推進室と感染症対策室を設置 (新宮市 )
新宮市は25日、今後の新型コロナウイルス感染状況に対応し、迅速かつ柔軟に対策を講じるため、「新型コロナウイルス感染症対策室」を再設置するとともに、ワクチン接種を迅速かつ適切に実施していくため、「新型コロナワクチン接種推進室」を設置した。
厚生労働省では、安全で有効なワクチンが承認され供給できるようになったときには医療従事者などへの最初の接種が2月下旬から始められるように準備を進めており、その後には高齢者、基礎疾患を有する人などの順に接種を進めていくとしている。
ワクチンは原則として、住民票所在地の市町村の医療機関や接種会場で接種を受けることになる。
市は、市民へのワクチン接種を最優先事項と位置付け、市保健センター1階にワクチン接種推進室を設置。同日朝に市庁舎で推進室設置に伴う人事異動発令式があり、田岡実千年市長が田中幸人・健康福祉部長兼新型コロナワクチン接種推進室長事務取扱いら5人に辞令を交付。
「ワクチン接種は今年前半の最優先事項。国の動きにはまだまだ流動的な部分はあるが、ワクチンの供給が開始されたら希望する市民に円滑かつ迅速にワクチン接種を受けていただけるよう私も全力を尽くす」と訓示した。同推進室の業務は、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関すること全般となる。
市役所別館の高齢者相談センター会議室に再設置された新型コロナウイルス感染症対策室では、室長の山下泰司・防災及び危機管理担当部長以下4人の職員が業務に当たる。
設置に当たり、山下室長が「対策室一丸となって、市民に寄り添ったきめ細かい対応を」と職員らに呼び掛けた。
主に▽新型コロナ対策に係る情報収集および発信、相談業務、課題の整理などに関すること▽新型コロナウイルス感染症対策本部会議に関すること―などの業務に従事する。
両室とも、開設時間は土・日・祝日を除く午前8時30分~午後5時15分。ワクチン接種推進室への問い合わせは電話0735・23・4511。感染症対策室は0735・29・7358(直通)もしくは0735・23・3333(内線8603、8605、8606)。
(2021年1月26日付紙面より)
三尾川小の4~6年生7人 (古座川町 )
古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(山本健司校長、児童9人)の4~6年生7人が22日、卒業証書用の和紙を手作りした。先だって21日は、全校児童と教職員ではがき大の和紙作りに挑戦。全員で古く古座川流域でも盛んだった製造文化の一端に親しむ機会を持った。
この活動は、約20年続いている児童自ら卒業証書用の和紙を作る取り組みから派生した全校規模のふるさと学習。児童数減により近年は4~6年生が3年ごとに一丸で取り組むようになり、その時に1~6年生と教職員全員で練習を兼ねてはがき大の和紙作りにも挑戦する形となっている。
本年度はその巡りの年に当たり、児童は昨年11月13日に作り方を教えてくれる外部講師の谷本節代さん(76)と共に重畳山(かさねやま)一帯へ赴き材料となるガンピの枝を採集。以降、地道に樹皮をむいて細かく切り刻むなどの準備を進めてきた。
初日は全校児童と教職員全員ではがき大の和紙作りに取り組み、草花を繊維の間に挟み入れた作品を作った。2日目は本番の卒業証書用和紙作りで、4~6年生7人が40㌢×30㌢の型枠にミキサーでほぐした樹皮60㌘分の繊維を流し入れ、しっかりと水抜きをして成形。繊維を型枠へ流し入れる時には均一に広がるようにし汚れた繊維をこの段階で取り除くこと、水抜きをする時は和紙の形を崩さないよう優しく扱う事などを意識し、卒業の証しとして持ち続ける紙を丁寧に仕立てた。
自然乾燥を経て後日、アイロンがけをして和紙を仕上げる。以降は谷本さんが外周を切り落として卒業証書の文面を筆書きし、山本校長が学校印を押して卒業時に授与する流れとなる。
間もなく卒業を迎える奈須初実さん(6年)は「皮の茶色いところが入らないよう気を付け、思っていたよりも上手にできたので良かった。はがきよりも大きくて結構大変だったけど、これで一つしかない自分の卒業証書が作れるのでうれしいしもらうのがすごく楽しみです」と思うところを語った。
(2021年1月26日付紙面より)
厄払いや歴代住職などの供養 (紀宝町神内 )
紀宝町神内の玉龍山(ぎょくりゅうざん)善光寺(ぜんこうじ)で24日、延命地蔵の大祭が執り行われた。一村桂晋住職が法要を営み、寺総代、組長、護持会の役員らが除災招福、身体健全、交通安全、延命長寿などを願った。
地蔵菩薩(ぼさつ)の縁日である1月24日が例祭日となっており、例年、山の中腹にある地蔵前で厄払い祈とうが行われるが、今年は雨のため同寺で行った。毎年、地元住民や子どもたちでにぎわう餅まきは新型コロナウイルスの感染防止対策として中止となった。
善光寺では、厄払いのほか同寺を開山した角天禅麟大和尚をはじめ歴代住職や水子菩薩地蔵、永代供養墓、無縁仏などの供養も執り行われた。
護持会の矢熊達雄会長は「前日からの雨で、延命地蔵へ向かう道が滑りやすくなっているので善光寺で大祭を行った。餅ほりの中止も初めてで残念だが、来年は通常通りの大祭になれば」と話していた。
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■延命地蔵
この地蔵は別名「滝の地蔵」とも呼ばれ、奇岩(みさごの岩)の岩窟に祠(ほこら)があり、前方に「大洞の滝」が流れ落ちる。座像ではなく片膝をついた姿をしている。「神内の伝承や昔話」によれば、祭り始めた当時は争い事が多かったため、いつでも立ち上がり、村の助勢ができるように身構えてくれていたとの言い伝えがある。
(2021年1月26日付紙面より)
県トラック協会青年協議会 (那智勝浦町 )
和歌山県トラック協会青年協議会(野嶋利基会長、65人)は23日、那智勝浦町立温泉病院に車椅子6台を寄贈した。野嶋会長を含め役員6人が寄贈式に出席し、山本康久院長や中紀文副院長らが感謝を述べた。
寄贈は同協議会主催によるチャリティーゴルフコンペの収益金を活用した社会貢献事業の一環で、県内の病院施設などに車椅子の寄贈を進めているという。
昨年9月に印南町のラ・グレースゴルフ倶楽部で100人が参加するコンペを開き、本年度は独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターに10台、国保すさみ病院に4台、同院合わせて計20台の寄贈に至った。なお、同院への寄贈は旧病院の頃も含めて2度目となった。
山本院長は野嶋会長に感謝状を手渡し、「那智勝浦町は高齢化率が40%以上と高い。車椅子は機能低下した高齢者の方々のリハビリなどや院内各所で使用できるため本当にありがたい。皆さまの今後のご発展をお祈りしております」と話した。
野嶋会長は「新型コロナウイルスでさまざまな物が不足していると聞いています。さまざまな場面で有効的に活用していただけたら幸いです」と語った。
(2021年1月26日付紙面より)
日本郵便と包括連携協定締結 (太地町 )
太地町は15日、同町役場で日本郵便株式会社との「包括的連携に関する協定」を締結した。協定によって町と同社が人的・物的資源を有効活用し、住民サービス向上と地域の活性化を目指す。
締結式には同社から吉田仁久紀南地区統括局長(椿郵便局長)、坂本雄哉那智部会長(太田郵便局長)、小河則行太地郵便局長、奥田隆昭紀伊勝浦郵便局長が、町からは三軒一高町長と漁野洋伸副町長、森尾伸総務課長が出席した。
同社によると、協定は両者が業務に支障のない範囲で取り組むもので、他市町村との連携も進めているという。
連携事項としては▽防災・災害対策▽安心・安全な暮らしの実現▽未来を担う子どもの育成▽女性の活躍推進▽物流・金融事業を活用した地域の活性化▽地方創生―に関することなどで、太地郵便局と紀伊勝浦郵便局が実施する。
同社と町はこれまでにもご当地ポストの設置やオリジナル切手の作製、各イベントへの参加などで連携しているほか、福祉面では同町社会福祉協議会が実施する小地域ネットワーク活動「ふれあいネット」事業のメンバーとして、住民の見守り活動などにも尽力している。
協定について小河局長は「町民の皆さまに対するサービスや利便性向上が第一。臨機応変に対応できるように、今後はより強固な関係を築いていけたら」と話した。
三軒町長は同町の高齢化率(1日現在で43・3%)に触れ「高齢者が多いため協定はありがたい。配達員の方々は町や住民のことを詳しく知っている。郵便物がたまっているなど、少しの変化にも気付いていただけると思う。ご当地ポストも人気。これを機会に今後も郵便局と手を組んで町の活性化に発展していけたら」と語った。
締結後は同社のオリジナルキャラクター「ぽすくま」と同町のマスコットキャラクター「ゴン太くん」を交えて記念撮影が行われた。
(2021年1月17日付紙面より)
海翁禅寺で秋葉山大権現祈祷 (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の臨済宗海翁禅寺(武内宗隆住職)で15日、一年の間、町内で火災や盗難がないよう祈願する「火盗守護秋葉山大権現御祈祷(きとう)」が営まれた。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から町消防団の参加はなく、寺族のみで執り行った。
同寺によると、今回は前夜の同団有志による餅つきや団幹部らの祈祷参列、餅まきは中止となったがどんど焼きは規模を縮小して行ったという。
祈祷前には境内の鐘が鳴らされ、一行は山頂の祠(ほこら)へ向かった。武内住職と武内洪淵(こうえん)副住職が読経を行い、火伏せの神として知られる「火盗守護秋葉山大権現」に今年の平穏無事を祈願した。
洪淵副住職は「昨年は皆さまにとって我慢の一年だったと思う。コロナの終息と皆さまの心が晴れる日を願っています」。
武内住職は「今年こそ、コロナが終息して皆さまが普通の生活に戻れるようにご祈とういたしました」と語った。
なお、同寺の「火盗守護秋葉山大権現」は町消防団が願主となって建立され、1969(昭和44)年に同寺総檀家が再建したという。
(2021年1月17日付紙面より)
将来を見据えた挑戦へ (紀宝町 )
旧紀宝町と旧鵜殿村が2006(平成18)年1月10日に合併し、新・紀宝町が誕生して今年で15周年を迎えた。今月10日には「紀宝町制施行15周年記念式典」を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、やむなく中止となった。
旧鵜殿村は1894(明治27)年、旧紀宝町は御船村と相野谷村が合併して1954(昭和29)年に誕生した。
新町が発足した1月10日には、役場本庁舎で開庁式が開かれた。玉置俶己職務執行者、旧両町村議会議員、新町職員ら150人が出席し、新たな船出を祝った。当時の人口は1万2648人。将来像「海・山・川の恵みに抱かれ、ともに輝き創造するまち」の形成に向け、新たな一歩を踏み出した。新町の初代町長選は2月5日にあり、旧鵜殿村長だった西田健・現町長が当選した。
11(平成23)年に発生した紀伊半島大水害では、河川の氾濫や土砂崩れなどが多数発生し、1000棟を超える家屋が浸水するなど、過去に例を見ない未曽有の被害をもたらし、町民の心にも大きな爪痕を残した。
水害を教訓に、15(平成27)年には全国で初めて事前防災行動計画「タイムライン」を導入し、昨年から地震津波タイムラインの運用を開始した。
昨年度は新宮道路、紀宝熊野道路が新規事業化され、一般国道42号新宮紀宝道路の熊野川河口大橋建設工事が進むなど、紀伊半島一周高速道路がいよいよ実現しようとしている。
合併を経て15年目を迎えた今年。これまでの歩みを礎に、将来を見据えた新しい挑戦が求められている。式典で西田町長が読む予定だった式辞の一文を紹介する。
「これからも未来への夢を託し、手を携えて、対話を大切にしながら、紀宝町のさらなる発展に向けて、全力を尽くしてまいる所存であります。本日の式典が、今後も紀宝町が輝かしい歴史を刻み続けるため、豊かな自然と歴史文化、人と人の信頼の絆に磨きをかけ、新たな魅力を創造し、町民が誇りを持てる機会となりますことを強く願うものであります」。
(2021年1月17日付紙面より)
丹鶴幼で新春お楽しみ会 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長)で15日、新春お楽しみ会が開かれ、全園児56人が楽しいひとときを過ごした。
正月の飾り付けをした室内で、園児たちの元に教職員が扮(ふん)する唐草模様の獅子が登場。軽快な音楽に合わせて頭にかみつき、一年間病気にかからず、頭が良くなるよう厄払いをした。
「あけましておめでとう、今年もどうぞよろしくね」の歌詞に合わせて園児が他クラスの友達とペアを作ると、続いてビンゴ大会を開催。教職員が次々と数字を読み上げる中、園児たちは協力して数字を探し、「リーチ」「ビンゴ」と声を上げていた。
(2021年1月17日付紙面より)
新宮高、近大新宮高生らが出発
これまでの大学入試センター試験に代わって初めての「大学入学共通テスト」(第1日程)が16日、17日(日)、いよいよ実施される。15日には、新宮市内の県立新宮高校、近畿大学附属新宮高校生らが、和歌山市の試験会場へと出発した。
大学入学共通テストは、政府が推進する「大学入試改革」の一環。目玉であった英語民間試験や国語・数学の記述式問題の導入見送り、新型コロナウイルス感染拡大による長期の臨時休校、直前の緊急事態宣言発出など、波乱の幕開けとなった。
会場では新型コロナに対応した試験実施のガイドラインに沿い▽席間距離の確保▽マスク着用の義務付け▽手指消毒▽換気▽試験室の机・椅子の消毒―などの対策が取られる。試験当日は自主検温などの健康観察を行い、その結果を記録して試験会場へ持参。体調が万全でない場合は、追試験の受験申請ができる。
近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)からは3年生127人中88人が受験。JR新宮駅前に集合した生徒たちに池上校長は「コロナ禍の中、教職員や保護者など大勢の協力があり、チャレンジの機会が与えられている。良い結果が出せるよう、教職員一同切に願っている」と激励した。
松田頼義進路指導部長は「3年間の集大成となる共通テスト。現地では密になって会話しないよう注意を」と呼び掛けた。3台の貸し切りバスで出発する受験生たちに、教職員や保護者が手を振って見送った。
県立新宮高校(前田成穂校長)は3年生198人中64人が試験に挑む。同校会議室であった出発式では、前田校長が「『人事を尽くして天命を待つ』の姿勢で、目の前にある試験に対し、今までやってきたことを出し切って」とあいさつ。「絶対に自分に負けないという強い気持ちを持って乗り切ってください」と激励した。
会議室の黒板には「頑張れ新高生!!希望の天地を開かんともに」と校歌の一節を引用した教職員からのメッセージを掲示。生徒たちは3台のバスに分かれて乗車し、教職員らに見送られ同校を出発した。
全国の志願者数は第1・2日程合計で53万5245人と、前年のセンター試験よりも2万2454人減少。和歌山県の試験会場では3397人が受験する。第1日程の初日は地理・歴史・公民、国語、外国語、2日目は理科と数学の試験が行われる。第2日程は30日(土)、31日(日)の予定となっている。
(2021年1月16日付紙面より)
不当要求防止責任者講習 (新宮市 )
(公財)和歌山県暴力追放県民センター(以下、暴追センター)は14日、新宮市の福祉センターで「令和2年度不当要求防止責任者講習」を開いた。公務員や法人、個人事業者など新宮警察署管内の43人が参加。DVD鑑賞や講義を通して反社会的勢力の不当な要求に対処する必要性を学んだ。
県公安委員会の委託を受けて暴追センターが主催する講習会で、事業所ごとに選任された不当要求防止責任者が対象。講習を終えると受講修了書
が交付される。
県内では年間35回ほど実施しており、県内の受講対象者は約2800人で、本年度は約1600人が研修を受ける見込みとなっている。
不当要求防止責任者とは「不当要求による事業者および使用人等の被害を防止するために必要な業務を行う者」と位置付けされ▽不当要求に対応する事業所の対応体制の整備に関する業務▽使用人等に対する指導教養の実施に関する業務▽不当要求による被害が発生した場合の被害状況などの調査および警察への連絡などに関する業務▽暴力団排除組織との連携、その他被害を防止するための業務―を行う。
講習会では、暴追センターの谷口政行専務理事らが、暴力団に対する基礎知識や不当要求行為などの実態、暴力的要求行為の規制などについて講話。
▽口止め料を要求する▽不当贈与要求行為▽みかじめ料要求行為▽不当下請等要求行為―など、暴力団対策法で禁止されている27の行為などについても説明した。
現在の全国の暴力団勢力は約2万8200人(準構成員1万3800人)、指定団体は24団体。県内では指定暴力団7組織、約100人の暴力団勢力を把握しているという。
(2021年1月16日付紙面より)
関係者らが熊野那智大社へ (那智勝浦町 )
那智勝浦町産のイチゴの振興と豊作を願い、那智勝浦町苺(いちご)生産組合(桒野稔近(くわの・としちか)組合長)とJAみくまの農業協同組合(漆畑繁生組合長)が14日、熊野那智大社(男成洋三宮司)に和歌山県のオリジナル品種のイチゴ「まりひめ」約8㌔を奉納した。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、生産農家や町立市野々小学校児童、同生産組合のマスコットキャラクター「まりりん」、同町イメージキャラクターの「なっちー」らの参列をやめ、恒例の平安衣装によるイチゴの振る舞いも中止した。
奉納神事には、桒野組合長やJAみくまのの村上勝俊経済担当常務を含む関係者ら6人が参列。祝詞奏上後に巫女(みこ)が「那智の滝舞」を奉納し、桒野組合長が代表して玉串をささげ、金幣(きんぺい)の儀が行われた。
JAみくまのによると最盛期、同組合のイチゴ農家は45人、栽培面積は4・5㌶に達するほどの勢いだったが、生産者の高齢化などで栽培が減少傾向となっていた。
現在は若者を中心に再建され、8軒の農家が約60㌃の農地で栽培している。昨年9月からIターン者が1人、イチゴの新規就農者として研修に取り組んでいるという。
奉納されたまりひめは紀州の伝統工芸品「紀州手まり」にちなみ、命名された東牟婁地方を代表する特産品。同町太田地区が主要産地で、果実は大きめで甘みが強く酸味もほどよいのが特徴。
奉納を受けた男成宮司は「コロナによる厳しい状況の中、自然の恵みに感謝をささげます。豊作と組合の発展、農家の皆さまのご健勝をお祈りしております」と話した。
今年のイチゴの出来は順調で、出荷のピークは先週だったという桒野組合長は「まりひめはほとんどが地元消費。コロナで帰省客も少なくイチゴの価格も少し落ちた」。
今年の抱負については「早期のコロナ終息を願っている。イチゴや農業にも関係してくるため、観光業が豊かになってほしい」と語った。
(2021年1月16日付紙面より)
観光関係2施設休業発表 (串本町 )
東京など1都3県に続き13日は大阪や愛知など7府県にも発令された緊急事態宣言。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は串本町域へも強く及び始め、14日現在で観光関係2施設が休業を発表する状況となっている。
本州最南端のランドマーク・ドライブイン「潮岬観光タワー」を運営する熊野観光開発株式会社は14日付で、翌15日以降当面の間臨時休業とすることを発表。最近の新型コロナウイルスの情勢を鑑みての判断で、展望機能を有する同タワーと付帯する売店およびレストラン、無料休憩所「エルトゥールル館」の全体を休業の対象としている。
再開時期は決まり次第公式ホームページで知らせるとしていて、同社ドライブイン事業部は近畿・東海圏の緊急事態宣言や近隣の感染拡大の状況を見てその判断をするとして理解を求めている。
今回は那智山観光センター(那智の滝前売店含む)と瀞峡めぐりの里熊野川も臨時休業の対象。道の駅くしもと橋杭岩は引き続き午前9時~午後5時に営業する。
元日の初日の出観望をピークとし、以降急減衰している町域の観光動態。今年最初の連休に潮岬望楼の芝キャンプ場の有料期間対応があったが、寒波とコロナ禍で期間中の利用者数が延べ55人(泊)にとどまるなど、その一端をうかがわせたところでもある。
観光客の宿泊拠点の一つ、大江戸温泉物語南紀串本も13日付で、新型コロナウイルスの感染拡大を背景にし19日(火)から国の緊急事態宣言の期限とされている2月7日(日)まで一時休館する旨を公式ホームページで発表。南紀串本観光協会によると14日現在で休業を発表しているのは1施設だけだが、減衰はどの施設も直面する状況で波及が懸念されるところとなっている。
役場産業課によると、町営の4施設(トルコ記念館、樫野埼灯台旧官舎、日米修交記念館、潮風の休憩所)は14日現在で休館の考えはなし。南紀熊野ジオパークセンターも同様だが、停留所としている施設の二つが休業へ入る影響を受ける観光周遊バス「まぐトル号」の運行は継続しているものの当面は厳しい乗車状況になると不安視している。
(2021年1月16日付紙面より)
和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)は13日、那智勝浦町立市野々小学校(中西健校長)で「防災RPG(ロールプレイングゲーム)土砂災害が発生したとき」を用いた県内初の防災学習を実施した。オンラインで参加した開発者である和歌山工業高等専門学校専攻科エコシステム工学専攻(辻原研究室)1年の西萩一喜さん(21)=串本町出身=のアドバイスの下、5・6年生9人はゲームという新たな形で防災への学びを深めた。
同センターによると、地震の避難に関する防災RPGを制作・研究していた辻原研究室の辻原治教授に同センターが土砂災害用ゲームについて提案したところ、防災に興味を持っていた西萩さんの紹介を受けたという。
西萩さんはゲーム開発のためにオンラインでの会議を実施し、同センターを数度訪れるなどして内容を精査。同センターも土砂災害に関する資料や情報を提供し、昨年12月に完成した。
ゲームは大雨警報や避難勧告が発令された中、主人公が自宅から避難所までたどり着けばゴール。さまざまな場面で災害に関する知識や正しい行動についての選択が問われる内容となっている。正解に応じて点数が獲得でき、実際の土砂災害の動画なども映し出される。
児童は2人一組でパソコンに向かい、相談しながらゲームを進めた。参加した中村幸幹くん(6年)は「いつもやっているゲームは学ぶことが少ない。このゲームは分かりやすくて楽しく学ぶことができた」。
中西校長は「受け身の教育ではなく、ゲームを通して主体的に学ぶことができたため、新たな可能性が広がっていくと感じた」と話した。
西萩さんは「今後はゲームをきっかけに家族と土砂災害について話し合い、知識を共有してほしい」と述べ、坂口所長は「楽しく学んでくれて良かった。児童や先生にもアンケートを行い、課題解決につなげていく。今後は県内各地でゲームを活用していきたい」と今後の展望を語った。
なお、ゲームは同センターでもプレーすることができる。問い合わせは和歌山県土砂災害啓発センター(電話0735・29・7531)まで。
(2021年1月15日付紙面より)
人権擁護委員委嘱状伝達式 (和歌山地方法務局 )
新宮市緑ヶ丘の和歌山地方法務局新宮支局(山田勝久支局長)で13日、人権擁護委員の委嘱状伝達式が行われ、山田支局長が村田美織さん(64)=那智勝浦町下里=に委嘱状を手渡した。任期は今月1日から3年間となる。
人権擁護委員は、地域住民の中から人権問題に理解や熱意のある人が市町村長の推薦を受けて法務大臣から委嘱される。さまざまな分野の人が地域の中で人権思想を広め、住民の人権が侵害されないよう配慮する活動を続けている。1日現在で同市では9人、那智勝浦町は6人、全国で約1万4000人が委嘱されている。
委嘱状を受け取った村田さんは「人権は、全ての人が守られ、平等であるべきもの。コロナの収束を迎えれば保育士として勤めていた経験を生かし、絵本などを通じて子どもたちに人権の大切さを少しでも伝えていければとも思っています。初めての活動で分からないことも多いですが、先輩委員の方々から学び任期を全うしていきたい」と決意を述べていた。
全国人権擁護委員連合会では昨年、新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大し緊急事態宣言が発令される中、5月に「差別をなくして新型コロナウイルス感染症のまん延を乗り越えよう」と緊急宣言。「このような時期だからこそ、個々の自覚した行動が求められている。一人一人は弱い人間でもみんなで助け合って支え合えば、この危機を乗り越えることができるのでは」と提唱した。
(2021年1月15日付紙面より)
飯田高校と最終の遠隔授業 (串本古座高校 )
県立串本古座高校普通科グローカルコース3年生が13日、石川県立飯田高校総合学科3年生と最終の遠隔交流授業に取り組んだ。
飯田高校は石川県の能登半島の先端に位置する学校。他地域に関わることで取り組む地域学への刺激が得たいという思いで紀伊半島の先端にある串本古座高校に交流を申し入れ、同校も生徒の取り組みに対する客観評価を得て学びを深められると意義を見いだして承諾し、実交流としてウェブ会議システムを使ったこの授業に取り組み始めた。
昨年6月に初実施し、以降も回を重ねて互いが取り組んでいる地域学の内容を伝え合い、時には相手の地域学を深めることに協力し合うなどしてきた。最終となったこの日は前後半の2部構成で実施。前半は同席した外部講師のために互いの地域の特色と地域学の経緯や学んだ事柄などを発表し、後半は飯田高校側の外部講師・圓山晃歩(えんやま・あきほ)さんと串本古座高校側の外部講師・宇井晋介さんが最終講義をしこの交流を締めくくる生徒に期待する事柄を託すなどした。
圓山さんは副業として半島同盟を運営するメンバーの一人。その活動内容や取り組む意味を紹介し、両校生徒がこの授業で追い求めたように半島同盟も他地域との違いを知って自分の価値を知り、それが今後の可能性につながるから取り組んでいるとして両校生徒の取り組みに共感した。
宇井さんは元・串本海中公園センター水族館館長で現・南紀串本観光協会事務局長。串本の海の特色と生物多様性を生かす観光業の成り立ちを体験型観光の主流化という時代変遷も踏まえながら説明し、その領域の一先駆者として▽「何もないところ」はない▽物事をいろんな方向から見てみる▽考えるだけでは考えていないのと同じで例え小さくても形にすることが大事▽継続が最も大切―などの発想を生徒に託した。
最後に両校代表を1人立ててこの交流の印象を発表。飯田高校側は「自分から進んで調べようとしなかったことをこの交流で知ることができ、それによって自分たちの地域をより深く知ることができて良かった」、串本古座高校側は「(交流を通じて)串本ではしていないまちづくりなどを勉強でき、今後自分たちの地元を盛り上げていくために活用できたらいいなと思った」と伝え合って交流を締めくくった。
(2021年1月15日付紙面より)
大泰寺で大般若祈祷会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町下和田の古刹(こさつ)、定光山大泰寺(西山十海住職)で13日、西山住職ほか、同町や太地町の9人の住職が出仕して「大般若祈祷会」を営んだ。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から恒例の餅まきは中止となったが、境内や本堂には約130人が訪れ参拝した。
法要ではマスク着用やアルコール消毒、換気など新型コロナウイルス対策を徹底し、住職の出仕も2町にとどめた。
住職らは全600巻の大般若経典を左右に波打たせながら一気に読む転読を行い、厄払いや家内安全、商売繁盛などを祈願した。
西山住職は「早期のコロナ終息と多くの方々が元通りの生活に戻れるように心に念じながらご祈とうさせていただいた。今年は皆さまが幸せをかみしめることのできる一年になることを願っています」と語った。
なお、昨年末から無料で授与されていた疫病封じの床浦大明神のお札を持ち帰る参拝者の姿も多く見られた。
同寺は伝教大師により1200年前の平安初期に創建された桓武天皇勅願道場と伝わる。薬師堂は関南薬師の第一霊場として昔から近隣の人々の信仰を集めてきた。
この日もご開帳された本尊の薬師如来像(国重要文化財)は1156(保元元)年の作。その優美な姿に引かれ、例年のご開帳の際は大阪や東京などからも参拝者が訪れている。
(2021年1月15日付紙面より)
チビリンピック東牟婁予選
GIGAスクール構想 (新宮・東牟婁 )
黒板と教科書、ノート、鉛筆。そんな子どもたちの学習風景が大きく変ろうとしている。新型コロナウイルス感染拡大が追い風となる形で政府が推進する「GIGAスクール構想」では、義務教育段階の児童生徒に1人1台の学習用パソコン(PC)端末と高速大容量ネットワーク環境(校内LAN)を整備し、個人に最適化された教育環境の実現を目指す。
新宮・東牟婁地方の各自治体や教育現場でも本年度、タブレットPC導入や校内LAN整備工事、教職員研修、オンライン授業研究などが進んでいる。早ければ年度内にも、児童生徒が学習用端末に触れる授業が開始される。
太地町立太地中学校では12日、「1人1台パソコンの導入に係る操作研修」が行われた。町内小中学校の教職員25人が参加し、実際にタブレットPCを使いながら操作方法を学んだ。
講師の赤井俊哉さんは、共有ドライブに保存した作文の添削やコメント、協働編集によるスライド作りの手順などを教えた。教職員からは「使いこなすにはもっと実践が必要だが、端末の立ち上がりも早く、授業で使えそうな便利な機能もたくさんあった。特にグループでのスライド作りは操作も簡単で、資料作りと発表が一つの端末でできる」との声があった。
新型コロナ第3波により首都圏1都3県に緊急事態宣言が発出され、関西や東海など7府県の追加も見込まれる中、遠隔授業の環境整備を含む情報通信技術(ICT)活用は喫緊の課題だ。それに加え、山間部のへき地学校や複式学級を多く抱える当地方では、ICTが子どもたちの学習を支え、人々との交流の輪を広げる手段となる可能性を秘めている。今後の各自治体の取り組みに注視が必要だ。
(2021年1月14日付紙面より)
三役が市長ら表敬 (新宮青年会議所 )
一般社団法人新宮青年会議所(新宮JC)の梅村英義理事長、和田祐幸副理事長、竹内知恵利専務理事の三役は12日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長と速水盛康教育長を表敬訪問した。新年のスタートに当たっての意欲を伝えるとともに事業への協力などを呼び掛け、新年のあいさつとした。
「温故知新~変化のとき~」をテーマに掲げる今年の新宮JC。梅村理事長は「去年は新型コロナウイルスの影響でほとんど事業ができなかった。今年は『コロナだからできない』のではなく『コロナでもできる』ように事業を模索していきたい」と、会員拡大に向けた取り組みや青少年育成事業、新宮JC杯中学新人サッカー大会の開催などへの意欲を示した。行政や学校ができない役割を担っていきたいと抱負を語り「自分たちだけでできないことも多いと思う。そのときは行政とタッグを組ませていただければ」と協力を求めた。
新宮JC第32代理事長を務めた経緯のある田岡市長は「地域と学校の関係が希薄となる中、JC会員が小中学校を訪問し自分の仕事について講話した事業は楽しかった」などと当時を振り返り会員らにアドバイス。
また、新宮JCで7年間取り組んだこと、理事長を務めた経験は自身の人生のターニングポイントだったと語り「一生懸命頑張るということは多くを学べるということ。仕事と活動の両立は大変だと思うが頑張りは自分の成長につながる。(JCの活動は)短い期間だが一生のうちでも貴重な時間になると思う」と激励した。
(2021年1月14日付紙面より)
塩竃神社で「脊美祭り」神事斎行 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浦神の塩竃(しおがま)神社(井谷正守宮司)で10日、伝統の「脊美(せみ)祭り」が営まれた。祭り関係者約10人が参列し、商売繁盛や船の安全などを願った。
脊美まつり保存会(会長=並川廣・浦神西区長)が祭りや歴史を継承しており、古来捕鯨の歴史を持つ同区でセミクジラを模したわら製の「脊美」を縁起物として用いる祭り。過去には成人の儀式として行われていたとされている。長年、捕鯨文化を継承していることから2016(平成28)年に日本遺産「鯨とともに生きる」に認定された。
例年は井谷宮司が「鬼」と書かれた的を矢で射抜くと同時に、3人の脊美子が取り付けられた脊美を一斉につかみ取って西区区民会館まで全力で駆け抜ける儀式や東区の勇義社(鈴木伸社長)による勇壮な獅子舞奉納、脊美音頭などが披露され、にぎわいを見せているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から大幅に規模を縮小し神事のみの斎行となった。
厳かな雰囲気の中、井谷宮司が神事を執り行い、祝詞を奏上。参列者が順番に玉串をささげていき、一日も早いコロナウイルスの終息を祈念した。脊美祭り前には豊漁などを祈願する弁天祭りも行われた。
並川区長は「昨年秋の例大祭に続き、獅子舞などができずつらくて寂しい。終息を願い、平常通りの行事ができることを祈っています」。神事を終えた井谷宮司は規模縮小について残念の一言と述べ「脊美祭りは地域の伝統ある特別の祭り。若い人たちも継承しようと頑張ってくれています。来年こそは活気ある通常の祭りができれば」と話していた。
(2021年1月14日付紙面より)
オンライン面会環境整う (くしもと町立病院 )
くしもと町立病院がこのほど全病室にWi―Fi(ワイファイ)環境を整え、今月4日から全患者を対象にオンライン面会のための通信機器貸し出しも始めた。
入院患者にとって面会に訪れる家族の存在は加療の励みとなるところ。他方、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う面会制限は少なからずその機会を奪っている。この状況下でどうすれば入院患者が相応の励みを得られるかを考えた竹村司病院事業管理者は、オンライン面会の手法を導入できないかを昨夏に着想。以降同病院を挙げて実現を目指してきた。
院内は旧来、1階待合室と3、4階のデイルーム限定でWi―Fi環境があり、持ち込みの通信機器で独自にオンライン面会をする患者もいた。しかし病室から動けない患者や通信機器の操作が苦手な患者、通信機器を持っていない患者にとっては縁遠い利便。そこで通信機器が患者に与える影響を確かめた上で▽Wi―Fi環境を全病室へ拡大▽貸し出し用通信機器(タブレット)を確保▽医療スタッフによる通信支援―の3項目を県の新型コロナウイルス関係補助金を活用して整え、全患者が家族とオンライン面会できる状況を形にした。
同病院が貸し出す通信機器の利用対象は患者の家族で、オンライン面会できるのは祝日を除く月~金曜日の午後2時~4時。▽面会時間は最大5分▽1週間につき1回まで―といった条件をつけ、数に限りがある通信機器を多くの患者で活用できる状況を目指している。
LINE(ライン)通話を使った面会となるため、家族側の通信機器にも相応の設定が必要。患者側の通話にはスタッフが対応する(病院側から家族側へ通話を発信する)ため利用は事前予約制とし、前述した曜日時間帯中に同病院(初回のみ電話0735・62・7111、2回目以降はLINEトークを使用)へ希望する日時の前日までに家族側から申し出てほしいという。以降は担当するスタッフとの調整となる。
同病院は今月7日に新宮保健所管内で陽性患者が出たという発表を受け、翌8日から患者の付き添い人と病院が来院を求めた人以外は面会禁止とする対応を取っている。名田倍也事務長は「今は患者と直接面会できないが、代わりにオンライン面会で入院する家族を支えてほしい」とし、それが可能となったことの周知と活用の促進に努めている。問い合わせは同病院まで。
(2021年1月14日付紙面より)
那智勝浦町体育協会
軟式野球体験練習会 (新宮黒潮ベースボールクラブ )
ジュニア駅伝チームが本番に向け練習 (那智勝浦町 )
熊野速玉大社の「熊野神宝館」 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の「熊野神宝館」で、屋根のふき替えと下地の修繕工事が進んでいる。工事に伴い、同館は昨年10月から休館しており、3月末の工事完了を予定している(工事延期の可能性あり)。
このたびの工事は老朽化に伴うもので、同大社は第1弾として屋根および下地、天井の修繕に着手した。
同大社が発行する「国宝古神宝類」によると、1950(昭和25)年の文化財保護法施行以降、彩絵(さいえ)檜扇(ひおうぎ)5握をはじめとする多数の古神宝670(内容品、付属品を計上すると1204)点が55(昭和30)年に新国宝として指定を受けた。
同館はそれを記念し57(昭和32)年に新築工事に着工したもので、敷地面積373平方㍍、鉄筋コンクリート造り彩色仕上げ、瓦ぶき屋根の建物は同年12月31日に竣工(しゅんこう)した。以来、60年以上にわたり国宝神宝類の一部、金銅装神輿(みこし)、朱塗り神幸船(しんこうせん)、糸巻太刀など、数々の重要文化財や県・市の指定文化財および古文書などを保存・展示してきた。
同書によると、神宝(神の調度として皇室から献納された宝物)の全国的に現存する遺品は極めて数が少なく、わずかに熱田神宮、春日大社、嚴島神社、鶴岡八幡宮と同大社(阿須賀神社含む)とに限られており、また、同大社古神宝の調進年代など、各社殿別に品目を記した「熊野新宮御神宝目録」の写しが佐藤春夫の父・豊太郎によって21(大正10)年に奉納されている。
(2021年1月10日付紙面より)
天御中主神社で例大祭など (新宮市 )
新宮市佐野の天御中主(あめのみなかぬし)神社(髙橋正樹宮司)で9日、例大祭と厄除(よ)け祈願祭、寿祭が営まれた。今年厄年に当たる人などが参列し、今年一年の無事や新型コロナウイルスの終息を祈った。
例大祭では、髙橋宮司の祝詞奏上に続き、同神社氏子会の石垣倍生総代長、当家(とうや)当主の北道篤志さん、前田道春佐野区長らが玉串を供えた。新型コロナ感染防止の観点から、毎年大勢の地域住民でにぎわう餅まきは中止となった。
同神社の例大祭は佐野区の上地、中地、下地、永田の4地区の持ち回りでしめ縄付け、餅作りなどの準備をする当家を務めている。今年は中地地区が当家を務めた。
神事後、北道さんは「当主を務めることができて光栄。今年は新型コロナが収まり、皆さまにとって幸多い年となるようお祈りします」とあいさつ。
石垣総代長は「皆さまのご健勝やご活躍、郷土繁栄、新型コロナの終息などを祈願しました」と話していた。
(2021年1月10日付紙面より)
初薬師の法要営む (紀宝町 )
新年最初の薬師の縁日に当たる8日、薬師如来をまつる各寺院で初薬師の法要が営まれた。紀宝町では鵜殿の醫王山(いおうざん)東正寺や、平尾井の平尾井薬師堂でも祭典が執り行われた。
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紀宝町鵜殿の醫王山東正寺(片野晴友住職)では、本尊の薬師瑠璃光如来を開帳し、初薬師大般若会(だいはんにゃえ)を営んだ。寺の役員らが訪れ、家内安全、心願成就、疫病退散、新型コロナウイルス感染症の早期終息などを祈願した。
普同三拝、心経読誦(どくじゅ)に続き、600巻の大般若経典を左右に波打たせながら一気に読む転読が行われ、参拝者らが順に焼香した。
片野住職による法話では「続けることは根気がいるが、やるべきことを真面目に行えば、人は輝いてくる。まねを続ければ、やがてそれが本物になる」と話し、「普通の生活を送れることに感謝し、一日一日を大切にしてほしい。今日やるべきことはやって、明日目覚めなくても悔いが残らないよう努めて」と語りかけていた。
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平尾井薬師堂では毎年1月8日に営まれている「冬の大祭」が執り行われた。円通寺の山田耕治住職が読経し、一年の平穏、五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全などを祈願した。
今年は新型コロナウイルス対策として、密にならないよう参列者を制限した。また、「薬師の庭」と呼ばれる境内で行っている餅ほりも中止とし、餅俵のみを供えた。
参拝者は石段を登った先にあるお堂で鐘を突き、薬師堂に手を合わせた。参列した老人クラブ「平和クラブ」の林杜谷会長)は「新型コロナウイルスの終息と今年一年の平穏を願いました」と話していた。
白河法皇が熊野三山に御幸した際、逢野細谷(相野谷)の地に薬師堂の建立を勅願し許されたのが熊野三仏平尾井薬師だという。
薬師堂上の巨岩には、仏足跡と呼ばれる足跡の形が彫られ、高貴な方の参詣の証しとして刻まれたものといわれている。
(2021年1月10日付紙面より)
井関保育所に「よむよむ」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立井関保育所(桝本千惠美所長)で6日、絵本の会「よむよむ」による読み聞かせがあった。全園児15人が正月にちなんだ絵本に笑顔を見せ、楽しい時間を過ごした。
町立図書館や保育所などで20年以上活動を続ける同会には町内在住の6人が所属しており、この日は中村起代子さんと伊藤松枝さんが来所した。
園児は2グループに分かれて読み聞かせに耳を傾けた。大型絵本「おめんです」では、面の下に誰がいるのか予想し、面白おかしい回答に初笑い。おせち料理や年賀状、たこ揚げ、福笑いなどの正月の過ごし方を描いた「あけましておめでとう」や餅が大好きなお殿様が登場する「おもちぶとん」の世界に引き込まれていた。
読み聞かせの後は、「たこのうた」と「カレンダーマーチ」を歌ってお礼をした。1月中は、保育所で羽子板やたこ揚げ、かるた、こま回しなどの正月遊びをする予定だという。
(2021年1月10日付紙面より)
飛瀧神社で牛王神璽祭 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)の別宮飛瀧(ひろう)神社で8日、牛王神璽(ごおうしんじ)祭が営まれた。「牛王杖(ごおうづえ)」と呼ばれるヤナギの枝でカシの板を打ち鳴らし魔をはらい、霊験を高めて「牛王神符」を仕上げた。
牛王神符は熊野三山に伝わる特有の神札で魔よけ、災難よけのお守り。熊野の神の使いとされる八咫烏(やたがらす)の絵文字が描かれており、同大社では72羽のカラスで「那智瀧宝印」と記されている。
元日早朝に那智の滝からくみ上げた若水で墨を溶き、翌2日からの初刷りから毎日、本殿で祈とうが続けられてきた。満願を迎えたこの日は滝が凍るという神秘的な光景の中で、神事が執り行われた。
男成宮司らが無病息災などを祈り、仕上がった100枚の神札をヤナギの枝に巻いて参列者に授与した。
男成宮司は「今日は滝も凍り、より霊力を感じる中で清らかな心を持って神事を営むことができた。先日、緊急事態宣言が出されるなど新型コロナウイルスの感染が広がっている。一日も早いコロナの退散をお祈りしている」と語った。
(2021年1月9日付紙面より)
2年ぶりの幻想的な景観 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の世界遺産「那智の滝」で8日朝、2年ぶりに滝つぼが凍った。滝の水しぶきが氷となって岩肌に張り付き、滝が白い雪化粧をしたような幻想的な景観を生み出した。
熊野那智大社(男成洋三宮司)によると、滝元の別宮・飛瀧(ひろう)神社の社務所にある温度計が午前7時の時点で氷点下2度を記録したという。
8時ごろには、朝日を浴びた岩肌の氷がバリバリと大きな音を立てて滝つぼに落下する光景が何度も見られた。
小賀真樹禰宜(ねぎ)は「急激な冷え込みと前日に強く吹いた風の影響でしぶきが岩肌に付き凍ったと思う。今日は正月から行っているお祭りが満願を迎える日。この日に凍ることがなかったため、大変ありがたいと思う」と話した。
凍った滝の様子を撮影していた寺嶋孝さん(63)と敦子さん(49)夫妻。敦子さんは「初めて見ることができた。すごくきれい」と笑顔。孝さんは「新型コロナウイルスの終息と、われわれの健康や商売繁盛をお願いしました」と語った。
(2021年1月9日付紙面より)
第53回三重県アンサンブルコンテスト中学校の部南地区大会が昨年12月26日に県文化会館であり、紀宝町立矢渕中学校吹奏楽部(岡本怜奈部長)の打楽器三重奏と混成八重奏の2チームが金賞を獲得。今月17日(日)の県アンサンブルコンテストへの出場を決めた。
南地区大会は県内18市町の中学校から70チームが参加。矢渕中は2年生7人、1年生4人の11人全部員が2チームでエントリーした。
打楽器三重奏は3人で「雅~3人のマリンバ奏者のための」を演奏した。混成八重奏のメンバーはフルート、クラリネット、サックス、トランペット、ホルン、チューバで「『舞曲集』よりアルマンド、パヴァーヌ・パッサメッツォ、バスダンス」を奏でた。
部員たちは県アンサンブルコンテストに向け、5日から練習を再開。岡本部長は「最初はみんなばらばらで地区大会に出られるか不安だったが、地区代表の目標を掲げて練習を続けた結果、目標が達成できた」と振り返り、「県では悔いのないよう演奏したい」と語った。
(2021年1月9日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で7日、和歌山県指定民俗文化財の「八咫烏(やたがらす)神事」が営まれた。厄よけの「白玉宝印(しらたまほういん)」を入手しようと、事前に申し込みをしていた参列者が訪れた。
正月三が日の間、神門前に飾られた門松で「熊野牛王(ごおう)宝印」を調製し、たいまつの火と水ではらい清め、祭神の魂を吹き込む宝印押し初めの神事。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、7日、16日(土)、23日(土)、30日(土)、31日(日)の5回に分け、1回の参列者を上限50人に限定し行われる。
この日は拝殿の照明を落とした暗闇の中、神職が「えーい」の掛け声とともに拝殿の柱へと宝印を押して奉納した。神事後、参拝者は、神職が白紙に押した宝印を順番に授かっていった。
九鬼宮司は「コロナ禍でいろんなことを模索している日々だと思いますが、必ず事態が収束すると信じています。この状況に惑わされず、前を向いて未来や夢、希望を持っていれば道は開ける。今年の干支(えと)『丑(うし)』のように粘り強く自分の歩幅で過ごしていただきたい」とあいさつした。
宝印を頂くのは10年ぶりという鈴木純二さん(51)は「コロナウイルスの影響もあり、訪れようか迷いましたが、対策を万全にした上で足を運びました。一日も早い収束を願った。自宅で大切に取っておきたいと思います」と話していた。
(2021年1月9日付紙面より)
【第28回】コロナ禍の今こそ食卓が大事
コロナ禍が続いています。自宅で食事をする機会が多くて毎日の食事作りもうんざりというお母さんも多いのではないでしょうか? でも、今こそ家の食事が、とっても重要なんです。今、子どもたちは学校で、感染予防のため、給食中の会話を禁じられています。この給食の時間は子どもたちの食意識に影響しています。
子どもの頃の給食の思い出が将来の食意識にどんな影響を与えているかを研究した論文があります。「給食が楽しい時間であること、楽しい会話ができる場であることが、大人になってからの食に関する意識や食生活行動に好ましい影響を及ぼしていることが考えられ、給食の時間が楽しい場であることが重要だと示唆された」(大妻女子大学家政系研究紀要「子ども時代の孤食が大人になっての食への意識にどのように影響するのか」、2017年)。ここでいう大人になってからの食意識とは「温かい食事は家族にとって大事か」「家族そろった食事を心掛けたい」「食事はなるべく手作りしたい」「栄養バランスを考えた食事をしたい」などです。
子どもたちにとって、友達と楽しく食事をする給食はメンタルにも影響するという論文もあります。「『給食の時間は楽しいですか』という問いに対して、『とても楽しい』と回答した群は、『それ以外の回答』の群と比較し、男女ともにQOL総得点が高く男子の家族得点をのぞいて有意な差が認められた」(栄養学雑誌「小学5年生児童における給食の食べ残しおよび給食の楽しさとQOLの関連性」、2015年)。ここでいうQOLとは、身体的な健康・精神的な健康・自尊感情・家族友達との関係・学校生活の印象などを得点化したものです。つまり給食が楽しいという気持ちはたくさんの感情とつながり、子どもたちのメンタルも健やかにしているのです。
その給食の時間で会話を禁止されるということは、楽しい時間を制限されるということなんです! 会話なく、黙々と食事を取るのは大人だって楽しくないですよね? 子どものメンタルを健やかに保つためには、楽しい食事が最も大切なんです。そして、給食が楽しい時間ではなくなった今それをカバーできるのは家庭での食卓だけです。
だから今こそ、家族で取る食事を会話であふれた楽しい食事にしてあげてください。クタクタなときは作らなくてもオッケー! 買ってきたものでも、外食でも、デリバリーでも、会話をしながら楽しく食べればオッケーです! 「おいしいね」と言いながら、今日あったことを話してください。きっと子どもたちは、いつもと違う環境への不安やコロナ禍の不穏な空気を払拭できると思います。
大人にとっても、子どもにとっても今は誰も経験したことのない未知の環境です。でも、そんなときだからこそ子どもたちに食卓で安心感を与えて心を健やかにしてあげたいと私は思っています。
(2021年1月9日付紙面より)
紀の松島観光船プラン作り (武者修行(R)プログラム )
大学生向けグローバル研修を展開する株式会社旅武者(遠藤まさみ代表取締役)=東京都=は、昨年12月24日から始まった「地方創生イノベーション武者修行(R)プログラム」の最終プレゼンテーションを4日、那智勝浦町役場で実施した。
同町の体験型観光の代表である「紀の松島観光船」のプランについて、3チームが熱のこもったプレゼンを行い投票の結果、澤田龍輝さん(産業能率大学4年)と松下昇大朗・ウィリアムさん(名古屋大学2年)のチーム「マイアミホテイソン」による「びん玉×映え=びん映えプロジェクト」が条件付き採用となった。
武者修行(R)プログラムとは、同社のベトナム法人が運営する店舗で大学生がチームとなり、新商品・サービス開発やプロモーション企画を考え、形にして顧客に届けるビジネス体験学習プログラム。自身の成長課題に向き合い、自己変革(変態)することで、人生を切り開く力「自走式エンジン(R)」を積むことが目的・ゴールだという。昨年からは国内でも実施されている。
参加した学生7人はチームに分かれ、同観光船の満足度向上や集客増を目指して町内を巡り、町民らと交流しながら情報収集などを行い、企画を進めていった。
12月27日の中間プレゼンを経て、課題解決に向け自身らのプランを磨き直し、2日と3日に効果検証を行い、最終プレゼンを迎えた。
(2021年1月7日付紙面より)
文化財保護分野で高評価 (串本町 )
本年度地域文化功労者表彰(文部科学大臣表彰)の被表彰者がこのほど発表され、本紙関係では串本町の古座川河内祭(こうちまつり)保存会(杉本喜秋会長)が表彰を受ける事が決まった。
この表彰は、芸術文化振興や文化財保護などを通して地域文化の振興に功績があった個人や団体をたたえる目的で年次実施。本年度は芸術文化分野で46件(個人41、団体5)、文化財保護分野で45件(個人33、団体12)がそれぞれ選ばれている。
同保存会は文化財保護分野の被表彰者。現・国指定重要無形民俗文化財「河内祭の御舟行事」を50余年にわたって保護し続け、河内神社例祭「河内祭」の主軸となる奉仕を担う団体として例祭に関係する5カ区(古座・古田・下部・宇津木・月野瀬の各区)や他の奉仕継承諸団体のまとめ役も果たして祭礼の継承に努めている。
そのような活動の成果として同文化財は1965(昭和40)年に県指定、99(平成11)年には国指定へと昇格。日本遺産「鯨とともに生きる」にあっては、鯨船に屋形を組んで装飾した御舟が往事の文化を物語る点で認定時に大きな役割を果たした経緯もある。同保存会が積み重ねてきた地域文化振興への貢献は多大と評価され、今回の表彰を受けるに至った。
表彰式は24日(日)、京都府立府民ホールで実施。杉本会長は同町教育委員会教育課職員とともに出席するそうで、「このような賞を頂けることになり、ますます祭りをやめられないという気持ちになった。(会員が)だんだん年を取ってきて御舟の飾り付けなどいろいろと大変になってくる中、どうすれば維持していけるかをみんなで話し合いながらこれからも続けていけるよう頑張りたい」と気持ちを新たにしながら喜んでいる。
(2021年1月7日付紙面より)
新宮市立図書館
新宮市井の沢の市立図書館では、1階に特設コーナーを設け、今年のえと・牛に関する絵本や、2021年に関する本を展示している=写真。30日(土)まで。
児童閲覧コーナーでは、「希望の牧場」「めうしのジャスミン」などの牛に関係した絵本を展示。
一般向けには、今年没後50年を迎える山下清とファッションデザイナーのココ・シャネル、連載が始まって70周年を迎えた、スヌーピーでおなじみの漫画「ピーナッツ」関連本、今年の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一の関連本、その他今年に映画化・ドラマ化される原作本などを紹介している。
また、一般向け新刊コーナー横には、「赤毛証明」(光丘真理)「なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと」(池上彰)など、成人式、卒業式の時期に合わせて読書推進運動協議会が発行する冊子に掲載された24冊を展示・貸し出ししている。展示は2月27日(土)まで。
また、今月のおはなし会「ぷちぷち」(先着5組、要事前申し込み)は22日(金)午前10時30分からの約15分、「にこにこ」(先着10人、申し込み不要)は23日(土)午後2時30分からの約15分を予定している。申し込み・問い合わせは同図書館(電話0735・22・2284、FAX0735・22・2312)まで。
(2021年1月7日付紙面より)
追い出し作業が困難 (太地町 )
和歌山県資源管理課は5日、太地町沖に設置されている大型定置網に昨年12月24日から体長4~5㍍(推定)のミンククジラ1頭が入り込み、追い出し作業が困難となっていることを報告した。
同課によると、定置網の全長は約400㍍。現場の潮流が早く危険が伴うため、逃がすことが難しいとし現在も網内にとどまっている状況だという。
ミンククジラが網内で長期間遊泳することで漁具の破損被害も想定され、定置網内の魚の水揚げができないことから網を設置する太地水産共同組合の経営にも大きな打撃が生じることが懸念されている。
県と同組合は追い出すための努力を続けているが、長期に至る場合は捕獲も視野に入れているという。
同課担当職員は「クジラが定置網に掛かる事例は全国でも100頭前後確認されており、和歌山県内では3例目になる。それらの情報やノウハウを元に関係法令に基づき、適切な対処ができるよう必要に応じて助言などをしていきたい」と話している。
(2021年1月7日付紙面より)