消防署が水難救助訓練 (新宮市 )
海水浴など水辺でのレジャーシーズンに向けて新宮消防署(垣内一男署長)は15日、新宮市三輪崎の三輪崎漁港で水難救助訓練を実施した。同署警防隊20人が溺者救出方法などを再確認した。
訓練は毎年この時季に行われている。今年は釣り人が誤って海中に転落し、「意識なし、呼吸あり」「意識あり、けがなし」の2人を想定し救助訓練を行った。
署員らははしごや滑車、クレーン、水難救助用担架などを使用し、指揮者の指示を受けて安全管理を徹底した上で救助に当たった。
堀切学副署長は「しっかりと声を出して動きが良く、連携も取れていた。しっかりと意識を深め、いい訓練でした」と評価。レジャーシーズンの到来に対して「コロナ禍で、例年よりは少ないですが、一年を通して当地方を訪れる方たちもおり度々、水難事故が発生しています。私たちとしては訓練を通して任務分担の明確化や情報収集、迅速な救助活動など、各部隊との連携をより深めて任務に努めていきたい」と述べた。
また、海だけでなく川においての事故にも注意を促し、熊野川には多くの支流があることから、ダムの放水状況の確認や気象状況にも注意することが大事とし「せっかくのレジャーシーズン。事故のないよう、楽しんでいただければ」と呼び掛けた。
昨年度中に市内で発生した水難事故は1件。昨年に続き、新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点から三輪崎海水浴場、高田自然プールともに、開設については現在未定となっている。
(2021年6月16日付紙面より)
太田小で「命の授業」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長、児童20人)で11日、「命の授業」があった。全校児童が2グループに分かれて、同町でかづこ助産院を営む本舘千子(もとだて・かづこ)院長から、赤ちゃんが生まれるまでの過程や命の大切さを学んだ。
本舘院長は串本町から紀宝町までのさまざまな教育現場で、命の大切さや心と体のケア、科学的根拠に基づいた多角的な知識を学ぶ「包括的性教育」の必要性を伝えている。
5、6年生9人の授業では、本舘院長が子どもたちに小さな穴の開いたハートの折り紙を手渡し「これは命が始まった瞬間の大きさです。数字にすると0・12㍉あります」と説明。生まれるまでに約10カ月かかり、母親の胎内で成長して身長約50㌢、体重約3㌔になる過程を教えた。
赤ちゃんが生まれてくる方法については「自然分娩(ぶんべん)」と「帝王切開」の2種類があると述べ「母子の命が危険な場合には、無事を願いながら帝王切開でおなかを切ることもある」と伝えた。
本舘院長は、器のような女性の骨盤から赤ちゃんが自力で回りながら出ようとする動きを模型で解説。「赤ちゃんは自分の力で考えて生まれる。出産予定日なども赤ちゃんが決めます。『生まれる』は素晴らしくてすごいこと。全員が経験しています」と語った。
約3㌔の人形で赤ちゃんの重さを体験する時間もあり、児童たちは「結構重たい」「かわいい」などと声を上げながら順番に抱っこしていった。最後に本舘院長は、これから訪れる思春期について「大きくなるまでの道のりは、つり橋を渡るようなもの。滑り落ちそうになっている友達がいれば、手を差し伸べて助けてあげてくださいね」と呼び掛けた。
仲地主琉(しゅり)君(6年)は「0・12㍉から命が始まって大きくなる段階に改めて驚きました。人同士が助け合いながら成長していくことが大事だと思った」と話していた。
(2021年6月16日付紙面より)
警防班単位で水難救助訓練 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)の本年度水難救助訓練が14日から始まった。この訓練は警防班単位で計画し実践することとしていて、この日は串本消防署第2警防班(森下貴司班長)が同町くじ野川にある橋杭ビーチで溺者2人を想定し取り組むなどした。
水域でのレジャーが活発化する時季を前に日頃培っている技術を確かめ、水難事故発生時における迅速かつ的確な発揮を目指す同訓練。長大な海岸線や河川流域を有し、相応に水難が起こりやすく対処力が求められる管内環境への意識を高く保つ狙いも含めて例年実施している。
この日は森下班長ら班員13人が同訓練に臨んだ。橋杭海水浴場の中ほどで2人が溺れ、うち1人が海底に沈んでいるという想定で始め、潜水隊員が急行して要救助者を確保、救助隊員が救命索発射銃で沈んでいない1人を浜へ引き寄せ、潜水隊員が引き揚げた1人を救難艇(エンジン付きゴムボート)へ乗せて最寄りの浜まで運んで救急隊員が引き継いだ。各隊員には想定のみが伝えられ、以降は現場の状況を見て必要な活動を判断する本番同様の状況で目的の達成を目指した。
想定訓練のほか、潜水隊が捜索時に用いるロープ等の資材準備やエンジンが使えない場所での救難艇の操船(オールを使用)などの訓練項目も実施。森下班長は「救難艇の操船訓練は月1回取り組んでいるが、今回のような訓練は普段はなかなかない機会。隊員にとって身になる活動になったと思う」と総括した。
同訓練の様子を見守った井本茂署長は、隊員がもろもろの訓練の成果を生かして活動する状況を今後に期待。他の警防班の訓練日時は同日現在未定で、それぞれに内容を決めて臨むという。
(2021年6月16日付紙面より)
浮島の森で大規模作業 (新宮市 )
新宮市浮島の国指定天然記念物「新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落」(浮島の森)で14、15の両日、スゲ属の植物「カサスゲ」の除去作業が行われた。業者が参加しての大規模除去作業は今回が初めてという。
カサスゲは湿地や池の浅い所に生育し、1㍍もの高さに成長する大型スゲの代表的なもの。かつてはすげがさやみのなど、さまざまな民具に利用された。
除去作業には、2011年の紀伊半島大水害以降に同所で繁殖している外来種の水草「アマゾントチカガミ」の存在も大きく影響している。
カサスゲが増えることによって水の流れが停滞し、アマゾントチカガミの生育を助長。カサスゲ、アマゾントチカガミ共に腐食することにより水質の悪化や水温の上昇に影響を与える場合があるという。
作業に立ち会った市文化振興課の小林高太主任によると、これまでも職員やボランティア有志によって除去作業を行っていたが、植物の生育スピードに追い付かなかったことから、夏を前に大規模除去作業に踏み切った。
14日の作業には業者8人が同所の池で鎌などを手にカサスゲを除去し重機を使って搬出。約5時間の作業で約6㌧を除去した。カサスゲの除去後は、随時アマゾントチカガミの除去作業も実施していく予定だ。
多種多様な生き物が観測される浮島の森では、外来種のブラックバスやミシシッピアカミミガメの存在も確認されている。昨年8月には、水温の高さが原因として考えられている「アカマクミドリムシ」が大発生。池の水面を赤く染めた。
(2021年6月16日付紙面より)
県高校総体団体、個人で (弓道競技 )
県高校総体で好成績 (新宮高校レスリング部 )
出水期前に合同訓練 (新宮市 )
災害発生時の迅速かつ的確な災害警備活動を目指して、新宮警察署(山田守孝署長)は9日、同署南側空き地(広角用地)で新宮市、市消防本部と合同で災害警備訓練を実施した。3機関から41人が参加。紀伊半島大水害(2011年)から10年の節目に当たり、犠牲者に対する黙とうが行われた後、訓練を通して風水害などに対する連携強化を図った。
これから本格的な出水期を迎えるに当たり、風水害などの発生時に迅速かつ的確な災害警備活動を実施することを目的とした。
訓練は、台風接近に伴う大雨などにより、紀伊半島大水害南部の各地で甚大な被害が発生。市内では1時間に100㍉を超える降雨により記録的短時間大雨情報が発表されたとの想定の下、家屋倒壊などの被害が多数発生している台風通過後(警報解除後)の活動に焦点を当てた。
現地指揮所を立ち上げた後、防災相互通信用無線を使用し、警察署が市と消防本部に無線通話を開始。関係機関が指揮所で合流した後は情報交換を行い、車両や倒壊家屋で警察、消防による救助訓練もあった。
県警ヘリコプター「きのくに」による搬送訓練では、ホイストクレーンでつり上げて搬送する一連の動きを確認。本番さながらの訓練を通して共通認識を持つ機会とした。
訓練終了後、山田署長が講評。「地理的状況からただちの応援部隊を望めない地域であり、災害発生初期段階ではわれわれ地元の関係機関だけで救助活動などに当たらなければならない。そういった意味でも訓練が実施できたことは意義深いこと」。
紀伊半島大水害発生当時を振り返り、「人命救助は時間との勝負。関係機関が情報共有を行い、一致団結していかに迅速に災害対策に当たることができるかに懸かっている。先の大水害で得た経験、学んだ教訓を生かし、有事に最大限の力を発揮できるよう、今後とも訓練を積み重ね、練度を上げていければ」と呼び掛けた。
(2021年6月10日付紙面より)
差別撤廃目指しリーフレット製作 (新宮市 )
新型コロナウイルスは、人から人に感染します。目には見えないウイルスに皆が恐怖し、不安になっています。ほかの人が感染しているかどうかわからないので、不確かな情報に惑わされ、ほかの人を疑い、敵とみなし、差別をして、自分から遠ざけてしまう人がいます。はたして、それは本当に正しいことでしょうか―。
新宮市はこのほど、新型コロナウイルス感染症に関する差別や誹謗(ひぼう)中傷の撤廃を目指し、啓発リーフレット「それ、コロナ差別じゃないですか?~新型コロナウイルスのもう一つの恐怖~」を製作した=写真。製作部数は2000部。リーフレットを製作した市教育委員会生涯学習課人権教育係の下津将幸係長は「小中学校の授業や啓発などで活用してもらえれば」と話している。
「感染したくないのは皆一緒。コロナに関係する差別や誹謗中傷を見聞きすると、それがまかり通ってしまう社会が悲しい。この一年、思うところはたくさんあった」。製作に至った経緯について下津係長はそう説明する。
製作に取り掛かったのは今年に入ってから。多くの人に手に取ってもらい、理解してもらえるよう、デザインや読みやすさにも配慮した。
「自宅に『コロナ出ていけ!』と嫌がらせの電話」「医療従事者や介護従事者の子どもへのいじめ、保育園(所)で預かりを拒否される」「配達員が配達先で『コロナを運ぶな』と除菌スプレーをかけられる」「『あそこで感染者が出た!』という間違ったうわさが拡散し売り上げが減少した」などの事象に関しては、報道や行政発表で示された実例を基にしたという。
また、「本当に全員がマスクを必ず着けないとダメなの?」と語り掛ける項目では「感覚過敏を伴う一部の発達障がいがある方は、マスクの着用が困難です。~略~認知症やうつ病の人においても感覚過敏の症例はありますし、熱中症のリスクもあります」などと説明。「もしかすると着けられない理由があるのかもしれません」と訴え掛ける。
下津係長は「差別をするのも受けるのも人。本来、私たちが闘うべきは新型コロナではないでしょうか」。
リーフレットは浮島・下田・橋本の各児童館に設置されているほか、同課窓口でも配布している。下津係長は「家庭内の大人の発言が子どもに影響を与えることは多い。子どもを持つ保護者の方にも手に取ってほしい」と話している。
(2021年6月10日付紙面より)
太田小で救命法講習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長)で7日、救命法講習があった。5、6年生9人と保護者、教職員12人が那智勝浦消防署救急係の新屋勝久さん、町内の消防団員で応急手当普及員の嶋本由佳さんと朝倉敦子さんから、自動体外式除細動器(AED)の取り扱い方法や心肺蘇生法を学んだ。
講習は水泳などを行う時季を迎え、万が一の状況に備えて知識を深めてもらおうと毎年実施。マスク着用や手指消毒、換気など新型コロナウイルス感染症対策を取って行われた。
心臓マッサージとAEDの使用を実演した後、新屋さんは▽胸骨圧迫時に患者の口や鼻にハンカチ、タオルなどをかぶせる▽肘を曲げない▽5~6㌢の深さで、1分間に100回ほど垂直に押す―などの手順を説明。一連の動作を一人ですることは非常に困難と述べ「100回ほどの目安で心臓マッサージを行い、別の人と交代するなど分担することが大切」とアドバイスした。
AEDの取り扱い方法では、参加者が2グループで人形を使用して実践。体がぬれている場合は拭き取った後に装着するなどの注意点に耳を傾けながら、表示や音声に従って訓練に取り組んだ。
築紫菜乃(つくし・なの)さん(6年)は「目安の時間と回数の中で心臓マッサージをすることに改めて大変さを感じた。もしものときには、教わったことを少しでも役立てるようにしていきたいです」。
上地校長は「とても勉強になる時間になりました。学校以外の場所でもいつ、どこでこのような状況に遭遇するか分からない。講習を通じて今後も知識を深め、落ち着いて応急処置や助けを呼ぶなどの行動ができるようになれれば」と話していた。
(2021年6月10日付紙面より)
水害サミットに41市町が参加 (紀宝町 )
甚大な水害を経験した市町村長が防災・減災のあり方を全国に発信する「第16回水害サミット」が8日、全国41市町と国土交通省などをオンライン会議システムでつなぎ開催された。事例発表した紀宝町の西田健町長は、町が取り組む「地区タイムライン」を紹介し「今後も大規模災害に備え、タイムライン防災の充実を図るとともに災害に強い安全・安心なまちづくりに努めます」と伝えた。
意見交換や提言などを行う場として、2005年から始まり、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止を図るためリモートで実施。「流域治水の推進」をテーマに福島市(福島県)、那須烏山市(栃木県)など、「逃げ遅れゼロへの取り組み」に関し紀宝町、大石田町(山形県)、倉敷市(岡山県)などが取り組みを発表した。
西田町長は紀宝町役場から参加し、2011年に発生した紀伊半島大水害の経験から得た教訓、課題を基にタイムライン(事前防災行動計画)を策定したと述べた。
地区タイムラインは15年から取り組みを開始し、現在は浅里、鮒田、大里、高岡、成川の5地区で作成。鮒田地区タイムラインを例に「地区によって必要な情報などはさまざまとなるため、同じタイムラインができることはない。取るべき避難行動、地区の状況などは過去の災害経験を踏まえ、内容を地域や関係機関と共に考える必要がある。『いつ』『誰が』『何をする』を分かりやすくまとめ、鮒田地区では地区住民全員に配布した。それぞれが『自分の命は自分で守る』という防災意識が向上している」と紹介した。
「大災害になればなるほど、地域との連携が必要になり、地域内での自助共助による災害対応が最も効果的な防災対策ともいえる」とし、防災情報共有システム、タブレットによる情報共有、非常用電源整備事業、高台整備事業など町の防災対策を全国に発信した。
(2021年6月10日付紙面より)
県サッカーU―12選手権東牟婁予選
ツアー・オブ・ジャパン2021 (キナンサイクリングチーム )
JCカップ少年少女サッカー東牟婁予選
県内行進、新宮市で最終日 (国民平和大行進 )
原水爆禁止和歌山県平和行進実行委員会は、核兵器廃絶を訴えながら被爆地広島・長崎を目指す「国民平和大行進2021」を実施している。5月7日に橋本市から始まった県内の日程は2日をもって終了。今後は三重県に引き継がれ、8月4日(水)に広島県の広島平和記念公園に、6日(金)に長崎県の平和公園に到着する。
広島と長崎に原爆が投下されて76年目。2017年7月、国連総会で賛成122、反対1の大差で核兵器禁止条約が採択され今年1月22日、50カ国を超える国々の参加で国際法となった。
平和大行進は1958年6月、たった1人の行動から始まった。現在では全都道府県および8割以上の自治体を通過し、毎年10万人の人々が参加する国民的行動となった。
条約発効後初となった今年の平和行進。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、昨年に引き続き従来通りの集会と行進を中止。核兵器のない平和な世界への願いを署名とペナントに託し、各自治体を宣伝カーでつないだ。ペナントは8月9日(月・振休)の原水爆禁止世界大会終了後に、長崎平和公園・爆心地に奉納される予定。
2日に那智勝浦町役場前で行われた見送り式では、地元の実行委員を代表して玉石晃久さんが「皆さまの熱意で核兵器廃止条約に参加していただきたい」。堀順一郎町長は「世界ではさまざまなところで紛争が起きている。地球上の人間全てが平和で豊かに過ごせるようになっていかなくてはいけない」。
和歌山県最終日の2日、新宮市では、市役所駐車場で田岡実千年市長が「世界の各地では武力による紛争がいまだ絶えず、今なお地球上には人類を絶滅させるほどの大量の核兵器が蓄積・配備されている。唯一の被爆国であるわが国の果たすべき役割は極めて重要」。
原水爆禁止世界大会の成功を目指す平和行進参加者の行動を支持するとし「ともに力を合わせ、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向かって前進したい」と激励。宣伝カーを見送った。
日本は核兵器禁止条約に対し参加も批准もしていない。原水爆禁止国民平和大行進中央実行委員会では「世界の平和、アジアでも非核平和のためにリードできるよう条約に参加すべき」と呼び掛けている。
(2021年6月4日付紙面より)
土砂災害啓発センターで特別展 (那智勝浦町 )
那智勝浦町市野々の和歌山県土砂災害啓発センターでは、国土交通省が定める土砂災害防止月間である1日から30日(水)まで特別企画展を実施しており、命を守るためにいち早い避難の啓発や危険区域把握の周知を図っている。
土砂災害防止月間は住民が自分の命を守るべく、「みんなで防ごう土砂災害」をスローガンに、防災知識の普及や避難訓練などの催しを実施し、土砂災害による人命、財産を守ることを目的とした月間。1982(昭和57)年7月に長崎県長崎市を中心に大きな被害を発生させた「昭和57年7月豪雨」(長崎大水害)が契機だという。また、1~7日(月)まではがけ崩れ防災週間になっている。
センターによる特別展は昨年から始まった。今年は2011年9月に発生した紀伊半島大水害から10年の節目の年でもあるため、水害に関連するパネルが並んでいる。
そのほか、土砂災害の実例や解説をしたものや、先月から避難勧告が廃止となり、避難指示に一本化されるなど変更があった「避難情報」の詳細が分かるパネル、新宮・東牟婁の各市町村が作成するハザードマップなどの展示もある。
新宮市が提供した「紀伊半島大水害豪雨~平成23年台風12号、新宮市映像の記録~」などの動画も公開されている。
坂口隆紀所長は「雨の多い時季になり、土砂災害の発生が懸念されることを知ってもらえれば。パネルや町のハザードマップで自分の住む町の特徴などを理解し災害時に役立ててほしい。早めの避難を心掛けていただきたい」と話した。
問い合わせは同センター(電話0735・29・7531)まで。
(2021年6月4日付紙面より)
地域おこし協力隊着任 (古座川町 )
古座川町が1日、片岡紗梨さん(32)に地域おこし協力隊隊員を委嘱した。七川ふるさとづくり協議会(下山隆正会長)で活動することになっていて、片岡さんは「住民の困り事と向かい合い、そしてまちのすてきなものを発信していろいろな方が訪れるよう、微力ながら頑張りたい」と意気込んでいる。
片岡さんは東京都品川区出身で、販売職としての経験を持つ。林業従事を志す夫と共に夫の祖父母が暮らす同町へ移住することを決め、その折に同町が隊員募集をしていることを知って志願した。
着任に先駆けて町内へ移住し、同協議会の下見も経験済み。佐田の桜が今までに見たことがないほどきれいで驚いたことや、すでに何度か足を運んだ同協議会事務所(旧夏目商店)に集まって和気あいあいと過ごす住民の姿を印象的に感じながら、着任の日を目指してきたという。
委嘱した西前啓市町長は七川地区の人口規模や高齢化の状況、地区の同協議会への期待などを伝え、地域になじみ任期後に住み続けることも含めて取り組むことを希望。片岡さんは「笑顔と元気で頑張ります」と応えて、隊員としての第一歩を踏み出した。
同協議会への隊員配置は現在、昨年10月着任の横溝秀文さん、谷井麻美さんと片岡さんの3人体制。下山会長は「プロジェクトに基づいて活動した前年度までの3年間で、憩いの場所となる事務所など今後の振興の基礎をつくった。若者や観光客を引き込む上で事務所は極力開けておきたいが、隊員2人では難しいので町に3人目の募集をお願いした」と増員の経緯を語り、「片岡さんには接客の得意を生かして力を入れてもらい、3人がそれぞれ個性を生かしたチームワークで頑張ってもらいたい」と念願だった3人体制の今後を期待した。
片岡さんの任期は同日から令和3年度末まで。同隊制度は町と人材双方の合意により最長2回契約更新できる。同日現在の町内の隊員数は片岡さんを含め計7人(同協議会3人、観光協会3人、古座川ジビエ山の光工房1人)となっている。
(2021年6月4日付紙面より)
駅舎竣工式でお披露目 (太地町 )
太地町は5月31日、太地駅の駅舎防災複合施設の竣工(しゅんこう)式を開き、駅敷地内に設置したセミクジラをモチーフにした青色のご当地ポストのお披露目を行った。町の玄関口に設置した町内3基目となるポストで、「クジラの町 太地町」をPRしていく方針だ。
地域の特色を示したご当地ポストは全国にも多数存在し、本紙エリア内ではJR那智駅に黄色のポスト、熊野本宮大社に「八咫(やた)ポスト」がある。
同町ではこれまでに、町立くじらの博物館(林克紀館長)前と道の駅「たいじ」(〆谷(しめたに)和豊駅長)敷地内にポストを設置。観光客などに人気の撮影スポットとなっているという。
地域振興や観光資源化などを目的に、日本郵便と連携して町が寄付する形で設置に至っている。
ポストは2基と同様、地元で活動するクジラの造形愛好家らで組織される「ホエール・アート・ミュージアム」の山門基秀さん、前芝真人さん、石田一勝さんらが製作した。
山門さんは「町の玄関口にふさわしいものを作らせていただいた。暗い話題でなく、ポストを通じて太地では面白いことをやっていると思っていただけたらうれしい。今後も町内にポストを増やしていけたら」と話した。
太地郵便局の小河則行局長は「ブルーは『クジラの町太地の海』をイメージしている。これまでの2基も撮影スポットやSNS(会員制交流サイト)で好評だった。観光資源の一つとして、一人でも多くの方々にPRして太地町を訪れていただけたらありがたいです」と語った。
駅近くに設置されていた壁掛け型のポストは新ポストのお披露目に合わせ撤去された。
式典後には、駅前の国道を車で走行していたドライバーがポストの存在に気付き、スマートフォンで撮影する姿が見られた。
(2021年6月4日付紙面より)
高田川などに太公望
熊野地方の熊野川や古座川流域などで1日、アユ漁が解禁された。この日を待ちわびていた太公望が夜明けとともに釣り糸を垂らした。昨年に続き、新型コロナウイルスの影響で解禁日の延期や中止が心配されたが、例年通り実施された。
熊野川漁業協同組合は4月に大塔川450㌔、四村川450㌔、赤木川上流200㌔、高田川150㌔、三越川100㌔など、熊野川の各支流にアユの稚魚計1350㌔放流した。組合は「今年の天然遡上(そじょう)は平均並みのようです」と話している。
新宮市の高田川に釣り仲間3人と訪れた大石光二さん(35)=同市三輪崎=は「この日が来るのを楽しみにしていました。午前5時半ごろから2時間で17~18㌢のアユが約20匹釣れた。予想以上に釣果が良く、驚いています。しっかり新型コロナの対策を取った上で、アユ釣りを満喫したいと思います」と話していた。
(2021年6月2日付紙面より)
ボランティア有志が清掃活動 (環境ファースト連合会 )
環境ファースト連合会(椋野玲史会長)は5月30日、新宮市の王子ヶ浜海岸で清掃活動を実施した。連合会に所属する「紀伊半島の海亀を守る会」(榎本晴光会長)を中心に、会員ら約30人が海岸約2㌔の範囲にわたって、流木やプラスチックごみなどの撤去作業に汗を流した。
5月30日は「ご(5)み(3)ゼロ(0)の日」。1982年に関東地方知事会関東地方環境対策推進本部空き缶等問題推進委員会が提唱した「関東地方環境美化運動の日」に由来する。93年には、厚生省(当時)が制定した「ごみ減量化推進週間」の初日に設定され、近年でもこの日に合わせ、全国的に清掃活動が展開されている。
数あるごみ問題の中でも「海洋ごみ」は深刻化する問題であり世界的な課題だ。絶滅危惧種・アカウミガメが上陸する数少ない海岸の一つである王子ヶ浜においても、降雨後には膨大な数の流木やプラスチックなどが海岸に流れ着き、ウミガメの上陸や産卵に大きな影響を与えている。
アカウミガメと卵を保護し、海に帰すボランティア活動を展開する同守る会は、本格的なアカウミガメの出産シーズンを前に、毎年この時季に大規模清掃を実施している。
清掃には連合会(新宮市王子ヶ浜を守る会、紀伊半島環境保護推進協議会、鮒田の環境を守る会、さかさ川をきれいにする会、相野谷川水辺の環境を守る会、山地地区と六部海岸の環境を守る会)の有志らが参加。重機4台も出動し、約3時間の撤去作業を実施した。
今季、同浜では20日にアカウミガメの初上陸と98個の産卵を確認。以降も上陸はあったものの、産卵には至らなかったという。
榎本会長は「ごみゼロの日でお日柄もよく、天候にも恵まれた」を汗を拭いつつ「ごみが多いとウミガメの上陸・産卵に影響が出る。大きな流木などは人間にとっても危ない。清掃は必要で大事なこと。行政にも協力してもらえれば」と話していた。
(2021年6月2日付紙面より)
串本町や古座川町を進行 (国民平和大行進 )
串本町や古座川町で5月31日、原水爆禁止国民平和大行進2021の宣伝カーが進行した。感染症予防のため昨年に続き今年も集会や行進は休止。自治体懇談と宣伝カーによるアピールがあり、串本町では町職員や原水爆禁止串本町協議会(藤田勝彦会長)の会員らが集まり同カーを送り出した。
核兵器廃絶を訴えながら原水爆禁止世界大会が開かれる広島県や長崎県を目指して進行する同行進。11幹線コースのうち、和歌山―広島コースは同月7日に橋本市を出発し31日に東牟婁入りした状況となっている。
この日は直前に自治体懇談をして両町長から署名入りの賛同ペナントを預かり午後3時に古座川町役場前、午後5時に串本町役場本庁前を出発した。串本町では宣伝カー前面に掲げたコース横断幕とともに進行する原水爆禁止和歌山県協議会の里﨑正事務局長があいさつし、同町は第五福竜丸建造の地であり県内で先駆けて核兵器に関する意見書を町議会が提出するなど平和への関心が高い地域とたたえつつ、送り出しに感謝した。
同カーは行進を先導しないことで得た機動力を生かして例年より広範にアピールを届けるなどした。以降は太地町・那智勝浦町方面へ進行。コース横断幕を三重県へ引き継ぎ、8日から紀宝町を起点にして県内進行が始まるという。
(2021年6月2日付紙面より)
コロナ対策講じ、10日まで (太地町立くじらの博物館 )
太地町の町立くじらの博物館は、飼育するクジラの歯磨きを1日から一般公開した。「歯と口の健康週間」にちなんだイベントで10日(木)まで実施している。
催しはクジラの歯磨きによって歯と口の衛生の普及啓発を行うことと、食性の違いから種類によって数や大きさなどクジラの歯の特徴が異なることを知ってもらうことが目的。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から町立太地こども園の園児の招待を中止したが、今年は対策を万全に行い招待した。
クジラショー後にオキゴンドウとハナゴンドウ、コビレゴンドウの3頭の歯磨きを行った。職員のサポートを受ける中、代表園児がクジラの歯磨きに取り組んだ。
同園くじら組の小出勝太君は「クジラの口は大きかったし、歯が白かった。僕は一日3回歯磨きしています。これからも歯磨き頑張ります」と元気いっぱいコメントした。
稲森大樹副館長(36)は「歯と口の健康を考えていただき、毎日の歯磨きを呼び掛けるとともに、同じクジラでも食性によって歯の生え方が違うなどの特徴も知っていただけたら」。
来場者に対しては「これまでと同様に感染症対策を講じながらお客さまには安全にご利用いただけるように運営に取り組んでいきたい」と語った。
同館は先日、新型コロナウイルス感染予防対策を行う施設などに対し、和歌山県が認証マークを交付する「感染症予防対策認証施設」に認められたという。
歯磨きはクジラショー後の午前10時30分、午後0時30分、午後2時30分の1日3回、10分程度を予定。問い合わせは同館(電話0735・59・2400)まで。
(2021年6月2日付紙面より)