後1時~3時に開催しており、町外からの利用も可能。森本センター長は「ぜひ気軽に遊びに来てください」と呼びかけている。
(2024年3月7日付紙面より)
4年ぶり天ぷら振る舞い (自然探訪スクール )
熊野学研究委員会自然部会と新宮市教育委員会は3日、那智勝浦町の環境省宇久井ビジターセンターで自然探訪スクールの第8回講座「春の野草の観察」を開いた。4年ぶりに天ぷらの振る舞いもあり、参加者22人が五感を使って春の野草を味わった。
熊野地方の大自然に親しむ中でその営みを学び、愛護する精神を培うことが目的の講座。講師は熊野学研究委員会委員の瀧野秀二さん。
参加者たちは地玉(じごく)の浜への周遊ルートを歩き、ハマカンゾウやツワブキの新芽、ハマアザミの茎など食べられる野草を採取。野生のミツバと、よく似たキツネノボタンの違いも学んだ。
散策後は待ちに待った天ぷらタイム。瀧野さんが事前に採取していたフキノトウやアシタバ、ハマアザミの根、ノビルなどと一緒に衣をつけて揚げ、岩塩で味わった。春の野草には苦みがあるものも多いが、子どもたちも興味津々で箸を伸ばしていた。
岩口桜來さん(8)は「フキノトウは名前を聞いたことがあったけれど、食べるのは初めて。おいしかった。ミツバを取ったから、家でも天ぷらにしてもらう」と話していた。
(2024年3月7日付紙面より)
小中学生らに記念品託し (串本町 )
串本町が4日、町立小中学校へロケット「カイロス」初号機打ち上げ限定記念品を託し打ち上げ当日の見物と興味を促すよう求めた。
この記念品は、打ち上げを盛り上げるツールとしてこれまでに作成したグッズの一部。初号機の打ち上げに合わせて町内の小中学生へ配る前提のグッズも複数含んでいて、運用するスペースワン株式会社が9日(土)午前11時~正午ごろ打ち上げ予定と待望の発表をしたことを受けその直前で各校へ託すに至った。
ロケット「カイロス」の射場「スペースポート紀伊」にもっとも近い町立田原小学校(林宣行校長、児童18人)は翌5日の授業終了後に3~6年生を集め、林校長がカイロスという名前の意味などこれまで学んできた事柄を振り返りながら一人一人に記念品を配るなどした。先に下校した1、2年生や欠席者の分は後日配るという。
記念品の内訳は、漫画「宇宙兄弟」とコラボレーションした町長メッセージ付き記念切手シート、スペースタウン串本ロゴ(単色)をプリントした応援手旗、田嶋勝正町長発の保護者宛て趣意書の3点。
町は当初、樫野崎園地へ町立小中学校を招待しみんなで初号機の打ち上げを見届けることを考えていたが、打ち上げ日時が土曜日であることや交通混雑による移動困難が予想されるため断念した。町の子どもたちへの思いを伝えるために付した趣意書には「これらの記念グッズを手にすることでお子さん方に少しでも町発展の起爆剤となりうるロケット事業・宇宙産業に興味を持ってもらえれば」と書かれている。
町企画課によると、町内の生徒も通う古座川町立古座中学校を含め計14校の児童・生徒・教職員計1015人分を託したという。
(2024年3月7日付紙面より)
鵜殿港で2日連続1000本超え (紀宝町 )
紀宝町の鵜殿港に5日、春のブリ約1600本が水揚げされた。4日は約2700本で2日連続の1000本超え、市場は漁業者や仲買人で活気にあふれた。
例年、3月上旬に1000本ほど揚がり、下旬まで続く。今季は少し早めのスタートとなった。平均7㌔を中心に水揚げされ、2日間で13㌔や15㌔を超える丸々としたブリもあったという。
阿田和大敷漁業生産組合が御浜町阿田和沖に仕掛けた定置網で取れたもので、第一三浜丸、第五三濱丸が水揚げした。
地元の仲買人は「競り落としたブリは良い形をしている。地元や県内、東京、大阪などの都市部に届けたい」と語っていた。
(2024年3月7日付紙面より)
増田綱紀さんの絵が永田町へ (太地町 )
太地町の増田綱紀さん(75)が描いた風景画「吉野」と「春爛漫(らんまん)」が東京都千代田区永田町の首相官邸に飾られることになった。作品は9日(土)に増田さん宅から東京へ搬送される。2作品とも油彩F100号。桜満開の吉野山を描いた絵画が岸田文雄首相の元に一足早い春を届けそうだ。
増田さんによると、美術・工芸の一般社団法人「光風会」(東京都豊島区)が発行する出版物に2作品が掲載され、絵画を探していた首相官邸の事務局の目に留まったという。増田さんは「春の暖かい雰囲気の絵を探していたそうだ。まさか選ばれるとは夢にも思わなかった。光風会の近畿ブロックで初とも聞いた。支えていただいた方々のおかげ」と話す。
「春爛漫」は2年前、「吉野」は1年前の作品。「あの場所にほれ込んで毎年描いている。描き出すと没頭してしまう。飾られる期間は聞いていないが、桜の風景を楽しんでもらえればうれしい」と笑顔を見せた。
増田さんは光風会主催の公募展で8回の入選を重ね、2022年に会友推挙となった。熊野地方の絵画愛好家でつくる「筆島会」の会長を務める。和歌山県美術家協会会員、熊野美術家協会会員。
(2024年3月6日付紙面より)
藤紀流家元の藤紀実美さんに (那智勝浦町 )
日本とベトナムの文化交流事業で20日(水・祝)からベトナムへ渡航する藤紀流二代目家元の藤紀実美さんに2日、那智勝浦町内で絵手紙教室を開く阿部由美子さんが生徒と共に描いた絵手紙65枚と色紙を託した。
藤紀さんは、将来日本で働くことを目指す学生たちが学ぶベトナムのフックグエン日本語学校で日本文化を伝えており、渡航は今回で3回目。日本舞踊を披露する他、日本の音楽や浴衣、法被、アート、クマノザクラなどさまざまなものに触れてもらうワークショップも開いている。今回は日本の絵手紙を知ってもらおうと、阿部さんに協力を依頼した。
色とりどりの絵手紙には、日本固有の植物であるツバキや着物、現地で人気の日本アニメが描かれており「シンチャオ(こんにちは)」「ティ(好き)」などのベトナム語のメッセージも入っている。
阿部さんは「絵手紙は人に渡すためのもの。海を渡って現地の方々に届けてもらうのがうれしい」。藤紀さんは「日本に興味を持っている学生ばかりなので、喜んでくれるはず」と感謝していた。
(2024年3月6日付紙面より)
熊野速玉大社が所蔵
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)が所蔵する「彩絵檜扇(さいえひおうぎ)」を、新たに和歌山県文化財に指定したことを4日、県教育委員会が発表した。同大社関連の県文化財はこれで10件となった。
新たに県文化財となった彩絵檜扇は、同大社の神宝の一つとされていたが、明治時代中期に一度は行方が分からなくなっていた。佐藤春夫が買い戻し、その子孫が奉納して戻った。27枚のヒノキを材料に作られた扇で、大きさは縦が39・4㌢。片面にはフジバカマやススキが、もう片面には松や竹が描かれている。状態は極めて良好という。
光学調査などの結果、足利義満らが1390年に同大社へ奉納した国宝「古神宝類」に含まれる檜扇群と顔料が共通し、元々は一連の作品だった可能性が極めて高いと判断された。
なおこれまで、同大社所有の県指定文化財の件数は、美術工芸品が7件、有形民俗文化財が1件、史跡が1件だった。また今回、彩絵檜扇のほか3件も、新たに県文化財に指定された。
(2024年3月6日付紙面より)
木葉神社で諸団体関係者 (串本町 )
串本町田原にある木葉神社(井谷正守宮司)で4日、有志による「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ成功祈願祭」が執り行われた。
スペースワン株式会社が発表した初号機の打ち上げ日時(9日午前11時~正午)に向けて広まる無事成功の期待が形となった、関係諸団体関係者の私人参列による祈願。
当日は町、町議会、田原区、和歌山東漁業協同組合、同社から21人が参列し、井谷宮司や古座神社の石田保宮司と共に礼を尽くして初号機の成功(人工衛星の軌道投入まで達成)を願った。
このロケットは、串本町田原地内に射点がある射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる計画で、田原はその最至近の見物場所という点で有志はこの場所で祈願をすることにしたという。神事を経て町長の田嶋勝正さんは「今日は打ち上げの成功と訪れる皆さんの安全安心を願った。必ず成功するよう、まちの方も万全を尽くしたい」、田原区長の筒井政士さんは「まずは成功してほしい。そして宇宙産業が地元に根付き、家族が増え小学校がにぎやかになり田原区の少子高齢化や人口減がちょっとでも緩やかになれば」とそれぞれコメント。同社企画・営業・渉外本部課長の村部昭憲さんは「このような祈願祭を設けていただき、非常にうれしい限りです。地元ではわれわれの事業がまちの起爆剤といわれていますが、われわれにとっては宇宙産業を加速する上で皆さんの協力が一番の起爆剤。地元とスペースワンが共存共栄していけるよう、このまちに盛り上がっていただけたら」とそれぞれに思うところを語った。
(2024年3月6日付紙面より)
那智勝浦町春季ソフトバレー
那智勝浦町総体卓球大会
県小学生サッカーABリーグ
築地地区に津波避難施設 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は1日、一般会計当初予算としては過去最大の107億900万円の2024年度当初予算案を発表した。前年度当初比12億4200万円(13・1%)増で、新クリーンセンター整備事業(19億8564万4000円)や築地地区津波避難施設整備事業(2億1436万1000円)などが押し上げの要因。7日(木)開会の町議会定例会に提案する。
防災・減災対策、子ども・子育て支援・福祉事業、観光産業振興に重点を置いた構成。築地地区の津波避難施設は、にぎわい市場前のタイムズ駐車場に24、25年度の2カ年で建設予定。高さ20㍍、収容人数400人。平常時も観光客らに勝浦湾の眺望やはえ縄漁の歴史を学ぶ場として利用してもらえる施設とする計画だ。
子ども・子育て関連では、高校までの医療費無償化を予定。同町では現在、中学校卒業までの子ども(15歳になって最初の3月31日を迎えるまで)の保険診療の自己負担分を助成しているが、新たに18歳へ拡充する。受給者数は1322人で、事業費として3854万9000円を見込む。
福祉関連の新規事業は高齢者や障害者の入浴助成券配布があり、507万6000円を計上する。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年などに際し、主力産業である観光振興費には計7391万1000円を予定。新規事業として大門坂駐車場リニューアルに向けた基本設計を行い、町中への周遊観光につなげる拠点の他、災害時の避難場所としても活用したい考えだ。地域おこし協力隊制度を利用した外国語観光ガイドの育成、紀伊勝浦駅前周辺の整備に向けた基本構想の策定にも取り組む方針だという。
堀順一郎町長は会見で、いよいよ来週に迫るロケット打ち上げに触れ「観光の目玉になるかの試金石。住民生活への影響やお越しいただいた方の満足度などをしっかりと見極めたい」と語った。
那智勝浦町議会3月定例会の会期は21日(木)までを予定。一般質問は18日(月)、19日(火)を見込んでいる。
(2024年3月2日付紙面より)
消防車両で広報活動 (新宮市 )
春の全国火災予防運動(1~7日)に伴い、各地の消防は1日、防火広報を実施した。新宮市消防本部では、市消防本部、三輪崎消防派出所、高田コミュニティ消防センター、熊野川消防出張所に分かれて住民らに防火意識の高揚を呼びかけた。
市消防本部で行われた出発式には、丹鶴、千穂、蓬莱、警備の4分団から16人が参加した。中谷健兒団長は「本日より、春の全国火災予防運動が始まります。市民の皆さんに防火意識をしっかりと持っていただけるよう、消防車両による広報活動をお願いします」と呼びかけ。団員らは各分団の消防車両に乗り込み、各地域で広報活動へと出発した。
市消防本部管内では昨年(1~12月)、14件の火災が発生し、うち7件が建物火災だった。今年に入ってからは3件の火災が発生している。また予防策として、住宅用火災警報器の設置を呼びかけている。
今年の全国統一防火標語は「火を消して 不安を消して つなぐ未来」。期間中の全国重点目標は▽住宅防火対策の推進▽林野火災予防対策の推進▽特定防火対象物などにおける防火安全対策の徹底▽放火火災防止対策の推進▽製品火災の発生防止に向けた取り組みの推進▽多数の者が集合する催しに対する火災予防指導などの徹底▽乾燥時および強風時の火災発生防止対策の推進▽地震火災対策の推進―の八つとなる。
(2024年3月2日付紙面より)
新宮市の県立新宮高校(深野泰宏校長)で1日、卒業式が開かれた。保護者や教職員、在校生らが見守る中、187人が卒業証書を受け取り、新たな道へ歩みを進めた。
各クラスを代表して太田真由さん、川本晴春さん、島良輔さん、藤田侑叶さん、問芝璃音菜さんが深野校長から卒業証書を受け取った。
深野校長は、新型コロナウイルスが5類に移行し、学校行事が通常に戻ったが、生徒たちは「失敗を恐れずに挑戦し、多くの実績を残してくれた」と賛辞を贈り、「自身の持つ無限の可能性を信じ、勇気を持って果敢に挑戦してほしい」と卒業生を励ました。
卒業生代表の久司航輝さんは答辞で、選択する勇気の大切さを述べ、「さまざまな選択を繰り返し、自分自身と向き合い、成長してきた」と高校生活を振り返り、「岐路に立たされた時、きっと輝きあるこの3年間の出来事が選ぶ勇気をくれます。理想という『見えにくいけれど確かに存在するもの』に向かって私は強い選択をしていきたいと思います」と決意を語った。
(2024年3月2日付紙面より)
2024年度の当初予算案発表 (串本町 )
串本町が2月29日、2024年度一般会計当初予算案を発表した。歳入歳出それぞれ総額は113億6104万3千円で、前年度比8・4%増。構成比は別図の通り。
26年度開校を目指す統合小学校建設事業がいよいよ建設に差しかかる影響が大きく、総額は前年度より8億7661万6千円増。発表に当たり田嶋勝正町長は、引き続き歳入歳出両面で見直しを徹底して持続可能な財政運営を心がけるとともに、事業の必要性や緊急性を熟慮した上で子育て支援と安全安心のまちづくりに重点を置いた内容だとしている。
予算額が特に大きい統合小学校建設事業は9億9717万6千円を計上。26年度開校を見据えて建設を完了する考えで、初年度分の建設工事費(進行率30%前提)、工事監理委託料、意図伝達業務委託料などを含んでいる。
他の予算額が大きい事業は▽ロケット推進事業(4577万4千円)▽古座分庁舎リノベーション事業・旧第二庁舎(=同分庁舎)管理経費(計5912万8千円)▽地籍調査事業(1億867万円)▽潮岬学童保育所新築事業(1億4307万円)▽旧くしもとこども園跡地公園整備事業(9185万2千円)▽有田残土処分場整備事業(1億9964万8千円)▽新古座消防署庁舎建設事業(1億2487万3千円)―など。新規で新婚生活支援事業、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業、母子保健事業―妊産婦アクセス支援事業、小企業信用保証料免除に係る補助金(県内初)、公立中学校給食費無償化(24年度から実施)なども盛り込んでいる。ふるさとのまちづくり応援寄付関係で、同応援基金から4635万1千円を同会計へ繰り入れて活用するという。
併せて14ある特別会計の当初予算案総額も発表。その合計額は87億3280万2千円で、24年度の予算規模は200億9384万5千円となっている。
これら当初予算案は町議会第1回定例会へ上程して審議、承認を求める。
(2024年3月2日付紙面より)
第199回職場対抗ボウリング大会
那智勝浦町体協グラウンドゴルフ春季大会